夢見町の史
Let’s どんまい!
2007
March 19
March 19
創作物を考えるにあたって気を遣うことの1つが、キャラクター設定だ。
冷たい奴、人間味のある奴、明るい奴、ネガティブな奴。
弱い奴、強い奴、笑い上戸に泣き上戸と、とにかく色々、無い頭を一生懸命に振り絞っている。
いつか、インパクトのあるキャラクターを生み出してみたい。
いや、いつかとは言わず、今から考えてみようじゃないの。
いっつも壷を持ち歩いている奴なんて、どうだろう。
他人に壷のフタを開けられそうになると、有り得ないぐらいマジギレすんの。
「キエエエエイ! 他のことはともかく、それだけは駄目だ! 絶対にやっちゃ駄目なんだ!」
壷の中身は、作者にも解らない。
特技は、体感温度がやたら正確。
「ふうむ。今まさに、25度に達しましたね。例年よりも2度高い」
芸術的に地味だ。
口癖も設定しておこうかな。
「あ~。ハトの首、固定したいですねえ」
なんか怖いが、これは1日に3回言わせよう。
そうだ。
将来の夢を熱く語らせた日にはもう、好感度が上がるのではないだろうか。
「いつか、絶対に僕は、穴を掘って地球を貫通させるんですよ!」
逆に応援してしまいたい。
幼少時代のエピソードも必要だな。
「僕は毎日、暗い台所で1人、体育座りで、自分の鳥肌の数を数えていましたよ。いつも2000までは数えられたんですが、その後どうしても肌が元に…。くう…ッ!」
なぜ泣く。
「その頃からですよ。壷だけが、僕の宝物なんだ」
話の繋がりが見えない。
「しまったあ! 今日は火曜日なのに、水曜日用の壷を持ってきてしまったあ! これじゃあ失敗じゃないかあ!」
失敗なのはお前のキャラ設定だ。
「む! いけません! 温度がまた1度だけ上がりましたよ! これはいけません!」
どんな立場で心配しているのか。
「それにしても、ハトの首、固定したいですねえ」
ハトに恨みでもあるのだろうか。
「ハンドルネームですか? シャインです」
惜しげもなく恥ずかしい。
無駄な恰好良さが腹立たしい。
「それにしても、ハトの首、固定したいですねえ」
ここまで共感を覚えられない願望も珍しい。
だいたいこのキャラ、名前をどうしよう。
田中とか鈴木にしたら、田中さんや鈴木さんに失礼な気がする。
有り得ない名前が相応しい。
「名前ですか? ここでは仮に、ヴィヴィアンと名乗っておきましょうか」
女性ー!?
ってゆうか仮にって何だよ!
源氏名かよ!
どんな店で働いてんだよ!
「店の詳細、全国ネットで言ってもいいんですかねえ?」
言えねえような職種なんだ!?
キャラクターが勝手に動き出すとは、よく言ったものである。
それにしても、壷の中身が気になる。
冷たい奴、人間味のある奴、明るい奴、ネガティブな奴。
弱い奴、強い奴、笑い上戸に泣き上戸と、とにかく色々、無い頭を一生懸命に振り絞っている。
いつか、インパクトのあるキャラクターを生み出してみたい。
いや、いつかとは言わず、今から考えてみようじゃないの。
いっつも壷を持ち歩いている奴なんて、どうだろう。
他人に壷のフタを開けられそうになると、有り得ないぐらいマジギレすんの。
「キエエエエイ! 他のことはともかく、それだけは駄目だ! 絶対にやっちゃ駄目なんだ!」
壷の中身は、作者にも解らない。
特技は、体感温度がやたら正確。
「ふうむ。今まさに、25度に達しましたね。例年よりも2度高い」
芸術的に地味だ。
口癖も設定しておこうかな。
「あ~。ハトの首、固定したいですねえ」
なんか怖いが、これは1日に3回言わせよう。
そうだ。
将来の夢を熱く語らせた日にはもう、好感度が上がるのではないだろうか。
「いつか、絶対に僕は、穴を掘って地球を貫通させるんですよ!」
逆に応援してしまいたい。
幼少時代のエピソードも必要だな。
「僕は毎日、暗い台所で1人、体育座りで、自分の鳥肌の数を数えていましたよ。いつも2000までは数えられたんですが、その後どうしても肌が元に…。くう…ッ!」
なぜ泣く。
「その頃からですよ。壷だけが、僕の宝物なんだ」
話の繋がりが見えない。
「しまったあ! 今日は火曜日なのに、水曜日用の壷を持ってきてしまったあ! これじゃあ失敗じゃないかあ!」
失敗なのはお前のキャラ設定だ。
「む! いけません! 温度がまた1度だけ上がりましたよ! これはいけません!」
どんな立場で心配しているのか。
「それにしても、ハトの首、固定したいですねえ」
ハトに恨みでもあるのだろうか。
「ハンドルネームですか? シャインです」
惜しげもなく恥ずかしい。
無駄な恰好良さが腹立たしい。
「それにしても、ハトの首、固定したいですねえ」
ここまで共感を覚えられない願望も珍しい。
だいたいこのキャラ、名前をどうしよう。
田中とか鈴木にしたら、田中さんや鈴木さんに失礼な気がする。
有り得ない名前が相応しい。
「名前ですか? ここでは仮に、ヴィヴィアンと名乗っておきましょうか」
女性ー!?
