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夢見町の史

Let’s どんまい!

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2017
May 01
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2007
March 08
「もしもし? 今仕事ですか?」

 電話での問いに「そうだ」と告げると、どういう訳なのだろう。
 友人は満足したようだ。

「そうですか。解りました。仕事中ならいいんです。じゃあ」

 待て。
 不思議な質問だけしておいて、一方的に電話を切ろうとするな。
 俺が今家にいないことを、なんで確認したのかを問い質したい。

「いいんです。今回も頑張りますんで」

 何がいいものか。
 今回「も」って、俺ン家で何をどう頑張るつもりなのか。

 悪い胸騒ぎがする。
 友人は前回、俺ン家の玄関に「お手洗い」との札をぶら下げて去った。
 勝手にだ。
 それがリフォームなのですなどと、聞いたことのない主張をされた。
 そんなリフォーム、一生頼まない自信がある。
 どこの世界に住宅を公衆便所にランクダウンさせるリフォームがあるものか。

 電話の声には張りがあった。
 むかつくぐらい楽しそうなその声から察するに、今回の彼、気合いが尋常じゃない。
 他に情熱を燃やすべきことはないのだろうか。
 俺ン家に、今度は何をするつもりなのですか?

 恐る恐る帰宅する。
 案の定、人の気配はない。
 気が済んだのだろう、友人は帰っていた。
 なんで俺本体ではなく、俺の部屋だけに用事があるのだ、あいつは。

 靴を脱いで、部屋の電気を点ける。

「なんだと!?」

 俺の部屋は今回、殺人現場にリフォームされていた。
 人の形をした白線が、タタミの上に引かれている。
 誰が死んだのだ。
 俺の部屋で勝手に死なないで頂きたい。

 1とか5とか、何を示すのか解らないナンバープレートが要所要所に置いてある。
 何故かそこにあるバナナの皮も丸で囲まれていた。
 このバナナ、事件に関わっているということか。

 落ちていたのはバナナだけではない。
 俺は紙切れを拾い上げ、タイトルを読み上げる。

「ダイイングメッセージでーすよ」

 何この明るさ。
 誰だ陽気に殺されたのは。

 ダイイングメッセージを読むのなんて、生まれて初めてだ。
 しかもどうやらそれは、俺が書いたという設定らしい。

「めさです。皆さん、おはようございます」

 礼儀正しく挨拶から入るぐらいなら、救急車ぐらい呼べたのではないだろうか。
 ってゆうか、死ぬ間際に書いたにしてはずいぶんと余裕のある文章だ。
 やたら長い。

「俺は夢も希望も、彼女も金も地位も名誉もないまま、もうじきこの生涯を終えようとしています」

 極めてネガティブな状況説明に、涙が出そうになった。
 まるで遺書のような流れですが、これってダイイングメッセージなんですよね?
 続きに目を通す。

「何故なら、奴に致命傷を与えられたからです。俺も格闘家のはしくれ、もう助からないことは解ります。奴を逮捕し、俺の無念を晴らしてくぅ~ださい」

 格闘家のはしくれとは思えない語尾だ。

「とはいっても奴とは顔見知り。すぐに捕まえてくれることだと思います。奴の名前は、おっとその前に奴の動機から話しましょうか」

 その余力は、違うことに費やすべきだ。

「奴が俺に対して殺意を持ち出したのは、忘れもしない」

 この「忘れもしない」という供述が、けっこう重要になる。

「10年だったかその位昔、雨が降っていたような晴れていたような。場所は詳しくは覚えていない」

 いきなり忘れてる。

「そこで奴は、俺が何て言ったか忘れたけれど、凄く怒っていた。たぶんそれが原因なんじゃないかなぁと思う」

 やっぱり忘れてる。
 記憶がアバウト過ぎる。
 動機の説明を明らかに失敗している。

「でも正直、心当たりがあり過ぎて断定できません」

 今までの長文が、これで完全に台無しになった。

「そろそろ、おむかえがきたようです。さいごに」

 字が薄くなって、漢字も使えなくなっている。
 こうなる前に大事なことを書いておくべきだ。

「はんにんのなまえは」

 これからっていう大事なところなのに、文字はそこで途切れていた。
 ようやく力尽きたらしい。

 ってゆうか、何これ。
 長々と書いておいて、結局何1つ伝えられていないじゃないか。
 こいつバカだ。
 あ、俺か。

 ダイイングメッセージというのは解読が困難なのだと、改めて痛感させられた。

 タタミに目を戻す。
 つまりこの白線は、俺の死体をかたどったものだった。
 不恰好を極めたこの変な人型は、自分自身のシルエットだったのだ。





 まじまじと観察する。
 泣きそうになった。
 見れば見るほど、すんごいカッコ悪い。
 直視して損した気分だ。

 まず、頭がでかい。
 不自然なぐらい、でかい。
 宇宙人よりも巨大な頭部だ。
 これでどうやってバランスを取っていたのかと、生前の自分を心配に思う。

 足はやたら短い。
 おまけ程度の長さだ。
 もう大人なのに、足の長さが20センチってどういう人間だ。
 歩けるのか、こいつ。

 胴体には、くびれがない。
 ドラム缶みたいにずん胴だ。
 足が足りていない分を、胴でカバーしてますよ。
 って感じに長いのがショックだ。

 改めて全体を見渡す。
 未確認生物かコイツは。
 頭でかい。
 めっちゃ短足。
 体に凹凸がない。
 ガチャピンでも死んだのかと思った。

 だいたい、なんで死んだのだ俺は。
 死因は何だ。

 首の部分には、わざとらしくストッキングが横たわっている。
 まさかこんな柔らかい物で、俺は大人しく首を絞められたのだろうか。

 バナナの皮には、ご丁寧に「毒」と書いてある。
 ちゃんと毒って書いてあったのに、俺はそれをピンポイントで食べちゃったのだろうか。
 バカだ。
 食べちゃった俺もバカだが、毒を盛って「毒」と書いた犯人もバカだ。

 真犯人に会いに行く。
 彼は今夜、いつものバーで飲んでいるはずだ。

 もう我慢ならん。
 言いたい放題言ってやる!

「あー! いた! アレは傑作ですよ先生!」

 俺よ。
 喜んでどうする。

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No.1の真犯人は
はじめまして(^ω^)移転したサイトでは、お初にお目にかかりますo(^-^o)(o^-^)oちなみに、バナナの皮ではないかと思うラパン3世でした。
ラパン3世: 2010.12/09(Thu) 01:16 Edit
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プロフィール
HN:
めさ
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1976/01/11
職業:
悪魔
趣味:
アウトドア、料理、格闘技、文章作成、旅行。
自己紹介:
 画像は、自室の天井に設置されたコタツだ。
 友人よ。
 なんで人の留守中に忍び込んで、コタツの熱くなる部分だけを天井に設置して帰るの?

 俺様は悪魔だ。
 ニコニコ動画などに色んな動画を上げてるぜ。

 基本的に、日記のコメントやメールのお返事はできぬ。
 ざまを見よ!
 本当にごめんなさい。
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