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夢見町の史

Let’s どんまい!

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2017
June 24
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2011
May 29
 よう、人間ども。
  俺様は悪魔。
  要するに、めさだ。

  人間どもを堕落させたり嫌な気分にさせるのが大好きなこの俺様は、東日本大震災で被害にあった人間どもをさらなる地獄に陥れるため、2泊3日でボランティアに出かけることにした。
  ざまを見よ。

  酷い目に遭ってしまった人間どもよ。
  この俺がボランティアを装い、できる限り多くのゴミどもを片付けてくれる。
  覚悟しておくがいい。

  さて。
  ボランティアに行くに当たって、1番最初に必要なのは現金でも装備でも道具でもねえ。
  情報だ。
  何1つ知らないまま現地に行っちまったら、間違いなく邪魔になる。
  そんな考えなしでは今後、人類を堕落させるどころじゃねえぞ。

  持ち物を用意するにも、情報を得てからのほうが望ましい。
  先に荷物をまとめちまうと、後になって「これは向こうにあるからリュックから出さなきゃ」だの「あれが必要なのにもう鞄がいっぱいで入りません」などと、愚かで面倒なことになりかねねえからな。
  被災地で過ごすには何が必要で何が要らないのか、よおくリサーチしておくがいい。

  下調べとは、真っ先にやるべき最も重要なことなのだ。

  では具体的に、何を調べるべきで、何を調べなくてもいいのか?
  そういった判断をするためにも、以下の体験談を参考にするがいい。

  2011年。
  俺の予定では5月15日の日曜から17日の火曜日まで被災地で活動することになっている。
  行くのは俺1人でも構わないのだが、せっかくだ。
「平日だけどその期間なら休み取れるし、せっかくの機会だから一緒に行こうかなあ」なんて考えている悪魔崇拝者をネットで募集してやった。

  最初にスケジュールが決められているので、それに添うことができる同行者を募集。
  1人でも複数でも、人数が決定したら目的地をどこにするかを決め、改めて計画を練る。
  そんな段取りだ。

  多かったのが、学生の参加希望者だった。

「その日は学校をサボって一緒に行きます!」

  そうかそうか!
  ふはははは!
  ばかめ!
  学校サボったら駄目でしょ!?

「めさと一緒に行くこと」を目的にするのではなく、「ボランティアに行くこと」を目的としていただきてえものだ。
  俺は悪魔なので容赦なく「どうしても行きたいなら夏休みに行くんですよ。学校あるなら来ちゃ駄目ですよ。でも、お前の気持ちは俺が被災地まで持って行くからな」とバッサリ却下しておいてやった。
  ざまを見よ。

  他の声だと、こんなのもあった。

「めささん、被災地で具体的に何をやるのか明記しておいたほうがいいのでは?」

  そんなん俺だって知らんし、どうでもいい。
  あの作業なら行く、この作業なら行かない、じゃねえ。
  自分にできる作業を現地で見つけますよ、でいい。
  要は行きたい気持ちがあって、尚且つ現実的に出発が可能かどうかだけだ。

「あたし女の子だから、力ないし…」

  なんて考えている乙女も、行きたい気持ちがある者は黙々と「女子にもできるボランティア活動」をネットなどで調べ、その上で参加しているというわけだ。
  そういった行動力と「情報収集をする」という発想はどんな仕事でも役に立つんじゃねえか?
  堕落のさせ甲斐がある人間が多くて俺は実に大変だ。

  さァて。
  募集の結果、「めささんの日程で参加が可能なので一緒に行きたいです」と申し出てきやがった人間どもは、奇しくも直接の友人知人2人であった。
  こいつらはめでたく、これにて悪魔の手下だ。

  襲撃者は人間2人と悪魔1匹。
  人数も決定したので、次に向かうべき被災地を選出する。

  細まめな電話連絡をつけることができる現地の住人がいてくれたら最高に助かる。

「銭湯はあっちです」
「このバスに乗ったら近道ですよ」
「めささん、好きです」
「めささん、婚姻届けならあそこで提出できます」

  などなど、地元の者しか知らない情報があるのとないのとでは大違いだからな。
  現地に住まう協力者もネットで募集してくれよう。
  お前らみんな悪魔に魂を売り渡せ!

