夢見町の史
Let’s どんまい!
2010
July 19
July 19
るーずぼーいず(前編)
http://yumemicyou.blog.shinobi.jp/Entry/374/
るーずぼーいず(中編)
http://yumemicyou.blog.shinobi.jp/Entry/375/
るーずぼーいず(後編)
http://yumemicyou.blog.shinobi.jp/Entry/376/
------------------------------
店の目の前に止められた黒い車にはスモークが張られ、内部が見られないようになっている。
ドアががちゃりと開いて、愛想の全くない男たちがぞろぞろと降り立った。
後部座席から現れたスーツ姿の男が、眼鏡をクイっと指で押し上げる。
神崎竜平を筆頭に、屈強そうな男3人がルーズ・ボーイの玄関を前にした。
店の外観を見ると窓にはシャッターが下ろされていて、営業しているようには見えない。
寺元康司が気を効かせて店主を脅し、邪魔者が入れないようにしておいたのだろうか。
ヤスにしては悪くねえ配慮だ。
そんなことを思いながら、神崎竜平はドアの取っ手を掴んで押す。
カランコロン。
音を耳にし、店内へ。
素早く見渡すと、客は数人いるようだが営業はやはりしていないらしい雰囲気だ。
既にいた客が余計な通報をしないように寺元康司が全員を閉じ込めていたのだとすれば、間抜けな部下への罰を少しぐらい軽くしてやってもいい。
神埼竜平は部下の姿を探した。
店は奥に向かって縦長の作りをしていて、出入口の付近にテーブル席が3つ、奥にカウンターが続いている。
玄関から最も近いテーブルにはサングラスをかけた老人が1人、おとなしくコーヒーを飲んでいる。
老人の椅子には白い杖が立てかけてあったので、彼の目は機能していないのだろう。
別のテーブル席には20歳そこそこぐらいの男が1人、ただ座ってこちらを見た。
黒のTシャツに細身の体。
顔つきから見ても、彼が素人だと解る。
青年の足元に見覚えのある紙袋が置かれていることが気にかかるところだ。
カウンターの中には店主と思わしき中年の男と、エプロン姿の娘の姿。
自分たちが入店しても挨拶を一切しないことと、その怯えた表情と見る限り、神崎竜平が何者なのかを既に理解している様子である。
カウンター席には未成年者と思われる女が1人でトマトジュースを前にうつむいて座っている。
どう見ても今回の件とは無関係だろう。
そして、店の1番奥の壁に、見覚えのあるパンチパーマがだらしなく倒れているのが見えた。
床に座り込むようにし、壁に背を預けている。
頭から大量の血を流し、どうやら気を失っているのだろう。
微動だにしなかった。
「おいガキ」
近くに座っている黒Tシャツに、神崎竜平は鋭い視線を向ける。
「お前のその、足元の紙袋はなんだ?」
訊くと青年は椅子をガタンと鳴らせて立ち上がる。
「オメーあのチンピラの仲間かよ!? オメーもやんのかよ!? ああ~!?」
やはり素人だ。
神埼竜平は噴き出しそうになる。
明らかに暴力の世界で生きていない者の気配だ。
こんな小僧に、寺元康司は打ち倒されたのだろうか。
細身の男はやかましく続けている。
「オメーらもやんのかよ!? やってやんよ! 俺マジつえーよ!? シャレなんねーよ!?」
これではどこかの中学生だ。
神埼竜平は溜め息混じりに口を開く。
「奥のチンピラやったの、お前か?」
「ああ俺だよ! 秒殺してやったよ! テメーも俺の荷物目当てかよ!?」
「まあそうだ。お前、ちょっとうちに来いよ」
この小僧は事務所で拷問だな。
そう考えて、神崎竜平は笑んだ。
「もう嫌! こんな店!」
不意に甲高い叫び声が上がった。
声の方向に目をやると、小柄な少女が泣きそうな顔をして立っている。
「喧嘩ばっかり! あたしもう帰る!」
少女がスタスタと早足で、玄関から出ていきたいのだろう。
神埼竜平に向かって歩いてきた。
いわゆる逆ギレというやつだ。
怒気を孕ませた少女は勢いよく進み、神崎竜平にドンとぶつかってそのまま店外へと飛び出していった。
「放っとけ」
部下たちが反応するよりも早く、神崎竜平は背後に控える3人に命じた。
警察を呼ぼうだなんて発想を、あの少女はしていない風だったからだ。
「さてと、お前」
若い男に、神崎竜平は再び向き直る。
「外に車が止めてある。ここは俺が奢ってやるから、乗れ」
「やだよバカ! 俺、そんなの乗んねーし!」
その言葉に、神埼竜平の部下たちが顔をこわばらせ、1人が青年の襟首を掴もうと手を伸ばした。
若い男はすると、声を張り上げる。
「レディース、アンド、ジェントルマン!」
次の瞬間、辺りが一瞬にして暗闇になる。
停電か?
