忍者ブログ

夢見町の史

Let’s どんまい!

  • « 2025.02.
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • »
2025
February 03
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2007
April 16
 韓国ではネックレスのことを「もっこり」と発言する。
 そりゃ俺はいつも大きなシルバーのネックレスをしているさ。
 だからって、なんで俺の呼び名が「もっこりさん」なのだ。

 そんな内容の日記を書いてしまってからというもの、友人が、特に女子が、大きな声で俺のことを「もっこりさん」と呼ぶようになった。
 欲求不満なのだろうか。

 いつものようにイージーバレルで飲んでいると、いきなりカウンター席の女子が口走る。

「今日は、もっこりしてますか?」

 酒を噴き出してしまうかと思った。
 なんでネックレスって言わないのか。
 まさかアメリカンバーで「今日は、もっこりしてますか?」なんて、眼球が飛び出しそうになるレベルの質問が来るとは思わなかった。
 知らない人が聞いたら、耳を疑ってしまうじゃないか。
「今日は」ってことは、毎日のようにもっこりしているみたいに聞こえてしまうじゃないか。

「いいから! もっこりしてるのかどうか、答えて下さい」

 セクハラ?
 なんでそこまで追求するの?
 なんでそこだけ韓国語なの?

「もっこりしてるかどうか、訊いてるんです!」

 そこでこっちが怒られるとは思いませんでした。
 今日も、その、もっこり、ってゆうか、ええ。
 そっちのもっこりじゃないんですけど、もっこりしています。
 なんか、すみませんでした。

「じゃあ、もっこり見せて下さい」

 じゃあって何だよ!?
 そんなの見るまでもないでしょ!?
 今お客さんが入ってきたら、いけない会話に聞こえちゃうでしょ!?
 大丈夫大丈夫。
 ちゃんとぶら下がってるから。

「じゃあ、もっこり触らせて下さい」

 固いぜ?
 いやそうじゃなくって!
 マスター!
 黙ってないで、なんとか言って下さい!

「めさ君のもっこりはね、すんごい黒光りしてるよ」

 巧いことを言って下さいって意味じゃない!

「いいじゃないですか、めささん。減るもんじゃないし」

 わ、分かったよう!
 じゃあ、ちょっとだけだから、ね…?

 何故か赤面しつつ、俺はパーカーのジッパーをゆっくりと下ろし、もじもじしながら女子の方向に体を向ける。
 ギラギラと黒光りする、俺の固くて大きいもっこり、ってゆうか、ネックレスが露になった。
 女子に、めちゃめちゃジーっとガン見される。

「ちょっと、見てないで早く触ってよ」

 発情期の真っ最中みたいなセリフが出た。

「ちょっと! 早く触ってってば! 触りたいんでしょ!? さあ早く!」

 なんで急がせたのだろうか。

「触らないなら、もういい!」

 すねた。

 俺はそそくさとパーカーのジッパーを上げる。

「めささん、なんでもっこり隠すんですかー」

 だって、なんか恥ずかしいんだもん。

「めささんのもっこり、まだ触ってないですよ」

 今日の君は、意地でも主語を省略しませんね。

「いいから触らせて! めささんのもっこり!」

 駄目ーッ!
 ちょっ!
 ジッパーを下ろさないでーッ!
 いやああ!
 お母さーん!
 うおおおおい!
 そんな乱暴にされたら…!
 俺のもっこりが取れちゃうー!

 他のお客さんがいなくてよかったです。

拍手[3回]

PR
2007
April 09
<自分言語による日記>

 もしかして、利恵はグレてしまったのだろうか。
 何度トライしても、断固として拒絶されてしまう。

「あたしが見せてあげるのはここまで! 他のトコなんて、絶対に見せてあげないんだから!」

 おいおい、そりゃないよ利恵。
 俺が見るだけで終わらせるはずないだろう?

「だったらもっとダメ!」

 俺、色々とやりたいお年頃なのに?
 いいじゃないか、減るもんじゃないし。

「減る増えるの問題じゃないの! ダメなもんはダメ!」

 いいじゃないか、いいじゃないか。
 頼むってば。
 お願い!
 1回だけでいいからさあ。

「何よ、その目。いやらしい」

 ホント1回でいいから!