ってゆうか仮にって何だよ!
源氏名かよ!
どんな店で働いてんだよ!
「店の詳細、全国ネットで言ってもいいんですかねえ?」
言えねえような職種なんだ!?
キャラクターが勝手に動き出すとは、よく言ったものである。
それにしても、壷の中身が気になる。
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死なないうちに
はじめまして。育児に疲れ気味なので、夜寝る前に、読んで不気味に布団の中で涙流して笑うのが、とてつもなく幸せな瞬間でした。サイトリニューアルのお知らせは、最初これから何を楽しみに暮らしていけばいいのかと本気で絶望の闇へと。リニューアルで良かった。子育て中はなかなか自分のやりたいことができず、現実逃避?したくなるのです。以前、大好きな作家がいたのですが、手紙を書こうと思った矢先に亡くなってしまったことがあったので、ロムるだけでなくコメントさせていただきました。めささん、愛してます、旦那以上子供未満!
ありがとうございます!
誕生日祝っていただいて
感激です!
ありがとうございました!
サイト閉鎖と聞いて、ショックでしたが、まだ続けていかれるんですね。
めささんのファンとして
とてもうれしいです!
これからもサイト運営がんばってください。
感激です!
ありがとうございました!
サイト閉鎖と聞いて、ショックでしたが、まだ続けていかれるんですね。
めささんのファンとして
とてもうれしいです!
これからもサイト運営がんばってください。
キャラ設定って‥
難しいですよね。
私も漫画やら小説やら
(めささんの足元にも及びませんが‥)
頼まれて書く事があります。
その際キャラが一番頭を悩ます始末です。
ちなみに悩みに悩んだ末‥私自身の自画像は『箱』です。
ところで。
シャイン(ヴヴィアン)の話し‥続きはあるのでしょうか(笑)
私も漫画やら小説やら
(めささんの足元にも及びませんが‥)
頼まれて書く事があります。
その際キャラが一番頭を悩ます始末です。
ちなみに悩みに悩んだ末‥私自身の自画像は『箱』です。
ところで。
シャイン(ヴヴィアン)の話し‥続きはあるのでしょうか(笑)
お知らせや返レスです。
どうしましょう。
ヴィヴィアンの話なんて、考えてないですよ。
作るとしたらミステリーで、ヴィヴィアンに探偵やらせてみたいですけども。
そんな奴に見抜かれる犯人が可哀相。
皆さん、こんばんは。
ところで、フリーダムさんのように、ケータイからだと全文表示されないという記事、ありますでしょうか?
もしおありでしたら、続きをコメント欄にコピペさせて頂きます。
よろしければ、お教え下さいませ。
さて。
お誕生日のお祝いですよ。
3/21 月さん、誕生日おめでとうございます!
この1年も、笑顔でいられますよう祈りを込めて。
めさでした。
ヴィヴィアンの話なんて、考えてないですよ。
作るとしたらミステリーで、ヴィヴィアンに探偵やらせてみたいですけども。
そんな奴に見抜かれる犯人が可哀相。
皆さん、こんばんは。
ところで、フリーダムさんのように、ケータイからだと全文表示されないという記事、ありますでしょうか?