いや、小僧の合図で店の人間がブレーカーを落とした!
神埼竜平は頭を巡らせる。
窓のシャッターを閉めていたのは寺元康司の指示ではない。
外から見られないようにするためではなく、表の光が入ってこないようにするためにシャッターは下ろされていたと考えるのが妥当だろう。
どうやらあの店主も事務所行きだな。
車をもう1台手配するか。
背後からは慌てたような部下たちの声がする。
「あれ?」
「んな!」
「な、ちょ! え?」
誰かが暴れるような音はしないが、背後で何事かが起こっているようだ。
闇が深すぎて状況が全く見えない。
神埼竜平はポケットからオイルライターを取り出し、火をつけようとする。
小さな炎はしかし、点けた瞬間に鋭い何かがぶつかってはじき飛ばされてしまった。
「誰だ!」
神埼竜平は思わず声を荒げる。
何者から攻撃されたのか、解らなかったからだ。
ライターが床に落ちた音がした。
オイルライターの火はさっきの鋭い攻撃によってできた風圧のせいで完全に消え去ってしまっている。
携帯電話で明かりをつけても、おそらく先ほどと同じようにはじき飛ばされてしまうに違いなかった。
これでは何も見えない。
「リクエストにお応えしましたよ」
出入り口のほうから老いた声がした。
それが合図だったのか、店の照明が復活する。
振り返ってみると、神崎竜平の部下は3人で手を繋ぐようにして輪になっており、背中を外側にしていた。
「何遊んでんだテメーらァ!」
声を荒げるもしかし、よく見ると部下たちはそれぞれ手を繋いでいるのではなく、手錠で繋がれているではないか。
「種も仕掛けも、まあございます」
テーブル席に座っていたはずの老人はいつの間にか立ち上がっていて、穏やかに笑顔を見せていた。
そうか!
と、神崎竜平は納得をする。
最初から目が見えないこのじじいにとって、闇はハンデにならない!
「じじい、テメーもグルか」
神埼竜平は静かに老人に詰め寄る。
「手錠の鍵はじいさん、あんたを痛めつけたらお貸し願えますかね?」
「じいちゃん!」
カウンターの中からウエイトレスの女が叫び、こちらに駆け寄った。
「あんた、こんな年寄りに暴力振るう気!?」
神埼竜平は笑う。
「お嬢ちゃん、俺ァこれでも平等をモットーにしているんだ。ガキだろうがじじいだろうが、お痛が過ぎた奴にゃあ手加減しねえ。もちろん、お前みたいな女にもな…!」
こみ上げるかのような神崎竜平の怒りの気配に、店内はゾッと静まり返る。
「さてと、じいさん、目だけでなく、耳も聴こえなくしてやろうか?」
「待て!」
ウエイトレスは勇ましく、神崎竜平と老人の間に割って入る。
「あんたなんて、棒さえあれば!」
娘が取ったその行動に、店主らしき男と黒Tシャツが初めて慌てたような態度を取った。
「由衣ちゃん!」
「変なアドリブ効かせんな由衣!」
「うっさい!」
ウエイトレスは続けて、老人が手にしていた白杖を奪い取る。
「じいちゃん、杖借りるね!」
女はそれを持って構え、杖の先端を神崎竜平の喉元に向けた。
なかなか堂に入った構えだ。
この女、できるな。
神埼竜平はそう感じた。
しかし獲物が刀だったらまだしも、たかが杖では自分を倒すことはできないことを知っている。
「由衣ちゃん、その杖は…」
「黙っててじいちゃん!」
由衣と呼ばれた女は杖を構え、じりじりと間合いを詰め寄った。
杖を掴んで奪うと同時に、この女は殴って前歯を数本折ってやろう。
神埼竜平が拳を軽く握る。
女が手にしていた杖がバサっと音を立てるのと、神崎竜平がそれを掴んだのは同時だ。
確かに白い杖だったはずの物体が、一瞬にして花束に変化している。
「なんだこりゃ」
思わぬ展開に、神崎竜平は丸くした目を手元にやった。
奪ったはずの杖が、花束になっている。
「由衣ちゃん、その杖はだね」
「うん。ごめんね、じいちゃん」
神埼竜平が見ると、ウエイトレスが申し訳なさそうな目をこちらに向けている。
女は奪い取られた花束を手で示した。
「その、よかったら、記念にどうぞ」
神埼竜平は花を後ろに放り投げ、スーツの内ポケットに手を忍ばせる。
拳銃を取り出すと、それをゆっくりと店内に向けた。
「なんなんだ、テメーらは」
銃口を見せつけられて、店内が沈黙をする。
「気が変わった」
神埼竜平は、もはや笑っていない。
「部下とブツだけ回収するつもりだったが、オメーら全員事務所までご足労願おうか」
銃で脅し、神崎竜平は老人もウエイトレスも黒Tシャツも、店の奥へと追いやった。
「その銃を捨てなさい!」
怖いもの知らずなのか、ウエイトレスが再び勇む。
見れば彼女も銃を持ち、こちらに向けているではないか。
ヤスの野郎に貸した銃じゃねえか。
