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夢見町の史

Let’s どんまい!

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2008
September 07

 皆さん、いつもお世話になっています。
 めさですよ。

 この度は来る9月15日(月・祝日)に、ミクシィ内のコミュニティ「変な寝言が忘れられない」の代表者として、イベントの出演が決定致しました。

 ありとあらゆるジャンルの、面白いコミュニティ管理人たちが集合し、プレゼンライブ大会を行うといった内容です。

 これはネットとリアルをつなぐ店「東京カルチャーカルチャー」主催のイベントで、面白いコミュニティを次々とスクリーン上で紹介していくといったものなんですね。
 だいたい10組ぐらいの管理人さんたちが登場する予定です。

 もちろん俺自身もコミュのプレゼンを行う予定で、全力かつ面白おかしく紹介しようと気合いが入りまくっている次第です。
 他にも様々なジャンルの素晴らしいコミュニティが登場すると思いますので、興味がおありの方は是非、奮って会場まで遊びにいらしてくださいませ。

 ステージに立つ各管理人は、それぞれ10分前後でプレゼンライブを行います。
 お客様はそのコミュが気に入ったら、携帯電話からその場でコミュに参加登録してもらうというイベント趣旨なんですね。
 このイベントは笑えるコミュだけを集めるのでは決してありません。
 感動、ためになる、画像、動画、ets…。
 様々な良質コミュが紹介されます。
 俺も日々トークの腕を磨いておりますので、是非ともご覧くださいませ。

 それではイベントの詳細です。

【開催日時】
 9月15日(月・祝日)
 開始時刻は17時30分予定ですが、会場には1時間前から入場可能です。

【場所】
 お台場・東京カルチャーカルチャー(ゼップ東京二階、観覧車右下)
http://tcc.nifty.com/

〒135-0064 東京都江東区青海一丁目パレットタウンZEPP TOKYO2 FTOKYO CULTURE CULTURE

※東京カルチャーカルチャーは飲んだり食べたりしながら気楽にイベントを楽しめるイベントハウスで、入場料の他に飲食代は別途必要(ドリンク¥500~)となります。

【入場料】
 前売券¥1500(飲食代別途必要)
 当日券¥2000

※入場は前売券の整理番号順です。

※前売券はローソンチケットにて発売中。
 お1人様5枚まで購入可能となっております。(Lコード38675)

 ローソンチケット
http://l-tike.com/d1/AA02G01F1.do?DBNID=1&ALCD=1&LCD=38675

【お問い合わせ】
〒140-8544 東京都品川区南大井6-26-1 大森ベルポートA館 ニフティ株式会社事業開発部 (サービスビジネス事業本部)
“東京カルチャーカルチャー”店長 横山伸介(シンスケ横山)

 phpno:03-5471-4902(内3213)
 fax:03-5471-5891
 E-mail:yokoyama.shinsuke@nifty.co.jp

 東京カルチャーカルチャー:http://tcc.nifty.com/
 シンスケ横山(ミクシィ):http://mixi.jp/show_profile.pl?id=3017705

 また、重要と思われる質問などありましたら、気軽に俺宛にメールをくださいませ。
 返信はまずできないとは思うのですが、重要度が高いご質問は私から主催者の横山氏に問い合わせさせていただきます。
 その後、今ご覧の当告知文に質問内容と回答を追記編集することで、反映させていただきますので、ご確認くださいませ。

 告知は以上です。

 それでは皆さん、お台場でお逢いしましょう!

 イベント終了後、お声をかけていただければ幸いですよ。

 めさでした。

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2008
August 29
 日常生活には思いの他、多くの英語や和製英語が浸透している。
 テレビやパソコン。
 ライター、ナイフにフォーク。
 挙げたらキリがないほどだ。

