忍者ブログ

夢見町の史

Let’s どんまい!

  • « 2025.01.
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • »
2025
January 23
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2008
May 30
 優しそうな眼差しで、あなたはそっと手を伸ばし、あたしの体に触れたわ。
 そのまま大胆に、あなたはあたしの体からコンセントを抜いたの。

 めさ?
 あなたは電化製品のことを、何だと思っているのかしら?

 以前、パソコンが壊れたときも、あなたは「完璧に直る裏技だ」なんて訳の解らないことを言いながら、パソコン本体を水洗いし出したわよね。
 完全なるトドメじゃないのよ。
 真面目に訊きたいんだけど、あれは一体何がしたかったの?
 あなた、「俺のパソコンがーッ!」なんて、いい歳こいて絶叫していたけれど、まさか本気で直るなんて思ったわけじゃないわよね?
 若干涙目だったけど、まさかね。

 少なくとも、あたしはあの「パソコン無駄に水洗い事件」で懲りてくれたと思っていたわ。
 それなのに、あなたって人は。

 そりゃあ、あたしは少し、蓋の裏側に汚れが付いていたわよ。
 拭いただけじゃ取れなさそうだとも思った。
 だからって、なんであなたは、あたしのことまで水で洗ったの?
 史上最高の馬鹿?

 ご機嫌で鼻歌唄いながら、あなたはそっと、あたしを流し台まで運んだわ。
 あなたは自力で靴が履けないぐらい不器用なクセに、あたしの蓋だけを洗おうと無理して、2秒で失敗してくれたわよね。

 入ってんのよ、水が。
 体の隅々まで潤ってしまったわ。
 内蔵された電池がショートして、デジタル時計が表示されなくなっちゃったじゃないのよ。
 ご臨終もいいところだわ。

「あーッ! 炊飯器がーッ!」

 散々気が済むまで洗ってから叫ぶセリフじゃないわよね?

 あなたは目に涙を溜めて、あたしをよく振って、水を切っていたわ。

 あれから2週間ぐらいかしら?

「友達が俺に、新しい炊飯器を譲ってくれる~。るりるりら~」

 やっとウザい持ち主から開放される日がやってきたってことね。

 あたしは、あなたが新しい炊飯器と一緒に帰ってくるのを、ずっと待っていたわ。
 さっさと差し替えてちょうだい。

「た、ただいま」

 やっと新しい炊飯器を持ち帰ってきたのね?
 でも、1つ疑問があるわ。
 どうしてあなた、びしょ濡れなのよ。

「チャリで帰ってる途中、雨に降られたの」

 で?

「大丈夫。炊飯器は、バッチリ濡れちゃったさ」

 なんで誇らしげ?

「炊飯器は、すぐ濡れる」

 格言みたいに言わないで。
 自動的に水没するみたいな空気を出そうと必死だけど、全面的にあなたが悪いんじゃないのよ。

「お米が炊けない」

 靴が履けない。
 蛇口が回せない。
 割り箸が割れない。
 お米が炊けない。
 いよいよ駄目人間じゃない。

「世知辛い世の中だ」

 世間の冷たい風とは関係ないから。
 むしろ、あたしの視線のほうがよっぽど冷たいから。

「全く、これから一体、どうしたらいいんだ?」

 パンを喰え。

 炊飯器界に激震が走った夜だったわ。

拍手[5回]

PR
2008
May 21
 久々に行きつけのアメリカンバーに顔を出す。
 イージーバレルのいつものカウンター席に腰を下ろして、談笑に興じた。

「あの」

 別席で飲んでいたうら若き乙女が、マスターに声をかける。

「マスター、あの、キスって…」
「何ッ!?」
「キスぅ!?」

 マスターも俺も、「キス」という唐突な単語に驚愕の色が隠せない。

 女の子がいきなり接吻についての質問を始めようとするだなんて。
 なんて大人な世界なのだ、ここは。
 まるでバーみたいじゃないか。

 マスターは不自然に壁に寄りかかり、カッコつけて「キスの何が知りたいんだい?」などと上ずった声で対応している。
 俺は俺で彼女をガン見し、グラスを両手で抱えるように持ち、生唾を飲み込むといった芸のないリアクションだ。

