夢見町の史
Let’s どんまい!
April 19
当記事は、そんな「めさ用語」の辞書である。
これらの変な言葉は自由に、気兼ねなく存分に活用して頂きたい。
でも、それによって友達が減っても、俺は知りません。
許してちょ。
それでは、どうぞ。
【違うの~】
リアクションとして多用される第一声。
取り合えず否定から入る。
「違うの~! 俺は誰もが出来ることが出来ないの~! でもおかげで、みんな働いてくれる。ふはは」
人でなしじゃん。
ちなみに発音は状況に応じて、「ちっがうの!」や「違うの」、または「違うのー!」と変化する。
なんだその無駄なこだわり。
【ちょ】
主に謝罪文の語尾に追加される言葉。
「許してちょ」
「ごめんちょ」
可愛い響きで誤魔化そうといった魂胆が見え見えで、普通に謝るよりもさらに人を不愉快な気持ちにさせる。
いい歳こいて、何が「ちょ」だ。
実際この言葉は他者に向けられるべきものだが、あえて自分に対して使う。
March 30
名言というのは、心に残る。
それが自分だけのオリジナルだったりしたら、尚更だ。
思い返せば今まで、俺は数々の忘れられないセリフを放ってきた。
せっかくだから、今日はそれらを書いておこう。
上司にヨーロッパ地方の話を聞かされた時の一言。
「フランスとパリって、どっちが近いんですか?」
フランスの首都がパリだ。
友達ン家にあったマジックハンドで遊んでいた時の一言。
「マジックハンドが落ちた! あれを拾うには、マジックハンドが必要だ!」
自力で拾え。
上司に「ヤングのスペルを言ってみろ」と出題された時の解答。
「ワイ・エム・シー・エー」
絶対に違うけど、気持ちは解る。
朝まで飲んで酔いつぶれ、友達に「起きな! めささんのケータイ、アラーム鳴ってるよ!」とゆすられた時のリアクション。
「うう~ん。そのアラーム、フェイントだから大丈夫~」
ご自分で設定なさったんですよね?
酔っ払った妹にやたらしつこく「めさちゃーん!」と連呼された時の応答。
「おーう! 明日メールするー!」
解りやすいスルーだ。
アルプス山脈の写真を見た時の一言。
「地球って、思ってるほど丸くないよね」
視野が狭いにもほどがある。
待ち合わせ日時の取り決めにて。
「ヨウカとハツカの区別がつかないから、ローマ数字で日にちを言ってくれなきゃ、わかんない」
とても成人しているとは思えない。
待ち合わせ日時を1日ズレて覚えていたことが発覚した際の言い訳。
「7とか8とか、数字じゃわかんないよ。曜日で言ってよねー」
何歳?
洋画のDVDが流されていると必ず言う一言。
「この映画、何? トップガン?」
外国人男性は全てトム・クルーズに見えるらしい。
週に1度は言うセリフ。
「ビールはしゅわしゅわするから飲めません」
ちなみにコーラも口が痛くて飲めません。
談笑中、何かを聞き間違えて言ったセリフ。
「忍法マカデミアン募金って何?」
それはこっちが訊ねたい。
カプセルホテルに泊まる際、寝床を見て放った一言。
「ここまでカプセルだとは思わなかった…」
失恋した乙女みたいに言うな。
何を思ったのか突如、雪だるまに向かって猛烈な飛び蹴りを放ち、足が抜けなくなってしまった悪友を見た時のつぶやき。
「勇者だ…」
憧れる要素がどこにある。
魚に対する駄目出し。
「マグロとかいって、止まったら死ぬって有り得なくね?」
仕方ないじゃん。
お酒を飲む毎に、かなりの頻度で使う言葉。
「靴が履けなぁい」
そもそもなんで脱いじゃったのか。
何か物を落としたり、倒したり壊したりすると、必ず出る咄嗟の一言。
「俺じゃないですよ!」
確実にお前です。
いやしかし、こうして書き出してみると、なかなか芸術的なものだ。