 そういったいわゆる「カタカナ語」を一切使用禁止にしたら、会話は果たしてどうなってしまうのか。

「今から一定時間、英語とか、カタカナで表記するような単語を使ったら駄目ね!」

 酒の席にて、そのようなゲームを、いや、間違えた。
 遊戯を行うことになった。

 ルールはシンプル、じゃなかった。
 取り決めは単純だ。

「英語を口にしたら、お酒を一気飲み!」

 酒場らしい罰である。

 かくして、職場のスナック「スマイル」改め、酒場「笑顔」ではスタートではなく、「始め!」の合図が発令される。

「こないだ、あの映画を見たんだ。地上波を受信して映像を映し出す機械で」

 テレビと言ったら負けなので、皆それぞれ気を張って喋る。

「どんな映画?」
「欧米の少年が宮城さんに出会って空手を習う映画!」
「ああ、最上少年ね!」

 ベストキットと、言いたくても言えない。

 ただ、最初はぎこちなかった会話だったが、いつの間にかみんな慣れてきたらしく、いつしか口調も軽やかに。

「五輪、見た?」
「見た見た!」
「あの選手、惜しかったよね。もうちょっとで金のこういう、丸くてデカいやつ取れそうだったのに」

 たまに禁句を口にしてしまい、罰としての酒を飲む者もちらほらといたが、談笑としては盛り上がってきている。

 そんな最中、酒場「笑顔」の店主、K美ちゃんがカウンターに両手を着く。
 自信満々に、いきなり叫んだ。

「エビフライ!」

 そんなに飲みたかったのだろうか。
 発音も「エビフリャーッ!」といった気合いの入り具合だ。
 すぐ隣で見ていたが、叫ぶ必要などまるでなかった。

 ここまで見事な負けっぷりを、俺は今まで見たことがない。
 ただの「エビフライ」が、俺には別の言葉に聞こえたほどだ。

「我が人生に一片の悔い無し!」

 しかしK美ちゃんは頭を抱え、「もー!」などと悶えている。
 何がどう違うのか解らないが、彼女は「違うの! 名古屋の話だったから!」などとわけの解らない言い訳をしていた。

 それでも負けは負けなので、K美ちゃんは潔く、勝利を収めた英雄のように酒を飲み下す。
 負け方といい飲みっぷりといい、実に男らかった。
 試合に負けて勝負に勝つとは、まさにこのことである。

「ご馳走様でした!」

 K美ちゃんは、涙目になっていた。

 いえいえ、こちらこそ、日記のネタをご馳走様でした。

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2008
August 25
「フッ! また今夜も靴が履けないぜ」

 胸を張って、俺はソファにふんぞり返る。

「酔って靴が履けなくなるぐらいの男は、俺ぐれえしか居ないんじゃねえかな。みんな見ろよ。完璧に履けねえ」

 情けなさ絶好調だ。
 だいたい、酔うとなんですぐに靴を脱ぐのか。

「俺ぐらいになると、もちろん履けないのは靴だけじゃないぜ? お見せできないのが残念だけど、他のも色々と履けなくなる」

 お前もう黙れ。

 5週連続で行っているオフ会。
 劇団「りんく」のメンバーたちも、参加者様たちも、楽しい人ばっかりだ。

 いつか異性に言われてみたいセリフは何?
 そんな話題が発展し、ベッタベタな展開は最高に萌えるといった方向に、会話は白熱する。

「やっぱ主人公とヒロインが幼馴染みっていう設定も王道でしょ」
「最高ーッ!」
「家が隣同士で、窓を開けると相手の部屋がすぐそこにあるの!」
「きゃー!」
「で、主人公は双子で、しかも野球部!」
「それは著作権の問題になりそうだからナシ!」

 というわけで俺は参加者様たちと一緒に、即興でベタなラブコメを作ってしまった。



「ユウスケー!」

 あたしは窓を開けると同時に、幼馴染みの名を叫ぶ。
 あたしの部屋の窓と、ユウスケの部屋の窓は向かい合っているから、普段何かと重宝している。

「な、なんだよ! お前かよ!」

 パジャマ姿のユウスケは、いつもと同じような慌て方だ。

「ノックぐらいしろよな!」
「なーに言ってんの」

 あたしはお姉さんぶって、腕を組んで見せた。

「だったら窓に鍵ぐらいかけておきなさいよ」
「だからっていきなり窓開けるか? 普通」

 ユウスケはテレビゲームに夢中だったらしく、落としたコントローラーを持ち直している。

「やられちまったじゃねえか」

 どうやら格闘ゲームらしい。

「だいたい、何の用だよ今日は。こないだの宿題だったら、もうノート返したろ?」
「ちょっと、相談したいことがあってね」

 ユウスケは再びキャラクターを選び、画面には「ラウンド1」と表示される。

「相談?」
「そう。あのさ、あんたのクラスに二階堂君って、いるでしょ?」
「ああ、あの学級委員の?」
「そう。スポーツ万能で成績優秀で、家がお金持ちの、あの二階堂君」
「それがどうした?」
「あたし、二階堂君に、告白されちゃった」

 テレビから、派手な爆発音がした。
 どうやらユウスケは、また敵キャラにノックアウトされてしまったらしい。

「そ、そんなの、なんで俺に言うんだよ」
「ねえ、どうしたらいいと思う?」
「し、知らねえよ」
「ちょっと何? その態度。もうちょっと親身になってくれたっていいでしょ?」
「そんなの、お前の問題だろ? なんで俺がわざわざアドバイスしなきゃいけねーんだよ」
「あっそ。あたしが二階堂君と付き合っても、いいんだ?」
「し、知らねえって言ってんだろ? か、勝手にすりゃいいじゃねえか」
「来週の土曜にね? あたし、二階堂君に返事しなきゃいけないの。彼、『交際してくれるのなら来てほしい』って」
「どこにだよ?」
「ピロティ。ずっと待っててくれるんだってさ。あたし、行っちゃおうかなあ」
「か、勝手にすりゃいいじゃねえかよ」
「ふうん? 止めないんだ?」
「なんで俺が! だいたい土曜は俺、バスケの試合だぜ?」
「あっそ。じゃ、あたし、二階堂君にOKしちゃうんだからね! あんたと違って二階堂君、カッコイイし優しいもん」
「うるせえな! なんでそんな話、俺にするんだよ! お前の好きにしたらいいだろ!?」
「何よ! もう知らない! あんたなんて、大ッ嫌い!」

 ピシャリと窓を閉め、乱暴にカーテンを引く。
 怒っていいのか悲しんでいいのか判らなくて、あたしは握ったカーテンを離すことができなかった。

「あの鈍感、ホント大ッ嫌い」



 最高じゃね?

