夢見町の史
Let’s どんまい!
August 05
「俺クラスになると、もう何でも作り出せる。こうなったら法律でも作るか」
総理大臣びっくりの、おこがましい独り言が自然に出た。
無意識なんだから、これは仕方ないよ。
と、自分に言い聞かせ、今回は俺的な法律を作ってしまうことにする。
俺が住みやすい町にしたいんです!
わがままな自分、大好き。
というわけで、勝手にゴーだ。
1・みんな俺を好きにならなかったら、つねる。
俺は握力でも鍛えたいのだろうか。
刑罰がつねるだけで済むあたり、なんかリアルに考案したっぽい掟だ。
2・雨が降ったら、必ず俺をしゃしゃしゃ~って送ってあげなくてはならない。
どう送ろうが関係なかろう。
なんで「しゃしゃしゃ~」にこだわっているのか。
3・俺にテキーラを一気飲みさせたら、給料をたくさん上げなくてはならない。
社長、見てますか。
いやマジで。
4・女子は全員、俺のことを思い浮かべ、「あーあ~。なんであたし、あんな奴のこと、好きになっちゃったんだろ…」って1日に1回はつぶやかなくてはならない。
違反者をどう取り締まるつもりなのだろうか。
5・幽霊の人は、怖いから出ないこと。
とても大人が考えた法案とは思えない。
6・酔ってても履ける靴、脱げるシャツ開発してください。
ついでに、しゅわしゅわしないビールもお願いいたします。
法律のクセになんか低姿勢だなオイ。
7・酒は、飲む前に、飲まれろ。
それで誰が得をするのか。
8・誰か背中かいて。
自分でかけ。
9・ここまで読んだら、なかなか真面目に考えてあると思え。
無理だ。
10・続きは明日メールする。
ネタ切れじゃねえか。
俺の、俺による、俺のための法律。
大失敗。
めさでした。
みんな俺のいいところを10個言わなければならない。
って書くの忘れてたけど、追記はしないでおこう。
なんか冷静になってみると、全てがとても恥ずかしい。
August 05
「あの人は、なんか緑って感じがした。お前は紫、かなあ」
同僚は人を色で喩える。
その人の何を見て何色とするのかは、不明だ。
基準は彼にしか解らないことで、ただただ「なんとなく」なのだという。
「俺は俺は?」
「うーん。水色だなあ」
「じゃあ俺は何色?」
「赤」
何色だからどうだということはないのだろうけども、こういった話題は占いを彷彿させるのだろう。
なかなかに盛り上がっている。
自分が何色だと判断されるのか、ちょっぴり興味深い。
というわけで俺も皆と一緒になり、喰らいつく。
「ねえねえ、俺は何色?」
「めささんは、初めて見た時ねえ、グレーだと思ったよ」
「グレイ!?」
なんで俺だけ宇宙人なのだろうか。
子供ぐらいの身長で巨大な頭部。
すぐに牛を連れ去る。
人の記憶を勝手に消す。
1人の時でも「ワレワレハ…」と必ず複数形を使う。
裏で大国と取引をし、よく解らない乗り物で空を飛ぶ。
それがグレイだ。
所属しているサークルが、ミステリーサークル。
「俺のどこがグレイよ!?」
「どこがグレーかって訊かれても困るけど、ホントなんとなく」
俺、そんなに頭でっかち?
俺の身長、そんなもんか?
「俺以外にグレイな人って、他にもいたわけ?」
「いたよ?」
思いの他、地球は侵略されているらしい。
「そいつって、どんな奴だった?」
「そのグレーだった人とは俺、4年半つき合ったよ」
愛は大気圏すら越えていた。
「お前、スゲー人だったんですね」
「そう? ただのイメージなんだけど」
確かにイメージなのだろう。
俺もさっきから、CGみたいな画しか浮かんでこない。
そんなことより、俺は一体何色なのだ。
July 29
真面目にそう思った。
夕方から降り始めた雨が、俺を会社に留まらせている。
休憩室でだらだらしつつも、真剣に悩む。
濡れることを覚悟してチャリで帰るか、どうしようか。
「あれ? めささん、まだ帰ってなかったの?」
若き同僚から声をかけられた。
なんと素晴らしいタイミングだろう。
彼は確か最近、車を購入したはずだ。
19歳の男子に対し、俺は甘えた声を出す。
丁度いいとこに来たじゃん。
俺を車でしゃしゃしゃ~って送ってってよう。
「やだよ!」
力強い拒否、早かったね。
うちはね?
