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夢見町の史

Let’s どんまい!

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2018
September 24
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2009
December 24

 めさは明らかに何かを勘違いしている。
 先日あった電話で、俺はいきなり冬の富士山制覇を持ちかけられた。

 その誘い文句がまた腹が立つ。

「もしもしジン? めさだけど。あのさ、あのさ、登るとしたら、どの富士山がいい?」

 どの?

「世界一標高の高いエベレストは8000メートル級。デカいと思うよな?」

 え、ああ、まあ。

「ところが火星には1万2000メートルぐらいの山まであるだって」

 何が言いたい。

「惑星レベルで見れば、富士山なんて小さいと思わない?」

 あいにく俺は人間目線だ。
 富士山はデカい。

「あっはっは! じゃあ近々、富士山の山頂からの景色でも見に行こうか!」

 流すな、このクソガキ!

「正月休み、空けといて。じゃあ」

 めさは一方的に登山の約束を取りつけると、満足して勝手に電話を切った。

 あいつ、もしかして、とんでもない思い違いをしてないか?
 よく「初日の出は富士山からよく見える」なんて聞くけど、奴はそれを山頂からの景色だと思っているんじゃないだろうか?
 元旦には一般人たちが大勢、富士山頂まで行っているのだと思い込み、それならば自分たちも登山できるなんて考えているんじゃないだろうな。
 凄くありそうだ。
 富士山から初日の出を見るっていっても、それは山頂まで行かないぞ。
 もっとずっと低いところからだぞ。

 でもなあ、めさの奴、1度言い出したら大抵のことでは諦めない無駄に頑固なところがある。
 さっきの電話も断らせないオーラがバリバリ出てたしな。
 あんであいつ、男に対してだけ強引なんだ?
 とにかく、めさを説得して登山を諦めさせるのはかなりの時間と労力がかかる。

 仕方ない。
 俺は俺で色々リサーチしてみるか。

 物思いにふけりながら、俺は何気なしに自室のテレビを点けてみる。

 驚いたことに、そこには丁度、冬の富士山頂を目指す一隊が放映されていた。
 バラエティ番組の、これは予告編であるようだ。

 思わず目を疑う。

 シベリアを彷彿させる激しい猛吹雪の中、南極隊みたいなしっかりとした装備の皆さんが、明らかに死にそうでひーひー言っていらっしゃるではないか。

 これを俺たちも体験しようというのか。

 確信した。
 めさは頭の弱い子だ。

 一応、登山専門店にも足を運んだが、富士山に登りたい旨を告げると店員さんに笑われた。
 めさのせいで。

 ちなみに最初に紹介された商品はマイナス30度でも耐えられるといった物々しい靴だ。
 その時点で富士山の偉大さが伺われる。
 火星の巨峰も確かに凄いが、富士山だって充分に凄い。
 めさの奴、なにが「グーグルアースだとあっと言う間に火口まで行けた」だ。
 どうして生身で計算しない。

 その後、ニュースで富士山を登っていて亡くなってしまった方の訃報も知ったし、これはしばらく、めさからの電話には出ないほうがいいだろう。
 俺はしばらく風邪をひくことにする。
 夏まで治らん。

 そんな最中、見知らぬ番号から着信があって出ると、めさの同僚からだ。

「もしもしジン? あたしー! 今、めさに代わるね?」

 なんて余計なことを!

「もしもし? ジン? なんで俺からの電話には出ないんだよ!」

 死の進行に付き合わされたくないからだ!

「富士山に登るの中止って言いたいのに、伝わらないじゃんか」

 え?
 諦めたの?
 お前にしては珍しくね?

「当ったり前じゃん! 俺、初日の出って誰もが山頂で見るんだと思っててさ、それで誰でも行けるって思ってたんだよ」

 俺の予感、大当たりじゃねえか。

「なのに、色々調べたら氷系の最強呪文みたいなブリザードが登山者たちに牙を剥くだろ?」

 ああ、凄いみたいだな。

「ジン、冬の登山を舐めるな」

 なんでお前から言われなきゃいけねえんだよ!
 お前が舐めるな、このクソガキ!

「火星にあるデカい山も諦めろ」

 それは最初から目指してねえよ!
 まずどうやって火星まで行くんだよ!

「夏になったらまた電話する」

 結局富士山には行くのかよ!
 なんでお前は問答無用で人を巻き込むんだ!

「おっと! 俺は仕事中だ」

 俺もだよ!
 このクソガキ!

