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夢見町の史

Let’s どんまい!

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2017
June 24
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2012
May 20
   エンジェルコール4
 
 
 
「考え直したほうがよろしいですよ」
 
 おじちゃんに何度目かの念を押す。
 
 女の子の件はおじちゃんの要望通りに手はずを整えてある。
 そのために消費するポイント数も納得してもらった。
 これで腕の痛みを感じずに、女の子は幸せな少女時代を過ごせるはずだ。
 
「ではロウ君、次の願いを叶えてくれたまえ」
 
 おじちゃんは頑固だった。
 僕は「そんなことにポイントを消費させるべきではございません」ってたくさん言ったのに。
 
「ロウ君、君の願いを叶える。それが私の願い事だ」
 
 だってさ。
 僕としてはお客様にポイントの大切さを知ってもらうことだって重要なんだ。
 無駄使いさせたくないよ。
 真の取り引きに持っていきにくくなるじゃないか。
 
「お客様、ポイントは大切になさってください。最初に付与させていただきました千ポイントはお客様の来世、つまりご自身の未来と引き換えに、ご自身で得たものでございます。わたくしなんかのために消費されるべきではございません」
「構わんと言っている。優秀なボーイにチップを払わなかったら、それは私の恥だ」
「しかし」
「私は元々、来世のことなど考えていなかった。死ねばそこで全てが終わると思っていたからね」
「さようでございましたか」
「ああ。そもそも私がどんな生物に生まれ変わろうと、今の記憶は失っているんだろう?」
「はい、前世の記憶は残りません」
「だったら何も問題はない。虫としての人生もやってみれば案外悪くないかも知れん」
 
 要するに、おじちゃんは願い事を叶えてもらえることをただのラッキーだと思っているみたいだ。
 それにしても「虫としての人生も悪くないかも」か。
 言われてみたらそうかも知れないなあ。
 
「君の願いは何だね?」
 
 おじちゃんからの質問に思わずハッとする。
 業務上、僕は嘘を言うことができない。
 
 でも、僕の願いって何だろう?
 
 おじちゃんに一万ポイントあげて、魂を貰うこと?
 なんのために?
 お給料をたくさん貰いたいからだ。
 お金をたくさん貰いたいのは何故だろう。
 色んな買い物をしたり美味しいものを食べたり、遊びに出かけたりと贅沢がしたいからだ。
 じゃあなんで僕は贅沢をしたいんだ?
 満たされたいし安心したいし、幸せを感じたいから。
 幸せでいたかったら、悩みがあったら邪魔だよね。
 僕に悩みってあったっけ?
 あ、人間でいうところの「天使」にいつかまた戻れたらいいな。
 悪魔やってると何かと嫌な想いすることが多いからね。
 
「正直に申し上げます。わたくしは――」
 
 そこで言葉をぐっと飲む込む。
 天使になりたいなんて言ったら、僕が悪魔だってバレちゃうじゃないか。
 
「なんだね? 続きを言いたまえ」
「失礼いたしました」
 
 どうしよう。
 僕は嘘をつけない。
 嘘をついたら罰を受けてしまう。
 
 悪魔にとっての罰は、人間にされるということ。
 それだけはごめんだ。
 あんな何の能力もない生き物になんてされてたまるか。
 
 こうなったら仕方ない。
 このお客様に本当の取り引きを持ちかけるのは諦めよう。
 
 僕は恐る恐る、ゆっくりと口を開く。
 
「わたくしは、天使に戻りたいと考えております」
「天使?」
「はい、さようでございます」
 
 天使と悪魔は同じ生き物なのに、なんで呼び分けられてしまうのか。
 答えは意外と簡単だったりする。
 
 天使は自分よりも他者を優先する性質があるのね。
 なんだか信じられない感覚だけれども、それが彼らにとっては当たり前のことなんだ。
 でも悪魔は違う。
 自分本位で他人を利用しちゃうの。
 
 めちゃめちゃシビアな世界なんだけど、僕はあっという間に悪魔に堕ちた。
 原因は「ちょっと魔が差したことを思い描いた」から。
 仲間が働いてる横で自分だけ休んじゃいたいとか、そんなようなことを少し思ったんだった気がする。
 潔癖症な天使はわずかでも悪の因子があると天使失格って自分から判断しちゃうのね。
 
