夢見町の史
Let’s どんまい!
December 11
女子プロをご存知ない方は是非「豊田真奈美」で検索してみてほしい。
テレビにも何度も出て数々の伝説を残した、本当に凄い人だ。
めちゃイケという番組で極楽トンボとプロレスをやった人といえば思い当たる人も多いのではないだろうか。
先日は札幌の試合でアジャコングを倒し、チャンピオンになって帰ってきた。
普通に「勝った」って言っていた。
この人に敬語を使っていて本当によかったと思う。
そんな真奈美さんとは職場以外でも、酒の場に同席する機会が多い。
先日は職場「スマイル」の閉店後、お客さんたちとで別の店で飲もうという流れになった。
お客さんたちには先に出発してもらい、俺と真奈美さんは店の片付けをしてから皆の後を追う。
道中、コンビニに寄って煙草を奢ってもらった。
店員さんが金額を述べる。
真奈美さんは財布を取り出しながら、レジ打ちの青年に対して口を開いた。
「あたしの年齢確認しなくていいの?」
俺は即座に「絶対に大丈夫です!」と力強く店員さんの代わりを果たしておいた。
乾杯のあと、俺はふと思い出したことがあって、真奈美さんに声をかける。
そうだ、真奈さん。
連絡先交換するタイミングが合わなかったから今までアレだったけど、改めて電話番号教えてくださいよ。
「やだ」
なんでだよォ!
仕事の連絡ができなくて困ったことが以前あったじゃん!
それでいつか、自分から電話番号聞いてきてたクセに!
「しょうがないなー。じゃあ番号言う」
お願いします。
090の、と。
じゃあ1回コールしますね。
…アレ?
留守電になってる!
なんで!?
「あたしが電源切っておいたから」
なんでだよォ!
あんたどんだけ俺のこと嫌いなんだよ!
「あ、でも今見たら、めささんの番号ちゃんと入ってたよ」
ああ、ならよかったです。
ってゆうか、さっきのはホント焦った。
何故か留守電になってるんだもん。
「くすくす。あたしが電源切っておいたから」
だから!
「どうしてそんなことしたんですか」って訊いてんの!
「がはははは!」
そのまま笑い死ね!
現役女子プロレスラーのチャンピオンは色々と強かったです。
December 11
用件はほどほどで、話題の中心はただの雑談だ。
彼女とお話してみるとなんていうかもう、色々とびっくりした。
まずめごさんは、俺のことを本気でゲイだと思っている。
もしくは男性にマジ恋してほしいと真剣に願っているらしい。
このくそ寒い真冬である昨今、タンクトップで街に出ろとか言い出す。
ついでだからレザーパンツも履いてやろうかと思った。
このようなベタなイメージを持ってしまっていることを、ゲイでいらっしゃる方々に謝りたい。
ごめんなさい。
確かに俺と仲良くなる紳士は、まっこいさんとか悪魔王子の兄貴とかトメとかチーフとか、何故かいかつい人が多くて、そんな中で俺は可愛らしくマスコット的なキャラで通したいと思っているのだけれど、めごさんは完全に俺の恋愛観による好みのタイプで友人を選んでいると信じて疑わない。
イヴの夜、悪魔王子の兄貴に告白しろって命令された。
勇気を出せと無駄に励まされた。
告白しろって言われても、そんなことしたら2人の関係が気マズくなるではないか。
万が一「いいよ」とか受け入れられても困る。
兄貴と俺は家が超遠いから、遠距離になっちゃう。
というか、今キーボードを打ちながら素直に疑問に思ったのだけれど、俺は一体何を書いているのだ。
上の主張もなんかおかしい。
どうせコメント欄に「めささんやっぱりガチホモだったんですね」などと色々書かれてしまうような自爆日記になってしまっている。
めごさんにいくら「違う」と言っても信じてもらえなかったように、読者様にだってどうせ俺の否定はスルーされてしまうであろう。
もう好きにすればいい。
ゲイでいいよ、もう。
俺は女の人がめちゃめちゃ好きだから、これは油断させるための大作戦だ。
女性の皆さん、気をつけたまえ。
ばか!