「追って連絡する。ごきげんよう」

 お前だけ樹海を目指せ!
 ごきげんよう!

 取り合えず、あのクソ高い登山靴を買わないでおいてよかった。

拍手[18回]

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2009
November 26
 お店の冷蔵庫を整理したところ、駄目になった食材があったので、めささんに渡す。

「めささん、これ捨てといてください」
 
 ビニール袋を受け取ると、彼はゴミ箱に向かう。

 めささんは腐ったミカンがたくさん入った袋に、

「お前らは腐ったミカンだ!」

 当たり前のことを大声で言っていた。

 数日後、今度はレモンが駄目になっているのを、あたしは見つける。

「めささん、これ捨ててもらっていいですか?」

 するとめささんはコクリと頷き、あたしからレモンを受け取った。

「腐ったレモンだ!」

 なんでもいいんじゃねえか。

 めささん、お客さんが来る前から疲れさせないでください。

拍手[4回]

2009
June 08
 ここのところずっと暇だった職場のスナックだけど、土曜日は一気にお客さんが入った。
 なのに店側の人間はフルメンバーじゃなくて、とてもじゃないけどおもてなしするには人が足りない。

 忙しそうに伝票を書きながら、ボーイのめささんがつぶやく。

「あと2人は女の子が欲しいよね」

 初出産を終えたあとのタフな嫁みたいなセリフだが、確かに人手不足だ。
 あたしは頷く。

「久々に働いてる感ありますよね」
「あ!」

 めささんが「いいこと思いついた!」と表情を輝かせる。

「ねえ、Hちゃん、誰か友達とかにピンチヒッター頼めない?」

 ああ、なるほど。
 急遽、誰かにフロアレディをやってもらうという作戦だろう。

「それなら、いとこに電話してみましょうか?」
「おおー! それ最高! ダメ元でいいから連絡取ってもらっていい? 俺も近所の女友達に頼んでみる」

 カウンター席のお客さんは、そんなあたしたちのやり取りを耳にし、ニューフェイスに会えるかも知れないと期待に胸を弾ませていた。

 ところが、あたしのいとこは普通に「今日は無理」とのこと。
 これにて、めささんの女友達に頼るしかなくなった。

 めささんは3人ほどに一気に電話をかけている。
 その姿はまるで「俺の名を言ってみろ。めさだぜ? フロアレディをこなせる女子の1人や2人、すぐに呼び出してみせるさ」と頼もしさを周囲にアピールしていた。

 お客さんもあたしも、じっとめささんが通話を終えるまで見守る。

 やがて携帯電話をポケットに仕舞うと、めささんはニヤリと不敵に笑み、お客さんたちに向かって胸を張る。

「え~、皆さんにご報告があります!」

 その様はまるで「俺の人脈は凄いんだぜ」と言わんばかりだ。

「本日はなんと、今ご覧のメンバーのみで営業させていただきます!」

 誰も呼べていなかった。

 なんか腹立つ。

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2009
February 10
 人込みが大の苦手であるこの男が「初詣に行こう」とやかましい。
 1人で行けと提案すれば、それは寂しいから嫌だとわがままを言う。

「違うの。厄払い的な意味なの。ここ数年、運気が悪い気がする。だからチーフ、俺のために行こうぜ初詣」

 めさ、お前のその自分勝手さが運気低迷の原因だ。

「違うの。俺はちゃんとね? 俺のためだけに初詣に行こうと思っているわけなのだよ」

 何1つ違わん。
 なんで俺を巻き込むんだお前は。

「じゃあ正月早々、付き合ってもらうからー!」

 じゃあってなんだ。
 お前にとって会話ってなんなんだ。

 そんなこんなで元旦。
 新年最初の日から俺はめさと一緒に初詣に駆り出されることとなった。

 なかなか広大な神社には人が多く、思った通りに進むことが出来ない。
 俺は早くも心が折れ、帰りたくなる。

「あああ!」

 めさが突如、大声を出す。

「ネックレスが無い! 10年以上も毎日付けてた、俺のネックレスがーッ!」

 見ればめさは、首からぶら下がるチェーンをつまみ上げ、泣きそうになっていた。
 どう見てもペンダントトップの部分が無くなっている。

「さっき駅でスキップしたときだ…」

 めさのテンション、大暴落だ。
 これで今日、こいつは人前でスキップなどしなくなるだろう。
 俺は一応「早くお参りしような」と慰める。

 境内に入ると、そこには縁起物の線香が焚かれていた。
 大人5人ぐらいで手を繋いで輪になったぐらいに壷の直径は大きく、そこから煙が立ち昇っている。
 体の悪い部分にその煙を浴びると具合が良くなるといわれている。