あの野郎、銃まで奪われやがって。
と、神崎竜平は奥で気絶している部下を睨む。
「お前」
神埼竜平はウエイトレスの顔に銃口を突き出す。
「人が撃てるのか?」
その冷たい口調はまるで「俺は撃てるぜ」と言わんばかりだ。
「あんま撃てない」
ウエイトレスは正直だった。
「でも、あんただって撃てないクセに!」
「はは」
神埼竜平は呆れたように笑う。
「ここで人をバラしちゃ足がつくからな、確かに今は殺せない。でもなあ、お嬢ちゃん。銃は何も殺しだけに使うもんじゃねえ。指の何本かを吹き飛ばすことだってできるんだ」
神埼竜平は銃口を女の手元に定め、「こんな風にな」と引き金を引いた。
ポン。
銃声では有り得ない、間の抜けた音が鳴る。
銃口からは、小さな花が咲いていた。
「なんだと!?」
神埼竜平が驚きの声を上げた。
------------------------------
「ここだよね?」
メモを片手に、相沢ひとみが訪れたのは小さめのビルだ。
事務所に掲げられた看板を確認して、少女は玄関の前にしゃがみ込む。
鞄から、小さく折りたたまれた紙袋を取り出した。
中には空になったビニール袋が入っていて、鑑識がこれを調べれば1発で麻薬が付着していることを見抜くだろう。
ここに紙袋を放置すれば、浅野大地からの頼まれ事は完了だ。
これでルーズ・ボーイで歌を唄わせてもらえるよう、マスターを説得してもらえる!
「でも、またあたし嘘ついちゃった」
相沢ひとみはペロっと舌を出す。
「もう絶対にスリはしませんって言ったけど、でもしょうがないよね」
相沢ひとみは紙袋を広げて、先ほど神崎竜平の上着から抜き取った拳銃を、ついでだからと中に入れた。
------------------------------
神崎竜平の股間に衝撃があった。
自分の銃が花を咲かせた瞬間にできた隙を突かれたのだ。
目にも留まらぬ素早い蹴りが小さく浅く、一瞬で神崎竜平の急所を打った。
痛みを感じるまでの刹那、今度はパンと顔面に鞭のような打撃が続く。
目と鼻、そして股間の痛みが襲ってきて、神崎竜平はわずかに腰を折って前かがみになった。
今度はドスンと首の後ろに重たい何かが振り下ろされる。
どうやら手刀を叩き込まれたらしい。
遠のく意識の中で、神崎竜平は最後に見た一瞬の影を思い返す。
あの黒Tシャツの男は、素人じゃなかった。
ライターを叩き落としたのもこいつだったのだ。
「だから言ったろ? 俺マジつえーって」
遥か彼方から、憎たらしい声が聞こえる。
------------------------------
やって来たパトカーに、4人の暴力団が連れ去られてゆく。
マスターが警察官に事情を説明している頃、ドサクサに紛れて店を出た寺元康司は公衆トイレで体を拭いていた。
トマトジュースの匂いが取れないが、このアロハシャツは洗って今日の記念にしておこう。
その発想は寺元康司を嬉しい気持ちにさせた。
「あとね、お巡りさん」
ルーズ・ボーイでは浅野大地がマスターの説明に補足をする。
「僕のこの枕を奪おうとしてたあの人たち、麻薬がどうのこうの言ってたんですよね。だから彼らの事務所とか調べたら、なんか出てくるかも知れません」
------------------------------
「早く行かなきゃ、席がないかも」
「そうだな」
浅野大地と西塚由衣は今日もルーズ・ボーイにつま先を向ける。
ニュース番組でインタビューに応えた西塚司の言葉はこうだ。
「皆さんで協力して、麻薬の売人たちを捕まえたんですよ。人を幸せにするこの店の常連で、私はよかった」
目立ちたがりの西塚由衣も、祖父に続く。
「暴力団の人たちが逮捕されるのも当たり前って感じですかねー。ここ、常連客が持ち込むトラブルが全部解決されちゃうお店だから」
そのトラブルとやらをあれほどまでに嫌っていたマスターまでもがカメラを意識して、
「うちの店の名はルーズ・ボーイ。文字通り不良って意味です。ちょっとやそっとのフダツキなら歓迎ですがね、人様に迷惑をかけるような輩なら私は許しません」
さり気なく宣伝までしていた。
あの事件から2ヶ月。
浅野大地が店のドアを押し開け、西塚由衣が続く。
「いらっしゃーい!」
相沢ひとみが歓迎をしてくれた。
「由衣ちゃん、大地さん、こっち空いてるよー!」
「おー! ありがとー!」
2人がカウンター席に腰を降ろすと、他の客が相沢ひとみに声をかけている。
「ひとみちゃん、今日は唄わないの?」
「唄うよー! 司さんのマジックショーのあとに!」
「司さんの手品、やっぱ生バンドの演奏があるだけで格段にカッコよくなったよね」
「でしょー。あたしが連れてきた仲間だもん!」