「最高にベタベタです! めささん!」

 しかも前日あたり、実は二階堂君、主人公に対して宣戦布告をしちゃってんの。
 男前の二階堂君は、実は何気にズルをしない奴でさ。

「あ~。いるいる、そういうキャラ」

 じゃあここで、ちょっぴり男目線ね?



「ったく、ゲームするような気分じゃなくなっちまったぜ」

 俺は電源を落として、ベットに横になる。

「二階堂の奴、マジで告白したのか」
 
 自然と、昨日のことを思い返す。

「ユウスケ君」

 二階堂に呼び出され、俺は屋上に来ていた。

「突然、呼び出してすまない」
「なんだよ、急に」
「ユウスケ君。単刀直入に訊こう。君はユウコさんのことをどう思っているんだい?」
「な! なんだよ、急に!」
「真面目な話なんだ。真剣に答えてくれ」
「あんな奴、ただの腐れ縁だよ! ただの幼馴染みなのに噂されて、いい迷惑だぜ」
「そうか、ならよかった」
「ん? どういうことだ?」
「僕がユウコさんに告白しても、問題ないということだね?」
「はあ!? お前、あんな奴のことが好きだったのか!?」
「ああ、好きだ。僕は彼女に交際を申し込もうと思っている」
「へ? あ、ああ、そう? も、物好きな奴だなあ、お前も」
「もう1度訊く。君は本当に、ユウコさんのことを何とも思っていないんだな?」
「し、しつけえ野郎だな! あんなのただの友達だって言ってんだろ!?」
「そうか。それを聞いて安心したよ」



 で、ついに土曜日になっちゃうわけ。

「ユウコはどうするんです?」

 もちろん、ピロティに行くよ。

「え!? だって、ピロティに行くってことは、二階堂君とOKってことじゃないですか!」

 それが、そうじゃないんだなあ。



「二階堂君」
「やあ、ユウコさん。来てくれると信じていたよ。僕と付き合ってくれるんだね」
「それが、ごめんなさい!」
「え?」
「今日は、二階堂君にお礼を言いに来たんです」
「お礼?」
「あたしなんかを好きになってくれて、本当にありがとうございました!」
「ちょ、待ってくれ、ユウコさん。まさか、他に好きな人でもいるのかい?」
「うん。そうなんだ。ぶっきらぼうで、乱暴者で、デリカシーなんて欠片もないような奴」
「そうか。やっぱり君は、ユウスケ君のことを」
「本当にごめんなさい! あんなどうしようもない奴なんだけど、好きなんです! なんであたし、あんな奴のこと、好きになっちゃったんだろう。今日のことも言ったんだけど、あいつ今日はバスケの試合とかで、あたしを止めるつもりないみたい」
「そうでも、ないみたいだよ?」
「え?」

 二階堂君が指差す先に、あたしは視線を走らせる。
 そこには、ユニフォーム姿の人影が。
 こちらを目指して、走ってきている。

「ユウスケ! なんで!?」



 ちなみにユウスケ君は、バスケの試合に出てたんだけど、ユウコのことが心配でたまらない感じになっててさ。
 試合に全然集中できないんだよ。
 で、ハーフタイムに先輩に怒られるんだ。



「おい、ユウスケ! なんださっきのプレーは!」
「す、すみません、先輩!」
「ったく、どうせ例の件でユウコちゃんのことが心配なんだろう?」
「い、いえ、そんなことないです!」
「バカが。バレバレなんだよ。本当は駆けつけたいんだろうが! 正直に言ってみろ!」
「す、すみません! 後半は試合に集中します!」
「バカヤロウ! そんな半端な選手、うちには要らねえんだよ!」
「本当にすみません! これからは気をつけます!」
「駄目だ。お前みたいな軟弱野郎を、これ以上試合に出すわけにはいかん」
「そ、そんな!」
「罰として、みんなの飲み物を買ってこい!」
「そんな! お願いします! 試合に出させてください!」
「駄目だ駄目だ! いいから早くジュース買ってこい! 学校の、ピロティでな!」
「先輩!」
「早く行ってやれよ」
「すみません! ありがとうございます!」
「おい、ユウスケ!」
「はい!?」
「俺はコーラだ。炭酸が抜けないように、ゆっくり戻って来いよ?」
「はい! 解りました!」



 俺はもう駄目だ。
 楽しくて恥ずかしくて、もう書けん。

 ちなみにオフ会の最中。
 夢中になって喋っている間、友人チーフが驚くぐらい冷たい目で俺を見ていたんだけれど、冷静になりたくなかったので気づかないフリをしていました。