R町の3丁目。
よろしく頼むう。
「頼まれないってば! 俺の家と逆方向じゃん」
そう面倒臭がるなよう。
雨の中、傘差して帰るほうが面倒臭いだろ?
俺が。
「オメーがかよ!? なんでめささん、そんなに自分に甘いわけ!?」
その代わり、他人には厳しいさ。
「めちゃめちゃ駄目な大人じゃん! 歳いくつだよ!?」
…ンじゅう、1歳。
「31歳ー!?」
知ってるクセに!
なんでお前、わざわざそこで大声出すんですか!?
「干支、俺と同じじゃん! めささん何年!?」
どうでもいいでしょ!?
だいたい、人に干支を尋ねる時は、まず自分から干支を言えよ!
お前は何年ですか!?
「俺、辰年。めささんは?」
…辰年…。
「12歳も年上なのに、なんで頼ってくるんだよ!? 電車で帰ったらいいじゃん!」
無理。
疲れて立てない。
「なに力尽きてんだっつーの! どうにか電車に乗れよ!」
じゃあ、お金ちょうだい。
それが嫌なら、車でしゃしゃしゃ~って送っていただこうか。
「どんだけわがままなんだよ!? めささん、なんでそんなにお金ないの?」
さっきタバコ買ったから。
「それだけで無くなる金なら、最初から無いのと一緒じゃねえか!」
ついカッとなって買った。
今は後悔している。
「知らねえよ! なんでそこでニュースのフレーズ出るんだよ!」
もしくはジュース飲みたい。
買って。
「ジュースぐらい我慢しろよ! それで小銭貯めて、電車に乗ればいいじゃん!」
そういった貯蓄を提案するのか。
お前、ホント頭いいなー。
「知るか!」
吐き捨て、血も涙もない若者は立ち去る。
交渉決裂この上ない。
仕方ない。
自腹で、電車でしゃしゃしゃ~って帰ろう。
それにしても、そこそこ長いやり取りだったのに、まさか本当に送ってもらえないとは、ショックの色が隠せない。
July 26
友人の結婚披露宴にて。
「新郎さん、俺、髪が伸びたと思わない? オメーらが結婚したせいで美容院に行けなかったんですよ! なんでこんな時期に結婚したわけ? だいたいお嫁さん、なんで俺と結婚しなかったんだよ!? 空気読めよ!」
お祝いどころか、文句。
でもこっそり、新郎には封筒を手渡しておきました。
「これ、少ないけど、取っときな。みんなに見せちゃ駄目だよ? みんな『俺も俺も』ってなるから」
「開けてもいいか?」
「みんなに見えないようにね」
封筒の中から現れるのは、銀行のATMから排出された1枚の紙切れ。
ばっちり「残高0円」と記されています。
「…めさ? これってお前…」
「少なくってごめんね?」
少ないのは俺の預金だ。
皆さん、おはようございます。
前置きが長すぎましたね。
久々の日記更新となりましたけども、今回は告知だったりするんですよ。
そろそろ夏真っ盛りじゃないですか。
浴衣やジンベエは着たくなりませんか?
俺は普段、頂戴したメールも滅多にお返しできません。
100通のメールを頂いても、5件返信するぐらいが精一杯なんです。
日記コメントでさえ、個々への返レスができていません。
なので、たまにはがっつりと交流の場を設けたいんです。
いつもは皆さんと絡めないので、リアルで集中して親睦を深めたいと思っているんですよ。
なので、奮って参加していただければ幸いです。
オフ会やりましょう。
以下、詳細です。
【開催日時】8月14日の火曜日、20時30分に待ち合わせ。
21時よりスタートです。
【集合場所】東横線の白楽駅。
渋谷から1本ですが、急行は止まりませんのでご注意ください。
横浜からは3駅です。
【開催場所】毎度お馴染みのアメリカン・バー「イージーバレル」にて開催させていただきます。
【会費】終電でお帰りになられる「終電コース」の方は3000円。
朝方まで飲み続けられる戦国武将的な猛者、「がっつりコース」の方は5000円とさせていただきます。
【参加人数】お店のスペースや、俺個人が全員とお喋りすることなどを踏まえ、30名までとさせていただきます。
【禁止事項】ナンパを含み、出会い目的の方は見抜けますので、隠しても駄目よん。
それと、許容人数が限られていますんで、「できたら行きます」とか「遅れます」みたいな、不確定な予定の方は申し訳ないのですが、今回はご遠慮くださいませ。
各種犯罪行為も我慢してちょ。
【参加条件】特にありません。
今まで絡んだことがなかろうが、日記コメントを書き込んだことがなかろうが、参加したいお気持ちさえあれば、どなたでも大歓迎致します。
ただ、できるだけでいいので、浴衣かジンベエなど夏チックな服装をお願いしたいと思っております。
無理でしたら、もちろん私服でも構いません。
アメリカンバーなのに浴衣って何よ俺。
【応募方法】上記をよくお読みになられ、問題がなかったら下に設置されているメールフォームにお名前(ハンドルネーム可)、電話番号を記載し、送信してやってください。
終電コースなのか、がっつりコースなのかも明記していただけると助かります。
後日、俺から電話にて参加の確認をさせていただきますので、知らない番号でしょうけども、出てやってくださいませ。
【募集期限】8月9日を締め切りとさせていただきますが、万が一参加希望者様が30名を超過した場合は、その日を持って募集を打ち切らせていただきます。
【重要事項】よくあるのですが、「いつやるんですか?」とか「場所はどこでしょう?」みたいな質問が結構多いんですよ。
読み飛ばしてしまうのでしょうね。
忙しいと返信が遅れてしまいますので、できるだけ質問をする前に、今一度この記事を読み返していただけると幸いです。
これで以上かな?