「そういうこと言うの、やめてよ! 誰かに聞かれたら、どうすんの!?」

 いいから、思い出に1回だけ!

「絶対にダメーッ!」

 そんなこんなで俺は仕方なく、たった今、会社の子と向き合っている。



<翻訳>

 うちのパソコン、もしかしたら壊れたのかも。
 自分のブログは見られるのに、ヤフーとかミクシィとか、こってりしたサイトを開くと、何故か強制的にページを閉じられてしまう。

「エラーが発生しました。このブラウザを閉じるわよ」

 そんなような警告文だったと思う。
 これだと書き物とか調べもの、ほとんどできないじゃないか。

 パソコンの電源を落としたり、内部を掃除したり、わけの解らないソフトを使ってクリーニングをかけてみたりしたけれど、何度やっても駄目だ。

「エラーが発生しました。このブラウザを閉じるわよ」

 閉じるなよ。
 もうちょっと頑張ってみなよ。
 お前は絶対、やればできる子だから。

「エラーが発生しました。このブラウザを閉じるわよ」

 諦めが早過ぎる。
 もうちょっと燃えてくれないか?
 向こう岸まで届け、お前の中の魂的な何か。
 もう1回!

「エラーが発生しました。このブラウザを閉じるわよ」

 お前がそういう態度に出るんだったら、俺にだって考えがありますよ?
 この際だから言わせてもらうけどな、お前は古いんだよ!
 主に型とか。

「エラーが発生しました。このブラウザを閉じるわよ」

 すみません、さっきは言い過ぎました。
 あなた様のような最新型、見たことがありません。
 10年前までは。

「エラーが発生しました。このブラウザを閉じるわよ」

 うそうそ!
 今のセリフはフィクションです。
 実在する俺の本音とは一切関係ありません。
 お願いだから、哀れな俺のために、今一度ホームページ閲覧のチャンスを。
 俺にはお金にならない仕事が山ほどあるんです。
 後生ですから。

「エラーが発生しました。このブラウザを閉じるわよ」

 お前はもう蜂に刺されてしまえ、このスットコPCが!

「エラーが発生しました。このブラウザを閉じるわよ」

 あ、今の本気にした?
 俺がそんなこと思うわけないじゃーん。
 あははー。

「エラーが発生しました。このブラウザを閉じるわよ」

 全裸でマムシの集団と戦え、このガッデムPCが!

 そんなこんなで俺は仕方なく、たった今、会社のパソコンと向き合っている。

拍手[4回]

2007
April 04

 思い返すは、以前使っていた洗濯機。
 ある友人から譲り受けた物だ。
 当時、友は離婚が成立したばかりで、引っ越しをする必要ができ、それで洗濯機が要らなくなっていた。

 洗濯機の商品名は「愛妻号」
 友人宅でそれを見た瞬間、俺は容赦なく床をのたうち回ったものだ。

「がーははははは! 愛妻号ー!? あんた、こっちの愛妻も手放すんですかー!? あーははは!」

 離婚したばかりの友人に対し、「俺には人の気持ちがありません」ばりの大笑い。
 そんなことで笑う俺が可笑しかったらしく、友人までもが大笑い。

「がはははは!」
「あはははは!」

 洗濯機を運び出す前に、笑い疲れた。

※良い子の皆さん、危険ですので決して真似をしないで下さい。
 友達が減ります。

 俺の部屋に来た愛妻号は、実に素晴らしかった。
 うちの蛇口が変な形だから専用のホースが付かず、わざわざ手に別のホースを持って入水をしなくてはならず、俺に余計な手間を取らせた。
 そんな困ったところがまた、逆に可愛い。

 いざ洗濯開始となると、そこからは愛妻号が「いい仕事するわよ」とばかりに本領を発揮。
 衣類を洗うとちゃんと水を排出し、再び俺の手によって水を入れられると、今度はすすいでくれて、やがてまた水を捨てる。
 彼女はそこで、黙って仕事を終えた。

