夢見町の史
Let’s どんまい!
2011
March 21
March 21
「読者さんがたくさんいるめささんに駄目元でお願いです」
そんなメールが届いた。
壊滅状態の被災地に住まう彼女の名を、ここでは仮にSさんとしておく。
「私の実家は宮城県名取市閖上(ゆりあげ)というところです。初日にたくさんの遺体が見つかったため比較的報道が多かった仙台市若林区荒浜と、たまに報道される仙台空港の間辺りにあります。閖上はテレビではごくごく稀にしか放映されませんが、津波に飲まれ町は壊滅しました。しかし報道は同じ場所ばかりで、閖上の現状を広めることができません」
メールには、数々の絶望が綴られている。
家族を捜しにいくつもの避難所を何回も何回も回って、それでも見つけられないと。
助かった人は奇跡的だったからなんだと思った、と。
現地で取材してくれた読売新聞の記者の方曰く、
「地震直後の空から見たがここが1番酷かった。だから今日取材にきた。津波で流されて何もないか、火の海になっていた」
Sさんは訴える。
「どこの被災地も同じだけど、だからこそこの閖上の現状も知ってもらいたい。なので、ファンがたくさんいるめささんに少しでもいいから閖上について触れていただければ、めささんの読者さんたちから少しでも多くの人に閖上の存在を知ってもらえるかなと思い、お願いの連絡です。駄目元でのお願いですが、少しでもご検討いただけたら幸いです」
あとで聞いた話だが、Sさんはもちろん「自分の地元を紹介して」という正直な気持ちもある。
しかし俺が、「要するに、テレビなんかも一箇所を集中的に報道するんじゃなくて、色んなところを回ってよ! って、感じられているんですね?」と訊ねると、「はい、まさしくそうです!」と受話器から力強い声が聞こえた。
悪友のジンからも電話が来た。
何故か奴は青森県にいるという。
「取材が来ねえから物資も届きにくいし、安否確認も取りにくい! お前、このことブログで書いてくれよ」
青森の被害が大きいとは、確かにテレビなどで聞いたことがない。
ジンは企業の仕事として被災地に赴いたのだそうだ。
友人の仕事内容はここでは割愛するが、岩手に近い青森県、野田村という土地に彼は現在いるらしい。
ジンは電話で、「なんつうか、なんもねえ。マジ酷え」と6回も口にした。
「そんなに酷えの?」
「ああ。テレビで見るのと現地に来るのじゃ大違いだ」
Sさんも、全く同じことを言っていた。
記事にする以上、俺も現地に直接行きたいのだが、邪魔にしかならないだろう。
歯がゆい。
ジンが続ける。
「俺が撮った写メ見た?」
「ああ見たぜ」
「トラック映ってるやつあるだろ?」
「ああ、あるね」
「なんか白いのが見えると思うんだけど、それガソリンスタンドの看板。1番目立つ、高いとこにある看板だぜ? それが落ちてんだ。有り得ねえ」
「そうか…」
「俺がいる野田村なんだけどさ、海沿いなんだ。いつだったか水害にやられて、酷い被害が出たらしいんだよ」
「うん」
「だから防波堤をしっかりと作った」
「津波のほうが、防波堤より高かったのか…」
「ああ。今はもう地面しかねえ。ガソリンも足りねえ。発電機を動かすための重油もねえ。なんもねえってピンと来ない表現かも知れないけど、ホントなんもねえよ」
報道が偏ることには、もちろんマスコミにしか解らない事情があるのだろう。
報道される地域よりも、報道されない地域のほうが多いことも解る。
ただ、現地の悲痛な声は当人たちが望む以上、配信していきたいと俺の心が動いてしまったのである。
俺はSさんと電話番号を交換した。
「もしもし、めさです」
Sさんはご主人の運転する車に乗っており、役所と遺体安置所に向かう途中だった。
俺は先に、最も訊ねにくいことを質問する。
この回答によって、電話取材の続け方、言葉の選び方を変えていかなくてはならないからだ。
「凄く質問しにくいことなんですけれど、Sさんの親しい方ですとか、ご家族の方で、亡くなってしまった方はいらっしゃいますか?」
「ええ、あまり話さなかった元同級生ですとか、友達の親御さんが亡くなってしまったとは聞きましたけれど、幸い私の周りには、まだ」
「そうでしたか。お悔やみ、申し上げます」
通常ならそういった知らせは数年に1度あるかないかのバッドニュースだ。
それがこうもまあ、ポンポンと…。
連日届くメールや報道を見て、胃痛を感じていた俺の腹がまた少し痛んだ。
最も困ることは何かと訊ねると、Sさんとしては「役所が回らないことが自分としては困ります」とお答えになった。