 一度でも悪魔になってしまうともう二度と天使には戻れない。
 だって過去に魔が差しちゃってるからね。
 どれだけ大昔のことなのかとか悪意の大小は全く関係ないの。
 悪意が芽生える可能性が少しでもある魂は天使にはなれないんだ。
 
 なんだけど、天使としての生活は悪魔よりも断然にオイシイ。
 仲間もみんないい人ばっかりだし、仕事もキツくないし、毎日笑っていられるし。
 
 そのようなことを僕は正直に、おじちゃんに説明をした。
 
「ですが、わたくしが悪魔だからといって決してお約束を破るようなことはいたしません。今後もお客様の願いを出来る限り低ポイントで――」
「天使に戻るためには何が必要なんだ?」
「はい?」
「君が天使に戻るための条件を訊いている。私のポイントでその条件を満たすことは可能なのかね?」
 
 驚いた。
 人間からしてみれば僕は悪魔だっていうのに、おじちゃんはまだ僕の願いを叶えようとしている。
 
「わたくしの正体は人様から見れば天使ではございません。そのような者に――」
 
 僕が言えたのはそこまでだった。
 
「関係ない」
 
 おじちゃんはやっぱり頑固者だ。
 
「私が叶えたいのは神の願いでも魔王の願いでもない。ロウ君、君の願いだよ」
 
 くっそ。
 こうなったら仕方ない。
 そこまで言うんなら僕は僕の事情を話しちゃうぞ。
 
「お客様、誠にありがとうございます」
「いや、いい」
「わたくしが天使に戻りたい理由は『今の生活よりも幸福でいられるから』といった自分本位な動機でございますが、よろしいのですね?」
「もちろんだ」
「では、さらに正直に申し上げます」
「うむ」
「わたくしが天使に戻るためには、お客様のポイントは必要ございません」
「なんだと?」
「悪魔が天使に戻るにはたった一つの方法しかないのです」
「ほう、それはどんな方法なんだね?」
 
 僕は辺りを見渡し、他のオペレーターに聞かれないように声を潜める。
 
「悪魔は、悪魔内のルールを犯しますと人間にされてしまいます」
「ほう」
「そうなれば、わたくしは人として人間界で生きることになるんですね」
「ふむ」
「唯一、天使に生まれ変わる可能性がある種族が人間なのでございます」
「そうなのか」
「はい。したがって、わたくしが本当に天使になりたくば悪魔にとっての不正行為を行い、人間にされてしまえばよいというわけです」
「人間が天使に生まれ変わるには何か条件があるんじゃないのか?」
「はい、ございます。人間が天使になるためには自己犠牲を果たすレベルのですね? 少々気恥ずかしい言葉ではありますが、愛が必要でございます」
 
 天使と悪魔は対立してる。
 僕ら悪魔としては天使に増えてほしくない。
 そこで悪魔たちは人々を誘惑するなどして、今から魂を堕落させておきたいってわけだ。
 人間が天使に生まれ変わってしまわないようにね。
 魂を取ったり下等生物に生まれ変わらせたりするのも、実は天使の数を増やさないため。
 魔王ラト様は「魂のエネルギーを集めてもう一つの太陽を創造したい」なんて言ってるみたいだけど、そこんところはよくわかんない。
 
「愛というと、それはどっちのだ? ロウ君自身が愛情を持つ人物になることが重要なのか? それとも周囲から愛されることが必要なんだろうか」
「両方でございます」
「そうなのか」
「ええ、非常に確率の低いことでございます」
 
 天使って本当に極端な生き物だ。
 愛を注げばその分だけ注がれる愛もあるだろう。
 なんて前提で考えられたルールだから、こんなにも厳しくなっちゃっている。
 もうちょっと頭を柔らかくしてほしいもんだ。
 