 俺達、いい夫婦になれるかも知れない。

 ずぶ濡れのシャツを広げると、水がポタポタと落ちた。

 服とか、びしょ濡れのままなんですけど。
 なんで洗濯物を脱水してくれないのだ。
 なんで満足げに電源を落としているんだ。
 こいつう。

 指で軽く突ついて、俺は泣きながら洗濯物を素手で絞った。

 1度や2度じゃない。
 いつもいつも、彼女は絶対に途中で止まった。
 俺の衣類が毎回、必要以上に潤っている。
 友人を笑った罰が当たったのだろうか。

 そんな事情から、俺は洗濯する毎に、いっつも素手で1つ1つ丁寧に、洗濯物を絞る羽目に陥っていた。
 何時代のやり方なんだろうか。

 ってゆうか、ここまで半端な仕事をする洗濯機のどこが愛妻だ。
 そりゃ離婚されるわけだ。
 おかげで握力が強くなっちゃったじゃないか。
 なんかもう、倦怠期。

「めさ、なんでコインランドリーに通うようになったの? 洗濯機あるのに」

 人から不思議がられることも、少なくなかった。

「やっぱそう思う? でも、騙されちゃいけない」

 訊かれる度に、俺は同じことを説明する。

「愛妻号のここ見て。全自動って書いてあるだろ? 騙されちゃいけない。こいつ実は、半自動なんだ」
「何自動だって?」
「半自動。半だ半。いやもうホント、マジで半」

 サイコロの目が奇数だと確信したバクチ打ちみたいなセリフになっていた。

 さて。
 なんで今になって俺は、こんな話を思い出したのか。
 先日、うちに友達が遊びに来たからだ。

「めさ君、パソコン借りていい?」
「ああ、いいよ。ネット接続の仕方、ちょっと普通じゃないけど、解る?」
「解るよ。このアイコンをクリックすればいいんでしょ?」
「そうそう」

 モニター上にはウインドウが開き、回線の状態を示す。
 すぐに「インターネット接続、正常に接続されました」とOKサインが出た。
 友人がマウスを操作し、ホームページ閲覧を試みる。

「ちょっと待って! まだ早い!」

 急な大声だったから、友人はさぞかしびっくりしただろう。

「騙されるな!『正常に接続されました』って出たでしょ? それ、フェイントだから。実はまだ繋がってないから」
「どういうこと?」
「今サイトを開いても、『ページが表示されません』って出るだけだよ」
「なんで?」
「わかんない。でもまだなの。とにかく『正常に接続されました』ってのは嘘だから、もうちょっと待ってて。モニターめっちゃガン見しててね」

 しばらくすると、モニターは瞬きをするかのように、一瞬だけ点滅する。

「はい、OKだよ。もうネットやっても大丈夫」

 友人はやはり、腑に落ちないといった顔つきのままだ。
 仕方なしに、俺は補足をする。

「今、画面が瞬きみたいになったでしょ? それが合図なの。それを見逃すと、いつネットが繋がったのか、わかんない」
「でも、だって、さっき『正常に接続されました』って書いてあったのに?」
「だから騙されるなって言ったんだ。ちなみに、まだ繋がってない状態でネットを開くとね、もうね、台無し。パソコンを再起動して、そんでやり直すしかない」
「マジで? でも、そんな、ってゆうか、何故?」
「うんとね、わかんない。なんか奥が深いねー。全く、どうしたらいいんだか」

 買い換えろ俺。

拍手[6回]

2007
April 01

 今まで使ったことのない嘘。
 ありそうでなさそう、でも有り得る嘘。
 できれば人とカブらない嘘のほうがいい。

 どんな嘘がいいだろうかと、そればかりを考えながら夜道を行く。
 仕事を終えての帰宅途中、家に帰るまでの間に、日記のネタとして嘘を考えなくてはならない。
 今日はエイプリルフールだというのに、俺はうっかりしていて、何も考えていなかったからだ。

 何がいいかな、何がいいかな。

 考え事に夢中になって歩き、十字路に差しかかる。
 上の空だったせいで、勢い良く飛び出してきた子供と見事にぶつかってしまった。
 地面にコンビニ弁当が3つ落ちた。
 どうやら彼の持ち物らしい。

