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夢見町の史

Let’s どんまい!

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2007
March 09

 今日の現場は、悪友トメと一緒に行った。
 やたらデッカイ工場。
 そこから出た廃棄物を回収する。
 ブツをチラ見すると、どうやら木の台だ。
 大きくて、このままではトラックに積めない。

「チェーンソーを持って来てって指示、受けませんでした?」

 工場の責任者らしき男性は、何度も何度も「チェーンソーが必要なんで、そう伝えておいたのに」などと心配そうな顔をする。

 このおっさんは、なんでそこまでチェーンソーにこだわるんだろう。
 俺とトメは一瞬目を合わせ、念で語る。

「お前、チェーンソーのことなんて、誰かから聞いた?」
「いや? 聞いてねえぜ」

 心の中で頷き、おっさんに胸を張った。

 俺ら一応プロだぜ?
 どんなにデカい木台でも、要するにバラバラに解体して積み込めばいいんだろうが。
 余計な心配は無用。
 あんたは積み込んで欲しいブツがどれなのかだけ、教えてくれればいいさ。
 まあ見てろって。

 木台の真横にトラックを停める。
 作業開始だ。

 ターゲットを確認。
 最初に、すっごく驚いた。
 これって、こんなにデカかったでしたっけ?
 それに、なんでここまで頑丈に作ったんですか?
 家でも乗せるつもり?
 しかも、2つもあるじゃないですか。

 いきなり無口にさせられる。

 トメと一生懸命、ボルトを開け、釘を抜き、人知を超えた大きなハンマーで木を叩き、ちまちまと解体していく。

 たまに責任者が様子を見に来た。
 作業は全然はかどっていない。
 言おうかどうしようか迷った。

「これ、時間かかりますね。だってチェーンソーがないんだもん」

 しかし結局、おっさんの存在には気がつかないフリをした。
 おっさんの顔に、こう書いてあったからだ。

「お前らA型? 凄くコマメですよね。おたくの会社では、皆さんそういった原始的な作業をお好みで?」

 ちなみに木は、最も太い部分で俺のウエストの3倍ぐらい。
 そいつが4メートルの長きに及んでいる。
 大自然の脅威。
 こんなの、どうやって手で運ぶんですか。

 さっき自分で発した心の声を思い出す。

「まあ見てろって」

 やっぱり、あんまり見なられたくない。

「さっきっから俺ら、スーパー地球人になってるっていうのに…」
「コアを完全に破壊しねえと駄目だ」

 悪友と冗談を言い合うしかなかった。
 可能な限りボルトや釘を外し、分解しても限度がある。
 1番デカいパーツだけは、切断しないとお持ち帰りできない。

 トメは素晴らしいスピードでさっそく諦め、会社に電話した。

「1日じゃ終わンねえよ~」

 ついでに電動のノコギリを届けてもらえるよう、要請している。
 でも会社にある電ノコは、刃が円形だ。
 これでは刃が、向こう側まで達しない。
 それほどまでに、木は太い。

 待てよ!?
 思い出した。
 確か作業員のFさんが、小型のチェーンソーをどこかに仕舞っていなかったか!?

「トメ、届けてくれる人に言ってくれ! 出る前に、Fさんに声をかけるように! チェーンソー、あるかも!」

 届いたチェーンソーは、やっと引き抜けた伝説の剣に見えた。
 スイッチを入れる。

 最終兵器始動!
 ウイーン!
 これでも喰らえ!

 がりがりがりがり。

「どう、切れそう?」
「うん。なんかね、ハワイがちょっとずつ日本に近づいてくる感じに似てる」

 刃がボロッボロだった。
 最終兵器は、木に細かい傷をつけただけに終わった。

 工場の責任者が再び、様子を見にやってくる。
 その表情が、ちょっぴり輝いた。

「お! やっとチェーンソー使う気になりましたか。今更遅い気もしますが、まあ頑張って文明に追いついて下さい」

 そういう目だった。

 しかし何を考えているのか、俺とトメはチェーンソーに触れようともしない。
 丸ノコで切り目を入れ、手に持つ普通のノコギリでこつこつとダメージを追加。
 最後にハンマーでトドメを刺した。
 それを見ていたおっさんは、「君達、何時代から来たの?」とテレパシーを送ってくる。

 ばか!
 このチェーンソーは誰よりも優しいんだ!
 こいつはもう、何も傷つけたくないんだよォ!
 ほっといて下さい。

 結局、そのまま閉館時間となる。
 半端な形でお仕事は終了。

 帰り道。
 トメが俺に見せたのは、ちっちゃいスパナだった。

「Fさんがよ~、『これは大事だから、絶対に失くすな』だってよ~」

 コレがどう大事なの?

「チェーンソーのカバーがたまに外れかけて、ガタガタいうんだってよ~。その時は、このスパナで直せってさ~」

 他に直すべき箇所があるだろうが!
 刃をどうにかしろよ!
 なにカバーって!?

 ってゆうか次、あの現場に行く人が心配だ。
 ちゃんとチェーンソーとスパナ、渡しておかなくちゃ。

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プロフィール
HN:
めさ
年齢:
48
性別:
男性
誕生日:
1976/01/11
職業:
悪魔
趣味:
アウトドア、料理、格闘技、文章作成、旅行。
自己紹介:
 画像は、自室の天井に設置されたコタツだ。
 友人よ。
 なんで人の留守中に忍び込んで、コタツの熱くなる部分だけを天井に設置して帰るの?

 俺様は悪魔だ。
 ニコニコ動画などに色んな動画を上げてるぜ。

 基本的に、日記のコメントやメールのお返事はできぬ。
 ざまを見よ!
 本当にごめんなさい。
 それでもいいのならコチラをクリックするとメールが送れるぜい。

 当ブログはリンクフリーだ。
 必要なものがあったら遠慮なく気軽に、どこにでも貼ってやって人類を堕落させるといい。
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