「どこの避難所に誰が居るのかってゆう名簿もないんです。何歳ぐらいの赤ちゃん何人、どこの避難所に居るとか、とにかく情報が欲しいんですけど、人手が足りないんです。自衛隊がどこで活動していて、救助された人はどこにいるのか、病院の場所も解りません」
電話番でも情報整理でも、人手が欲しいとSさんは言った。
「私が住んでる場所はまだ被害がないほうなんですよ。だから私と主人はまだ平気なんです。被害の酷さは結構バラバラで、車で10分も走れば景色がすぐ変るんです。うちは幸いそこまで酷くはなかったんですけど、最悪なところは何もありません」
何もない。
このキーワードを耳にする頻度も、この頃は高い。
「物資も全く届かないんです。でもニュースを見ると、送られてくる物資って偏ってるそうじゃないですか」
報道されている地域に、物資は届きやすい。
安否情報も、報道される土地のほうが入手しやすい。
だから報道陣には色んな地域を回ってほしい。
できれば、手に持てるだけでもいいから何かしらを持って来てほしい。
と、Sさんは訴える。
「他にも、何か要望ってありますか? ありすぎて言い切れないでしょうから、思いついたものだけでもいいんですけれど」
「そうですね。災害用伝言ダイヤル171なんですけど、これが全く繋がりませんでした。宮城県警の行方不明者相談ダイアルに繋がったの、3日してからだったんです」
「もっと繋がるようにしておいてほしい、と?」
「はい」
技術的な問題もあるだろうし、よほど使用者が多かったから仕方がないことかも知れません。
そのようなことも、Sさんは付け足していた。
「では逆に、希望が持てた出来事ってありますか?」
「電気が点いたときは嬉しかったです。それまでは信号も消えてましたから」
夜、明かりが灯っているかどうかは精神を大いに左右することに違いない。
他に、ガソリンを20リットルも手に入ったときが嬉しかったのだそうだ。
車がなければ、どこにも行けない。
情報確認のために役所に行くことも、人探しで遺体安置所を巡ることもできないから、これはさぞかし大きかったことだろう。
「個人的なボランティアは要らないってよく言われてますけど、私は例外があると思います」
Sさんは続ける。
「さっき言ったように、役所では全然人手不足ですし、ご遺体が多すぎて、それを扱う人間も全く足りないんです」
ご遺体が多すぎて、というフレーズに涙が出そうになる。
それをSさんに悟られないように軽く咳払いをし、続きを促した。
「と、いいますと?」
「安置所では、ご遺体の老若男女の区別をして、心臓から血を抜いて血液型の選別をするんですって。その後に洗って、ご遺体を綺麗にするんですけど、その作業が追いつかないそうなんです。ご遺体だから雑に扱えないし、こっちも人手が足りないって言われました」
自らそれをやりたがる者もいなさそうですし、とSさん。
「義援金もたくさん集まっているって聞いてますけど、それが何に使ってもらえるか、私たちに知らされていないだけに不安があります」
「なるほど。つまり、『うちらの団体は義援金の60%を家や建物の再建に使い、40%を物資に当てます!』みたいに宣言して貰えたら安心できるのに、みたいな?」
「そうです! そう言ってもらえたら安心です!」
「確かにそうでしょうね。でも、何に予算が必要なのかは状況に応じて変ってくるだろうから、今の段階で『これにお金使います!』なんて言ったら、優先順位が変ったとき混乱を招いちゃうから、団体としては言いにくいことなのかも知れませんよね」
「あと!」
「はい?」
「チェーンメールは本当にやめてほしいって思いました!」
Sさんの身近にいる純粋な何名かは回ってきたデマのメールを信じ込み、それを友人たちに送りまくってしまったのだそうだ。
デマのチェーンメールを作り、発信した奴は懲役でいい。
法律でそのようにしてくれないだろうか。
俺がそのようなことを口にすると、Sさんも賛同の意を強く表す。
Sさんを乗せた車は、じき役所に到着するとのこと。
電話取材が終わりに近づいてきている。
俺は携帯電話のメールアドレスをSさんに伝え、ブログに載せてほしい画像があったら送ってもらいたい告げ、電話を切った。
これらが、Sさんから届けられた写真である。
最後の画像に見える水平線だが、これは普段、建物に隠れて見えない。
震災の前には、この水平線を覆い隠すほどに建物が建っていたのだ。
地震と津波が景色を一変させてしまった。
実は、この取材中に何度か泣きそうになってしまったのだが、あるエピソードを耳にしたとき、俺は一瞬だけこらえることができなかった。
「私の弟に親友がいるんですけど、そのお父さんが名取市の議員さんなんですよ」
「へえ」
「その議員さんは洪水のとき、住民を最後まで誘導してくれたんです。高台へ高台へって先導してくれてたんですけど…」