「ち、違うんです!」

 女性客はぶんぶんと体ごと左右にジタバタさせ、否定を始める。

「そっちのキスじゃなくて、バンドのkissのことです!」

 どうやらアメリカには「kiss」というおセクシーな名前のバンドチームが活動しているらしい。

「マスターが、そのキスを知ってるのかなーって思ったんです!」

 な、なんだ。
 そっちのアレか。
 しし、知ってました。

 マスターも俺も安堵したかのように、肩の力を抜いた。

 それにしても、実に紛らわしい。
 本来は「キッス」と発音するバンド名なのに、どうしてわざわざアルファベットのAみたいに言うのか。
 前触れなくキスとか言うな。
 ホント紛らわしい。

 そして、どうせ紛らわしいのだから、その紛らわしさをもっと利用して、男どもを無駄にどきどきさせるべきではないだろうか。
 例えば、こんな感じで独り言をつぶやくとか。

「あたし、朝から晩まで、キスのことばっかり考えてる」

 言い終わったあとに軽く吐息を吐くことを忘れてはならない。
 くはぁ、って。

 一緒にいらしたお友達に協力してもらってもいいかも知れない。
 ライブを見た翌日とかに。

「ねえ、昨日のキス、どうだった?」
「すっごい激しかった!」

 女同士で何言ってんだ。

 でも、どうせバンド名と接吻を勘違いされるのだから、是非そっちの方向で極めていただきたい。
 というわけで、彼女に1つ提案を試みた。

「ねえねえ、君、あのね? どうせだから、もっと勘違いされるような言い方してよ。こんな風に。…あたし、朝から晩まで、キスのことばっかり考えてる」
「きゃー! 急に何言ってんですかー!」
「バンドの話だよ」

 なんで通じなかったのでしょうか。

拍手[1回]

2008
May 20
「俺、記憶術がめっちゃ得意なんだ」
「お前その話は3回目だぞ」

 皆さん、おはようございます。
 今回は、聞きたくもないであろう俺の自慢話を無理矢理お届けするの巻きです。

 ブログやらミクシィ日記やらを書き続けて、もう何年になりますでしょうか。
 長い間ですから、ありがたいことに、ファンメールのようなお便りを頂戴することがあるんですよ。

「めささん、初めまして。いつも拝見しています。面白いです!」

 そんなこと言われたら嬉しすぎて、移動の全てをスキップでこなしかねません。
 鼻歌だけで人様の鼓膜を破ってしう勢いです。

 感謝。

 1人1人に返信できなきことが心苦しいところなのですが、姿勢を正して全てに目を通させていただいています。
 本当に続けていてよかった。

 特に心に響くのが、病室からのメッセージ。

「退屈な入院生活の糧になっています」

 お役に立てているという実感があって、涙が出そうになります。

 以前は、こんなお便りもありました。

「めささんの日記は、主治医の先生にも勧めました。いつも先生と一緒に『めささんの昨日の日記、面白かったね』なんて話題で盛り上がっているんですよ」

 自分で自分を表彰したいぐらいに誇らしい気持ちになれて、さらに気力が漲ります。
 本当にありがたいことです。

 さらに、こんなに嬉しいメールも数件。

「私は心の病気なのですが、めささんの日記を読むようになって、症状が軽くなりつつあるんです」

 笑止!

「泣かせるな」と言いたいところを感極まって、間違った言葉をチョイスする始末。
 自己満足のために書き続けている記事が、そんなことになっているだなんて。
 誰かが救われてくれているだなんて。

 いかん。
 今これを書いていたら当時の感激を思い出し、再び目が潤んでしまいました。
 笑止だ自分。

 さて。
 なるべく笑える文章を心がけているおかげか、たまにこういったメールを頂いているのですが、もちろん例外もあるわけで。

 実は俺、病人を殺してしまいそうになったことがあるようなのです。
 そのメールも、ある病院の一室から送信されたものでした。

「初めまして。突然ですが、めささん! あなたは私を殺す気ですか!」

 え?
 え?
 一体何事?

