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夢見町の史

Let’s どんまい!

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2024
March 19
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2013
March 12
「ねえ、得意料理って何?」

 女の子が何気なく訊ねた先にいるのは、俺の弟だ。

 これは半年ほど前に数人で飲んでいたときのことで、話題は料理について。
 弟も毎日自炊をしているので、どういった料理が得意なのかと訊かれたのだ。

「得意料理?」

 弟の態度はというと、実に堂々としたものだった。

「チリコンクイーン!」

 なんだそれ。

 その場に居合わせている者の中には何人か料理を得意としているのだが、誰もが一瞬押し黙る。
 チリコンクイーンを知らないのは自分だけなのか、と自分の無知を疑っているのだ。

 そのうち、勇気を振り絞った女子が恥を忍び、おずおずと口を開く。

「あのさ、チリコンクイーンって、何…?」

 すると、弟の回答は極めて単純なものだった。

「俺が考えたの!」

 まさかのオリジナル料理。 
 そりゃ誰もが知らないわけである。

 それにしても弟は、どうして皆が絶対に知らないはずのチリコンクイーンの名を当たり前のように挙げたのだろうか。
「創作料理が得意です」では駄目なのだろうか。

「それってどういう料理?」

 別の誰かが訊ねる。

 しかし、弟は非常に口が下手で、彼の説明は難解。
 その料理が固形物なのか汁物なのかさえはっきりしない。
 加えてしまうと、美味いのかどうかさえ判らない。

「チリコンクイーンって名前からするとさ、リゾット系じゃない?」
「そう! リゾット系!」
「へえ、お米使うんだ?」
「使わないよ?」
「リゾット系じゃないじゃん!」

 彼のことを生まれたときから知っている兄ですら言ってることが解らない。
 だが、チリコンクイーンがどういった料理なのか気になるのはみんなと一緒だ。
 せめて甘いのか辛いのかだけでも知りたい。

 俺は弟の正面に立った。

「チリコンクイーンのレシピを教えてくれ」
「いいよー。うんとねえ」

 ところが弟は酒の勢いも加わってさらに説明が下手くそな状態だ。
「ひき肉に味付けをして」などと言うからうんうんと聞いていれば「それをあらかじめ作っておいた特製のスープで煮てさあ」などと未知の液体を登場させる。

「ちょっと待て! 特製のスープってなんだ!?」
「俺が考えたスープ!」
「だったらまずその特製スープのレシピを先に言え!」
「えっとねえ」

 ところがところが、そのスープには弟特製のソースが途中で加わるのである。
 なんなんだこいつの伝達能力は。
 兄の顔が見たい。

「そのソースってなんだよ!?」
「俺が考えたソース!」
「じゃあ、先にそのソースのレシピをだな…」

 かくして3人がかりでチリコンクイーンの作り方を理解しようと努めたが、長時間かけて得られた結果は、弟が残念な子であるという事実だけであった。
 半分に割った固形コンソメスープをひき肉に入れて混ぜ、特製スープに固形コンソメスープの半分を入れるのなら、どちらか片方に1個を入れてしまえばいいだろうが弟よ。

 この日以来、俺の頭からもやもやが取れない。
 チリコンクイーンが気になって気になって仕方がないのだ。

「お前の好きな料理、何でも作ってタッパーに入れて渡す! だから、お前はチリコンクイーンを作って持ってきてくれ!」

 そう真剣に頼むために電話も何度かかけた。
 そんな時に限って弟は仕事の忙しい時期に差し掛かっていて繋がらない。

 クックパッドで調べてもみたが、当然ながら検索結果は0件だ。

 もはやオリハルコンに並ぶ伝説の物体である。

 かくして月日は流れ、昨日。
 ようやく弟と酒を飲むことができた。

 こいつが酒に飲まれる前に真相を訊かなければ!
 乾杯もそこそこに、俺は弟の目を見つめた。

「なあ! チリコンクイーンってなんなの!?」

 弟は目を大きく見開くと、驚愕の言葉を放つ。

「何それ!?」

 瞬間、俺は膝から崩れ落ち、床の上をごろごろのたうち回って悶絶した。
 怒ったらいいのか笑ったらいいのか泣いたらいいのかさっぱり解らない。

 チリコンクイーンってなんなんだ。
 情報求む。

拍手[140回]