  被災地の状況は刻一刻と変化するとも耳にしていたので、数週間前から募集をかけてしまうと、いざ当日になって「こっちはもう人手が足りてるよ」なんて言われそうで怖い。
  こっちが堕落してしまいそうだ。
  したがって俺様はすぐに声をかけるのではなく、なるべくギリギリまで待ってツイッターにて募集をかけた。

「被災地の民よ! 悪魔に来てほしいか!? よかろう! 召還されてやる!」

  実際はもっと普通の文で募集をかけた。

  集まった民の中から、最も関東に近い場所に住んでいる奴を選んでやろう。
  運賃が安く済むからな。

  俺は悪魔。
  人間界の通貨は持ち合わせていないのだ。

  というわけで、さあ集え!
  なるべく近場の下界の民どもよ!

  こうして、俺の元には数々のメールが1通も来なかった。

  なんでみんな遠慮するのよー。

  まあ、さすがに悪魔にとどめを刺されたら嫌だろうからな。
  その気持ちは解らんでもねえ。
  それだけ、俺という悪魔が恐れられているのであろう。
  ふはは!

  それにしても計算外だ。
  応募がない原因が「うちより酷いところもあるだろうから、自分から申し出るのは抵抗がある」なんて遠慮がひしひしと伝わってきやがる。
  ここへきて、まさかの譲り合い精神。
  お前らがバレーボールをやったら、間違いなく固まったお前らの間にストンとボールが落ちる。

  俺としては、報道されないせいで人手が足りていない土地に行くことを考慮したかった。
  報道されていない土地の情報は、現地の者から直接聞くに限る。
  しかしその現地の者が現れねえ。

  仕方ないので色々と諦め、俺は段取りを変えることにした。

  ホテルを取るとまたお金がかかるので、テント泊ができる、なるべく近い被災地を襲撃してくれる!
  人手が足りているかどうかは、誰に聞いたらいいのかわかんないのでこの際置いておこう。

  2011年5月。
  調べてみると茨城県でもボランティアを募集していやがった。
  内容は、耳の不自由なお年寄りとのコミュニケーションだとか、子供たちに絵本を朗読してあげるとか、だ。
  そんなこと、めちゃめちゃいい笑顔でやったらまるで俺が悪魔じゃないみてえじゃねえか!
  それはそれで被災地からの求人なので無視してはよろしくないが、俺は悪魔だからな。
  もっと切羽詰った、大ピンチな現場を襲撃してえ。

  情け容赦ない悪魔のテレパシーを、俺は茨城県に送りつける。

「また別の機会に行くからな。ごめんな。今回は勘弁な。実はもっと悲惨なところがあるのに、俺が見つけてやれないだけだったとしたら、ホントごめんな。…いや、じゃなかった! えっと、俺は悪魔だからな! えっと、えっと、ざ、ざまを見よ! ばかっ!」

  何故か赤面しつつ、続けて福島県の情報をモニターに呼び出す。

  瓦礫や土砂の撤去を中心とした求人が目立つ。
  これは候補の1つに数えておこう。

  この福島県には、テントや寝袋を持参する必要があるのかどうかも調べたい。
  テレビで見た話だと、ボランティアの人が「次の人が泊まれるように」とテントや寝袋を置いて帰るケースも少なくねえからな。
  そういった物が借りられると解れば、荷物を減らせるので非常に助かる。

  ところが、モニターにはこんな文字が。

「福島県ではテント泊を認めていません」

  俺より血も涙もなくってどうする。

  これじゃあ仕方ねえ。
  ビジネスホテルに2泊というのはかなりの散財になるのでお財布的にめっちゃキツい。
  こうなったら「テント泊が可能である」という点も、行き先選びの条件に入れちまおう。
  日本には8ゴールドで泊まれる宿屋なんてねえしな。

  しかしそうなると、テントで寝泊りできる被災地は岩手や宮城など、なかなかの遠方ばかり。
  行き帰りにかなりの運賃がかかる。
  結局貧乏。
  どうしてそうなる。
  福島でホテルに泊まるのと、どっちが高いのか考えるのも面倒臭え。

  ボランティアってのは金持ちしか行っちゃいけねえのか!?