「実は私、肺を患っているのですが」

 ほうほう、肺を。
 それはご苦労なさってますね。
 それでそれで?

「めささんの日記で笑ってしまい、かれこれ3回ナースコールのお世話になりました」

 生まれて初めてですよ。
 読者様への返信で「しばらく何も読むなーッ!」って打ったのは。

 そりゃ俺は、たまにスランプに陥ったりもします。
 余裕がない時期に無理をして更新することも少なくないから、安定した笑いを提供できないことも多々あることでしょう。
 それでも書き続けたいと、メールが届く度に思うんです。

 お前らの肺に、これ以上ない負担をかけてやるぜ!
 間違えた。

 昨日の俺より面白いものを書き続けていくぞ!
 意気込みだけだけど。

 というわけで、俺は6月いっぱいで今の会社を辞めることにしました。
 夏からはバイトでもしながら、自分の時間を作って、執筆や舞台公演のために費やします。

 しばらくは今以上に貧乏になってしまうけど、応援メールが届くと最高に嬉しいから、頑張るぞ!

 というわけで、お知らせを兼ねた自慢話。
 お粗末様でした。

 メールの返信、滅多にできなくって、本当にすみません!

 めさでした。

 皆さんに読んでもらえることが、真の俺の自慢です。

拍手[2回]

2008
May 17
 とあるバラエティクイズ番組で、おばかさんが売りの回答者から、珍回答が連発されまくる。
 これらを見て笑い死にそうになっているところ、俺はふと、あの女友達のことを思い出した。

 彼女の名は、ラサ。
 化石と土器の区別さえつかない猛者である。
 おまけに21年間ずっと、月と太陽を同じ星だと思い続けてきた。

 過去、数回に渡って日記に書いたことがある内容ではあるけれど、今回はラサ嬢の総集編をお届けしようと思う。

 出題は電話によって行われた。

 もしもし?
 なあ、ラサ。
 突然ですが問題です。
 世界五大大陸を全て言ってみてくれない?

「大陸? あー、ドロンズ!」

 ドロンズは大陸じゃない。
 大陸を横断した芸人だ。

「じゃあうんと、地中海!」

 地面すら無い。

「ってゆうか、大陸渡って来なかったっけ?」

 何がだ。

「恐竜」

 いつの話だ。

「ってゆうかさ、そんなの解るわけないじゃないですか。あたしにそういうことを求めないでください」

 なんで怒ると敬語?

 じゃあ、次の問題ね。
 人類初の宇宙飛行士が、宇宙で初めて地球を目撃しました。
 そのときに発せられた言葉は名言として残っています。
 さて、彼は何と言ったでしょうか?

※答え・「地球は青かった」

 それではラサさん、回答をお願いします。

「うんとね、地球を見たときでしょ?『鳥になりたい』」

 宇宙まで来ておいて、それ以上どこまで飛び上がりたいのだ。

「地球は丸かった?」

 そんな基礎知識もなしに宇宙飛行士になった奴がいたの!? 

「ってゆうかさあ、めさちゃん。朝日と太陽と夕日って、同じ星?」

 お前の星がどこだ。

 もういい。
 次ね。
 イエス・キリストと聖徳太子の共通点は、何でしょうか?

※答え・「馬小屋で産まれた」

 さあ、ラサさん、どうぞ。

「キリストと聖徳太子の共通点~? 天下を取った?」

 偉人のキャラを勝手に変えるな。

「え~? じゃあ、2人とも、裸」

 脱がすな。
 何かしら普段着てる。
 ヒントは、産まれたときの状況がね、2人とも一緒なんだよ。

「解った! 産まれたとき、裸!」

 そんなの一般人だって裸だ。

「2人とも、想像妊娠で産まれた!」

 想像妊娠の時点で産まれない。
 そういうんじゃなくって、産まれたときの場所が一緒なの!