だいたい俺はめごさんの話を書きたかっただけなのに、なんでこんな目に…。
いや、そうそう。
めごさんには余計なことまで話してしまった。
「俺の妹が、子供の頃やった兄弟喧嘩をまるで最近のことのように言いふらしたせいで、俺、みんなからDVだと思われてるんですよ。これもゲイ説と一緒で、いくら『違う』って言っても誰も聞いてくれないの。誰よりも俺のことを知ってる俺本人の発言なのになんで信じてもらえないのか意味わかんない」
こないだも職場で、「めさ、昨日も女の子の髪を掴んで振り回したんでしょ?」とキラーパスを貰ったので開き直ることで事なきを得た。
「ああ振り回してやったよ! 左右両方の手で、2人同時にな!」
あれはもう本当に気持ちがいいぐらい完璧なアウトだった。
ゲイでオカマでDVと、ノーマルな要素が1つもない自分の立場を考えると、オイシイを楽に通り越して将来が心配だ。
いたってアブノーマルなイメージではないか。
なんだか素で暗い気分になってきたので、めごさんが話してくれた別の話題に切り替えたいと思う。
「あたしのお店、サメの心臓を刺身で出すんですよ」
ほう。
それは珍しい。
食べたことないなあ。
「美味しいですよ? で、伝票を書くんですけど、メニュー名をそのまま書くんじゃなくって、略すんですよ」
ああ、生ビールのことを生中って書くみたいな?
「そうそう。で、『さめ』って書こうとしたんですけど、急いで書いたから間違って『めさ』って書いちゃった」
俺をバラ売りするな。
「面白かったから、その伝票、写メ撮って悪魔王子さんに送りました」
なんで当人である俺にじゃなくって兄貴に送るんですか。
「じゃあ、めささん、イヴの夜、悪魔王子の兄貴に告白してください」
どこの世界の罰ゲーム!?
じゃあってなんだよ!
なんで話をそっちに戻すんだ!
その後、めごさんから「電話しながら取ったメモを送ります」とメールが来たんだけど、これを見て内容が把握できたらその人はエスパーだと思う。
December 02
この日記を書いている今、熱は下がっていて体調は万全だ。
嘘だ。
二日酔いだからやっぱり具合が悪い。
それにしても、どうして発熱中に見る夢は変なのだろう。
夢独特の変なシチュエーションであるにもかかわらず、一方俺の頭は冷静なまま働いてしまうから、起きる頃にはツッコミ疲れてくたくただ。
夢の中で、俺はドラゴンゾンビと戦っていた。
ドラゴンの時点で絶対に強いのに、それがなんとゾンビになってしまっている。
勝てる気がしない。
一方、俺は素手。
気の毒なほど丸腰だ。
聖剣エクスカリバーなんかでもいいから5本ぐらいは欲しい。
ドラゴンは肋骨とか丸見えのクセしてやる気満々な態度を見せている。
歯をガチンガチン鳴らせながら、こちらにズンズンと迫ってくる。
テンション高すぎだ。
後方に下がりながら、俺は仲間と思われる女性に問う。
「俺が何をした。どうしてこんな状況になった」
女の人はゲームでいうところの僧侶のような服装だった。
彼女は俺にバリアの魔法をかけないと、冷静に口を開く。
「ドラゴンは生前に出来ることと出来ないことがあり、ゾンビ化することによってその行動の制限が変化します」
そうですか。
俺の質問は無駄でしたか。
「あのドラゴン、火炎を吐く器官が腐敗していますね。ブレス攻撃の心配はありません」
爪とか牙による攻撃の心配はあるってことですね?
「ドラゴンの火炎の元は胃酸です」
そうですか。
また堂々と無視しますか。
「ドラゴンの胃酸はすぐに気化するので、炎上しやすいのです。通常のドラゴンは歯を噛み合わせることによって口内で火花を散らせ、それと同時に胃酸を吐くことで火炎を放射してきます」
この人、空想上の生物にやたら詳しい。
あとあなた、殺されそうな状況なので、落ち着いてないで戦おうとする姿勢を見せていただいてもよろしいでしょうか?
「あのドラゴン、胃が既に腐っていますね。したがって炎を吐くことはないでしょう」
それはもう聞いた。
知識の披露、お疲れ様です。
そんなことよりさ、君は魔法とか使えないの?
RPGだと決まって、ゾンビを1発で昇天させる都合のいい呪文とかがあるじゃないか。
そいつを是非お願いします。
「爪や牙、尾による物理攻撃にご注意ください」
丸腰の俺が頑張らなきゃいけないってわけですね?
