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夢見町の史

Let’s どんまい!

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2009
March 06
 怖くて死んじゃうところだった。

 今まで散々お世話になってきたはずの悪魔王子の兄貴に、俺は初めて「死ね!」と言いたい。

 最初は何気ないメールがきっかけだった。

「めさ、今夜は家にいる?」

 まさか北海道からわざわざ横浜まで遊びにくるわけでもあるまい。
 俺は普通に返信をした。

「夜から仕事なんで、21時ぐらいまでなら家にいますよ」
「そっかー。それまで1人?」
「はい、ロンリーウルフです」
「解った。じゃあちょっと面白い話があるから、あとで連絡入れるわ」

 どんな話だろうと思いつつ、俺は「お待ちしてます」と返した。
 やがて夜になると、再び兄貴からのメールが。

「ちょっとこれ見てみて。1番下まで!」

 メールにはURLが記されている。
 クリックすると、キャバクラのホームページだった。

 兄貴、新しくキャバクラの経営でも始めたのかな。
 だとすると、1番下に兄貴の店が紹介されているとか知り合いがキャバ嬢やってるとか、そういうことか。

 なんて考えながら、俺はページを下へ下へとスクロールさせる。

「ん?」

 おかしなことが起きた。
 画面のスクロール速度が、明らかに加速している。
 物が落下するかのような不自然な速さだ。
 ボタンから手を離しても、画面は勝手に流れてゆく。

「あれ?」

 さらにおかしなことが。
 画面が逆さまになったのだ。
 画像も文字も、上下が逆転してしまった。
 スクロールはつまり、俺から見て上に向かって尚も進み続けている。
 バグったテレビゲームみたいな現象だ。

「お?」

 次の瞬間、何者かが俺に電話をかけてきた。
 画面が切り替わって着信を示し、電話本体が一定のリズムで振動している。
 黒を背景に090から始まる電話番号が表示されていた。
 しかし覚えのない番号だ。

「ンな!」

 もう怖くて書きたくない。
 黒い背景の奥から浮かび上がるように、変な女の人の顔が浮かび上がってきた。
 青白い肌で、女の人は不気味な目つきをこちらに向けている。

 電源オフのボタンを連打し、俺は無言でケータイをたたんでおいた。

「兄貴の野郎! そういうことか!」

 壊れたっぽいホームページも超怖い着信も、あれは最初からそういう作りになっていたというわけだ。

 さすが悪魔で王子だぜ兄貴~!
 夜分に1人であることを前もって確認したのは、そういうことだったのか!
 俺が怖がりって知ってるクセに!

 兄貴にメールを返す。
 全部絵文字だけで送信してやった。
 とてもじゃないけど日本語を打つ気力がなかったからだ。
 絵文字は全て怒りマークと大泣きマークだけで構成した。

「ギャハハハハ!」

 兄貴は本当にタチが悪くていらっしゃる。
 メールの中から大笑いだ。

「めさ、ちゃんと最後まで見た?」

 最後って、どこに最後がありやがるのか、わかんねーですよ!
 いきなり超怖い変な女から電話がー!
 あんなの普通に出られねーじゃねえですか!
 死ね!
 逆ギレしねーと自分を保てねえですよ!

「それは出なくていいよ。続きがあるから見てみなって。そこから先が面白いんだから」

 みんなが一緒のときじゃなきゃ見られない~。
 無理っす無理っすもうホントにマジで無理っす。

「でもあとで見ると恥ずかしいことになるぞ?」

 恐怖に耐えるべきか、皆の前で恥ずかしいことになるべきか選びたいんで、しばらく考えさせてください。

「大丈夫だって! 怖い箇所はもうないし、俺が本当に見てもらいたいのはその先にあるんだから」

 というわけで、兄貴があまりにもしつこいので俺は観念し、恐る恐る例のURLをクリックする。
 先ほどと同じ展開で画面がおかしくなり、続けて着信が。
 しばらく見つめてみたが、この女子の顔を直視できるほど俺のハートは強くない。