  もしかしたら「ボランティアの人は運賃無料!」なんて運動があったのかも知れねえ。
  この文章を綴っている今は、東京と東北を繋ぐ無料の送迎バスがあることも教えてもらってある。
  しかしこの日、調べた限りではそういった情報が一切見当たらなかったことは事実だ。

  何故に準備編の文章がこんなにも長いのか。
  それは、俺が最も苦労したのがこの時点だからだ。
  友人らも一緒になって情報収集をしてくれたのだが、ネット上の調査を得意とする者まで苦戦を強いられていた。

  基本的に、ボランティア希望者が行き先を決めるには、数あるボランティアセンターのホームページを1つ1つ見て回ることから始まるんじゃねえだろうか。
  もっと効率のいいリサーチの仕方もありそうなもんだが、俺が不器用なのか、まだまだ利便性が追いついていないからなのか、色々と試した結果、「片っ端から虱潰しに調べる」ことしかないようだった。
  そういったサイトの多くは、初見の者や事情が解らない者、ネット初心者にとって解りにくいレイアウトが目立つ。

  この「知りたいことが調べにくい」という不便さはボランティア希望者の気力を削ぎ、「なんも調べられんから意味わからん。やっぱ行くのやーめた」と心を折ってしまいかねん。
  是非にでも解消してほしい不便だと思う。

  例えば、ボランティアに行きてえ奴が「ボランティアを考えている方へ」と書かれたボタンをクリックする。
  すると出てくるのは「ボランティアをするに当たってどのような心構えが必要か」という内容。
  それはそれで大事なことだが、「以上の点を踏まえ、ボランティアをしてくれる方はこちらへどうぞ」などといった、次のステップへの誘導が一切見当たらねえ。
  説明されていたのは、現地でも聞くことができる心構えのみで、次に取るべき具体的なアクションが提示されねえじゃねえか。

  ボランティアセンターには何も告げず、予約なしでいきなり行ってもいいのか?
  食材は最初から用意すべき?
  何が売っていて、何が売ってねえんだ?

  中には「何が解らないのか解らない者」も少なくないであろうに、詳しい案内が見当たらねえ。

  ボランティア員は、どんな道具を用意すべきかも記してあった。
  では、道具の用意が済んだあと、どうしたらいいんだ?

  車なしで行けるのか?
  寝泊りはどこで?

  もしかしたら、俺が見落としていただけで丁寧に案内がされていたのかも知れねえ。
  しかし、どこをクリックすれば何が見られるのか、見た目から判断しにくい。
  片っ端からクリックすれば、100に1つは求めていた情報に行き着くかも解らぬ。
  しかし100に99は無駄になると考えると、もっと有効な情報収集の仕方がありそうに思えて仕方ねえ。
  次に見るべきボランティアセンターのサイトだってたくさんあるんだから、簡略化できるところは端折っていきてえもんだ。

  ボランティア保険なるものがあることも、そういえば友人の誰かが言っていた。
  これは、作業中に体調を崩したボランティア員のために作られた保険なのだそうだ。

  この保険に入るのは絶対的な義務なのか?
  有料なのだろうか?
  全国共通なの?
  それともボランティアセンター特有の保険?

  解消される疑問より、出てくる疑問のほうが多くて困った。

  行き先が既に決まっているのなら、その場所に合った準備をすれば問題なかろう。
  しかし、自分の都合が先にあって、その条件に合った被災地を選ぶのは非常に困難だった。

  運賃などの予算は合計いくらぐらいで、関東から出発する予定。
  車を持っていないので電車かバスで行ける場所を希望。
  テントや寝袋があり、自炊ができる。
  何月何日から何名で行ける被災地。
  以上の条件を持つ者にとって好都合な場所をピックアップ!
  なんて検索は、かけることができねえんだ。

  そういったボランティア希望者専用の絞り込みができる検索エンジンがあったら便利なんだが、俺にはそれを見つけることができなかったし、作る技術もねえ。
「ぐるぐるぐる、どーん! 便利サイトが誕生してしまえー!」で完成しねえもんじゃろか。

  アンケート形式や「イエス」「ノー」で進むフロチャート式のサイトなんてあったら実に便利であろう。

  あなたの住所はどこ?
  車は持ってる?
  テントで寝たい?
  予算の上限を入力してちょ。
  あなたに合った被災地はここと、ここと、ここでーす!
  もう復興して動いてる銭湯やスーパー、コンビニや食堂の場所は地図に書いてあるからね!

  そんなサイトを作った奴はもう、キスしてやる!
  いや、キスどころじゃねえ。
  抱いてやる!