「私のポイントは、その愛情を操作するに役立つかね?」
「可能ではございますが、それをやってしまうと今度は天使にとっての不正行為となってしまいます」
「そうか」
「ですのでお客様、わたくしの願いは結構でございますよ。わたくしは人間としての生活を望んではおりませんし、リスクを犯してまで天使に戻りたいとも思っておりません」
「そうか。では、もっと簡単な願い事はないのかね?」
「そうですね。それではいつかわたくしに希望ができましたら、そのときは必ず報告させていただきます。お客様とお話させていただいたところ、遠慮は失礼に当たると感じましたので隠すことはいたしません」
「分かった、信用しよう。思いついたときは必ず願いを言ってくれたまえ」
「かしこまりました。それよりもお客様」
 
 僕は本来の仕事へと戻る。
 
「例の天変地異まで、まだ十六年もございます。そのことをお考えになられたほうがよろしいかと存じます」
「ふむ。確か時間の操作は出来ないんだったな」
 
 ん?
 時間を操作したがってる?
 今度はなんだ?
 
「ええ。残念ながら、過去や未来を変えることはポイント数以前の問題でございまして、不可能なんですね」
「では、やはりルイカ親子は十六年後に死んでしまうのか」
 
 どうやらまだあの親子のことを気にしているみたいだ。
 どこまでお人好しなんだろう、この人。
 普通だったら自分が助かるための準備を進めるべきじゃない?
 
「私のことを気にかけてくれているのかね?」
 
 ちょっと沈黙しちゃったもんだから、僕が何を考えているのか読まれちゃったらしい。
 おじちゃんは言う。
 
「私はもうこんな歳だ。天変地異の際に生き延びたとしても、文明が無くなった後の世界では生きられまい」
「滅多なことを」
「いや、事実だろう」
「では、こうされてはいかがでしょう?」
 
 生きる喜びを思い出させればそれだけポイントの大事さが解る。
 希望をちらつかせるっていうのが僕の営業スタイルだ。
 ポイントの大事さが解れば魂を犠牲にしてでも一万ポイントを欲しがるに決まってる。
 
「ポイントの消費は著しいのですが、お客様を若返らせることは可能でございます」
「ほう、そうなのか」
「はい。これにはいくつか方法がございまして、手段によってポイント消費量が異なるんですね」
「ふむ」
「まず、一気に若返ってしまっては周囲から怪しまれてしまいますので、ゆっくりと細胞を若返らせるといった方法がございます。これは八百七十ポイント必要となりますが、お勧めでございます。何歳まで若返るのかといったご年齢も、もちろんお選びいただけます」
 
 すると何故なんだかおじちゃんは無口になる。
 反応薄いなあ、興味ないのかなあ。
 僕は一応、様子を探りながらも案内を進める。
 
「また、若返りだけを目的とするならば三百九十ポイント以内で済みます。これは若い人間の新しい死体を修復し、そこにお客様の魂を移植するといった手段なんですね」
「いや、うん、解った」
「ありがとうございます」
「そのことはまた今度に考えるとしよう」
「さようでございますか」
「今はまだあの親子のことが気にかかる。天変地異の際、つまり十六年後だな。その頃の三人の情報を知りたい」
「かしこまりました」
 
 僕はモニターの前で姿勢を正す。
 
「それでは具体的に何をお知りになりたいのか、詳しくお願いいたします」
 
 すると、おじちゃんは次々と質問事項を繰り出す。
 僕はそれを聞きながら、復唱しながらキーボードを叩いて願い事欄を埋めていった。
 
 それにしてもホント人がいいっていうか、なんというか。
 この人が天使になっちゃうんじゃないか?
 ってぐらいの善人だ。
 でもまあ僕と最初の取り引きしちゃってるから彼の来世は小動物に決定なんだけどね。
 
 それにしても、さっきから引っかかる。
 
 頭の中では何故かさっきおじちゃんが言った言葉がぐるぐると回っていて取れない。
 何気ない一言だったんだけど、なんでこんなにも印象深く残っているんだろうか。
 
「虫としての人生もやってみれば案外悪くないかも知れん」

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   阿修羅のように4
 
 
 