でも、たまには普通のことを喋れ俺。
March 26
世間に疎いので、勉強しようと思ったのだ。
ズラリと検索されるのは、聞いたことがない芸能人らしき方々の名前。
元々俺は芸能界に詳しくないので、そういうのは見なかったことにする。
お菓子メーカーの不二家とか、任天堂の新ゲーム機種「wii」など、覚えのある単語を発見し、勝手に一安心。
インフルエンザといったキーワードが上位にきているのも、風物詩といったところだろう。
さて。
問題なのは、俺にとって、全く知らない言葉がリストアップされている事実だ。
これらが地名なのか人名なのか、宇宙の果てに何があるのかぐらいサッパリ解らない。
これは困った。
脳内に住まう複数の自分達を呼び出し、急遽1人ミーティングを開く。
未知のキーワードがどんな意味であるのか、検証によって導き出そうといった魂胆だ。
「まず、最初のキーワードだ」
仕切るのは、主人格の俺。
「すもももももも、だな。これが何なのかを、皆に考えてもらいたい」
「すまん。もう1度キーワードを言ってもらえるか?」
「ああ。すもももももも、だ」
「いきなりハードルが高いな…」
会場、っていうか脳内がざわめく。
「擬音じゃないのか?」
「いやいや、どんな時に鳴るんだよ、『すもももももも』なんてよ」
「なんかこう、例えば風邪とかでさ、鼻の詰まった園児の寝息を感じさせるよな」
「ぜってー感じねえよ、そんなの。オメーはガキの頃、すももももももなんて言って寝てたわけ!?」
「確かに。取り消すよ。俺が子供の頃の寝息は『ふもうもう』だった」
「そこまで無駄な記憶力も珍しいな」
「ってゆうかさ、擬音がキーワードになるわけないじゃん。もの凄い果物とかじゃない?」
「そんなの普通に『凄い桃』でいいだろ」
「誰か、納得いく答え出せねえのか?」
そこで鼻を鳴らし、メガネをクイっと持ち上げたのは、俺の中で最も知能指数の高い俺だ。
「この単語、明かに『も』の個数が多過ぎます。日常会話で使うには、いささか困難を伴うでしょう」
「と、いうことは?」
「おそらく固有名詞かと。今話題のバンドとか、芸人じゃないですか?」
「おお!」
こんばんは、すももももももです。
新曲、聞いて下さい。
「君だけにジュテーム」
「ありそうだ!」
「だな! 曲のタイトルもイカしてるぜ!」
「ホントにそうか?」
「最高! この調子で、次いこうぜ! いい感じのテンションだし!」
「ああそう」
会議に熱が入る。
※「すもももももも」が何なのか、マジで知らずに書いています。
もし本当にグループや人を表す名称だったら、その関係者様やファンの皆様、ごめんなさい。
「よし、じゃあ次のキーワードだ」
「おう! よし来ーい!」
「次は、あばれヌンチャク」
「あばれ、なんだって?」
「ヌンチャクだよ、ヌンチャク。あばれヌンチャク」
「そりゃ確かに暴れるけど、どっちかっていうと、暴れるのは使用者のほうじゃないか?」
「何が目的で検索されてるんだ…」
一同、俺の頭の中で頭を抱える。
「なんだろう。ドラクエの敵?」
「あばれヌンチャクが現れた!」
「さっそく装備するかい?」
「お前ら、やめろよ! あばれヌンチャクの人が聞いたら傷つくだろ!?」
「誰だよ、その物々しい人物は! 暴れてんのはお前の発想だよ!」
「お前の意見が訊きたい」
メガネの俺に、再び注目が集まる。
「そうですね。暴れることが目的ならば、ヌンチャク以外の武器でも良いわけです。つまりこの単語は、ことわざ的なニュアンスではないでしょう」
「と、なると?」
「人気ヒーローの使う必殺技ではないかと思われます」
「おおー!」
おのれ怪人め!
この技を受けて見ろ!
必殺、あばれヌンチャク!