  すまん、冗談だ。
  だから作ってくれ誰か。

  また、既にそういった被災地選びを助けてくれるサイトがあるのなら、是非教えてほしいもんだ。

  知識と技術と時間があったらこの俺様が魔力とかを色々アレして作るのに!
  きい。

  ええい、もう面倒臭い。
  条件の絞り込みができない以上、俺は1つ1つボランティアセンターに電話で問い合わせをし、「電車は通っていますか?」だの「テントで泊まれますか?」などと訊ねまくった。

  結果、安く行ける近場だとテントを張る場所が用意されていないので宿泊費がかかり、ホテル代をケチりたいのなら運賃をかけて遠くに行かねばならぬことが判明した。

  笑止!

  ボランティアに行った人間どもを集め、どうやって金を工面したのか、どうやって行き先をチョイスしたのか、大真面目にインタビューしたいと歯ぎしりが止まらぬわ!

  笑止の使い方がいまいち解らんが、そこはまあいいだろう。
  とにかく困ったことになった。
  ボランティアに行くのを断念しようかと、真剣な考えも浮かぶ始末だ。

  しかし、ここで思い出したことが。

  俺、福島県に友達いるじゃねえか!

  その女子は俺が人間ぶって飲み屋で働いているときも、ちょくちょく飲みに来てくれる、いわき市在中の、人間の細胞で構成された乙女である。

「もしもし、Yちゃん? 久しぶりー」
「お久しぶりです」
「今、電話いい?」
「はい、大丈夫ですよ」

  おっと、俺は悪魔だから、こっちが実際の話し方だ。
  やり直し。

「ふはははは! 下賎な下々の民よ! 久しぶりだな!」
「お久しぶりです」
「今から悪魔であるこの俺の、様々な質問に答える栄光を貴様に与えてやろうではないか! いい?」
「はい、大丈夫ですよ」

  いわき市はテント泊を認めておらず、ビジネスホテルの利用を勧めている。
  それは、言い方を変えれば「ボランティア参加者のためにテント用のスペースを用意していない」だけではないだろうか。

「ふはははは! Yよ! この俺様が下僕を2人連れ、貴様の町を襲撃してくれる! テントを張っても怒られないような空き地を探せるか!? ボランティアセンターから遠くない場所がいいなあ」
「たくさんありますよ」
「そうかそうか! ふはははは! では、その空き地が誰かの土地のようなら、管理者や近所の者に事情を話し、テントを張らせてもらうとしよう! 断られるかも知れんから、空き地はいくつか目をつけておくがいい!」
「解りました」
「では、よろしくお願いします」

  続けて、今度はいわき市のボランティアセンターに電話。

「はい。いわき市社会福祉協議会です」
「はっはっは! 愚かな人間よ! 俺様は悪魔だ!」

  ガチャン、ツー、ツー、ツー。

  なんてことにもなりかねん。
  ここは相手を油断させるために、人間のフリをして通話してやろう。

「もしもし? 恐れ入ります。そちらではテント泊を認めていないと聞いたのですけれど」
「ええ、そうなんですよ。すみません」
「いえいえ。ただ僕、現地の友人に空き地を見つけてもらっているんですよ。周囲の住民の方にも許可を得ます。そういった形でも、寝泊りしたら問題になりますかね?」
「いえ、それなら大丈夫と思いますよ」
「ホントですかー。じゃあ、『市の条例でテント泊は絶対に禁止!』っていうニュアンスではないんですね?」
「ああ、ええ。そういうのではないですよ」

  かくして、行き先がようやく決定!
  目指すは福島県、いわき市だ!

「Yよ! 喜ぶがいい! ボランティアを装って貴様の町行き、ボランティアと見せかけてボランティアをすることが正式に決まったぞ!」

  報告をしつつ、脳内で次の段取りを組み始める。

  食材は何を持って行こう。
  タマネギ、ジャガイモなら冷蔵せんでも大丈夫だから持参しよう。
  いや、2泊しかしないから、他の野菜もイケるかな?
  シーチキンやコンビーフも使い勝手がいいから多めに持って行くとするか。
  昼はキツい作業で大変だろうから、せめて夜はキャンプみたいな雰囲気で食事をし、自分たちをケアしてやろう。
  初日はカレーがいいけど、仲間たちは俺が甘口のカレーを勝手に作ったら怒るだろうか。
  辛いのは辛くて食べられないのだが。

「え? めささん、今なんて?」
「いや、ごめん。独り言。…じゃなかった! ふはははは! 俺様の獲物をどう料理するかを考えておったのだ! タマネギいくつぐらい持ってこうかなあ」
「こっち普通にスーパーありますよ?」
「ですよねー」

