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夢見町の史

Let’s どんまい!

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2024
April 23
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2023
October 16
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拍手[1回]

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2013
July 08
 友人が急に「今日はベガとアルタイルが逢う日だから七夕ってテーマでなんか書こう」と言い出したので急遽お話を作ることになった。
 記念に載せておくことにする。
 
------------------------------
 
 心の中には水面があって、奥へ奥へと流れている。
 想いは決して口に出さず、言霊を笹の葉に乗せて次々に流した。
 ひらり、ひらりと言葉たちは行き場を求めて掻き消えてゆく。
 私は今日も笑っているけれど、本当は泣き出してしまいたいことを私だけが知っている。
 
 あの人とは高校1年生からの付き合いで、でもそれは友人としての仲だった。
 演劇部での活動では恋人同士になったことがあったけれど、でもそれは虚の世界でのことで、普段から彼と視線が交わうことは少ない。
 私が彼を見ていても、彼は他の人を見ているから。
 
「あんたさ、あの子に気があるでしょ」
 
 問うと彼は判りやすく困惑をし、大げさに手足をばたばたさせて否定をしていたけれど、その仕草は明らかに演技をたしなむ者として失敗をしていた。
 それがどれだけ私の胸を締め付けただろう。
 
 私が彼に抱いていた感情は、友情ではなかった。
 
 感情は表情に出る。
 言葉にも出る。
 それで否応なしに想いを封印する術を覚えることになった。
 私は精一杯の演技を余儀なくされて、それは今までで1番の試練で。
 しんと静まり返った地底湖のようなそこに、私は毎日のように笹舟を流していった。
 
「彼女にさ、その、交際を申し込んだ」
 
 皮肉にも彼が相談役として抜擢したのは私で、私に張り付いた笑顔は不幸にも彼を騙すには充分で、それが余計に私を悲しくさせる。
 
「ふうん。で、彼女はなんて?」
「取り敢えずは友達としてって言われた」
「デートの約束は?」
「した。7月7日に逢う。…けど、どうしていいか分からん」
「仕方ないなあ」
 
 恋人の練習。
 なんて甘美な響きだろう。
 映画を見て、食事をして、公園で夜景を眺めて。
 楽しくて幸せなことが辛く、彼が私の化粧に気づいていないことが切ない。
 
「この先の練習も、する?」
 
 提案すると彼は少しだけ慌てた。
 
「この先?」
 
 冷水を浴びさせられたような驚きの表情だ。
 
「冗談よ」
 
 言って私は髪を耳にかけ、闇夜に向かって歩き出す。
 
「待てよ」
「ここから先は自分でどうにかして」
 
 足早だったのは、彼に涙を見られたくなかったから。
 
「待てって。一緒に帰ろうぜ! 今日のお礼もしたいし」
「いいよ、お礼なんて」
「そうはいかない。俺の気が済まないだろ?」
「いいってば」
 
 彼はデート当日、あの子と過ごす。
 その出来事が必ず起こるかと思うと心の底がにわかに波を荒げ、水がどろりと濁ったような心地がした。
 
 テレビが梅雨明けを宣言していただけあって空には雲1つない。
 今夜の星はさぞかし綺麗に見えるに違いないという確固たる予感が私を憂鬱にさせる。
 
 枕を抱きしめてベットの隅でうずくまるといったお決まりの姿勢は安いドラマを彷彿させている。
 テレビから流れるバラエティの笑い声が今の心境とは不釣り合いで自分自身が滑稽に思えてならない。
 
 今頃2人はどうしているのだろう。
 上手くいっているだろうか。
 これを機に正式に交際が始まってしまうなんて話に発展はしていないだろうか。
 
 私はわざとらしく「えい」と空元気を出して服を着替える。
 
 天気予報が熱帯夜を報じているだけあって風は蒸し暑く、しっとりとブラウスの下に汗をかかせていた。
 彼と過ごしたあの公園には人影がなくて、遠くに少しだけ自動車の音が聞こえるぐらいの静けさだ。
 小高い丘まで登ってそこからは今日も夜景が綺麗に広がっているはずだけど、私は顔を眼下ではなく、上空へと向けた。
 
「好きだよー」
 
 心の中の川にではなく、私は言霊を空へと放つ。
 
「大好きだよー」
 
 言葉はまるで笹の葉に乗せられているかのように、次々に天の川へと流れた。
 
「ずっとずっと前から好きだよー。これからも好きだよー」
 
 こぼれた雫は天の川の体積を1滴分増したかのようだ。
 天空を流れる雄大な星の川に、1滴1滴と涙が溶け込んでゆく。
 
 互いに愛しく想っていても年に1度しか逢えないことと、叶わぬ恋心を引きずったまま毎日のように顔を合わせることと、辛いのはどちらなのだろう。
 私は、今なのだと思う。
 