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2008
August 15

 

<まえがき>

 今から始まります物語は、以前書いた「永遠の抱擁が始まる」の番外編に該当します。
 前作を読んでいない方にも意味が通じるよう気をつけはしましたが、以下の作品をご覧になっていただければさらに理解しやすいのではないかと存じます。

 永遠の抱擁が始まる1
http://yumemicyou.blog.shinobi.jp/Entry/17/

 永遠の抱擁が始まる2
http://yumemicyou.blog.shinobi.jp/Entry/18/

 永遠の抱擁が始まる3
http://yumemicyou.blog.shinobi.jp/Entry/19/

 今回登場しますのは「永遠の抱擁が始まる2」の登場人物ですので、2だけをお読みいただくだけでも充分ですし、時間がない方はもちろん、どうぞこのまま読み進めてくださって構いません。
 楽しんでもらえたら嬉しいですよ。

 それでは、死神エリーと教師のその後をお贈りさせていただきます。
 この作品を、ある人に捧げます。


 



<1年振りの嘘だけど>
 

「先生、さようならー!」
「はい、さようなら」

 放課後、いつもの風景。
 僕が小さく手を振ると、生徒も同じく右手を上げる。
 小学生らしい無邪気な笑顔が、僕の隣にいる死神にも向けられた。

「エリー先生も、さようならー!」
「2度言わせるな」

 普段と変わらず、彼女は冷たく冷静な口振りだ。

「私は教師じゃない。先生と呼ぶな」

 エリーと呼び捨てにしろ、ということらしい。

 僕がエリーと手を繋いでから、もうすぐ1年になろうとしている。
 ほんの少しでも手が離れてしまうようなことがあれば、僕の魂は自動的にエリーに食べられてしまうわけだから、周りの人たちからは「大変だね」とか「気が抜けないでしょう」などと心配してもらえる。
 でも、意外なことかも知れないけれど、慣れてしまえば案外苦労することもなくて、自分でも不思議なんだけど、今となってはエリーから解放されたいというストレスがない。

 死神と人間が一緒に生活するだなんて聞いたことがないけれど、エリーと僕は今もこうして手をしっかりとロープで固定し、繋いでいる。

 人からよく聞かれるのが、「着替えるときはどうするの?」
 これはちょっと面倒臭いんだけれども、まず僕とエリーの手を縛っているロープを外すことから始めなきゃならない。
 で、自由になっているほうの腕を袖から抜いて、その手でエリーに触れる。
 そうすれば、今まで繋いでいたほうの手を離すことができるというわけだ。
 これで、もう片方の袖からも腕を抜くことができる。

 実は日常で最も緊張するのが、この着替えだったりする。
 一瞬でもエリーから離れれば僕は死んじゃうからだ。
 死んじゃうってゆうか、魂が消滅してしまう。

 お風呂やおトイレは、最初は緊張した、というか恥ずかしかった。
 普通これらは1人でやるべきことだし、いくら人間じゃないからといって女の子と一緒というのはやはり気分が落ち着かないものだ。

「エリー、頼むからこういったときだけは変身して、別の姿になってよ」
「何故だ」
「だって、恥ずかしいじゃないか!」
「知るか。お前の采配でどうにかしろ」
「そんな無茶な! お願いだから早く姿を変えて! もたもたしてたら、取り返しがつかないことになるぞ!」

 結局、エリーには王様の石像に化けてもらって、事なきを得た。
 お手洗いで用を足すのも一苦労だ。

 でも考えてみたら、エリーのほうが面倒な思いをしているのではないかと、たまに彼女を心配に思うことがある。
 エリーからしてみれば、餓死の道を選び、さらに生態の違う生物と生活しなきゃいけないからだ。
 そんな苦難を、去年のエリーはどうして選択したのだろう。

 いつか、エリーがふと漏らした言葉がある。

「死神は人間の魂ではなく、名前を食すのかも知れないな」

 1年前、僕はエリーに名前をつけた。
 それ以来、エリーは何だかんだと理由をつけて、食事を一切しなくなっている。
 自分の名前を貰えたから、他人の魂、つまり名前を喰う必要がなくなったと彼女は言いたいようだ。

 死神の食事というのがまた便利というか変わっていて、人間の素肌に直に触れ、離すと同時に魂が勝手に摂取される仕組みになっているのだそうだ。
 うっかりエリーに触れてしまった僕はつまり、一生エリーから離れるわけにはいかない。
 ちなみに死神は長生きで、エリーが餓死するよりも、僕がおじいちゃんになって死んじゃうほうが先になりそうだとのこと。
 我ながら奇特な人生が約束されている。

「今の生徒に別れ際、何か渡していたな。何だ?」

 エリーが涼しげな視線を僕に向けた。

「ああ、当直日誌だよ。彼は明日から当直になるんだ」

 なるべくエリーに興味を持たれないように、僕は神経を遣って応えた。
 細かい質問を重ねられると、すぐにボロが出てしまうからだ。

 僕はエリーと出会ってからずっと、相も変わらず嘘をつけないままでいる。
 嘘を言うと、口が勝手に動いて「嘘だけど」と自分から白状してしまうのだ。
 1年前にエリーにかけられた暗示がまだ生きていて、その点だけは本当に困っている。