マスターはというと、今日も忙しそうだ。
シェイカーを振っているマスターに、浅野大地が声を通す。
「マスター、あとででいいから、俺にいつものやつくださーい!」
「はいよー!」
「あたしもいつもの! 忙しそうなのに、ごめんねマスター」
「全くだ」
マスターが白い歯を見せる。
「あの事件以来、毎日クタクタだよ。由衣ちゃん、本気でウエイトレスやってくれないか?」
「あはは。考えとく」
「ひとみちゃんが唄ってる間は、私以外誰もいなくなるからね。人手が足りなくってしょうがない」
マスターは続けて「ああ忙しい」と楽しそうに嫌がった。
「お! そろそろだ!」
照明が暗くなって、店の奥をスポットライトが照らす。
ギターとベースの音がして、マジックショーのオープニングを告げた。
リズムを取っているのはトライアングルで、これが見物の1つとなっている。
三角形の鉄の棒は時に激しく、時に優しく連打され、小刻みでリズミカルな音を出す。
それまでのポリシーだったパンチパーマはすっかり取られ、寺元康司は勝負服である小汚いアロハシャツを今日も着て演奏に励んでいる。
スーツを着こんで登場したのは、西塚司だ。
老人はサングラス越しに客席に笑顔を向け、発音よく「レディース、アンド、ジェントルマン」と声を出した。
盛大な拍手が店内に響き渡って、老人が一礼する。
「今日もつたないながら、手品を披露させていただきますので、お見苦しいかも知れませんけれどお付き合い願います。その我慢を皆さんがなさったあとは、お待ちかね。ウエイトレスのひとみちゃんが歌を聴かせてくださいます。美しい歌い手さんは、私などの手品よりも絵になるに違いありません。おっと、美しいかどうか、私は目が見えないんでした」
どっと笑い声が起こる。
「はい、お待たせ」
マスターが浅野大地と西塚由衣の前にそれぞれ飲み物を置いて、声を小さくした。
「君たち、ライブのあと用事ないだろ? 残ってくれないか。あのときのメンバー全員、今日は私の奢りだ」
「いいの?」
と、西塚由衣。
「まあ、あのときと、あと今日のお礼だよ」
マスターが微笑んだ。
「続きましてのマジックは」
西塚司がハンカチを手に取る。
「親愛なるルーズ・ボーイのマスターにご協力いただきましょうか」
「え、私!?」
「さ、マスター、どうぞこちらに」
ヒューヒューと、客たちが沸き上がる。
西塚司はマスターの両手にハンカチを被せ、一瞬にしてそれをどかせる。
するとマスターの手には一体どこから出現したのか、大きな花束が持たされていた。
驚くマスターを尻目に、老人が嬉しそうな顔をする。
「手錠のマジックは、さすがに皆さん見飽きたことでしょう。そこで今日は特別な日ですから、少し趣向を変えさせていただきました」
称えるように、西塚司はマスターに両手の平を差し出した。
「ハッピーバースデイ、マスター!」
手品師の声と同時に演奏曲が変わり、誕生日を祝う曲になる。
いつの間にか相沢ひとみがエプロンを外し、簡易的に作られたステージに立っていた。
美しい歌声がして、客たちがそれに続く。
暖かい歌声の中には、浅野大地と西塚由衣のものも含まれていた。
――了――
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るーずぼーいず(中編)
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店の目の前に止められた黒い車にはスモークが張られ、内部が見られないようになっている。
ドアががちゃりと開いて、愛想の全くない男たちがぞろぞろと降り立った。
後部座席から現れたスーツ姿の男が、眼鏡をクイっと指で押し上げる。
神崎竜平を筆頭に、屈強そうな男3人がルーズ・ボーイの玄関を前にした。
店の外観を見ると窓にはシャッターが下ろされていて、営業しているようには見えない。
寺元康司が気を効かせて店主を脅し、邪魔者が入れないようにしておいたのだろうか。
ヤスにしては悪くねえ配慮だ。
そんなことを思いながら、神崎竜平はドアの取っ手を掴んで押す。
カランコロン。
音を耳にし、店内へ。
素早く見渡すと、客は数人いるようだが営業はやはりしていないらしい雰囲気だ。
既にいた客が余計な通報をしないように寺元康司が全員を閉じ込めていたのだとすれば、間抜けな部下への罰を少しぐらい軽くしてやってもいい。
神埼竜平は部下の姿を探した。
店は奥に向かって縦長の作りをしていて、出入口の付近にテーブル席が3つ、奥にカウンターが続いている。
玄関から最も近いテーブルにはサングラスをかけた老人が1人、おとなしくコーヒーを飲んでいる。