っつーかそもそもゾンビってどういう現象だよ!
死体が動くってどういうことだよ!
逆ギレしねえと自分を保てねえ。
「何者か、おそらく魔法の使い手がドラゴンの死体にエネルギーを注いでいるようですね。ゾンビの動力は魔力です」
うっせえ!
魔力ってなんだよ!?
どういう力なのか結局あやふやじゃねえか!
だいたい死体が動くだけってことならまだしも、あのクソ竜、眼球もねえクセして明らかに俺たちを敵視してきてる!
その行動の動機はなんだっつーの!
俺が何をした!
「あのドラゴン、生きている頃は攻撃的な性格だったようですね。エネルギーを得た動く死体は、生前の残留思念によって行動パターンを変えます」
残留思念?
ああ、あれか!
首をはねたニワトリがしばらく走り回るみたいな。
「それは脊髄反射です」
最後の最後にツッコミ返されるとは思いませんでした。
ドラゴンゾンビの行動原理とかよりも、役に立ちそうな僧侶が行動しない理由が1番に気になる。
November 28
久々に熱が出て、お仕事休ませてもらって、がっつり寝て、起きたらこんなよく解らない時間でした。
皆さん、おはようございます。
まだなんかふりゃふりゃするので、変な言い回しをしそうですが、そこは別にいつものことなので許してくれても俺は全然構いませぬ。
いえ、違うんです。
俺、さっきまでうなされて変な夢を見ていたんです。
悪友たちと国内を歩き旅をしている夢で、行き先も決めずにぶらぶらと景色を楽しんでいるという夢でした。
富士山が近くって、もう壮大なの。
久々にスケッチブックを取り出して絵を描きましたよ。
夢の中で描いたので皆さんにお見せできなくって残念です。
でね、夢の中の富士山が本当に綺麗で、俺は思わず仲間たちに言うんですよ。
「今から目的地を決めよう。行き先は、富士山の頂上にしないか?」
夢から覚めて、俺は思いました。
リアル富士にも登ろう、と。
夢と同じように、仲間を誘って富士山登頂をすることに、俺はついさっき決めてしまいました。
可哀想なのは友人たちです。
行きたくもない過酷な登山に付き合わされることになります。
俺のわがままを聞かないといったわがままは俺が聞きません。
だって1人で登るの嫌だもの。
問題は、友人のほとんどが断ってくるであろう、といった点。
みんな何故か富士山の夢を見ていないから、俺と同じテンションではないのです。
これは慎重に、さり気なく誘わないと。
まずは軽いジャブ的な口説き文句。
自由度があるようで、実は「富士山」としか答えられない質問。
「ねえ、どっか登ってみたい富士山ってある?」
意味の解らない二択で正常な判断力を奪うのも手でしょう。
「登山病か潜水病、かかってみたいのはどっち?」
普通にカッコイイ言い方をし、男のロマン心をくすぐってテンションを上げさせる必要もあります。
「日本一を征服しに行かないか?」
さりげないアピールも、もちろんかかせません。
「あ~、ん~、3774メートル~」
安全面で心配させない心配りも大事です。
「飲み水は綺麗だって。むしろ凄く美味しいらしいよ」
過酷な印象も、せっかくだから打ち消しておきましょう。
「グーグルアースで火口まで簡単に行けたよ」
もちろん、真面目なフレーズも用意しておくべきです。
「火星には標高1万2千メートルの山だってあるんだぜ?」
それがなんだ。
ま、いっか。
さーて、喰いついてくれるのは誰かなー。
ああ、そうそう。
悪魔王子の兄貴、チーフ、まっこいさん、ジンにトメ。
別に何かに誘うとか、そういうんじゃ全然ないけど、何故か近いうち電話します。
いえいえ、意味なんてホントないんですよ。
ちょっといい景色が見たいだけ。
大丈夫です。
今後は動画配信でラジオやフリートーク、紙芝居の凄いやつにも挑戦していきたいから、早く熱を下げねば。
ただ今、ふらふらしつつもお茶漬けの準備中。
めさでした。
エベレストよりは無難だと思わないか?
追記。
富士山の標高は、正しくは3776メートルでした。
3774メートルではありません。
3776メートルです。
2メートル足りていませんでした。
間違えました。
すみません。
November 26