もしおありでしたら、続きをコメント欄にコピペさせて頂きます。
よろしければ、お教え下さいませ。
さて。
お誕生日のお祝いですよ。
3/21 月さん、誕生日おめでとうございます!
この1年も、笑顔でいられますよう祈りを込めて。
めさでした。
めささんへ
永遠の抱擁3『いい加減に答えてよ。メインディッシュを』から先が見れません。お手数をおかけしますがコピペの方よろしくお願いしますm(__)m
ついでと言ってはなんですが…3月27日が誕生日なので祝って貰えないでしょうか?
めささんからコメント頂けるのが夢だったので(^O^)/
長文失礼しました。
ついでと言ってはなんですが…3月27日が誕生日なので祝って貰えないでしょうか?
めささんからコメント頂けるのが夢だったので(^O^)/
長文失礼しました。
憧れのめさ様へ
はじめまして<(_ _)>
[ときや]と申します。
めさ様の旧サイトを一年前に知り、それから長きに渡り閲覧のみしてきたへたれです。
この度は新サイトの設立おめでとうございます。
この機会に是非一度声をお掛けしたいと思い、書き込みさせていただきました。
これからも頑張ってください<(_ _)>
[ときや]と申します。
めさ様の旧サイトを一年前に知り、それから長きに渡り閲覧のみしてきたへたれです。
この度は新サイトの設立おめでとうございます。
この機会に是非一度声をお掛けしたいと思い、書き込みさせていただきました。
これからも頑張ってください<(_ _)>
永遠の抱擁3の続きです。
フリーダムさん、お誕生日、もうすぐですね。
ばっちりお祝い申し上げますとも。
さて。
ケータイから表示されなかったという永遠の抱擁3の続きを、こちらにコピペさせて頂きますね。
どうぞです。
-------------------
「いい加減、答えてよ」
メインディッシュを楽しんで、料理の余韻に浸りながらも私は、改めて彼に詰め寄る。
「そんな話、いつ考えたの」
少なくとも、3組目のロックペア発見が報じられたのは今朝だ。
急遽作った話にしては、設定が細かいと思う。
彼はワインのボトルをもう1本追加するべく、ウエイターを呼んだ。
「まあ、飲もうよ」
「その奮発振りも謎」
決して安いお店じゃないのに、「最近は金がない」が口癖の彼にとっては、けっこうな散財になるはずだ。
ニューボトルが届いて、彼は今度もまた、私のグラスを優先して満たす。
「そうだなあ。この話を僕が知ってる理由だろ?」
「なにその、今から考えますって雰囲気」
「実は、僕の正体が、太古から生きてる死神だった。ってのは?」
「あたしは何度も、あんたに直で触ってるっつーの」
「あ、そうか」
「ねえ、なんで? マジで気になるんだけど」
「そんなことよりさ、ロックペアの画像、持ってたよね」
「え? うん」
「ちょっと、開いてみて」
彼に言われ、私はケータイを操作し、目的の画像を表示させる。
「その画像がね、ロウェイ達だ」
「なんで解るの?」
「頭の部分、見て」
言われるがままに、注目をする。
彼が再び、得意げな笑顔を見せた。
「鼻先が触れそうになってて、完全に横顔になってるだろう? 2人とも」
「うん。なってる」
「ハートの形に見えないか?」
「あ!」
厳格なお店の中だということも忘れ、私はつい大声を出してしまった。
彼の言う通りだったからだ。
向き合った2つの頭蓋骨が、ハートをかたどっている。
「ハートは、1人じゃ作れない」
「凄いよ、凄い! ホントにハートじゃん!」
「実は、4組目のロックペアの話があるんだ」
「え?」
意外な展開に耳を疑う。
「4組目?」
「そう。でも、まだ発見されてない」
「じゃあ、なんであんたが知ってるの」
「発見されない理由があるんだよ」
「私の質問に答えない理由も知りたいんだけど」
「4組目は、まだ生きていて、白骨化していない。ってのは、どうかな?」
「何よ、『どうかな』って」
「いやあ、やっぱり緊張する」
彼はそれで、背もたれに身を預け、ネクタイを緩めるような仕草をした。