「橋の下?」

 捨てられてどうする。

 もういいや。
 次にいこう。
 問題。
 聖徳太子の特技は、何でしょうか?

※答え・10人の話を同時に聞き取る。

 真面目に考えるんですよ。
 さあ、どうぞ。

「手がいっぱいある?」

 それは千手観音だ。

「だって似てない?」

 気持ちは解る。
 けど、それってもし当たってたとしても、「手がいっぱいある」は特技じゃなくて、特徴じゃないか?

「じゃあ、モノマネ」

 聖徳太子の特技が?
 彼が一体、誰のマネを?

「鳥」

 お前は本当に鳥が大好きなんだな。
 でも、そんな偉人、俺は嫌だ。
 仕方ない。
 ヒントを出すよ。
 聖徳太子は、大勢の人から相談をめっちゃ受ける人なのよ。
 そんな状況で役立つスキルですよ。

「自分のそっくりさんがたくさんいる?」

 モノマネから離れるんだラサ。

「解った! 兄弟がいっぱいいるんだ!」

 子作りだったらそれはご両親の特技だろ。

「知らないもん! もう、あたしが問題出す!」

 復讐か。
 ようし、受けて立ってやろうじゃないか。
 さあ、来い!

「うんとね、ADDとは何でしょうか? もしくはADHD」

 もしくはって何だ。
 なんで2つも言うのだ。
 ADDと、あと何だって?

「ADDとね、ADHD」

 世界初のカメラ付きケータイ?

「ぶー! 違います。ちなみに、ADDより、ADHDのほうが強いっていうか、意味が濃いっていうか…」

 ふうん。
 じゃあアレだ。
 ADDがアジアで流行った伝染病。
 ADHDが、もっと流行った伝染病。

「違います」

 じゃあ、マンションの間取り?

「間取り!? じゃあAって何の略?」

 ある程度広い。

「ならDDは? …あ! どこでもドア!」

 む…!
 確かにDDだ!
 お前ホントは頭いいな!
 続けると、「ある程度広いどこでもドア」か。
 便利そうだけど、あまり間取りっぽくないな。
 ちなみにADHDっていうのは?

「ある程度広い、どこでもハッキングドア」

 部屋から出なくても良さそうな感じだな。
 パソコン周辺機器、何もかも揃ってそう。
 その部屋の住人、少しも日焼けしてなさそう。
 で、実際の答えは?

「うん…。えっと…、脳の障害の、一種っていうか…」

 今なんで明らかにテンション下がった?
 実はお前がよく解ってないだろ。

「解るもん! えっと、前頭葉が発達し過ぎて、日常生活での集中力が落ち? 1つのことに集中しにくく…」

 何を読んでいる。

「もういいや。次は、ことわざの問題です」

 ああそうですか。

「これから言う、ことわざの意味を答えてください」

 よかろう。
 どんと来るが良い。

「でもね? あたし、そのことわざを知らないのね? だから言えないの」

 何!?
 じゃあ、どうすれば…?

「わかんない!」

 堂々と返されたか俺。
 いやしかし、お前がどんな問題を出すのかを当てるっていう斬新な問題が発生するとはな。
 ちなみに、どう出題するつもりだったんだ?

「あのね? 壁、床、天井、防犯装置」

 壁に耳あり障子に目あり。

「凄いね、めさちゃん! 正解!」

 元はそういう問題じゃなかったのに。

「じゃあ次ね」

 そうですか。

「新撰組の隊服は、何色でしょうか?」

 黒じゃなかったっけ?

「あ、それもあるかも知れないけど、もう1つあるの」

 そうなんだ?
 じゃあ、紺色。

「ぶー」

 藍色?

「ぶー」

 違うんだ?
 でもさ、黒に近い青なんじゃないの?

「そうだよ?」

 なら紺色とか藍色で当ってるじゃないか。

「違います」

 どういうことだ。
 黒っぽい青なんでしょ?