老人の椅子には白い杖が立てかけてあったので、彼の目は機能していないのだろう。
別のテーブル席には20歳そこそこぐらいの男が1人、ただ座ってこちらを見た。
黒のTシャツに細身の体。
顔つきから見ても、彼が素人だと解る。
青年の足元に見覚えのある紙袋が置かれていることが気にかかるところだ。
カウンターの中には店主と思わしき中年の男と、エプロン姿の娘の姿。
自分たちが入店しても挨拶を一切しないことと、その怯えた表情と見る限り、神崎竜平が何者なのかを既に理解している様子である。
カウンター席には未成年者と思われる女が1人でトマトジュースを前にうつむいて座っている。
どう見ても今回の件とは無関係だろう。
そして、店の1番奥の壁に、見覚えのあるパンチパーマがだらしなく倒れているのが見えた。
床に座り込むようにし、壁に背を預けている。
頭から大量の血を流し、どうやら気を失っているのだろう。
微動だにしなかった。
「おいガキ」
近くに座っている黒Tシャツに、神崎竜平は鋭い視線を向ける。
「お前のその、足元の紙袋はなんだ?」
訊くと青年は椅子をガタンと鳴らせて立ち上がる。
「オメーあのチンピラの仲間かよ!? オメーもやんのかよ!? ああ~!?」
やはり素人だ。
神埼竜平は噴き出しそうになる。
明らかに暴力の世界で生きていない者の気配だ。
こんな小僧に、寺元康司は打ち倒されたのだろうか。
細身の男はやかましく続けている。
「オメーらもやんのかよ!? やってやんよ! 俺マジつえーよ!? シャレなんねーよ!?」
これではどこかの中学生だ。
神埼竜平は溜め息混じりに口を開く。
「奥のチンピラやったの、お前か?」
「ああ俺だよ! 秒殺してやったよ! テメーも俺の荷物目当てかよ!?」
「まあそうだ。お前、ちょっとうちに来いよ」
この小僧は事務所で拷問だな。
そう考えて、神崎竜平は笑んだ。
「もう嫌! こんな店!」
不意に甲高い叫び声が上がった。
声の方向に目をやると、小柄な少女が泣きそうな顔をして立っている。
「喧嘩ばっかり! あたしもう帰る!」
少女がスタスタと早足で、玄関から出ていきたいのだろう。
神埼竜平に向かって歩いてきた。
いわゆる逆ギレというやつだ。
怒気を孕ませた少女は勢いよく進み、神崎竜平にドンとぶつかってそのまま店外へと飛び出していった。
「放っとけ」
部下たちが反応するよりも早く、神崎竜平は背後に控える3人に命じた。
警察を呼ぼうだなんて発想を、あの少女はしていない風だったからだ。
「さてと、お前」
若い男に、神崎竜平は再び向き直る。
「外に車が止めてある。ここは俺が奢ってやるから、乗れ」
「やだよバカ! 俺、そんなの乗んねーし!」
その言葉に、神埼竜平の部下たちが顔をこわばらせ、1人が青年の襟首を掴もうと手を伸ばした。
若い男はすると、声を張り上げる。
「レディース、アンド、ジェントルマン!」
次の瞬間、辺りが一瞬にして暗闇になる。
停電か?
いや、小僧の合図で店の人間がブレーカーを落とした!
神埼竜平は頭を巡らせる。
窓のシャッターを閉めていたのは寺元康司の指示ではない。
外から見られないようにするためではなく、表の光が入ってこないようにするためにシャッターは下ろされていたと考えるのが妥当だろう。
どうやらあの店主も事務所行きだな。
車をもう1台手配するか。
背後からは慌てたような部下たちの声がする。
「あれ?」
「んな!」
「な、ちょ! え?」
誰かが暴れるような音はしないが、背後で何事かが起こっているようだ。
闇が深すぎて状況が全く見えない。
神埼竜平はポケットからオイルライターを取り出し、火をつけようとする。
小さな炎はしかし、点けた瞬間に鋭い何かがぶつかってはじき飛ばされてしまった。
「誰だ!」
神埼竜平は思わず声を荒げる。
何者から攻撃されたのか、解らなかったからだ。
ライターが床に落ちた音がした。
オイルライターの火はさっきの鋭い攻撃によってできた風圧のせいで完全に消え去ってしまっている。
携帯電話で明かりをつけても、おそらく先ほどと同じようにはじき飛ばされてしまうに違いなかった。
これでは何も見えない。
「リクエストにお応えしましたよ」
出入り口のほうから老いた声がした。
それが合図だったのか、店の照明が復活する。
振り返ってみると、神崎竜平の部下は3人で手を繋ぐようにして輪になっており、背中を外側にしていた。
「何遊んでんだテメーらァ!」
声を荒げるもしかし、よく見ると部下たちはそれぞれ手を繋いでいるのではなく、手錠で繋がれているではないか。
「種も仕掛けも、まあございます」
テーブル席に座っていたはずの老人はいつの間にか立ち上がっていて、穏やかに笑顔を見せていた。
そうか!