「実は、最初からね、いっぱい考えてたんだよ、ロックペアの話。君、1組目が見つかった時から興味持ってたじゃない。それで、『これは使える』って思ってね」
「あ、やっとタネ明かしだ」
「そしたらさ、続々と発見されるでしょ? せっかくだから、作った話を全部使うことにしたんだ」
「ご苦労様でした」
「裏設定まであるんだぜ?」
「どんな?」
「ロックペアの発見場所だよ。世界地図をさ、大陸が1つだった頃まで戻すと、それなりに3ヶ所は近くなる」
「あ」
頭の中で、私は世界地図を広げた。
イタリア、アメリカ東部、エジプト。
確かに。
大昔、大陸移動を始める前の状態まで地図を戻すと、発見場所はそれぞれ、そこそこに近い。
彼、なんだってここまで頑張って話を作ったのだろう。
謎が謎を呼ぶとは、まさにこのことだ。
その点を問い質すと、彼は今までの笑顔を曇らせる。
「いや、だってさ。凝りたいじゃないか。たぶん、人生で最初で最後のことだし」
「何がよ?」
「クイズ形式にしようかどうしようか、今、迷ってる」
「ヒントは?」
「もう出てるかも」
「どれがヒントになるのか、わかんないよ」
すると彼は「じゃあ第1問」と言って、出題を始めた。
「最初の怖い話では、奥さんが疑わしい行動を取っていたよね。その行動は、実は何のためだった?」
「えっと、結婚記念日」
「そう。5年目のね。続けて第2問」
「はい」
「最近の僕にお金がなかったのは、なんででしょう」
「知らないよ、そんなの」
「うう~。そうだよね」
「なんでなかったの?」
「実は、今日のために、貯めてた」
「そうだったの!? なんで?」
「続いて第3問。4組目のロックペアは、まだ生きているから発見されていない。ってのは、どうかな?」
「もはや問題じゃないじゃん。でも、いいんじゃない? そんな設定も」
「だよね。ふう。やっぱりアレだな。思い通りに切り出せない」
「なんなのよ、さっきから」
「君に、プロポーズがしたいんだ」
「へ?」
思わず間の抜けた声が出た。
今、なんて?
「ここで格好良く、『俺達が未来のロックペアになろう』なんて言えたらいいんだけどね。でも、我ながらキザっぽくって」
どういう、ことですか?
思わず敬語で尋ねそうになる。
「僕ら、付き合うようになってもう5年だし、そろそろいいかなって」
彼は上着の内側に手を忍ばせる。
「ちゃんとベタに、給料3ヶ月分だ。律儀だろう?」
もじもじと、それでいてどこか誇らしげに、彼は小さな箱をゆっくりと取り出し、私の前に置く。
頭の中が一気に真っ白になって、回転しなくなった。
それでも、箱の中身が何なのかぐらいは解る。
ここまで手の込んだ求婚に対し、私はどのようにイエスと言えばいいんだろう。
そのことで、私の頭はいっぱいになった。
ばっちりお祝い申し上げますとも。
さて。
ケータイから表示されなかったという永遠の抱擁3の続きを、こちらにコピペさせて頂きますね。
どうぞです。
-------------------
「いい加減、答えてよ」
メインディッシュを楽しんで、料理の余韻に浸りながらも私は、改めて彼に詰め寄る。
「そんな話、いつ考えたの」
少なくとも、3組目のロックペア発見が報じられたのは今朝だ。
急遽作った話にしては、設定が細かいと思う。
彼はワインのボトルをもう1本追加するべく、ウエイターを呼んだ。
「まあ、飲もうよ」
「その奮発振りも謎」
決して安いお店じゃないのに、「最近は金がない」が口癖の彼にとっては、けっこうな散財になるはずだ。
ニューボトルが届いて、彼は今度もまた、私のグラスを優先して満たす。
「そうだなあ。この話を僕が知ってる理由だろ?」
「なにその、今から考えますって雰囲気」
「実は、僕の正体が、太古から生きてる死神だった。ってのは?」
「あたしは何度も、あんたに直で触ってるっつーの」
「あ、そうか」
「ねえ、なんで? マジで気になるんだけど」
「そんなことよりさ、ロックペアの画像、持ってたよね」