「それはナシだろ」
「うん。あんま格好良くない」
「それで倒された敵が可哀相」
「なんで平成にもなって武器がアナログなんだよ」
一気に冷める俺の脳内。
っていうか自分会議場。
※「あばれヌンチャク」が何なのか、マジで知らずに書いています。
もしもグループや人を表す名称だったら、その関係者様やファンの皆様、ホントごめんなさい。
「じゃ、じゃあ!」
メガネの俺は必死だ。
「そこまで言うなら『あばれヌンチャク』で検索して、確かめたらいいじゃないか!」
その一言に、全員の俺が唖然とする。
「お前、ホント頭いいな~」
「全くだ。だいたい、知らないことを考えたって、答えなんて出ないもんな。だって知らないんだもん」
「スゲーよお前、やっぱ天才だよ」
「いえいえ、当然のことを言ったまでですよ」
できればもっと早く言ってほしかった。
March 26
忙しい日々に追われ、すっかり忘れていた。
エイプリルフールが近い。
思えば毎年、4月1日は邸内の室内プールでまったりしたり、ラスベガスの夜景を眺めたり、大統領との会食を断ってデートしたりと、色んな嘘を日記に書いた。
今年はどんな嘘を言ったり書いたりしようかな。
そろそろ考えておかなくちゃ。
「実は俺さ、けっこう前から、付き合ってる人、いたんだよね」
ちなみに以前この嘘をついた時は、女友達を中心に誰からもガッカリされなくて、こっちがガッカリしてしまったことがある。
「実は俺さ、人間じゃないんだ」
自然な態度で「なんか解る」とか言われて納得されたら傷つくので、これも駄目。
「実はお前さ、人間じゃないんだ」
俺がお前の何を知っているんだ。
あまりに聞き慣れてないセリフなもんだから、ツッコミを失敗してしまった。
「こないだ、お前の母ちゃんと久し振りに会ったよ。出会い系サイトのおかげで」
弟や妹には使えない嘘だ。
「ニュース見た? 2008年から先は1年が370日になるらしいぜ。詳しくはホームページで!」
「詳しくはホームページで!」が言いたいだけだろう。
「この世界は実は偽物で、お前は人間なんだ! 生まれてからずっと、今までアレだったんだお前は。じき誰か死ぬけど、試練だから大丈夫。死んだ奴も登場人物の関係で、そのうちまた出てくるから。なので一応は殴るな。むしろ入籍するが良い。誓うんだ愛を。ちなみにこれ、神に内緒な! やたらと悲しまないで下さい」
長いセリフを覚えられなかったことが悲しいっつうの。
何が言いたいのか解らん。
「明日の試合でホームランを打ったら、呪術を受けてくれるね?」
それを言うなら手術だ。
「めさ? フィクション上の人物ですよ」
ネット上だと、よく言われます。
「お前が好きだ」
ドン引き。
「お腹すいた」
事実。
「笑止!」
どんな場面?
存在自体が嘘臭い。
めさでした。
とにかくエイプリルフールにどんな日記を書くか、どんな嘘を言うか、たくさん考えておかなくちゃ。
March 25
今日の日記を普通に書いたら、なんていうかぶっちゃけ、夢も希望もないからだ。
なので妄想を頑張ることにする。
えっと、明日は26日か。
よし。
3月26日。
いよいよ彼女とのデートだ。
エアデートじゃない、本物のデートだ。
いやっほう。
プランも練ったし、服も用意したし、コロンも振ったし、ハルマゲドンにも備えた。
アリバイ工作も完璧だし、凶器の処理まで考えてある。
ここまでやれば、誰も俺が犯人だとは思うまい。
あとは遺産が勝手に転がり込んでくるって寸法さ。
ちょっと待て。
日記中断。
俺、なんで犯人?
ちょっと検証してみないと。
>いよいよ彼女とのデートだ。
>エアデートじゃない、本物のデートだ。
>いやっほう。
前半は普通に痛い妄想だから大丈夫。
彼女なんていない男が「いやっほう」とか言って浮かれ、腹立たしい。
人間として問題ありまくりだが、問題ない。
次。
>プランも練ったし、服も用意したし、コロンも振ったし、ハルマゲドンにも備えた。
なんで俺はデートで、最終戦争の準備をしたのだろう。
>アリバイ工作も完璧だし、凶器の処理まで考えてある。
もっと日常的なことを考えるべきだ。
>ここまでやれば、誰も俺が犯人だとは思うまい。
彼氏だとも思うまい。
>あとは遺産が勝手に転がり込んでくるって寸法さ。
おめでとうございます。
なんだ。
ハッピーエンドじゃないか。
でもな、起承転結がサッパリだしな。
勿体無いけど、これはボツだ。
どうせ明日の日記を書くのなら、もっと有り得る出来事をリアルに書いてみたいし。
やり直そう。
リアルにリアルに。
明日は確か、26日だったな。
3月26日。
明日の日記を、今から書いてみることにした。
今日の日記を普通に書いたら、なんていうかぶっちゃけ、夢も希望もないからだ。
なので妄想を頑張ることにする。
えっと、26日の明日だから、27日か。
よし。
3月27日。
いよいよ彼女とのデートだ。
エアデートじゃない、本物のデートだ。
いやっほう。
プランも練ったし、服も用意したし、コロンも振ったし、ハルマゲドンにも備えた。
アリバイ工作も完璧だし、凶器の処理まで考えてある。
ここまでやれば、誰も俺が犯人だとは思うまい。
あとは遺産が勝手に転がり込んでくるって寸法さ。
ちょっと待て。
日記中断。
俺、なんで犯人?
おかしいのう。