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2012
November 07
 日中はパソコンで作業をしながらテレビを聴いている。
 視るのではない。
 耳で聴いているのだ。
 要するにラジオ代わりにしているというわけ。

 チャンネルはワイドショー。
 誰それが離婚しただのどうのと報道がされている。

 そんな中、マウスを操る俺の手がピタリと止まった。

下をベストの状態に保つには何が必要なのでしょうか

 いきなりなんだ。
 昼間だぞ今は。

下の正しいお手入れをするために

 お手を入れてしまうのか。
 けしかりません!

 焦ってしまい、思わず画面に目を向ける。

 そこに表示されているテロップを読んで、俺は自分の勘違いに気づいて、そしてそれを恥じた。

 下じゃねえ。
 舌だ。
 ベロのことを特集していた。

 なあんだ。

 再びパソコンのモニターに視線を戻す。

 テレビは尚も「下をブラシで優しくこする」などと言っているものだから吹き出しそうだ。

「こすりすぎには充分に注意しましょう」

 そうだな。
 やりすぎはよくないもんな。

「下の健康状態は下の色で判断することができます」

 まじまじ眺めろってか。

下を健康に保つには唾液が重要です」

 おいーッ!

 もう無理、限界。
 昼のワイドショー楽しすぎ。

拍手[91回]

2012
May 27
お酒はポカリみたいにごくごく飲んではならない。
 俺の弟のようになってしまうからだ。

 弟はもういい大人なのに、それでもまだ酒を飲むペースがコントロールできない。
 彼はいつも風呂上りの牛乳並みのペースで焼酎を飲むので、簡単にべろんべろんに酔っ払う。
 酒は飲む前に飲まれろ!
 って感じだ。

 周りに絡んだり文句を言ったりする酔い方ではないからまだマシではあるものの、それでも店内やタクシーの車内、はたまた路上で眠ってしまうので困る
 1度でもそうなるとまず起きてくれなくなるからだ。

 先日、このようなことがあった。

 俺は深夜のコンビニに立ち寄る。
 地元の店なので店員さんとも顔馴染みだ。

「いらっしゃいませー。あ、こんばんは」
「どもー。こんばんは」

 軽く挨拶を交わすと、カウンターの中でお兄さんが声を潜めた。

「今、弟さん来てますよ」
「え!?」

 驚いて店内を見渡すが、夜中という時間帯のせいか人影はない。
 弟どころかお客さんまでいないではないか。

 不思議そうに首を傾げていると、店員さんが言いにくそうに顔を険しくした。

「その、実は弟さん、トイレから出てこないんです」
「マジですか!」

 店員さんに両手を合わせ、詫びるジェスチャーをしながら俺は商品をカウンターに置く。

「すみません、ちょっとだけ待っててください。弟、起こしてきます」
「いえ、少しぐらいなら寝かせてあげといてもいいですよ。しばらくお客さん来ないでしょうし」
「そういうわけにはいきません。すご起こしますから!」

 かくしてお手洗いへ。
 ノブを回すと幸い鍵がかかっていなかった。

 中には思った通りの人影が明日のジョーみたいにうなだれている。

「なにしてんだっつーの!」

 ぺしっ!
 と頭をひっぱたき、俺は顔を両手で挟んで上に向けさせる。

「起きろ!」

 しかし俺はそっと顔の向きを元に戻し、

「失礼しました」

 小声で言って外に出た。

 知らない人だったからだ。
 弟じゃなかった。
 どっかの知らない青年だった。

 初めてだ。
 知らない人をひっぱたいたのは初めてだ。

 物音一つ立てずにトイレのドアを閉めると、俺は暗殺者のように足音を殺してカウンターに戻る。

「どうでした?」

 笑顔で訊いてくる店員さんに俺は小声になる必要なんてもうないのに、

「弟じゃないです」

 と内緒話のように手で小さなメガホンを作っていた。

「えええ!? すみません!」

 と店員さん。

「いえいえいえいえ!」

 まだ動揺しているので慌てて首を左右に振る俺。

 全く、だからお酒の飲み方には気をつけろと言ったのだ弟よ。
 以後は充分に注意せよ。
 分かったか。
 ばか。

拍手[47回]