「Sさん、遮ってしまってすみません。ちょっといいですか?」
「はい?」
「その議員さん、住民を最後まで誘導したって、今おっしゃいましたよね?」
「はい」
「まさかその方、そのまま亡くなった、なんてことは、ないですよねえ?」
「いえ、亡くなりました。彼は流されてしまって、今も見つかっていないんです。おそらく、ですけど、もう…」
そのような英雄がいたことに絶句する。
「Sさん、その方の行為は、誘導してもらえた方々の命を救っただけではありません。そのエピソードを聞いた人に勇気を与える行動です。俺も無駄にしたくありません」
個人名なので伏せるべきか悩んだが、調べたところ名取市のホームページにお名前を載せておられる議員さんだったので、表記させていただくことにした。
高橋しこうさん。
俺の中にある尊敬する人物リストに、名前が増えた。
最後に、辛い内容ではあるが、Sさんから許可をいただいたので、電話取材から数時間後に届いたメールの内容を全て転記させていただき、今回の記事を終わりとさせていただく。
------------------------------
先ほどはお世話さまでした。
あの後、遺体安置場にて、父親を見つけることができました。
顔にはいくつか傷がありましたが、体に損傷はなく綺麗でした。
人手が足りない中、本当に綺麗にしてくれていました。
幸い冷房も効いていて腐食もしていませんでした。
遺体を綺麗にしてくれる人のことをなんていうか解りませんが、一生懸命作業してくれて感謝です。
そのことも機会があったら伝えてもらえませんか。
これから復興に貢献した人にスポットが当たると思いますが、家族を無くした私たちにとっては、陰で行動してくれてる人に感謝の気持ちを伝えたいです。
まだ母と息子は見つかりません。
でも母は息子をおんぶして最後まで守ってくれているはずです。
お父さんは残念だったけど、お父さんも息子を最後まで守ってくれたはずです。
諦めず探します。
こんな内容のメールですみません。
ですが、もし何かまた発信してくれることがあり、話した方がいいことがあるときは遠慮なくご連絡ください。
------------------------------
個人が個人を取材したので著者が気づかないうちに内容に偏りが生じているかも知れない。
なので今回の記事は、あくまで事実の一部であって全てではない点を踏まえてもらえたら幸いに思う。
また、このブログ記事全文もURLも、どこに貼っても構わないことも明記しておく。
募金先まとめサイト
http://nanos.jp/innocentsense/page/15/
クリック募金
http://hp.xxpocketxx.jp/clicklink/click/
そんなメールが届いた。
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「私の実家は宮城県名取市閖上(ゆりあげ)というところです。初日にたくさんの遺体が見つかったため比較的報道が多かった仙台市若林区荒浜と、たまに報道される仙台空港の間辺りにあります。閖上はテレビではごくごく稀にしか放映されませんが、津波に飲まれ町は壊滅しました。しかし報道は同じ場所ばかりで、閖上の現状を広めることができません」
メールには、数々の絶望が綴られている。
家族を捜しにいくつもの避難所を何回も何回も回って、それでも見つけられないと。
助かった人は奇跡的だったからなんだと思った、と。
現地で取材してくれた読売新聞の記者の方曰く、
「地震直後の空から見たがここが1番酷かった。だから今日取材にきた。津波で流されて何もないか、火の海になっていた」
Sさんは訴える。
「どこの被災地も同じだけど、だからこそこの閖上の現状も知ってもらいたい。なので、ファンがたくさんいるめささんに少しでもいいから閖上について触れていただければ、めささんの読者さんたちから少しでも多くの人に閖上の存在を知ってもらえるかなと思い、お願いの連絡です。駄目元でのお願いですが、少しでもご検討いただけたら幸いです」
あとで聞いた話だが、Sさんはもちろん「自分の地元を紹介して」という正直な気持ちもある。
しかし俺が、「要するに、テレビなんかも一箇所を集中的に報道するんじゃなくて、色んなところを回ってよ! って、感じられているんですね?」と訊ねると、「はい、まさしくそうです!」と受話器から力強い声が聞こえた。
悪友のジンからも電話が来た。
何故か奴は青森県にいるという。
「取材が来ねえから物資も届きにくいし、安否確認も取りにくい! お前、このことブログで書いてくれよ」