と、神崎竜平は納得をする。
最初から目が見えないこのじじいにとって、闇はハンデにならない!
「じじい、テメーもグルか」
神埼竜平は静かに老人に詰め寄る。
「手錠の鍵はじいさん、あんたを痛めつけたらお貸し願えますかね?」
「じいちゃん!」
カウンターの中からウエイトレスの女が叫び、こちらに駆け寄った。
「あんた、こんな年寄りに暴力振るう気!?」
神埼竜平は笑う。
「お嬢ちゃん、俺ァこれでも平等をモットーにしているんだ。ガキだろうがじじいだろうが、お痛が過ぎた奴にゃあ手加減しねえ。もちろん、お前みたいな女にもな…!」
こみ上げるかのような神崎竜平の怒りの気配に、店内はゾッと静まり返る。
「さてと、じいさん、目だけでなく、耳も聴こえなくしてやろうか?」
「待て!」
ウエイトレスは勇ましく、神崎竜平と老人の間に割って入る。
「あんたなんて、棒さえあれば!」
娘が取ったその行動に、店主らしき男と黒Tシャツが初めて慌てたような態度を取った。
「由衣ちゃん!」
「変なアドリブ効かせんな由衣!」
「うっさい!」
ウエイトレスは続けて、老人が手にしていた白杖を奪い取る。
「じいちゃん、杖借りるね!」
女はそれを持って構え、杖の先端を神崎竜平の喉元に向けた。
なかなか堂に入った構えだ。
この女、できるな。
神埼竜平はそう感じた。
しかし獲物が刀だったらまだしも、たかが杖では自分を倒すことはできないことを知っている。
「由衣ちゃん、その杖は…」
「黙っててじいちゃん!」
由衣と呼ばれた女は杖を構え、じりじりと間合いを詰め寄った。
杖を掴んで奪うと同時に、この女は殴って前歯を数本折ってやろう。
神埼竜平が拳を軽く握る。
女が手にしていた杖がバサっと音を立てるのと、神崎竜平がそれを掴んだのは同時だ。
確かに白い杖だったはずの物体が、一瞬にして花束に変化している。
「なんだこりゃ」
思わぬ展開に、神崎竜平は丸くした目を手元にやった。
奪ったはずの杖が、花束になっている。
「由衣ちゃん、その杖はだね」
「うん。ごめんね、じいちゃん」
神埼竜平が見ると、ウエイトレスが申し訳なさそうな目をこちらに向けている。
女は奪い取られた花束を手で示した。
「その、よかったら、記念にどうぞ」
神埼竜平は花を後ろに放り投げ、スーツの内ポケットに手を忍ばせる。
拳銃を取り出すと、それをゆっくりと店内に向けた。
「なんなんだ、テメーらは」
銃口を見せつけられて、店内が沈黙をする。
「気が変わった」
神埼竜平は、もはや笑っていない。
「部下とブツだけ回収するつもりだったが、オメーら全員事務所までご足労願おうか」
銃で脅し、神崎竜平は老人もウエイトレスも黒Tシャツも、店の奥へと追いやった。
「その銃を捨てなさい!」
怖いもの知らずなのか、ウエイトレスが再び勇む。
見れば彼女も銃を持ち、こちらに向けているではないか。
ヤスの野郎に貸した銃じゃねえか。
あの野郎、銃まで奪われやがって。
と、神崎竜平は奥で気絶している部下を睨む。
「お前」
神埼竜平はウエイトレスの顔に銃口を突き出す。
「人が撃てるのか?」
その冷たい口調はまるで「俺は撃てるぜ」と言わんばかりだ。
「あんま撃てない」
ウエイトレスは正直だった。
「でも、あんただって撃てないクセに!」
「はは」
神埼竜平は呆れたように笑う。
「ここで人をバラしちゃ足がつくからな、確かに今は殺せない。でもなあ、お嬢ちゃん。銃は何も殺しだけに使うもんじゃねえ。指の何本かを吹き飛ばすことだってできるんだ」
神埼竜平は銃口を女の手元に定め、「こんな風にな」と引き金を引いた。
ポン。
銃声では有り得ない、間の抜けた音が鳴る。
銃口からは、小さな花が咲いていた。
「なんだと!?」
神埼竜平が驚きの声を上げた。
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「ここだよね?」
メモを片手に、相沢ひとみが訪れたのは小さめのビルだ。
事務所に掲げられた看板を確認して、少女は玄関の前にしゃがみ込む。
鞄から、小さく折りたたまれた紙袋を取り出した。
中には空になったビニール袋が入っていて、鑑識がこれを調べれば1発で麻薬が付着していることを見抜くだろう。
ここに紙袋を放置すれば、浅野大地からの頼まれ事は完了だ。
これでルーズ・ボーイで歌を唄わせてもらえるよう、マスターを説得してもらえる!