「え? うん」
「ちょっと、開いてみて」
彼に言われ、私はケータイを操作し、目的の画像を表示させる。
「その画像がね、ロウェイ達だ」
「なんで解るの?」
「頭の部分、見て」
言われるがままに、注目をする。
彼が再び、得意げな笑顔を見せた。
「鼻先が触れそうになってて、完全に横顔になってるだろう? 2人とも」
「うん。なってる」
「ハートの形に見えないか?」
「あ!」
厳格なお店の中だということも忘れ、私はつい大声を出してしまった。
彼の言う通りだったからだ。
向き合った2つの頭蓋骨が、ハートをかたどっている。
「ハートは、1人じゃ作れない」
「凄いよ、凄い! ホントにハートじゃん!」
「実は、4組目のロックペアの話があるんだ」
「え?」
意外な展開に耳を疑う。
「4組目?」
「そう。でも、まだ発見されてない」
「じゃあ、なんであんたが知ってるの」
「発見されない理由があるんだよ」
「私の質問に答えない理由も知りたいんだけど」
「4組目は、まだ生きていて、白骨化していない。ってのは、どうかな?」
「何よ、『どうかな』って」
「いやあ、やっぱり緊張する」
彼はそれで、背もたれに身を預け、ネクタイを緩めるような仕草をした。
「実は、最初からね、いっぱい考えてたんだよ、ロックペアの話。君、1組目が見つかった時から興味持ってたじゃない。それで、『これは使える』って思ってね」
「あ、やっとタネ明かしだ」
「そしたらさ、続々と発見されるでしょ? せっかくだから、作った話を全部使うことにしたんだ」
「ご苦労様でした」
「裏設定まであるんだぜ?」
「どんな?」
「ロックペアの発見場所だよ。世界地図をさ、大陸が1つだった頃まで戻すと、それなりに3ヶ所は近くなる」
「あ」
頭の中で、私は世界地図を広げた。
イタリア、アメリカ東部、エジプト。
確かに。
大昔、大陸移動を始める前の状態まで地図を戻すと、発見場所はそれぞれ、そこそこに近い。
彼、なんだってここまで頑張って話を作ったのだろう。
謎が謎を呼ぶとは、まさにこのことだ。
その点を問い質すと、彼は今までの笑顔を曇らせる。
「いや、だってさ。凝りたいじゃないか。たぶん、人生で最初で最後のことだし」
「何がよ?」
「クイズ形式にしようかどうしようか、今、迷ってる」
「ヒントは?」
「もう出てるかも」
「どれがヒントになるのか、わかんないよ」
すると彼は「じゃあ第1問」と言って、出題を始めた。
「最初の怖い話では、奥さんが疑わしい行動を取っていたよね。その行動は、実は何のためだった?」
「えっと、結婚記念日」
「そう。5年目のね。続けて第2問」
「はい」
「最近の僕にお金がなかったのは、なんででしょう」
「知らないよ、そんなの」
「うう~。そうだよね」
「なんでなかったの?」
「実は、今日のために、貯めてた」
「そうだったの!? なんで?」
「続いて第3問。4組目のロックペアは、まだ生きているから発見されていない。ってのは、どうかな?」
「もはや問題じゃないじゃん。でも、いいんじゃない? そんな設定も」
「だよね。ふう。やっぱりアレだな。思い通りに切り出せない」
「なんなのよ、さっきから」
「君に、プロポーズがしたいんだ」
「へ?」
思わず間の抜けた声が出た。
今、なんて?
「ここで格好良く、『俺達が未来のロックペアになろう』なんて言えたらいいんだけどね。でも、我ながらキザっぽくって」
どういう、ことですか?
思わず敬語で尋ねそうになる。
「僕ら、付き合うようになってもう5年だし、そろそろいいかなって」
彼は上着の内側に手を忍ばせる。
「ちゃんとベタに、給料3ヶ月分だ。律儀だろう?」
もじもじと、それでいてどこか誇らしげに、彼は小さな箱をゆっくりと取り出し、私の前に置く。
頭の中が一気に真っ白になって、回転しなくなった。
それでも、箱の中身が何なのかぐらいは解る。
ここまで手の込んだ求婚に対し、私はどのようにイエスと言えばいいんだろう。
そのことで、私の頭はいっぱいになった。