青森の被害が大きいとは、確かにテレビなどで聞いたことがない。
ジンは企業の仕事として被災地に赴いたのだそうだ。
友人の仕事内容はここでは割愛するが、岩手に近い青森県、野田村という土地に彼は現在いるらしい。
ジンは電話で、「なんつうか、なんもねえ。マジ酷え」と6回も口にした。
「そんなに酷えの?」
「ああ。テレビで見るのと現地に来るのじゃ大違いだ」
Sさんも、全く同じことを言っていた。
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歯がゆい。
ジンが続ける。
「俺が撮った写メ見た?」
「ああ見たぜ」
「トラック映ってるやつあるだろ?」
「ああ、あるね」
「なんか白いのが見えると思うんだけど、それガソリンスタンドの看板。1番目立つ、高いとこにある看板だぜ? それが落ちてんだ。有り得ねえ」
「そうか…」
「俺がいる野田村なんだけどさ、海沿いなんだ。いつだったか水害にやられて、酷い被害が出たらしいんだよ」
「うん」
「だから防波堤をしっかりと作った」
「津波のほうが、防波堤より高かったのか…」
「ああ。今はもう地面しかねえ。ガソリンも足りねえ。発電機を動かすための重油もねえ。なんもねえってピンと来ない表現かも知れないけど、ホントなんもねえよ」
報道が偏ることには、もちろんマスコミにしか解らない事情があるのだろう。
報道される地域よりも、報道されない地域のほうが多いことも解る。
ただ、現地の悲痛な声は当人たちが望む以上、配信していきたいと俺の心が動いてしまったのである。
俺はSさんと電話番号を交換した。
「もしもし、めさです」
Sさんはご主人の運転する車に乗っており、役所と遺体安置所に向かう途中だった。
俺は先に、最も訊ねにくいことを質問する。
この回答によって、電話取材の続け方、言葉の選び方を変えていかなくてはならないからだ。
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「ええ、あまり話さなかった元同級生ですとか、友達の親御さんが亡くなってしまったとは聞きましたけれど、幸い私の周りには、まだ」
「そうでしたか。お悔やみ、申し上げます」
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それがこうもまあ、ポンポンと…。
連日届くメールや報道を見て、胃痛を感じていた俺の腹がまた少し痛んだ。
最も困ることは何かと訊ねると、Sさんとしては「役所が回らないことが自分としては困ります」とお答えになった。
「どこの避難所に誰が居るのかってゆう名簿もないんです。何歳ぐらいの赤ちゃん何人、どこの避難所に居るとか、とにかく情報が欲しいんですけど、人手が足りないんです。自衛隊がどこで活動していて、救助された人はどこにいるのか、病院の場所も解りません」
電話番でも情報整理でも、人手が欲しいとSさんは言った。
「私が住んでる場所はまだ被害がないほうなんですよ。だから私と主人はまだ平気なんです。被害の酷さは結構バラバラで、車で10分も走れば景色がすぐ変るんです。うちは幸いそこまで酷くはなかったんですけど、最悪なところは何もありません」
何もない。
このキーワードを耳にする頻度も、この頃は高い。
「物資も全く届かないんです。でもニュースを見ると、送られてくる物資って偏ってるそうじゃないですか」
報道されている地域に、物資は届きやすい。
安否情報も、報道される土地のほうが入手しやすい。
だから報道陣には色んな地域を回ってほしい。
できれば、手に持てるだけでもいいから何かしらを持って来てほしい。
と、Sさんは訴える。
「他にも、何か要望ってありますか? ありすぎて言い切れないでしょうから、思いついたものだけでもいいんですけれど」
「そうですね。災害用伝言ダイヤル171なんですけど、これが全く繋がりませんでした。宮城県警の行方不明者相談ダイアルに繋がったの、3日してからだったんです」
「もっと繋がるようにしておいてほしい、と?」
「はい」
技術的な問題もあるだろうし、よほど使用者が多かったから仕方がないことかも知れません。
そのようなことも、Sさんは付け足していた。
「では逆に、希望が持てた出来事ってありますか?」
「電気が点いたときは嬉しかったです。それまでは信号も消えてましたから」
夜、明かりが灯っているかどうかは精神を大いに左右することに違いない。
他に、ガソリンを20リットルも手に入ったときが嬉しかったのだそうだ。
車がなければ、どこにも行けない。