 ぐいっと乱暴に腕で涙をぬぐい、私は立ち上がる。
 彼に想いを告げようと思った。
 失恋をして、心が散ってしまってもいい。
 このままではやがて年に1度すら逢えなくなる。
 そんな気がした。
 
「頑張ってくるね」
 
 織姫と彦星に宣言をし、私は踵を返して歩き出す。
 
 公園の出口で振り返って見上げると、そこにはおびただしい数の星々が運河を描き、まるで巨大な樹のようだ。
 その脇に一際輝く2つの星に、私は古めかしくVサインを作って小さく振り、少しだけ強がりの笑みを浮かべた。
 願わくば自分もベガになれますようにと想いを込めて。

拍手[166回]

2013
March 12
「ねえ、得意料理って何?」

 女の子が何気なく訊ねた先にいるのは、俺の弟だ。

 これは半年ほど前に数人で飲んでいたときのことで、話題は料理について。
 弟も毎日自炊をしているので、どういった料理が得意なのかと訊かれたのだ。

「得意料理?」

 弟の態度はというと、実に堂々としたものだった。

「チリコンクイーン!」

 なんだそれ。

 その場に居合わせている者の中には何人か料理を得意としているのだが、誰もが一瞬押し黙る。
 チリコンクイーンを知らないのは自分だけなのか、と自分の無知を疑っているのだ。

 そのうち、勇気を振り絞った女子が恥を忍び、おずおずと口を開く。

「あのさ、チリコンクイーンって、何…?」

 すると、弟の回答は極めて単純なものだった。

「俺が考えたの!」

 まさかのオリジナル料理。 
 そりゃ誰もが知らないわけである。

 それにしても弟は、どうして皆が絶対に知らないはずのチリコンクイーンの名を当たり前のように挙げたのだろうか。
「創作料理が得意です」では駄目なのだろうか。

「それってどういう料理?」

 別の誰かが訊ねる。

 しかし、弟は非常に口が下手で、彼の説明は難解。
 その料理が固形物なのか汁物なのかさえはっきりしない。
 加えてしまうと、美味いのかどうかさえ判らない。

「チリコンクイーンって名前からするとさ、リゾット系じゃない?」
「そう! リゾット系!」
「へえ、お米使うんだ?」
「使わないよ?」
「リゾット系じゃないじゃん!」

 彼のことを生まれたときから知っている兄ですら言ってることが解らない。
 だが、チリコンクイーンがどういった料理なのか気になるのはみんなと一緒だ。
 せめて甘いのか辛いのかだけでも知りたい。

 俺は弟の正面に立った。

「チリコンクイーンのレシピを教えてくれ」
「いいよー。うんとねえ」

 ところが弟は酒の勢いも加わってさらに説明が下手くそな状態だ。
「ひき肉に味付けをして」などと言うからうんうんと聞いていれば「それをあらかじめ作っておいた特製のスープで煮てさあ」などと未知の液体を登場させる。

「ちょっと待て! 特製のスープってなんだ!?」
「俺が考えたスープ!」
「だったらまずその特製スープのレシピを先に言え!」
「えっとねえ」

 ところがところが、そのスープには弟特製のソースが途中で加わるのである。
 なんなんだこいつの伝達能力は。
 兄の顔が見たい。

「そのソースってなんだよ!?」
「俺が考えたソース!」
「じゃあ、先にそのソースのレシピをだな…」

 かくして3人がかりでチリコンクイーンの作り方を理解しようと努めたが、長時間かけて得られた結果は、弟が残念な子であるという事実だけであった。
 半分に割った固形コンソメスープをひき肉に入れて混ぜ、特製スープに固形コンソメスープの半分を入れるのなら、どちらか片方に1個を入れてしまえばいいだろうが弟よ。