  やはり情報は大切である。

  食材は現地で調達し、経済的にも現地を支援…、もとい。
  食材は現地で調達し、俺様の荷物を少しでも軽くしてやろう。

  そんな折り、一緒に行く予定の仲間から連絡が。

「めささん、大変!」
「どうした!?」
「テント泊してたボランティアが警察に捕まったって!」
「え、なんで?」
「わかんない。友達から聞いた」

  要するに未確認情報じゃねえか。

  仲間は慌てたように続ける。

「せっかくボランティアに行ったのに、警察に捕まったせいで、何もできなかったら嫌だ!」

  それはそうだが、それを人に伝える前に情報の真偽や詳細を確かめるのが先じゃねえか。
  もし俺まで、たいした確認もせずにその情報を鵜呑みにしたとしよう。

「なんだって!? そりゃ大問題だ! 今すぐテント泊の段取りを白紙にし、計画を根底から練り直す!」

  そんな展開のあとで、「実はボランティア員がテント泊しただけで警察に捕まるとかってガセネタでした」って知ったら最悪な気持ちになるじゃねえか。
  勘違い情報ではなかったとしたら、今度は「テント泊をしていただけでどうしてボランティア員が警察の世話になったのか」といった理由が重要だ。
  人の敷地に勝手に入ったから?
  夜中に騒いで通報されたから?

「友達から聞いただけだから、解らないって言ったじゃん!」

  解ってから連絡してきやがれ。

  だいたい地震発生当時も、色んな偽情報が飛び交ってたじゃねえか。
  だから俺がツイッターで情報拡散するときは、個人サイト以外のホームページのURLを情報源として張ってから広め、見た奴が真偽確認を取りやすくした。
  逆に、ソースの提示がないつぶやきは「誤った情報かも知れねえぞ」と考えるようにしている。

  こういった考え方をしていると、なかなか便利だ。
  お前ら人間どもも癖として身につけておくと、俺みたいな悪魔に惑わされないで済むので、俺的には非常に困る。
  つまり、お前ら的には助かる。

  だから、えっと、つまりね?
  お前らばかだから、何か聞いても、すぐに信じるなよな!
  言う側も言う側で「親戚のおじさんが言ってたもん」とか「友達が言ってたもん」とか「学校の先生が言ってたもん」はたいして当てにならねえ。
  そいつらが勘違いしてるだけかも知れねえじゃねえか。
  だから、マジ情報扱いしてむやみに広めんな!
  芸能人なんかの噂もそうだからな!
  ばかちん!

  …なんで照れたんだ俺は。

  さて。
  仲間の口ぶりからすると、脳内では「テント泊=逮捕」みたいな図式が完成しているようだが、それが事実であるという根拠がまるでねえ。
  そこで、改めてツイッターで情報源を募る。
  ネットで調べても、何もヒットしなかったからだ。

「被災地で、ボランティアの人がテントで泊まってたら、お巡りさんに捕まっちゃったなんて噂が。誰かそんなニュース記事知ってる? ソース求む」

  お前らはおばかさんだから、一応教えておいてやろう。
  ここで言ったソースというのは、調味料のことじゃねえ。
  情報源という意味だ。
  解ったか。

  情報を募ると同時に、いわき中央警察署の電話番号を調べ、問い合わせる。
  ここでも俺は人間ぶって口調を変えた。

「恐れ入ります。ボランティア希望の者なんですけど、いわき市ではテント泊を禁止していますよね?」
「え? そうなんですか?」

  え?
  そうなんですか?

  このお巡りさんのリアクションには、なかなかびっくりさせられた。

  そういえば、ボランティアセンターへの問い合わせでも俺はしっかり「空き地でテント泊してもいいかどうか」を訊ねていたではないか。
  悪魔のうっかり者。

「えっとですね、まだ噂の段階なので確認したくてお電話させていただいたんですけども、ボランティア人員がテントで泊まっていたところをお巡りさんに捕まっちゃった、なんて事例は報告がありますか?」
「私は聞いてないですねー」
「ですよねー」

  やはり情報は重要である。

  念のため、「地域の住民にきちんと挨拶をし、許可を得た上で友人が見つけてくれた空き地にテントを張る」との旨を伝える。
  警察からの回答は「問題ありません」とのことだった。

