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夢見町の史

Let’s どんまい!

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2017
December 14
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2007
March 28

 ついたあだ名は、「死ねおばさん」 
 彼女のことを知ったのは、俺が中学に入るより少し前のことだ。
 近所では既に有名になっているらしい。

 彼女は道行く通りすがりに対して、「お前を殺す」だとか「お前は死ぬ」などといった死の宣告を一方的にして、どっかに行ってしまうのだという。
 恐ろしいことこの上ない通行人である。
 一体彼女にどんな過去があったんだか。

 身内では、最初に弟が、この「死ねおばさん」の犠牲になった。
 まだ小学生だった弟が、急ぎ足で台所に駆け込み、何がしたいのだろう。
 必死の形相で、自分の頭に塩を振っている。
 食材ごっこでも開発したのだろうか。

「何してんの? お前」

 訊ねると、弟は不思議なことを言い出した。

「呪われたから、塩で清めてんだよ、あーにき~」

 どうしてジャイアン口調なのだ。
 あえてそこには突っ込まず、問う。

「呪われた? どういうこと?」
「すっげえ怖えーよー! 知らないおばさんにさあ、『お前はいつか死ぬ』って言われたんだよ、あ~にき~」

 お前はいつか死ぬ?
 当たり前である。
 人間なんだから。

「あっはっは! お前バーカじゃーん。呪われたって何だよ。あっはっは!」
「笑い事じゃないよう、あーにき~」
「あーははは! まだ塩振ってる~! 儀式みたい! ひー!」

 自らの頭部に、一生懸命になって塩を振っている弟の様子が可笑しくて、俺の高笑いは止まらなかった。
 塩分の意味が解らん。

 月日は流れ、俺は中学2年生になった。
 親に無理矢理通わされていた塾をサボり、公園で時間を潰し、頃合いを見計らって、家路を行く。
 夜の裏道は怖い。
 俺は自転車を必要以上に飛ばし、スピードを上げた。

 前を歩いていたパーマのおばさんを追い越す。
 その瞬間、中年女性の声が耳に入った。

「おま…、…ぬぞ」
「ふえ?」

 立ち漕ぎ姿勢のままで振り向く。
 どこにでもいる普通のおばちゃんが、確かに言った。

「お前は死ぬぞ」

 超怖かった。
 見た目は普通のおばちゃんなのに声が低くて、ドスが利いていらっしゃった。
 それで自然な口調でデスですか。
 トラウマ決定だ。

 当時の俺は素晴らしく強気で、「俺がかよ!」とツッコミにも似た荒い怒声を声高に発し、もの凄い頑張ってチャリを加速すると、泣きそうになりながらしゃかしゃかと逃げた。
 マジで怖かったのだ。
 呪い殺されるかと思った。

 大急ぎで帰宅すると、俺は自宅の台所に明かりを点け、弟に内緒で頭に塩をかけた。

 死ねおばさんと最後に遭遇したのは、末っ子の妹だ。
 当時の妹は、まだ幼稚園を上がって間もなかった。

 妹は、昼に死の宣告を受けたのだそうだ。

「お前、死ぬぞ」

 これに対し妹は、兄貴達を軽く乗り越えるリアクションを見せる。

「お前が死ね、バーカ!」

 もう、凄いとしか言いようがない。
 2人の駄目兄貴は飛ぶようにして逃げ帰ったのに、まさかそこで綺麗に言い返してしまうとは恐れ入る。

 長男の威厳も忘れ、俺は妹に尊敬の眼差しを向けた。

「凄いな、お前! そしたら死ねおばさん、どうした!?」
「うんとね、すっごい怒った! ヘチマを振り回しながら走って追ってきたもん! 何度かヘチマでぶたれた!」

 なんでそんな微妙な物を武器に?

 普段から人に言っていることをそのまま返されただけなのに、死ねおばさんはめっちゃキレたらしい。
 妙に柔らかい武器をぶんぶんと振り回し、妹を追いかけた。

「キシャアアアア!」

 さすがの妹も泣き叫び、小学生の限界を超越した走りを見せる。

「うわあああああん!」

 どっちも日本語を喋れていない。

「それでそれで? どうやって逃げきったの?」
「コンビニに入って、かくまってもらった」
「マジかー。大変だったなー」
「うん。もうマジで怖かった! ありゃ塩を被りたくもなるよ」

 だったら「死ね」とか「バカ」とか言い返さなきゃいいじゃない。

 それにしても良かった。
 死ねおばさんは出現率こそ高いものの、死亡率は低いようだ。
 みんな生きてる。
 どうやら塩が利いたらしい。

拍手[3回]

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懐かしいエピソードです。
 今回のお話は、以前旧サイトでも書いた実話を推敲したものです。
 なので、内容をご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 懐かしいなあ。

 今頃、どうしてるでしょうね、死ねおばさん。
 元気にしてるかなあ。
めさ: URL 2007.03/28(Wed) 19:13 Edit
初です
死ねおばさんすごいですね(>∀<)
うちの近所には『ビニールおばさん』って言う全身にビニールをまとったおばさんが出現しますよ☆
危害は加えてこないですけど(笑)
あり: 2007.03/28(Wed) 22:06 Edit
興味津々♪
非常に会ってみたいですわぁ(笑)

なんてステキなオバサマでしょう(笑)
ルゥ: 2007.03/29(Thu) 22:29 Edit
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プロフィール
HN:
めさ
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1976/01/11
職業:
悪魔
趣味:
アウトドア、料理、格闘技、文章作成、旅行。
自己紹介:
 画像は、自室の天井に設置されたコタツだ。
 友人よ。
 なんで人の留守中に忍び込んで、コタツの熱くなる部分だけを天井に設置して帰るの?

 俺様は悪魔だ。
 ニコニコ動画などに色んな動画を上げてるぜ。

 基本的に、日記のコメントやメールのお返事はできぬ。
 ざまを見よ!
 本当にごめんなさい。
 それでもいいのならコチラをクリックするとメールが送れるぜい。

 当ブログはリンクフリーだ。
 必要なものがあったら遠慮なく気軽に、どこにでも貼ってやって人類を堕落させるといい。
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