「あ、ごめん!」

 地面に散らばった弁当を拾うと同時に、ふと思った。

 こんな夜分に、どうして小学生が?
 コンビニ弁当3つは、どうして袋に入っていなかったのだろう。
 拾った弁当は冷たい。
 温めてもらわなかったのだろうか。

 もしやと思い、見ていないフリをしながら、視界の狭間で少年を観察する。
 慌てて弁当を回収するせかせかとした態度、痩せ細った体、ボロボロになったトレーナー。

 まさかこのご時世に?
 と思ったのもつかの間、俺の想像は当たってしまったようだ。
 コンビニの制服を着た青年が、遠くからこちらを目指し、走ってきている。

「坊主、そこの自販機に隠れろ」

 拾った弁当を少年に渡しつつ、短く指示する。
 今から逃げてももう遅いと判断したのだろう。
 小学生は顔を真っ青にしながらも、俺の言う通りに、自動販売機の陰に身を潜めた。

「あの、すみません! 今!」

 息を切らせながら、コンビニの店員らしき青年が声をかけてくる。

「今、小学生ぐらいの子供が走ってきませんでした!? 汚いトレーナー着た」
「ああ、それなら」

 俺は背後に続く道を指差す。

「あっちに走っていきましたよ」

 店員は「ありがとうございます」と言いいながら、再び走り出した。
 青年の後ろ姿が見えなくなったことを確認し、自販機の陰に視線を投げる。

「もう大丈夫だぞ」

 声をかけると、恐る恐るといった態度で少年が顔を出した。
 うつむき加減で、彼はもじもじと口を動かす。

「あの、ありがとう、ございます」

 いや、いいんだ。
 君のおかげで、こっちも助かったよ。
 そう告げると少年は不思議そうな顔をした。
 その表情を見なかったことにして、構わず続ける。

「ありがとう。これはお礼だ」

 少年に千円札を握らせる。
 弁当が3つあったということは、彼には自分以外に誰か、飢えさせたくない人がいるのだろう。

「弁当だけじゃ喉が乾くだろ。ジュースでも買うといい」 

 少年は表情を「信じられない」と言いたげな色に変え、おろおろとした。
 俺は腰を下ろすと、目線を彼の高さに合わせる。

「店のお兄さんには悪いけど、今日はエイプリルフールだからな。どんな嘘をつこうか、ずっと悩んでたんだ。でも、おかげでいい嘘がつけた」

 少年はそれでもまだ戸惑っていたけれど、俺は早々にその場を立ち去る。
 早く家に帰って、今のことを日記を書かなくてはならない。

「あの、ありがとう、ございます」

 もう1度だけ、小さな声が聞こえた気がした。

 なーんちゃって。
 もちろん嘘ですよん。
 ホントすんません。
 渡したのは千円じゃなくて、1万円です。

拍手[14回]

2007
March 29

 友人からの電話に出る。

「もしもし、めささん?」

 おーう、お疲れさん。

「こないだ電話くれたでしょ? なんだったの?」

 うむ。
 地元でCDを買おうと思ったの。
 でも、どこに売っているのか分からなくって、訊きたかったんだ。

「そうなんだ? あ、今めささん彼女と一緒でしょ? 電話、大丈夫?」

 ふええ!?
 え、あ、ああ!
 ま、まあね。
 一緒だけど、だだ大丈夫さ。

「見栄っ張り」

 だって。
 だってだって。

「オメーが彼女か」

 だって。
 ってゆうか、彼女かあ。
 たまには恋に落ちたいのう。
 目が合った瞬間、ドラマの主題歌が流れちゃう感じの。
 要所要所で画面下に「トゥー・ビー・コンテニュー」って英語のテロップが入る感じの。