質問などありましたらメッセージではなく、この記事のコメント欄に書き込んでいただければ、同じ疑問を持った方にも解答が示せますので、当日記コメントにお願いしますね。
これはもちろん、差支えなければで構いません。
募集の打ち切りなども、ここのコメント欄にて報告させていただきます。
おっと。
長くなってしまいましたね。
平日開催で恐縮なのですが、どうぞお気軽に、ダチに会う感覚でお越しください。
皆さんとお会いする8月14日を楽しみにしております。
それでは、コチラにがしがし参加表明をしちゃってください。
がっつり飲むぞー!
熱い夏。
皆で飲む酒。
靴が履けない。
めさでした。
雪駄だからさすがに履けると思う。
July 15
それでも、このチームなら絶対に全国大会に行ける。
そんな気がしてならない。
「イーッヒッヒッヒ!」
「違ァーう! もっと『魔力使って調合してます』って感じで笑う!」
「イ~ッヒッヒッヒ!」
部員たちはぐつぐつと煮えたぎった謎の液体を、杖でかき混ぜている。
大人1人が丸々入ってしまえるほど大きな壷を、たった1人で相手にしなくてはいけないから大変だ。
キャプテンがパンパンと大きく手を叩く。
「やめ! 集合! みんな、解ってる? これは黒魔術の儀式なんだよ? 今みんな、誰も本気で呪ってなかった。やる気ないなら帰っていいから」
今シーズン、魔女部の練習は例年よりも遥かに厳しい。
それでも、泣き言を言う部員は1人としていなかった。
今年のインターハイ進出が、日々の練習にかかっている。
誰もがそれを強く意識しているのだ。
「次はホーキングの練習!」
壷が隅に追いやられ、数々のホウキと巨大な扇風機が用意される。
これらは全て、全員で部費を出し合って購入したアイテムだ。
全員がホウキをまたぎ、キャプテンが扇風機のスイッチに手を添える。
「飛んでるってだけでなくて、『結界張って生きてます』って雰囲気が大事だからねー!」
「ウィッチ!」
「よーし! 始め!」
部室内に生じた風が、暗幕をはためかせた。
風に向かい、部員たちは股にホウキを挟む。
「MPなければ落ちちゃいますって危機感を少しだけ表す! そう! 飛べない魔女はただの魔女だからねー!」
キャプテンの魔女ネームは、マジョガリータ。
部活動が終った後も、家で魔女トレに明け暮れている。
その最中に左足首を捻挫したが、自ら特製の薬草を調合し、ものの見事に傷を悪化させた。
子供の頃から儀式に目がなかったという副部長のハロウィンは、最近になって宅配のアルバイトを始めたらしい。
あれほど魔力がなさそうに見えた新入部員たちも、いつの間にか付け鼻が定着している。
このメンバーだったら、きっと全国制覇ができる。
いつしか目に涙を浮かべ、キャプテンが再び怒号を放つ。
「そこ! 重心のバランスが悪い! ミサ! 旅客機に手を振るなんてアドリブ要らない! 全員もっと『高所恐怖症ではありません』みたいな余裕も表現する!」
全ての努力が必ず報われるとは限らない。
それでも、このチームなら絶対に全国大会に行ける。
そんな気がしてならない。
ここ男子校だけど、きっと大丈夫だろう。