2012
January 19
 動画投稿サイトに動画をアップするようになってからというもの、多くの方々が俺の絵を描いて送ってくれるようになった。
 そういった作品は俺だけで楽しむのは勿体ないので、動画内でちょくちょく使わせてもらっている。
 実に恵まれているし、ありがたいことだ。

 さて。
 これを読んでいる方の中にも、俺にイラストを贈ってくれた人がいるのかと思う。
 そんな絵師さんに一言いいだろうか?

 お前が描いてくれた絵が会社のロゴになっちゃうかも知れねえぞマジで!

 電話をくれたのは、悪魔王子の兄貴だ。

「もしもし、めさ? 今平気だった?」
「あ、はい。大丈夫ですよー」
「いやね? 俺の仲間がさ、今度会社を立ち上げることになったんだよ」
「ほうほう」
「でね? 社名をどうしようかって話になったわけさ」
「ええ」
「そんで色々話し合ったんだけど、『株式会社めさ』にしようかと思って」

 このとき、俺が受けた衝撃が解るだろうか?
 ペットに命名するのではない。
 れっきとした企業名が、めさだ。
 どっかで「俺様は悪魔だー」とか中2っぽいこと言って調子こいてる男のハンドルネームが、そのまま株式な会社の名前になっちゃうのである。

 兄貴の発想が斜め上すぎて、笑ってしまって息ができない。
 なんでピンポイントで俺なのだ。

 このとき俺は職場にいて、丁度この時ボスが出勤してきた。
 彼女が店に入った途端、俺が死ぬほど大笑いしているので、ボスはもの凄い形相でびっくりしていた。

 兄貴が続ける。

「業務内容はね? 建築系の内装業なんだけど」
「ぎゃはははは! 俺めっちゃ関係ない…! あははははは!」

 本当に笑いが止まらない。
 株式会社めさに電話をかけると、俺じゃない人が「お電話ありがとうございます。めさです」って言うわけだ。

 例えば将来その会社が大きく発展して、一流企業になろうものなら、テレビとかで「内装はめさに!」とか流れ、ましてやニュースの特集とかで「今回はめさの歴史を紐解きましょう」なんて展開になったら、俺はどうしたらいいのだろう。
 あ、どうもしなくていいのか。

 それにしても、以前、実際に「メサの儀式ではまず、メサを燃やします」などとテレビで見たとき以上のインパクトである。

 良い意味で株式会社めさが取り上げられるのなら、まだいい。
 脱税とか変な取り引きとか、そういった悪いことで摘発されたらたまらない。

 株式会社めさの元社員が顔を隠し、音声を変えてインタビューに答えるわけだ。

「めさは最悪ですよ。ボロ設けするだけして、そのお金であんな酷いことを…。本当にめさは最低です」

 俺なんも悪いことしてないのに。

 それでもってニュースキャスターまでもが、

「いやあ、本当に酷いですね、めさは」
「ええ。悪行もここまでいくと、人としてどうかと思いますね。まさしく悪魔の所業です」

 普段、動画や生放送のタイトルに「悪魔ぶって」などと銘打っているが、これではマジデビルだ。

 電話の向こうで、兄貴は言った。

「いいかなあ? めさって名前の会社にしちゃっても」
「果てしなくオイシイのでオッケーです!」
「ホント? ありがとね」
「いえいえ!」
「そんでね? 会社のロゴっていうの? マークが必要なわけさ。めさ、なんかそういうの持ってない?」
「あ、それでしたら、何人かが俺の絵を描いてくれてて、中にはマークっぽい作品もあるんですよ」
「おお!」
「ロゴとしても使えそうなやつ、メールで送りますね」
「それ助かるわ。ありがとう」