「でも、またあたし嘘ついちゃった」
相沢ひとみはペロっと舌を出す。
「もう絶対にスリはしませんって言ったけど、でもしょうがないよね」
相沢ひとみは紙袋を広げて、先ほど神崎竜平の上着から抜き取った拳銃を、ついでだからと中に入れた。
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神崎竜平の股間に衝撃があった。
自分の銃が花を咲かせた瞬間にできた隙を突かれたのだ。
目にも留まらぬ素早い蹴りが小さく浅く、一瞬で神崎竜平の急所を打った。
痛みを感じるまでの刹那、今度はパンと顔面に鞭のような打撃が続く。
目と鼻、そして股間の痛みが襲ってきて、神崎竜平はわずかに腰を折って前かがみになった。
今度はドスンと首の後ろに重たい何かが振り下ろされる。
どうやら手刀を叩き込まれたらしい。
遠のく意識の中で、神崎竜平は最後に見た一瞬の影を思い返す。
あの黒Tシャツの男は、素人じゃなかった。
ライターを叩き落としたのもこいつだったのだ。
「だから言ったろ? 俺マジつえーって」
遥か彼方から、憎たらしい声が聞こえる。
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やって来たパトカーに、4人の暴力団が連れ去られてゆく。
マスターが警察官に事情を説明している頃、ドサクサに紛れて店を出た寺元康司は公衆トイレで体を拭いていた。
トマトジュースの匂いが取れないが、このアロハシャツは洗って今日の記念にしておこう。
その発想は寺元康司を嬉しい気持ちにさせた。
「あとね、お巡りさん」
ルーズ・ボーイでは浅野大地がマスターの説明に補足をする。
「僕のこの枕を奪おうとしてたあの人たち、麻薬がどうのこうの言ってたんですよね。だから彼らの事務所とか調べたら、なんか出てくるかも知れません」
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「早く行かなきゃ、席がないかも」
「そうだな」
浅野大地と西塚由衣は今日もルーズ・ボーイにつま先を向ける。
ニュース番組でインタビューに応えた西塚司の言葉はこうだ。
「皆さんで協力して、麻薬の売人たちを捕まえたんですよ。人を幸せにするこの店の常連で、私はよかった」
目立ちたがりの西塚由衣も、祖父に続く。
「暴力団の人たちが逮捕されるのも当たり前って感じですかねー。ここ、常連客が持ち込むトラブルが全部解決されちゃうお店だから」
そのトラブルとやらをあれほどまでに嫌っていたマスターまでもがカメラを意識して、
「うちの店の名はルーズ・ボーイ。文字通り不良って意味です。ちょっとやそっとのフダツキなら歓迎ですがね、人様に迷惑をかけるような輩なら私は許しません」
さり気なく宣伝までしていた。
あの事件から2ヶ月。
浅野大地が店のドアを押し開け、西塚由衣が続く。
「いらっしゃーい!」
相沢ひとみが歓迎をしてくれた。
「由衣ちゃん、大地さん、こっち空いてるよー!」
「おー! ありがとー!」
2人がカウンター席に腰を降ろすと、他の客が相沢ひとみに声をかけている。
「ひとみちゃん、今日は唄わないの?」
「唄うよー! 司さんのマジックショーのあとに!」
「司さんの手品、やっぱ生バンドの演奏があるだけで格段にカッコよくなったよね」
「でしょー。あたしが連れてきた仲間だもん!」
マスターはというと、今日も忙しそうだ。
シェイカーを振っているマスターに、浅野大地が声を通す。
「マスター、あとででいいから、俺にいつものやつくださーい!」
「はいよー!」
「あたしもいつもの! 忙しそうなのに、ごめんねマスター」
「全くだ」
マスターが白い歯を見せる。
「あの事件以来、毎日クタクタだよ。由衣ちゃん、本気でウエイトレスやってくれないか?」
「あはは。考えとく」
「ひとみちゃんが唄ってる間は、私以外誰もいなくなるからね。人手が足りなくってしょうがない」
マスターは続けて「ああ忙しい」と楽しそうに嫌がった。
「お! そろそろだ!」
照明が暗くなって、店の奥をスポットライトが照らす。
ギターとベースの音がして、マジックショーのオープニングを告げた。
リズムを取っているのはトライアングルで、これが見物の1つとなっている。
三角形の鉄の棒は時に激しく、時に優しく連打され、小刻みでリズミカルな音を出す。
それまでのポリシーだったパンチパーマはすっかり取られ、寺元康司は勝負服である小汚いアロハシャツを今日も着て演奏に励んでいる。
スーツを着こんで登場したのは、西塚司だ。
老人はサングラス越しに客席に笑顔を向け、発音よく「レディース、アンド、ジェントルマン」と声を出した。
盛大な拍手が店内に響き渡って、老人が一礼する。
「今日もつたないながら、手品を披露させていただきますので、お見苦しいかも知れませんけれどお付き合い願います。その我慢を皆さんがなさったあとは、お待ちかね。ウエイトレスのひとみちゃんが歌を聴かせてくださいます。美しい歌い手さんは、私などの手品よりも絵になるに違いありません。おっと、美しいかどうか、私は目が見えないんでした」