  いざ捕まったときに「オッケーって言われたもん!」と言い逃れができるよう、この電話のやり取りを録音しておこうかとも思ったが、あまりにも馬鹿馬鹿しいので思い留まる。

  かなり、いや。
  めちゃめちゃ疲れたが、これで一通りの論理武装は整った。

  今回の俺様のように、行くべき場所が決定しておらず、自分のスタンスが先にある者はさぞかし困るであろう。
  目的地の決める際は、俺と同じ苦労を避けるが良い。

  俺は自分のささやかな知名度を利用し、現地に住まう協力者を募集したりもしたが、それはあまりに一般的な手段じゃねえ。
  地元の人間に情報提供を望むなら、まず先に行き先を決め、宿泊方法を決め、その上で「Yahoo智恵袋」や「教えて! goo」などで、どこの何が知りたいのか詳しく書いて現地の情報を得るのも手じゃねえか?

  あとは物質的な準備だ。

  テントや寝袋、登山などで使う調理器具などは俺が持っている。
  持ってない奴は誰かから借りるか、ホテルを手配するしかねえ。

  着替えやタオル、歯ブラシなどのお泊りセット、トイレットペーパー、ウェットティッシュ、キッチンペーパー、ビニール袋、ゴミ袋はもちろん必要だ。
  ペットボトルが代わりになるので水筒はなくっても良かったが、昼は食料が買い込めない場所で作業していることも少なくねえ。
弁当箱がなかったら、予めどこかで昼食を買っておくがいい。
  でも、俺はお金ないからお弁当箱を持ってった。

  保険証のコピーと懐中電灯、代えの電池は念のため、あったほうがいいだろう。

  他に、「これがあってよかったー!」と思ったのが、携帯電話の充電器。
  思わぬところで「コンセント」という名の充電のチャンスがあるもんだ。
  電池で充電できる小型の充電器もコンビニなどで売ってはいるが、あれらはそこまでフルパワーになるまで充電できる物じゃねえからな。
  俺は気休め程度に持っている。

  俺が行ったボランティアセンターでは軍手を無料で配布していやがったが、他でも同じように配っているかどうかは解らねえ。
  軍手も、汚れるのでたくさん持って行くがいい。
  腐った食料など、不衛生な物に触れることだってある。
  厚めのゴム手袋も合わせて必要だ。

  作業中は暑くてたまらんかも知れんが、そこはぐっと我慢をし、Tシャツやタンクトップではなく、長袖のロングTシャツやトレーナーの着用を勧めておこう。
  お前らは俺の獲物なんだから、尖った木片や突き出た釘、割れたガラスごときに傷つけられることは許さん。
  腕もしっかりと覆っておけ。
  汗でびしょびしょになるし、泥だらけ、埃だらけにもなる。
  作業用の服はたくさんあったほうがいいからな。

  俺は現地で何度も洗えるよう、上下に分かれたレインコートを持参したが、こいつァ普通に失敗だった。
  下半身だけならまだしも、上半身までこれを着ていた。
  1人ビニールハウスだ。
  個人サウナだ。
  通気性がまるでなく、さすがの悪魔も地獄の業火に焼かれるようで辛かった。
  ばかか俺は。

  現地はめちゃめちゃ埃っぽい場所だって少なくはねえ。
  目を保護するためのゴーグルも用意するべきだ。
  俺は「天空の城ラピュタ」の主人公「パズー」がつけていたような、バイク用のゴーグルを持っていった。
  仲間は何故かくすくす笑いながら「それじゃ駄目だ」と意味の解らんムカつく笑みを浮かべていたが、普通に使えたわ!
  ざまを見よ。
  要は視界を塞がずに目を守れれば問題ねえってこった。
  なんなら水泳用のゴーグルだっていいんじゃねえか?
  アリだと思うぜ。

  持参して最も助かったと思えるアイテムが、登山靴だ。
  割れたガラスや釘の上を平気で歩けるし、水も通さねえ。
  安全靴と長靴を兼ね揃えた、実に便利な靴だった。
  もう登山靴素敵すぎだ。
  結婚しても構わねえ。

  これらの必要な物を鞄に詰め込んでいくわけだが、リュックを使う奴は覚えておくがいい。
  知ってる奴には釈迦に説法になっちまうが、解説させてもらおうか。

  肩にかかるベルトは極限まで短くしておくと、背負い続けていても疲れにくいぞ。
  また、衣類やタオルなど、軽い物ほど下に。
  水や食材など、重たい物ほど上に収納するのも、楽に背負うための工夫だ。

「はい。はい。では、よろしくお願いしますー。…じゃなかった! ふはははは! この俺様の到着を、待ちわびているがいい!」

  ようし。
  高速バスの予約も人数分済ませたし、これで準備完了だ!