 ケータイの振動が納まると、画面には「着信あり」との文字が残る。

 決定キーを押して確認しようとした次の瞬間。

 キャーってなって、さっきの女がイーって凄い怖くて、俺はギャーってなった。
 もう嫌だ。

 要するに、ケータイから耳をつんざく悲鳴が大音量で発生すると同時に、さっきの不気味な女がもの凄い形相でアップになったのである。
 危うく己の舌を噛み切るところだった。
 このサイトのせいで死人が出たことぐらいあるんじゃね?
 マジでそう思った。

 俺にとんでもない恐怖体験をさせてくれた兄貴に文句を言うべく、俺は再びケータイを開く。

 駄目だ。
 手が震えてメールが打てない。
 電話して直接文句を言おう。

 コールすると、兄貴はすぐに出た。

「ふはははは!」

 兄貴ーッ!
 喜んでいらっしゃる場合じゃねえですよ!
 第一声が大笑いって何事ですか!
 も~!
 ホントやだ。

「どうだった?」

 どうだったもこうだったも、電話かけてきた女が最終形態でギャーって!
 窓が開いてたらケータイ投げ捨ててましたよ!
 俺の声が震えてるの、解りますか!?
 ばか!

「怖かったべ? 俺もかなりビビったよ」

 兄貴は人からされて嫌なことは人にしちゃいけませんって教わらなかったんですか!?

「いやいや、そこまでいいリアクションだとこっちも送った甲斐があるってもんだよ」

 うるせえ!

「また何か面白いもん見つけたら連絡するよ」

 結構です!

「じゃあ、またー。ごめんねー」

 ホントですよ!
 もっと心から謝ってくださいよ!

 電話を切る。
 俺の手はまだ震えていた。

 夜中じゃなくて、ホントよかった。

 以下、追記。
 兄貴のご友人の中には素晴らしいリアクションをされた犠牲者が大勢いらっしゃいます。
 あまりに見過ごせない反応だったので、ここで1つだけ紹介させていただきますね。

 兄貴に届いたメールです。

「犬が吠えました! 解除するにはどうしたらいいんですか!?」

 錯乱しすぎです。
 犬が吠えるタイミングが良すぎ。
 解除って一体なに?

 間違いなく俺の負けです。
 なんだろう、この悔しさは。

拍手[4回]

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ひゃぁ
見たいような見たくないような…(笑)私も怖いの苦手なのでいいリアクションとれそうです。絶対見たくないけど!(笑)
hiromi: 2009.03/06(Fri) 22:59 Edit
無題
ちょ!
マジでそのサイト教えてください!
かっちゃん: 2009.03/06(Fri) 23:38 Edit
こんばんは
そういう系は私も苦手です(>_<)
前動画サイトで動画見てたらいきなり画面に怖い顔が出てキャーとか言われて…
マジで心臓飛び出しそうになりましたもん(・д・)
そんなん見た日にゃ夜寝れましぇん…
メグ: 2009.03/06(Fri) 23:41 Edit
無題
私もそのサイト
知りたいです\(^O^)/
さっこ: 2009.03/07(Sat) 01:53 Edit
無題
それのパソコンバージョンみたいなのは知ってます(´ω`)
騙されて体験したお姉ちゃんが必死に強制終了ボタン押してました
: 2009.03/07(Sat) 23:44 Edit
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プロフィール
HN:
めさ
年齢:
48
性別:
男性
誕生日:
1976/01/11
職業:
悪魔
趣味:
アウトドア、料理、格闘技、文章作成、旅行。
自己紹介:
 画像は、自室の天井に設置されたコタツだ。
 友人よ。
 なんで人の留守中に忍び込んで、コタツの熱くなる部分だけを天井に設置して帰るの?

 俺様は悪魔だ。
 ニコニコ動画などに色んな動画を上げてるぜ。

 基本的に、日記のコメントやメールのお返事はできぬ。
 ざまを見よ!
 本当にごめんなさい。
 それでもいいのならコチラをクリックするとメールが送れるぜい。

 当ブログはリンクフリーだ。
 必要なものがあったら遠慮なく気軽に、どこにでも貼ってやって人類を堕落させるといい。
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