 あれは先月のことだっただろうか。
 ペットが死んだことである生徒が悲しんでいて、僕が慰めようとした際に、実際にぶちかました言葉がこれだ。

「君の猫ちゃんはね、これからは君の心の中で、ずっとずっと生き続けていくんだよ。嘘だけど」

 一瞬にして何もかもが台無しになった。

 エリーは無神経にも面白がるだけで、嘘を言えるように暗示を解除してくれる気配がない。

 死神の特色というか、特殊能力が「超強力な催眠術を瞬時にかけられる」ことだったりする。
 迷惑なことだ。
 エリーは若い娘の姿に見えるけど、それは暗示によってそう錯覚させられているだけで、実は人間の白骨と同じ姿をしている。
 人とぶつかったりでもしたら魂を喰ってしまうということで、彼女は真っ黒なフード付きのマントで全身を覆ってはいるものの、見た目はお洒落で可愛らしい女の子。
 なんか釈然としない。

 出会い頭、エリーは僕に罰ゲームみたいな暗示をかけた。
 世界一の正直者に勝手にされて、もう1年になるわけだ。
 ちょっとした親切の嘘も言うわけにはいかなくなって、親戚にも怒られたことがある。

「赤ちゃん産まれたんですね。いやあ、元気な赤ちゃんだなあ」
「でしょう? 可愛いでしょ。将来は舞台役者さんになるかなあって思うのよね」
「……」
「なんで黙るの」
「すみません。僕、嘘を言えないんです」

 あれは実に気マズかった。

「先生ー! エリー先生ー! さよーならー!」

 木造校舎の中、さっきとは別の生徒が僕らを追い越し、走り去ってゆく。

「廊下を走るなー! 気をつけて帰るんだぞー!」
「はーい!」
「私は教師じゃない。2度言わせるな」
「はーい!」

 エリーは思いの他、生徒たちに受け入れられている。
 むしろ僕よりエリーのほうが慕われているんじゃないかと、思わず勝手に傷つきそうになるぐらいだ。
 物事をストレートにズバズバと言い切ってしまうエリーのキャラが、どういうわけか子供たちにウケている。

「最近」

 エリーが口を開いた。

「職員室で何を書いている?」
「なんでそんなことを?」
「何やら時間をかけているようなのでな」

 言葉に詰まる。
 抜き打ちテストの作成だと言えば嘘だし、超簡単にバレる。
 すると今度は何の意味があって嘘をついたのかを質問されるに決まっているじゃないか。
 何としてでも隠し通さなきゃ。

 あれは何ヶ月前のことだったか。
 エリーに字が読めないと知ったときは、しめたと思ったものだ。
 エリーは常に僕の隣にいるから、子供たちに口頭で作戦を指示するわけにはいかない。
 どうしたもんかと、実は結構悩んでいたのだ。

「あれね。ちょっとした個人指導だよ」

 エリーの顔をチラ見する。
 僕の口から「嘘だけど」が出なかっただけに、疑われなかったのだろう。
 そうかと無機質に、エリーは言った。

 そもそもエリーの好奇心は偏りが激しい。
 僕にとっては超重大な事柄なのに「私には関係ない」なんて冷めているかと思えば、「数字に隠された人格は、それこそ数字と同じ数、つまり無限に存在している」などと訳の解らないことを延々と喋り続けたりする。
 しかもそれを算数の授業中に始めてしまうのだから、たまらない。
 もうホント困る。

 何をどう考えているのか全然解らない存在、それがエリーだ。
 でも、話が全く合わないかと訊かれれば、これはそうでもない。
 唯一、僕とエリーが共通して好むのが音楽だ。
 エリー曰く、

「文字通り骨身に染みる」

 何ちょっと上手いことを言ってるんだろうか。

 以前はある酒場のピアニストが殺されるといった物騒な事件があって、それは許せないと珍しくエリーが感情的になり、犯人を特定したこともあった。
 元々はバンバン人の魂を食べまくっておきながら、音楽家がいない世界は許せないらしい。
 自分勝手も極めてしまえば芸術になるんだろうか。

「ところで」

 再びエリーが口を開く。

「お前、私に何か隠し事をしていないか?」

 なんて的を得た質問をしてくるのだろうか。
 そりゃ確かに僕はエリーから見て、細々と怪しいことをしていたとは思う。
 でも今回だけは、僕はエリーを騙す必要があるのだ。
 さて、じゃあどう応えよう。
 ちょっぴりピンチだ。

「僕がエリーに隠し事? なんでそう思ったのさ」
「テスト期間でもないのに職員室で書き物をする時間が長すぎる。生徒との会話でもどこか気を張っている印象を受けた。私から何か質問をすれば、お前は普段なら考えられないぐらい大雑把な返答をし、明らかに言葉を選び、当たり障りのないことしか答えない」
「ですよねー」

 探偵か?