どっと笑い声が起こる。
「はい、お待たせ」
マスターが浅野大地と西塚由衣の前にそれぞれ飲み物を置いて、声を小さくした。
「君たち、ライブのあと用事ないだろ? 残ってくれないか。あのときのメンバー全員、今日は私の奢りだ」
「いいの?」
と、西塚由衣。
「まあ、あのときと、あと今日のお礼だよ」
マスターが微笑んだ。
「続きましてのマジックは」
西塚司がハンカチを手に取る。
「親愛なるルーズ・ボーイのマスターにご協力いただきましょうか」
「え、私!?」
「さ、マスター、どうぞこちらに」
ヒューヒューと、客たちが沸き上がる。
西塚司はマスターの両手にハンカチを被せ、一瞬にしてそれをどかせる。
するとマスターの手には一体どこから出現したのか、大きな花束が持たされていた。
驚くマスターを尻目に、老人が嬉しそうな顔をする。
「手錠のマジックは、さすがに皆さん見飽きたことでしょう。そこで今日は特別な日ですから、少し趣向を変えさせていただきました」
称えるように、西塚司はマスターに両手の平を差し出した。
「ハッピーバースデイ、マスター!」
手品師の声と同時に演奏曲が変わり、誕生日を祝う曲になる。
いつの間にか相沢ひとみがエプロンを外し、簡易的に作られたステージに立っていた。
美しい歌声がして、客たちがそれに続く。
暖かい歌声の中には、浅野大地と西塚由衣のものも含まれていた。
――了――
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あとがきです。
完結させて思ったのが、「書いててめちゃ楽しかった!」と素直な気持ちでした。
皆さん、いかがでしたでしょうか?
この物語は長編小説「will」の1年前の起った出来事ですので、文章の終わりは「了」ではなく、「willに続く」としようか迷いましたけれど、これはこれで完結されたお話なのでやめておきました。
このもストーリーは演劇用にと以前考案したもので、小説として表現するには不向きかなあなんて思っていたのですけども、書いて充実させていただきました。
実は今、やってみたいことがあります。
俺は最近動画作りを楽しんでいるのですけども、この話で自作映画を撮りたいなあ、と。
絵描きさんと素人声優だけで紙芝居の凄いやつを作ってもいいし、実際に集まれる人たちで演技してもらって撮影するのでも楽しそうです。
年内には無理でしょうけども、いつかそんな動画をアップしてやろうと、熱く考えていますので、その際はぜひご覧くださいませ。
それと裏話なんですけれど、このルーズ・ボーイがある町には名前がつけられています。
俺のブログタイトルにある「夢見町」がそれです。
この夢見町の住人たちが主人公になっているお話が、俺の中には実はめちゃめちゃたくさんあって、もういっそ全部書いてしまおうかと考えています。
だけど今はwillを終わらせていないので、やっぱり先の話になるでしょうね。
読んでいただけるようなら、少々willにお付き合いくださいませ。
さて、あとがきは以上です。
次回は悪魔ぶってラジオ動画をアップしますので、そちらもよろしくお願いいたします。
めさでした。
今夜は仕事がお休みだから、この話を持ってマスターんとこにでも行こうかな。
書き上げた自分にご褒美ってことで。
皆さん、いかがでしたでしょうか?
この物語は長編小説「will」の1年前の起った出来事ですので、文章の終わりは「了」ではなく、「willに続く」としようか迷いましたけれど、これはこれで完結されたお話なのでやめておきました。
このもストーリーは演劇用にと以前考案したもので、小説として表現するには不向きかなあなんて思っていたのですけども、書いて充実させていただきました。
実は今、やってみたいことがあります。
俺は最近動画作りを楽しんでいるのですけども、この話で自作映画を撮りたいなあ、と。
絵描きさんと素人声優だけで紙芝居の凄いやつを作ってもいいし、実際に集まれる人たちで演技してもらって撮影するのでも楽しそうです。
年内には無理でしょうけども、いつかそんな動画をアップしてやろうと、熱く考えていますので、その際はぜひご覧くださいませ。
それと裏話なんですけれど、このルーズ・ボーイがある町には名前がつけられています。
俺のブログタイトルにある「夢見町」がそれです。
この夢見町の住人たちが主人公になっているお話が、俺の中には実はめちゃめちゃたくさんあって、もういっそ全部書いてしまおうかと考えています。
だけど今はwillを終わらせていないので、やっぱり先の話になるでしょうね。
読んでいただけるようなら、少々willにお付き合いくださいませ。
さて、あとがきは以上です。
次回は悪魔ぶってラジオ動画をアップしますので、そちらもよろしくお願いいたします。
めさでした。
今夜は仕事がお休みだから、この話を持ってマスターんとこにでも行こうかな。
書き上げた自分にご褒美ってことで。