「そう」

 じゃあミッドナイトブルー。

「違います」

 なら、コバルトブルー!

「ぶー」

 マリッジブルー!

「ぶー!」

 突っ込めよ!
 もう紫!

「ぶぶー!」

 人の話は否定から入っちゃいけませんって、いつも言ってるでしょ!
 じゃあ答えは何!

「えっとね、浅葱色(あさぎいろ)」

 浅葱色って、どんな色だ?
 聞いたことない。
 何故か偶然、手元に広辞苑があるから調べてみる。
 あった。
 なあラサ?
 浅黄色って、青と緑の中間みたいな色じゃないか。

「そうだよ?」

 お前…!
 俺がさっき「黒に近い青じゃないの?」って聞いた際、「そうだ」って言ったじゃないか!
 なんでそんな適当なこと言うの!

「わかんない!」

 怖い子…。

 そんなラサも今は一児の母。
 さぞかし笑いの絶えない平和な家庭を築いているに違いない。
 知識はなくとも、人を笑わせられるお前はやっぱり天才だぜ。

拍手[3回]

2008
May 10

 舞台役者、土方威風氏はこう語る。

「めささん、俺な? 今度、京都に帰ろうと思ってん」

 お前の実家は大阪である。

 そう突っ込みたいところだがしかし、俺の中に強烈な羨ましさが湧き上がってしまい、言葉にならない。

 俺も京都が大好きなのだ。
 いつかチーム「りんく」の皆で旅行に行こうと計画まで立てた、約束の地。
 そんな京都に、いふぅ君はどうして1人で行っちゃうのか。
 なんかズルい。

 俺は声を荒げた。

「だったら俺も京都に帰る!」

 横浜出身の人間からも故郷にされて、京都もさぞかしいい迷惑であろう。

「だいたい、なんで急に帰るなんて?」

 問うと、彼は「携帯電話を買い換えたい」などと、どこでも出来そうなことを言う。
 意味がよく解らなかったので追求はしなかった。

「ってゆうかもう、信じられない!」

 改めて彼に詰め寄る。

「みんなで行こうって言ってたのに、なんで1人で行っちゃうの? 俺も行きたい! いふぅ君が電車賃を出してください」
「嫌や」

 即答される。
 この青年に人の心はあるのだろうか。
 取り合えず、せっかく考えた風変わりなカツアゲはどうやら失敗に終わったらしい。

「俺、自分のバス代でイッパイイッパイやから無理やって」

 なんでそんな現実的なことを言うの?
 不思議でならない。
 でもまあ、俺もお金ないしね。
 じゃあ、分かったよ。
 2人仲良く自転車で行こう?
 それなら足代タダだし、一緒に行ってあげてもいいぜ?

「チャリ!? 関東から京都まで人力!? しかもなんで恩着せがましいの!」

 だって、1人でチャリは道のり長いから、寂しいよ?
 だから、一緒に行ってあげるってば。

「めささん1人で行きなって! 俺は自分の交通費ぐらいはあるからバスで行くけど」

 信じられない。
 俺はただ黙って、いふぅ君の顔を驚愕の表情で凝視した。

 いや、ちょ、いふぅ君?
 おま、え?
 マジで?

「こっちが訊きたいですよ! マジでチャリで行く気だったん!? そんなん1人で行ったらええやん!」

 うわ、マジでチャリだったら嫌なんだ!?
 うわあ…。
 いや、ああ、そう~。
 いやね?
 俺、ポーズで嫌がってるんだと思ってたんだけど、うわあ、あ、そう~?
 ホントに君、1人でバスで行く気だったんだ~?
 あの、なんていうかね?
 いふぅ君は、これからも全てから逃げ出しながら生きていくんだね…。

「ちょ、めささん!? なんでそんなに嫌な言い方するの!」

 だ、大丈夫だよ。
 俺ももう大人だし、いふぅ君の残念な人格は、みんなには黙っておいてあげるから。
 いやしかし、マジでチャリだと行きたくないだなんて…。
 駄目だ。
 上を向いてないと、涙がこぼれちゃう。