 と、いうわけで、動画視聴者さんの作品は俺の動画で紹介されるどころか、株式会社めさの看板になることに。
 採用される絵の作者さん、お知らせしたらびっくりするだろうなあ。

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2011
November 10
 さすが鬼才。
 猫語でメールを返してくるとは思わなかった。

 以前、かなり王道感たっぷりのベタを楽しむ物語を書いて、俺はそれをボイスドラマに仕立て上げたいと考えている。

 なんだかんだと色々あって遅れてはいたけれど、その遅延のせいで連絡がつかなくなってしまった協力者もいるけれど、ようやくボイスドラマ作成の準備が整った。
 完成品を思い浮かべてはニヤニヤと薄気味悪い顔をしている毎日だ。

 さて、ボイスドラマというからには声優さんの存在が必要不可欠なのだが、俺は彼らを素人さんの中から募った。
 そんな中、絶妙なセンスで驚愕せざるを得ない絵を描きなさる鬼才、めごさんが驚くべき発案をしたのである。

「猫の大五郎の役をやりたいです」

 かくして俺は、効果音で充分なことを、わざわざ人でやることに。

 俺はメールを打った。

「なんだか遅くなってしまったけれど、いよいよボイスドラマ作成に取りかかるよん。めごさん、マジで猫の役やってもらっていいの?」
「にゃにゃにゃー。にゃんにゃにゃーい! にゃにゃ」

 うむ、そうか。
 取り合えず意味が解らないということが解った。
 でもまあ猫に成りきっているということは、猫役への熱意を感じさせるし、引き受けてもらえたと解釈しようかな。

「じゃあ収録はスカイプが俺ン家、どっちにする?」
「にゃいにゃい。にゃんにゃ。…ザキ」

 説明しよう。
 ザキとは、某有名RPGゲームに登場する呪文で、敵単体を即死させる効果がある。
 どうして俺に唱えられたのかは解らない。

「取り合えず殺意だけ感じました」
「あのね、今は箱根の山に住んでいるので収録できまてん。仙人になってしまえー」

 初めて来た人間語での返信にホッとしたが、今なんて?
 何があれば山に住まうなんていうマタギみたいな話に発展するのだ、この人は。
 どうして山住まいの人から仙人への転職を勧められたのだ、俺は。

「箱根の山!? 仙人になるのは君じゃないか!」
「あ、ホントだね。仙人の役があるなら言ってくださいな」

 そんな役ねえよ。
 なんで青春恋愛ドラマに仙人出さなきゃならんのよ。
 まあいいや。
 ツッコミ入れるのは日記の中でにしよう。

「了解。仙人役が必要になったらまたメールしる。あと今日のやり取り、日記に書いてもいい?」
「どうぞー。立派な仙人になって、本気ザキをお見舞いするね。きゃは」

 きゃはじゃない。
 本気のザキをお見舞いするって、出るとこ出たら殺意を立証できるんじゃないか?

 このメールに俺がどのような感想を覚えたか。
 それはこの日記のタイトルの通りだ。

拍手[45回]

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プロフィール
HN:
めさ
年齢:
48
性別:
男性
誕生日:
1976/01/11
職業:
悪魔
趣味:
アウトドア、料理、格闘技、文章作成、旅行。
自己紹介:
 画像は、自室の天井に設置されたコタツだ。
 友人よ。
 なんで人の留守中に忍び込んで、コタツの熱くなる部分だけを天井に設置して帰るの?

 俺様は悪魔だ。
 ニコニコ動画などに色んな動画を上げてるぜ。

 基本的に、日記のコメントやメールのお返事はできぬ。
 ざまを見よ!
 本当にごめんなさい。
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