 ここで「何でもないよ」と応えれば「嘘だけど」と勝手に口が動く。
 こうなったら、こないだ思いついた作戦を試すしかない。

「はは。何を疑っているんだか。じゃあ、こんなのはどうかな、エリー」

 自然とお腹に力が入り、鼓動が高まる。
 成功するだろうか。

「今から嘘を言うよ、エリー。聞いていてくれ」
「ほう」
「僕はエリーに隠し事をしている。嘘だけど。嘘だけど」
「ふむ」
「これで解っただろう?」
「何がだ」
「思った以上に伝わらなくて残念だ」

 僕がエリーに隠し事をしているって点が嘘なんですよ。
 つまり僕は何も隠していないんですよ。
 って言いたかったんだけど。

 校舎の玄関をくぐる。
 夏の日差しがふと、エリーと初めて逢った日を思い出させた。
 青空には見事な入道雲が浮かんでいて、あの日もこんな晴れ晴れとした天候だった。

 強い日差しの中、僕とエリーは並んで家路につく。

 夏休みに入ると、僕の仕事は極端に減る。
 数日は家でごろごろと過ごしたり、いつもの酒場に音楽を聴きに行ったりする平和な日々。
 そんなある日、珍しく僕は日中からエリーを連れ出した。

「エリー、ちょっと寄りたいところがあるんだ」
「どこだ」
「学校。体育館」

 石造りの街、いつもの風景。
 路上で果物が売られ、たまに馬車が通り過ぎる。
 店舗の壁から吊るされたランプの火は今は消えていて、夜が来るのを待っている。
 設置されているベンチには、商人らしきおじさんが葉巻を吹かし、一服ついていた。

 歩きながら、エリーはまじまじと僕の顔を見つめている。

「お前、何を企んでいる?」
「え!? 何? 企むなんて、そんな」
「お前は先日、嘘を言ったな」
「え、あ、うん? 何のこと?」
「あれは嘘だった」
「と、言うと?」

 するとエリーは、覚えのあるセリフを口にした。

「僕はエリーに隠し事をしている。嘘だけど。嘘だけど」
「ああ、あれね。それが、何よ」
「何故、嘘だけどと2度言った?」
「きゅう」

 何も言い返せない。
 確かに僕はあのとき、失敗をしていた。
 会話を誤魔化すことだけに集中すべきで、僕は嘘を口にすべきじゃなかったんだ。

「最後の『嘘だけど』が、私の暗示による自白なのだな?」

 観念し、僕は頷く。

「1度目の『嘘だけど』はお前が自分の意思で口にしたフェイクだ。『僕はエリーに隠し事をしている。嘘だけど』までがお前の言葉。2回目の『嘘だけど』が自白。つまりそれは、お前が私に隠し事をしていることを証明している」
「はい、すんませんでした」
「何を隠している?」
「ごめんエリー! まだ言えないよ!」
「まだ?」
「もうちょっとだけ待って!」
「いつまでだ」
「体育館に着くまで!」
「すると、どうなるんだ?」

 僕はそれで、何も言わなくなった。
 黙ってエリーの手を引き、校庭を横切る。
 体育館の前に立ち、扉を開けた。

 中は薄暗い。
 窓から漏れるわずかな日光が照らし出すのは、僕のクラスの生徒たちだ。
 全員が揃って、並んでいる。

「エリー先生!」

 学級委員長が大声を出した。
 同時にランプに明かりが灯り、生徒全員が口を揃える。

「お誕生日、おめでとう!」

 さすがのエリーも、何が起きたのか理解できていないようだ。
 一瞬だけ固まった。

「どういうことだ?」

 エリーが小さい顔を僕に向け、視線を鋭くする。

「今日は私の誕生日なのか?」
「そうだよ! さあ、座って!」

 生徒たちの真正面に置かれた2脚の椅子に、僕らはそれぞれ腰を下ろす。

「さん、はい!」

 学級委員長が指揮棒を振った。
 やがて耳に届くのは、我が教え子たちによる大合唱、お誕生日の歌だ。

 餓死や苦労を選んでまで、僕を生かしてくれている死神。
 エリーがその気になれば、僕は呆気なく魂を食べられてしまうだろう。
 いや、むしろエリーからすれば、さっさと僕の魂を食べてしまうことのほうが自然なのだ。
 なのにエリーは着替えるときも離れないようにと、いつもしっかりと僕の体を掴んでいる。

 僕はエリーに何もしてやれないのに。
 なのにエリーは自分の命を犠牲にしてまで、僕との共存を選んでくれた。
 出会ったあの日は、この学校を救ってもくれた。

 感謝しないわけにはいかないじゃないか。

 そうだ。
 エリーに、プレゼントをしよう!
 思いついた瞬間、僕はテストを利用して、生徒たちにサプライズの協力を申し出ていた。

「サービス問題! もうすぐエリーの誕生日です。夏休みのある日なんだけど、協力してくれる生徒に10点!」

 生徒たちは誰1人欠けることなく、全員が丸を書き込んでくれていた。
 テスト用紙をめくっても、めくっても、丸、丸、丸。
 目頭が熱くなったけれど、すぐそばにエリーがいるものだから、我慢するのが大変だった。
 きっと10点あげるなんて書いていなくても、彼らは全員丸を書き込んでいたことだと思う。