 この日以来、俺の頭からもやもやが取れない。
 チリコンクイーンが気になって気になって仕方がないのだ。

「お前の好きな料理、何でも作ってタッパーに入れて渡す! だから、お前はチリコンクイーンを作って持ってきてくれ!」

 そう真剣に頼むために電話も何度かかけた。
 そんな時に限って弟は仕事の忙しい時期に差し掛かっていて繋がらない。

 クックパッドで調べてもみたが、当然ながら検索結果は0件だ。

 もはやオリハルコンに並ぶ伝説の物体である。

 かくして月日は流れ、昨日。
 ようやく弟と酒を飲むことができた。

 こいつが酒に飲まれる前に真相を訊かなければ!
 乾杯もそこそこに、俺は弟の目を見つめた。

「なあ! チリコンクイーンってなんなの!?」

 弟は目を大きく見開くと、驚愕の言葉を放つ。

「何それ!?」

 瞬間、俺は膝から崩れ落ち、床の上をごろごろのたうち回って悶絶した。
 怒ったらいいのか笑ったらいいのか泣いたらいいのかさっぱり解らない。

 チリコンクイーンってなんなんだ。
 情報求む。

拍手[140回]

2012
November 30
 俺さ、小人飼ってんだよ。
 孵化させてからというもの、それからずっと育ててんの。

 見たい?
 後で見せてあげるよ。

 でさ、普通に飼うだけじゃつまらない。
 だから俺、こいつのために色々セットを組んでさ、世界観も細かく設定してやったんだ。
 つまりね、生まれたてのこいつには一切本当のことを教えず、俺がでっち上げた嘘の世界で生きてもらうっていう、なんていうのかなあ。
 俺の気まぐれなイタズラってやつだ。

 本当はこいつ1匹しかいないのに、他の小人がいるようにも見せかけてさ。
 色んなコミュニケーションを取らせて喜ばせたり悩ませたり。

 嘘の世界の嘘歴史も教え込んだし、俺からしたら有り得ない突拍子のない非常識も常識として信じ込ませた。

 こいつ、疑ったことあるのかなあ。
 今までの人生で知った全てが嘘だったなんて空想、したことあるのかなあ。

 なんて思ってね、またまた疼く俺のイタズラ心。
 この小人に本当の世界のことを少しだけ教えてやることにしたんだ。
 
 犬とか猫とか、魚とかトカゲとかカエルとかさ、本来なら存在しない生き物が当たり前のようにいるように思ってる小人に。
 豊臣なんとかとか、ナポ、ナポ、なんだっけ?
 そんな偉人が大昔にいたなんて本気で思っている小人に。
 地球、だったな、世界の名前は。
 地球が丸いなんて思ってる小人にね、少しだけ真実を教えてみて、その反応を眺めてみたくなった。

 だからこの文を読ませてみたよ。
 その小人は今、めさとかいう架空の存在が書いた「騙され小人」ってタイトルの文章を読んでいる。

 冒頭辺りで小人を見せてあげるって言ったでしょ?
 というわけでご覧いただこうか。

 鏡を見ろ。

拍手[157回]

2012
November 07
 日中はパソコンで作業をしながらテレビを聴いている。
 視るのではない。
 耳で聴いているのだ。
 要するにラジオ代わりにしているというわけ。

 チャンネルはワイドショー。
 誰それが離婚しただのどうのと報道がされている。

 そんな中、マウスを操る俺の手がピタリと止まった。

下をベストの状態に保つには何が必要なのでしょうか

 いきなりなんだ。
 昼間だぞ今は。

下の正しいお手入れをするために

 お手を入れてしまうのか。
 けしかりません!

 焦ってしまい、思わず画面に目を向ける。

 そこに表示されているテロップを読んで、俺は自分の勘違いに気づいて、そしてそれを恥じた。

 下じゃねえ。
 舌だ。
 ベロのことを特集していた。

 なあんだ。

 再びパソコンのモニターに視線を戻す。

 テレビは尚も「下をブラシで優しくこする」などと言っているものだから吹き出しそうだ。

「こすりすぎには充分に注意しましょう」

 そうだな。
 やりすぎはよくないもんな。

「下の健康状態は下の色で判断することができます」

 まじまじ眺めろってか。

下を健康に保つには唾液が重要です」

 おいーッ!

 もう無理、限界。
 昼のワイドショー楽しすぎ。

拍手[91回]

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プロフィール
HN:
めさ
年齢:
48
性別:
男性
誕生日:
1976/01/11
職業:
悪魔
趣味:
アウトドア、料理、格闘技、文章作成、旅行。
自己紹介:
 画像は、自室の天井に設置されたコタツだ。
 友人よ。
 なんで人の留守中に忍び込んで、コタツの熱くなる部分だけを天井に設置して帰るの?

 俺様は悪魔だ。
 ニコニコ動画などに色んな動画を上げてるぜ。

 基本的に、日記のコメントやメールのお返事はできぬ。
 ざまを見よ!
 本当にごめんなさい。
 それでもいいのならコチラをクリックするとメールが送れるぜい。

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