 郵便ポストには今日もたくさんの手紙が届いている。
 
「笑いあり、涙ありの青春ストーリーを聞かせてほしいです」
「神話を研究しているのですが、人類の始祖と地球最後の一人が同一人物であるといった話をご存知ありませんか?」
「ルイカさんの話を聞くと必ず良いことが起こると聞きました。簡単な物語でもいいので、是非話してほしいです」
 
 一時とは大違いだ。
 私は魔女なんかではなく、天の使いということになっているらしい。
 おかげで休む間もないほど充実した日々を送らせてもらっている。
 
「そろそろ行くよ。二人とも準備はいい?」
「はい」
「しゅっぱーつ!」
 
 今日はイベントで、世界のどこかに咲くという「レミの花」の物語を語ることになっている。
 
 このような生活に戻れたのは、ここにいるまだ六歳の少女が何かをしたからだ。
 あのとき彼女は、私には意味の解らないことを言っていた。
 
「実はね? 自分用のポイントもたくさん持って来てたの」
 
 それが一体何を示す言葉なのだろうか。
 クラーク君はとにかく驚いていた。
 
「どうやって!? いや、そうか。なるほど」
 
 勝手に納得をし、クラーク君は姉の手を引いてどこかに連れ出す。
 
 それから数日も経たないうちに「ルイカの右手は神の奇跡によってもたらされた」という噂が広がっていった。
 時を同じくして私は縁起物のように持てはやされるようになる。
 二人の子供は天から舞い降りた幸運をもたらす精霊なのかも知れない。
 そのような噂まで広がっていった。
 
「あなたたち、もしかして何かしたの?」
 
 訊ねると少女はクスリと笑う。
 
「簡単だよ。噂を振りまく何人かの脳に干渉して発想のベクトルを逆方向に変えてみたの」
 
 答えになっているのかいないのか、私には理解できないセリフだ。
 それでも、とにかく三人とも助かったのは事実だし、これは素直に喜ぶべきことであろう。
 
「ありがとうね、二人とも」
 
 しゃがんで、私は兄弟の頭をくしゃくしゃと撫でると、そのまま二人を抱きしめる。
 二人は照れたようにうつむいていた。
 
 今では二人とも私のことをママと呼ぶようになってくれている。
 私も少しぐらいはあの偉大なマザーに近づけたのだろうか。
 
「ねえねえママ、レミの花って何ー?」
 
 街行く中、私は長女からの問いに答える。
 
「不思議な花でね? その花の香りを嗅いだ人は凄く安心して気持ちよくなって、ついつい眠ってしまうの」
「ふーん。中毒性はないの?」
「どこで覚えたのよ、そんな言葉」
 
 悪い噂が良い評判に変わってから、さらに一年が経過していた。
 長女の起こす奇跡はあれからも度々発生している。
 
 仕事のし過ぎで声が全く出せなくなってしまったとき、長女は「任せて!」と胸を叩いて姿をくらませ、再び戻ってくる頃になると私の喉は治っていた。
 近所の屋敷が火事になり、使用人や主が中に取り残されたときも、彼女は「大丈夫!」とどこかに行ってしまう。
 するとすぐに豪雨が降って建物は鎮火し、彼女は誇らしげな表情で戻ってきたりもした。
 
 もちろん、クラークちゃんも頼もしい存在だ。
 彼の助言に何度助けられたことか。
 どこで学んだのか彼は文字の読み書きに非常に長けていて、自分の蓄えとやらで新聞を取っている。
 そこで得た社会情勢などを踏まえ、「皮膚が変色し、目が見えなくなり、やがて死に至る病気が流行りそうだから、近いうちに予防接種をしに行きましょう」とか「巨塔の国ですがあの地方は最近謀反の噂があって物騒だから今回の仕事は延期を頼んだほうがいいでしょう」などとトラブルを未然に防ぐための進言をしてくれるし、お客さんが料金を踏み倒そうとしたときも「仕事の依頼は契約であるといった点を相手に注目させてみてください」と的確なアドバイスをくれる。
 幼児であるはずなのに、彼の言うことはまるで父のようだ。
 