情報確認のために役所に行くことも、人探しで遺体安置所を巡ることもできないから、これはさぞかし大きかったことだろう。
「個人的なボランティアは要らないってよく言われてますけど、私は例外があると思います」
Sさんは続ける。
「さっき言ったように、役所では全然人手不足ですし、ご遺体が多すぎて、それを扱う人間も全く足りないんです」
ご遺体が多すぎて、というフレーズに涙が出そうになる。
それをSさんに悟られないように軽く咳払いをし、続きを促した。
「と、いいますと?」
「安置所では、ご遺体の老若男女の区別をして、心臓から血を抜いて血液型の選別をするんですって。その後に洗って、ご遺体を綺麗にするんですけど、その作業が追いつかないそうなんです。ご遺体だから雑に扱えないし、こっちも人手が足りないって言われました」
自らそれをやりたがる者もいなさそうですし、とSさん。
「義援金もたくさん集まっているって聞いてますけど、それが何に使ってもらえるか、私たちに知らされていないだけに不安があります」
「なるほど。つまり、『うちらの団体は義援金の60%を家や建物の再建に使い、40%を物資に当てます!』みたいに宣言して貰えたら安心できるのに、みたいな?」
「そうです! そう言ってもらえたら安心です!」
「確かにそうでしょうね。でも、何に予算が必要なのかは状況に応じて変ってくるだろうから、今の段階で『これにお金使います!』なんて言ったら、優先順位が変ったとき混乱を招いちゃうから、団体としては言いにくいことなのかも知れませんよね」
「あと!」
「はい?」
「チェーンメールは本当にやめてほしいって思いました!」
Sさんの身近にいる純粋な何名かは回ってきたデマのメールを信じ込み、それを友人たちに送りまくってしまったのだそうだ。
デマのチェーンメールを作り、発信した奴は懲役でいい。
法律でそのようにしてくれないだろうか。
俺がそのようなことを口にすると、Sさんも賛同の意を強く表す。
Sさんを乗せた車は、じき役所に到着するとのこと。
電話取材が終わりに近づいてきている。
俺は携帯電話のメールアドレスをSさんに伝え、ブログに載せてほしい画像があったら送ってもらいたい告げ、電話を切った。
これらが、Sさんから届けられた写真である。
最後の画像に見える水平線だが、これは普段、建物に隠れて見えない。
震災の前には、この水平線を覆い隠すほどに建物が建っていたのだ。
地震と津波が景色を一変させてしまった。
実は、この取材中に何度か泣きそうになってしまったのだが、あるエピソードを耳にしたとき、俺は一瞬だけこらえることができなかった。
「私の弟に親友がいるんですけど、そのお父さんが名取市の議員さんなんですよ」
「へえ」
「その議員さんは洪水のとき、住民を最後まで誘導してくれたんです。高台へ高台へって先導してくれてたんですけど…」
「Sさん、遮ってしまってすみません。ちょっといいですか?」
「はい?」
「その議員さん、住民を最後まで誘導したって、今おっしゃいましたよね?」
「はい」
「まさかその方、そのまま亡くなった、なんてことは、ないですよねえ?」
「いえ、亡くなりました。彼は流されてしまって、今も見つかっていないんです。おそらく、ですけど、もう…」
そのような英雄がいたことに絶句する。
「Sさん、その方の行為は、誘導してもらえた方々の命を救っただけではありません。そのエピソードを聞いた人に勇気を与える行動です。俺も無駄にしたくありません」
個人名なので伏せるべきか悩んだが、調べたところ名取市のホームページにお名前を載せておられる議員さんだったので、表記させていただくことにした。
高橋しこうさん。
俺の中にある尊敬する人物リストに、名前が増えた。
最後に、辛い内容ではあるが、Sさんから許可をいただいたので、電話取材から数時間後に届いたメールの内容を全て転記させていただき、今回の記事を終わりとさせていただく。
------------------------------
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あの後、遺体安置場にて、父親を見つけることができました。
顔にはいくつか傷がありましたが、体に損傷はなく綺麗でした。
人手が足りない中、本当に綺麗にしてくれていました。
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PR
動画
はじめまして
動画拝見しました
さっきみましたが、良い動画でした~
もっと人に見てもらえたらなと思います
コメント(最初)
ひどいところがありましたが、
そんなことは気にしないでがんばってください!