 僕は残業のフリをして、サプライズの決行日時やら合唱曲の曲目だとか、練習をこっそりやれる場所など色んな指示を日誌に書いて、当直の生徒に渡していた。

 それで今日。
 子供たちの歌声は、いつかの合唱コンクールのときよりも断然に良くて、大きく響いている。

 エリーに目をやると、彼女はただ黙って座っている。

「どうだい、エリー」

 訊ねると彼女は「素晴らしい」と微動だにせずに言った。

「やはり音楽は人類最大の発明だ」
「そうか、嬉しいか。ふふふ」
「嬉しそうなのはお前だ。やはりお前は群れを成す生物特有の考え方をする」
「何とでも言え」
「どうして今日が私の誕生日だと?」
「覚えてないかい? エリー」
「何をだ」

 僕は照れ臭くて、精一杯大声で歌う生徒たちに視線を戻す。

「今日は、僕とエリーが出会ってから丁度1年目なんだよ。僕がエリーに名前をつけた日が8月15日なんだ。君が『エリー』になってから、1年が経ったんだよ」

 エリーは「なるほど」とつぶやいた。

「お前は私に名前だけでなく、誕生日までくれるのか」
「さすが察しがいいね。そうだよ。生徒たちからのプレゼントが歌。僕からのプレゼントは、誕生日」
「お前は死神から食欲を無くす天才だ」

 これは褒められたのだろうか。
 なんだかよく解らないけど、気分がいいのは確かだ。

 気合い入れて段取り組んで、本当によかった。
 でも、来年はどうしよう。

 生徒たちは全員が声を揃え、嬉しそうに、それでいて一生懸命に唄っている。

 さすがに毎年これをやるのは大変じゃないか?
 同じパターンは2度と使えないわけだし、アイデアを出すのも一苦労なんじゃ?

 エリーは足を組みつつも、つま先を上下させリズムを取り始めている。

 だいたいエリーにだけここまでのお祝いをしておいて、他の人にこれをやらないのは不公平にも思える。
 かと言って全ての知り合いにサプライズパーティを開くわけにもいかないし。

 歌が終わり、僕は右手で、エリーの左手を持ち上げた。
 どうしても拍手が必要なとき、僕はいつもこうしている。
 互いに空いているほうの手を使い、2人で拍手を送るのだ。

「おい、お前たち」

 2人で1つといった風変わりな拍手をしながら、エリーが教え子たちに問う。

「アンコールは頼んでいいのか?」

 いいよー!
 と誰かが言い、学級委員が再び指揮棒を持ち上げる。

 エリーは椅子に掛けながら、足を組み直した。

 どう考えても、毎年こんなお祝いをするのは無理だよなあ。

 やがて、さっきとは違う曲が耳に入ってくる。
 やっぱり元気のいい歌声で、気持ちが篭っているように感じられた。
 お祝いする側である子供たちは明らかに、祝うことを楽しんでいる。

 でもなあ、毎年やるとなるとなあ、と僕は思う。

 誰もが喜んでくれているみたいで悪いんだけど、エリーの誕生日会は今年限りにしておこう。
 僕は、そう固く心に誓った。
 嘘だけど。

 


<あとがき>

 きっかけは、ある読者様からのメールでした。

「私には、めささんのファンである姉がいます」

 続けて、そのお姉様が最近色々なことに大変苦労されていること。
 あまり元気がなく、持ち直しても、また新たな災厄に見舞われてしまったこと。
 次にやってくる災難にびくびくするようになってしまったこと。
 そんなお姉様の誕生日が近いというようなことなどが綴られていました。

「姉の誕生日プレゼントを制作してもらえませんでしょうか」

 どうやらこれは、そういったお願いのメールのようです。
 もちろんタダとは言いません、とも書いてありました。

「ただでさえめささんは、多くの方の誕生日をブログでお祝いしている方です。それはとても大変で、とても素敵なことだと、見ていていつも思います。なのでこうした依頼は、他の多くの方々や、何よりもめささんに良い心証を与えないのではないかと悩みました。けれど、間違いなく姉の喜ぶ顔が浮かびますし、お仕事としてならば(めささんの作品を、私が買ったということになるので)成立するのでは、と思っての相談です」

 姉妹愛も、俺への思いやりも、他の読者様への配慮なども感じられました。
 この時点で、俺は無料で引き受けることを決めていました。
 お金を貰ってしまったら、俺からの祝いたいという気持ちが嘘になってしまうような気がしたのです。