 大通りを進み、馬車の停留場にたどり着く。
 時刻表を見ると、次の馬車が来るまで少し待つようだ。
 私たちは備え付けのベンチに腰を下ろす。
 
 初めて二人と出逢った日と同じく、わずかに肌寒さを感じさせるそよ風が吹いた。
 懐中時計を見るまでもなくもうすぐ夕方である。
 
 クラークちゃんが石造りの街並みを眺めたまま、何気ない様子で口を開く。
 
「ママ、訊いてもいいですか?」
「なあに?」
「ママは何故、僕らのことを何も訊いてこないんですか?」
「訊きたいと思ったら訊くわよ」
「でも、僕らはその、明らかに子供としては不自然じゃないですか」
 
 また風が吹く。
 次の馬車に乗る予定があるのは、どうやら私たち三人だけらしい。
 他に人影はない。
 
「どうして僕らの正体に疑問を持たないんですか?」
「正体も何もないでしょう」
 
 私はクラークちゃんの頭に、そっと手を添える。
 
「どこの世界に自分の子の正体を気にする親がいるのよ」
 
 息子たちは黙って私の顔を見上げる。
 今度は私が遠くに視線を逃がし「いつか詳しく話すけど」と前置きを入れた。
 数ある物語から一つを思い出し、私はそれを口にする。
 
「今よりも大昔、凄く遠い場所ではね? 三つの顔と六本の手を持つ神様がいたとされているの」
 
 神の名はアシュラ。
 アシュラは異なった表情を三つ持ち、その六本の手で人々を助けたとされている。
 
「その神様の物語はいつか詳しく話すけど、あたしはね? こう思うの」
 
 数ある神話の中にはある程度実話がベースになっているものが含まれているのではないだろうか。
 全くの空想から紡ぎ出されたのではなく、何かしらのドラマがあって、それが元になって作られた話があるのではないか。
 
「そう考えるとね? アシュラだって本当にいたのかも知れない。でも現実には顔が三つあって手が六本も生えてるような生き物はいないでしょう?」
 
 本来なら子供には難易度の高い話題かも知れないが、この二人だったら難なく理解に及ぶだろう。
 
「これはあたしの想像なんだけど、神話の時代、ある三人組の英雄がいたんじゃないかしら」
 
 その三人の英雄が大きく活躍をして、後世に名を残したのではないだろうか。
 実話には尾ひれが付き、それを聞いた者がさらに想像力を羽ばたかせるといった連鎖が長く続いたのではないだろうか。
 そこまで語り継がれるほどに三人のチームワークは良く、大仕事をこなしてしまったのではないだろうか。
 
「だからその三人はきっと、とっても仲が良かったんでしょうね。だって三人なのに一人の神様って伝えられちゃうぐらいだもの」
 
 遠くから蹄の音がしてくる。
 馬車がやって来たのだ。
 
「来た来た。じゃあ二人とも乗るわよ。忘れ物、ない?」
 
 この話の続きはしなくとも私が何を言いたいのか、もう子供たちには伝わっていることだろう。
 
 私は自分の肉体を見てそれが何者かと疑うことがない。
 同じように、私は自分の子供を見てそれが何者であるのかと気にかけることはない。
 
 実際口にするのは照れがあったので、私は心の中で馬車によじ登ろうとしている二人に告げる。
 あなたたちはね、自分の体と同じぐらい大切なのよ。
 
 出産の痛みも育児のストレスも感じたことがない私が少しでも本当の母親に近づくには、他に何が必要なんだろう。
 走り出した馬車に揺られながらそのような考え事をしていると、不意にクラークちゃんが口を開く。
 彼らしくもない子供らしい発言に、私は小さく驚いた。
 
「ママ。実はある場所に、秘密基地を作っておいたんだ」



 続く。

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HN:
めさ
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1976/01/11
職業:
悪魔
趣味:
アウトドア、料理、格闘技、文章作成、旅行。
自己紹介:
 画像は、自室の天井に設置されたコタツだ。
 友人よ。
 なんで人の留守中に忍び込んで、コタツの熱くなる部分だけを天井に設置して帰るの?

 俺様は悪魔だ。
 ニコニコ動画などに色んな動画を上げてるぜ。

 基本的に、日記のコメントやメールのお返事はできぬ。
 ざまを見よ!
 本当にごめんなさい。
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