「ベタベタじゃん」

 俺、そういうのが好きなんだよ。
 例えば、そうだなあ。




「遅刻遅刻!」

 食パンを口に咥え、走る。
 転校初日から寝坊しちゃうなんて、おっちょこちょいな自分に腹が立つ。
 急がなくっちゃ。

 猛ダッシュで学校を目指す。

「きゃ!」
「うわ!」

 曲がり角でぶつかった相手は、あたしと同い年ぐらいの男の子だった。

「いて!」
「いったぁ」

 2人とも尻餅をつき、腰をさする。

「ちょっとあんた、どこ見てんのよ!?」
「オメーこそ!」
「何よあんた、態度悪くない!?」
「そりゃお前だよ!」
「何よ!」
「なんだよ!」
「ふん!」

 ホームルームには、どうにか間に合った。
 担任教師がクラス全体を見渡す。

「え~、転校生を紹介する」
「あー!」
「ああ!」

 互いが互いに人差し指を向ける。
 今朝ぶつかったアイツだ。
 まさか同じクラスだったなんて。
 転校初日から、もう最悪。

「なんだお前ら、知り合いだったのか」

 先生が目を丸くする。

「ちょうどいい。君は彼の隣の席に座りなさい」

 ホント最悪。

「ちょっと、教科書見せなさいよ」

 授業が始まって、あたしは奴に声をかける。

「あたしまだ教科書ないの。見せなさいってば」
「知らねえよ。誰がお前なんかに」
「なにあんた、まだ今朝のこと気にしてるわけ? 小さい男ね」
「なんだと!?」
「何よ!」

 先生のメガネが、そこでキラリと光った。

「おーい、お前ら。うるさいぞ。2人とも、廊下に立ってなさい」




 ところが後日、女の子は見ちゃうわけだ。
 土砂降りの中、子猫を拾って帰る彼の背中をね。
 ふうん、アイツ、いいトコもあるんだ。
 みたいな!

「ねえ、めささん。もう電話切りたいんだけど」

 ごめん。
 もうちょっとだけ続けてもいい?

「いいけどさ」

 ところが彼は、クラスのマドンナ、麗子さんのことが好きでね?





「よう、聞いてくれよ!」
「何よ、急に」
「俺、とうとう麗子さんとデートすることになったんだよ!」

 …え…?

 まるで頭を殴られたような衝撃だった。

「あ、そ、そう!? よ、よかった、じゃん…」
「だろう!? でさ、俺、なんかプレゼント買っておこうと思うんだよ。でも何がいいか分からないからさ、お前、一緒に買い物に付き合ってくれねえ?」
「え、いや、あたしは」
「頼むよ。女の子が喜ぶような物、分からないんだ。何がいいんだろうなあ」

 結局断れなくて、アイツは「じゃあ日曜な!」と浮かれながら帰っていった。

 道に落ちていた空き缶を、あたしは蹴飛ばす。

「あーあ~。あたし、何やってんだろ…」

 カコーン。




「ねえねえ」

 なんだよ、これからって時に。

「その話、いつまで続くの?」

 いつまでも。
 取り合えず今日は、卒業式まで。
 あとほんの2時間だけ喋らせて。

「なげーよ! ってゆうかさ、めささんが恋をしたいって話だったんじゃん?」

 うん。

「なんで学生?」

 あ、いっけね。

「あと、めささん、女の子目線なのは何故?」

 あ、いっけね。
 でも、これからだぞ?
 夏休みになって、クラスのみんなと海辺の民宿に泊まりに行くってイベントが発生するんだけどね?

「壁に向かって喋ってて」

 はい。

「じゃあ、そういうことで、お疲れ様でーす」

 はい。
 お疲れ様でした。

 通話を終える。

「ちぇ」

 ここが道路で、もし空き缶があったら蹴飛ばしている。

「彼が夜中にこっそりと部屋を抜け出して、海辺で座ってセンチになるシーンだったのに。もうすぐ女子の名セリフ、『なーに黄昏てんのっ!』のシーンだったのに」

 カコーン。

拍手[4回]

[25] [26] [27] [28] [29] [30] [31] [32]
プロフィール
HN:
めさ
年齢:
49
性別:
男性
誕生日:
1976/01/11
職業:
悪魔
趣味:
アウトドア、料理、格闘技、文章作成、旅行。
自己紹介:
 画像は、自室の天井に設置されたコタツだ。
 友人よ。
 なんで人の留守中に忍び込んで、コタツの熱くなる部分だけを天井に設置して帰るの?

 俺様は悪魔だ。
 ニコニコ動画などに色んな動画を上げてるぜ。

 基本的に、日記のコメントやメールのお返事はできぬ。
 ざまを見よ!
 本当にごめんなさい。
 それでもいいのならコチラをクリックするとメールが送れるぜい。

 当ブログはリンクフリーだ。
 必要なものがあったら遠慮なく気軽に、どこにでも貼ってやって人類を堕落させるといい。
リンク1

Powered by Ninja.blog * TemplateDesign by TMP


Hit

Yicha.jp急上昇キーワード[?]

忍者ブログ[PR]