「あの煙も絶対に浴びたい。全身くまなく!」

 もう2度と愛用品を落としたくないのだろう。
 めさの気合は充分だった。

 人々の進行はゆるやかで、少し前に進んだかと思えばすぐに止まる。
 警官たちが配備され、入場者のペースを配分しているのだ。
 俺たちは運良く、巨大な壷の横で静止することに成功する。
 再び人が進み出すまでのしばらく、めさは煙浴び放題というわけだ。

「うおー! 全部俺のものだー!」

 札束をばら撒いたときの金の亡者みたいなことを言いながら、めさは煙をその身にまぶす。
 実に幸せそうだが、こいつには2つの計算外があった。
 次に前進するまでの間が思いの他に長いことと、風向きだ。
 煙の量がまた多い。

「い、息が…!」

 縁起が良いはずの白煙がめさに襲いかかる。
 人込みのために倒れることもできず、めさはその場でのた打ち回った。

「ぐあ! 目に! ああ! 目がー!」

 天空の城かお前は。

 その後、どうにかお参りを果たすと、今度はおみくじを引きたいと、まためさが騒ぎ出した。
 長い列に並び、時間をかけておみくじを買い、落ち着ける場所まで移動し、そこで一斉に開ける。

「お! 俺は小吉か。めさはなんだった?」

 訊くと彼は「凶って書いてある」とつぶやいた。
 生まれて初めて、俺は凶のクジを目の当たりにした。
 初詣のおみくじに凶なんて実際は入っていないと思っていただけに、この衝撃はなかなかだ。

「チーフ、神様って本当にいるのかな?」

 独り言のように言う彼は、それはそれは遠い目をしている。

「なんで俺がこんな目に…。ちょっと破魔矢買ってくる…」

 催眠術にでもかかっているかのように、めさはふらふらと売店に向かって縁起物を購入していた。

「居酒屋行くか」
「うん」

 俺はめさの肩をポンポンと2度叩く。

「厄払いやお参りもしたんだから、これからはいいことあるって」

 地元に戻る。
 めさの自転車が盗まれていた。

 俺は「めさって本当に面白いな」と褒めておいた。

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2008
October 20
 普段から、なんで脱いでいるのか理解できない。

 酒を買って、めさの部屋に遊びに行く。
 フスマを開けると奴は無言で焦っていて、少しでも早くズボンを履こうと一生懸命だった。

 さすがの俺も、無言のままフスマを閉める。
 一応、「ごめん」と謝るべきだろうか。
 でも、めさの奴、俺が飲みに来ることを知っていたのに、何故タイミングよく着替え中だったんだ?

「ち、違うのー!」

 やっと服を着ためさが、フスマを開ける。

「パソコンで作業してたの! チーフが思いの他、早く来るもんだから!」

 意味はよく解らないが、なんだか昔の少女漫画みたいな奴だ。

 こんな調子で、めさは基本的に、半裸でいることが多い。
 言い分はいつでも、「パソコンで作業をしていたから」と理由になっていないことを言う。

「なあ、めさ」

 あまりにも謎だったので、俺は飲みながら問う。

「お前、いつもパソコン使うときって、服着ないの?」

 すると、めさは「ヘッ」と鼻を鳴らせた。

「いつも服を着てるような人には俺の気持ちなんて解らねえよ」

 なんだそりゃ。

 彼の言葉をそのまま受け止めると、めさは現在人に絶対に理解されないことになる。

「だいたいさ? 1人のとき、衣服に何の意味がある? そりゃさすがに冬は着ますよ。寒いもの。これから年末にかけて、いよいよ何かお召しになるね、俺は」

 すこぶる酔っ払っているらしい。

 今夜も適当に相槌を打ちながら、俺はグラスを空ける。

拍手[5回]

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プロフィール
HN:
めさ
年齢:
42
性別:
男性
誕生日:
1976/01/11
職業:
悪魔
趣味:
アウトドア、料理、格闘技、文章作成、旅行。
自己紹介:
 画像は、自室の天井に設置されたコタツだ。
 友人よ。
 なんで人の留守中に忍び込んで、コタツの熱くなる部分だけを天井に設置して帰るの?

 俺様は悪魔だ。
 ニコニコ動画などに色んな動画を上げてるぜ。

 基本的に、日記のコメントやメールのお返事はできぬ。
 ざまを見よ!
 本当にごめんなさい。
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