「知らんて! めささんこそ、なんで1人で行こうとしないの!?」

 だって、途中に山とかあんだぜ?
 1人だと寂しくて死んじゃう。

「他のメンバー誘えよ! ってゆうか、めささん? あなた俺に迷惑かけたいだけでしょ?」

 正直、返事はできなかった。

「じゃあさ、俺とめささんの他に、あと2人! あと2人がチャリで行くってなったら俺も一緒に行くよ! もー!」

 マジで!?
 やった!
 つまり、いふぅ君と俺を含めて、4人集まればチャリなわけね!?
 ひゃっほーう!
 チャリで京都~♪
 るりるりら~♪

「そんなに舞い上がってるけど、もう2人はどうすんの?」

 ふはは。
 お前は本当にばかだから、あの2人のことを忘れておいでです。

「え? 誰?」

 我がチーム「りんく」の歌姫、空。
 そして、その彼氏、ロリ君のことだ。

「え? あの2人? 来るって言うかなあ?」

 言うさ。
 あのカオスカップル、「コンビニの商品を全種類食い尽くす」とか「都会でマジの無人島ごっこ」とか「100人でやる超鬼ごっこ」とか、俺からしてもちょっとアレな企画を平気で立てる2人だぜ?
 チャリで京都まで行くなんて、朝飯前であろうことよ。

「ああ! 言われてみれば、そんな気がするー!」

 ふふん、もう遅いー!
 あと2人参加させればチャリで行くって、君もう言ったもんねー!
 いやっほーう!
 へいへーい!

「でもさ? 名古屋から京都って、近くない?」

 あ。

 俺は大事なことを忘れていた。
 空とロリ君は、基本的に名古屋で暮らしているのである。
 東京にも空のマンションがあるにはあるが、そこには間違いなくチャリがない。
 名古屋からチャリに乗られたら、関東から出発する俺は、結局しばらく寂しいではないか。
 どうしよう。

「よかったー! 俺、ホントは普通にバスで行きたいもん! ホンマよかったー」

 なんて嬉しそうな顔をするのだろう。
 ますますバスを使わせたくない感じである。

 そこで、一計を案じてみた。
 これ以降を読んだら、いふぅ君はさぞかし青ざめるであろう。

 今ここをご覧になっている、脚力に自信がある皆様。
 横浜から京都まで、一緒にサイクリングしませんか?
 参加資格は健康であることだけ!
 一緒にいい汗かいて、京都で美味いものでも食べましょう。
 定員数は、特にありません。
 いふぅ君が断るに断れないぐらい大勢で、賑やかに!
 みんなで夜の山道から恐怖を取り除きましょう!
 皆様からのご応募、お待ちしています!
 大丈夫です!

 ふう。
 これで良し、と。



※募集は冗談です。
 でもいつか、そんなオフ会ツアーもやりましょうね。

拍手[2回]

[48] [49] [50] [51] [52] [53] [54] [55] [56] [57] [58]
プロフィール
HN:
めさ
年齢:
49
性別:
男性
誕生日:
1976/01/11
職業:
悪魔
趣味:
アウトドア、料理、格闘技、文章作成、旅行。
自己紹介:
 画像は、自室の天井に設置されたコタツだ。
 友人よ。
 なんで人の留守中に忍び込んで、コタツの熱くなる部分だけを天井に設置して帰るの?

 俺様は悪魔だ。
 ニコニコ動画などに色んな動画を上げてるぜ。

 基本的に、日記のコメントやメールのお返事はできぬ。
 ざまを見よ!
 本当にごめんなさい。
 それでもいいのならコチラをクリックするとメールが送れるぜい。

 当ブログはリンクフリーだ。
 必要なものがあったら遠慮なく気軽に、どこにでも貼ってやって人類を堕落させるといい。
リンク1

Powered by Ninja.blog * TemplateDesign by TMP


Hit

Yicha.jp急上昇キーワード[?]

忍者ブログ[PR]