 電話番号も記載されていたので、俺は早速電話をかけました。

「お姉さんの誕生日当日に、何か書いてアップするというのはいかがでしょう?」

 妹さんは、とても喜んでくれました。

「本当ですか! ありがとうございます! 姉も大喜びすると思います! じゃあ、報酬なんですけど、いくらぐらい振り込んだらいいですかね?」
「いや、それは結構ですよ。俺も個人的に、お姉さんをお祝いしたいと思っちゃったんで」
「え、でも、無料で書いちゃったら、めささんの読者さんが『ズルい!』とか『私も祝って!』とかってなっちゃいません?」
「大丈夫。みんなきっと解ってくれますよ。心の狭い読者様がいないのが、うちの特徴なんです。俺、恵まれてるでしょ?」
「でも、だからってタダというのは…」
「そうですよね。タダだと、あなたの顔が立たないですもんね」
「はい」
「じゃあ、こうしましょう。いつか会うことがあったら、1杯奢ってください」

 これが、今作を考え、綴った理由です。

 三流栞さん、ご覧になっておりますでしょうか?

 作中にもあった今日、8月15日は、あなたの誕生日です。
 何かと大変なことが立て続けに起きているようですが、最高の未来がまだ先にあります。
 どっかで厄払いでもして、新しい1年を楽しんでお過ごしいただければ、これに勝る喜びはありません。
 妹様ともども、心よりお誕生日の祝福を申し上げます。

 三流栞さん、お誕生日、本当におめでとうございます!

 この作品が、俺からのプレゼントです。
 気に入ってもらえたら嬉しいですよ。

 この作品を、三流栞さんに捧げます。
 ハッピーバースデイ。

拍手[26回]

2008
August 10
 今まで色んな言いがかりをつけられてきたけれど、今回のものが最も酷い。

「めさ君、めちゃめちゃDVなんだって?」

 DVとは、いわゆるドメスティックバイオレンス。
 つまり女性をグーでぶっちゃうとか、そういう反則技を使いこなす奴のことである。

 自慢じゃないが、俺は女の人に勝てないぞ。

 そりゃ子供の頃は兄弟喧嘩で妹と殴りあったりもした。
 でもそんなの、中学に上がる頃には自然になくなった。
 当たり前だけどそれ以降、女の人をぶったことなんてない。
 逆に俺が女子からボコボコにされる始末だ。

 そんな俺が、なんでDV?

 言いがかりをつけてきたのはHさん。
 彼は俺の職場、スナック「スマイル」の常連客だ。

「めさ君は、こう見えて本当に酷い男だよ」

 え、なんで?

「めちゃめちゃDVだからね」

 なにDVって。
 毒々しいヴォーカル?

「またまたそんな、しらばっくれちゃって。めさ君、女の子とか相当殴ってるんだって?」

 なんじゃそりゃ!?
 マジ知らないっすよ!

「めさ君、ここは素直に認めたほうが男らしいって」

 なんでやってもいないことを認めなきゃいけないの!

「あ~、見苦しくあがいちゃって、みっともないなあ」

 そういうこと言う!?

 誤解を解くことが難しそうでもあったので、俺は開き直ることにした。

「だったら言ってやるよ! 俺ァDVだよ! 泣かせた女の数!? 100から先は覚えてねえよ!」

 Hさんは本当に楽しそうに、ゲラゲラと笑い転げている。

「確かに俺ァ、強え奴には弱えよ! でもな! 俺ァ弱え奴には強えンだよ!」

 Hさんは腹をかかえつつも、「めさ君、右手で殴るの? 左手で殴るの?」などと訊いてくる。

「そんなのワンツーだよ! 連続攻撃だよ! 必殺だよ!」

 ここまで来ると、俺まで楽しくなってくるから不思議だ。

 夜も更け、Hさんが帰宅のために立ち上がる。
 俺は会計を受け取り、おつりを渡す。
 Hさんが顔を近づけ、小声で言ってきた。

「めさ君、さっきは面白おかしく言ってたけど、女の人は殴っちゃ駄目だぞ」

 だからホントはそんなことしてないんだってば!
 だいたい、誰が俺をDVだなんて言ったんですか!

「めさ君の妹」

 あの阿呆か!

 妹よ。
 俺が何をした。

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プロフィール
HN:
めさ
年齢:
49
性別:
男性
誕生日:
1976/01/11
職業:
悪魔
趣味:
アウトドア、料理、格闘技、文章作成、旅行。
自己紹介:
 画像は、自室の天井に設置されたコタツだ。
 友人よ。
 なんで人の留守中に忍び込んで、コタツの熱くなる部分だけを天井に設置して帰るの?

 俺様は悪魔だ。
 ニコニコ動画などに色んな動画を上げてるぜ。

 基本的に、日記のコメントやメールのお返事はできぬ。
 ざまを見よ!
 本当にごめんなさい。
 それでもいいのならコチラをクリックするとメールが送れるぜい。

 当ブログはリンクフリーだ。
 必要なものがあったら遠慮なく気軽に、どこにでも貼ってやって人類を堕落させるといい。
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