  それにしても、福島県よ。
  ただでさえ地震や津波の被害に遭ったってのに、さらにこの悪魔様から襲撃を受けることになるとはな。
  くっくっく。
  なんとも気の毒なことだ。

  ここ最近、福島の野菜をたくさん注文し、それらを使ってたっぷり料理をしてやった。
  何度ウェブ上の生放送でその様子を配信してやったことか。
  様々な野菜を八つ裂きに切り刻み、火あぶりにしたり、釜茹での刑にしたりと、じっくり味わってやったわ。

  あんな野菜、食べるんじゃなかった!
  おかげで、もう99ショップの野菜が喰えぬではないか!
  美味すぎだ!
  ばかちん!

  そんな野菜どもを送りつけてきやがった、いわき市。
  何かと縁があることよ。
  こいつはお礼だ!
  ゴミどもめ!
  片付けてくれる!
  ふはははは!
  待っているがいい!

  前日編に続く。




  募金先まとめサイト
http://nanos.jp/innocentsense/page/15/

  クリック募金
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無題
ボランティアに行くんならボランティア保険は常識ですよ
福祉協議会のホームページ行けばボランティアの募集してるし、県のホームページでも募集してます
名無しさん: 2011.05/31(Tue) 13:08 Edit
無題

ボランティアなどお疲れ様です。
そして長文もお疲れ様です。
やはり最初の情報収集は必要なんですね。
為になります!
このくらいのことしかかけませんでしたが
失礼します。
(めささんマジ天使)
海李: 2011.06/03(Fri) 21:57 Edit
震災ボランティアおつかれさまです
いずれ、また行かれるとの事
現地では大腸菌感染症や破傷風などが出始めているそうです。
破傷風に関しては子供の頃に予防接種を受けているはずですが
受け漏れがないか、確認される事をお勧めします。
同行者さんも確認された方がいいと思います。

直接支援ができないのがもどかしいです。
めささんの行動力に感謝!
のんたん: 2011.06/06(Mon) 18:33 Edit
無題
ボランティアをされてきたんですね(>_<)お疲れさまです!
私も何かできないかと思っていますが、現地に行く時間もなく節電ぐらいしかできません…

労力を惜しまないめささんの行動力、本当に素晴らしいと思います!!

そしてめささんと悪魔との口調ギャップが素敵すぎますw
: 2011.06/06(Mon) 21:52 Edit
無題

さすがめささんですね!
こういうことを書いて
くださると、たいへん
助かります\(^o^)/

ボランティアお疲れ様
でした。
たなか: 2011.06/12(Sun) 14:03 Edit
無題
ボランティアお疲れ様です
あとめささんのオリカ作りました
よかったらどうぞ
http://xrea.sakage.cc/file.php/19/19_1307877582.bmp/めささんのオリカ.bmp
Naoki: 2011.06/12(Sun) 20:20 Edit
無題
ボランティアお疲れさまでした。
めささん自身が、どのように情報収集をして、どのように現地に入ったのか。
ボランティアへ行くまでの流れが分かり易く書かれているのでとても参考になりました。
私も近々、ボランティアに参加します。
みんなで頑張りましょう!
悪魔ぶってるめささんも応援します!
カモミール: 2011.06/22(Wed) 00:05 Edit
無題
来て下さってありがとうございました。
@いわき: 2011.07/30(Sat) 10:34 Edit
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プロフィール
HN:
めさ
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1976/01/11
職業:
悪魔
趣味:
アウトドア、料理、格闘技、文章作成、旅行。
自己紹介:
 画像は、自室の天井に設置されたコタツだ。
 友人よ。
 なんで人の留守中に忍び込んで、コタツの熱くなる部分だけを天井に設置して帰るの?

 俺様は悪魔だ。
 ニコニコ動画などに色んな動画を上げてるぜ。

 基本的に、日記のコメントやメールのお返事はできぬ。
 ざまを見よ!
 本当にごめんなさい。
 それでもいいのならコチラをクリックするとメールが送れるぜい。

 当ブログはリンクフリーだ。
 必要なものがあったら遠慮なく気軽に、どこにでも貼ってやって人類を堕落させるといい。
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