動画拝見しました
さっきみましたが、良い動画でした~
もっと人に見てもらえたらなと思います
コメント(最初)
ひどいところがありましたが、
そんなことは気にしないでがんばってください!
無題
前回と同じHNかちょっと自信ないんですが…
ここのURLを日テレさんにメールさせていただきました。勝手にすみません。
反応があるかは分からないし、他のTV局にも送った方が良かったのかもしれませんが、サンドウィッチマンさんのコメントを放送してすぐに報道の仕方を変えたのが日テレさんだったと思うので送りました。
一応報告を…とコメントしました。
ここのURLを日テレさんにメールさせていただきました。勝手にすみません。
反応があるかは分からないし、他のTV局にも送った方が良かったのかもしれませんが、サンドウィッチマンさんのコメントを放送してすぐに報道の仕方を変えたのが日テレさんだったと思うので送りました。
一応報告を…とコメントしました。
無題
はじめまして
いつも動画楽しませてもらってます!!
ブログの記事を読ませて頂きました
テレビなどで報道されていない地域も大変な状態なのですね…
ピクシブというイラストサイトに
めささんのイラストを投稿しようと思ってます
その紹介文にこのブログのURLを貼って
少しでも多くの方がご覧できるようになれば…と思っています
勝手なことをしようとして申し訳ありません
長文、失礼しました
いつも動画楽しませてもらってます!!
ブログの記事を読ませて頂きました
テレビなどで報道されていない地域も大変な状態なのですね…
ピクシブというイラストサイトに
めささんのイラストを投稿しようと思ってます
その紹介文にこのブログのURLを貼って
少しでも多くの方がご覧できるようになれば…と思っています
勝手なことをしようとして申し訳ありません
長文、失礼しました
無題
めささんのブログ読んで、青森も被害が酷いと分かりました。
震災以降、岩手や福島の会社の食品などを意識して買ってましたが、青森のりんごや加工品なども買いました。
りんごを毎日食べてるせいか体調良いです♪
日本酒効果なのか分かりませんが、肌の調子も良いような気がします。
東北に元気になってもらわなきゃ、美味しい物が食べれなくて困ります。
震災以降、岩手や福島の会社の食品などを意識して買ってましたが、青森のりんごや加工品なども買いました。
りんごを毎日食べてるせいか体調良いです♪
日本酒効果なのか分かりませんが、肌の調子も良いような気がします。
東北に元気になってもらわなきゃ、美味しい物が食べれなくて困ります。
無題
結構前に悪魔ぶって検索を知りました
多分4位の頃です
最近は見れてないので久々に調べると東日本を応援するような動画があり感動しました。
俺自身学生だし金も無いので500円位しか募金できてないですがこーゆー災害が起きないと助け合いの出来ないのは少し悲しいですね…
この動画を見て改めてめささんがいい人…もとい良い悪魔だなと思いました
これからもがんばってください
多分4位の頃です
最近は見れてないので久々に調べると東日本を応援するような動画があり感動しました。
俺自身学生だし金も無いので500円位しか募金できてないですがこーゆー災害が起きないと助け合いの出来ないのは少し悲しいですね…
この動画を見て改めてめささんがいい人…もとい良い悪魔だなと思いました
これからもがんばってください
がんばれ
世間は地震報道の傍ら、もう普通のニュースを流しています。自分の住んでいる地域は、九州なのではっきりいって何の影響もありませんでした。こちらにいる自分たちが出来ることは、義援金や募金、買いだめをしない、物資を送る、献血に参加することくらいです。けれど、何もやらないよりマシです、各々がやれることを、今やりたいと思っています。
誰かがこの暗い状況を明るくしていくなら、その一方で誰かが真実の情報を発信していく役割を担っていく必要もあるんじゃないのかなって思っていました。そして、その役割をめささんがやっていることにすごく信頼感が湧きました。
これからもがんばってください、としか言えない自分が不甲斐ないですが…
これからも応援しています。
偉そうに、そして長文失礼しました。
誰かがこの暗い状況を明るくしていくなら、その一方で誰かが真実の情報を発信していく役割を担っていく必要もあるんじゃないのかなって思っていました。そして、その役割をめささんがやっていることにすごく信頼感が湧きました。
これからもがんばってください、としか言えない自分が不甲斐ないですが…
これからも応援しています。
偉そうに、そして長文失礼しました。