夢見町の史
Let’s どんまい!
2007
March 29
March 29
友人からの電話に出る。
「もしもし、めささん?」
おーう、お疲れさん。
「こないだ電話くれたでしょ? なんだったの?」
うむ。
地元でCDを買おうと思ったの。
でも、どこに売っているのか分からなくって、訊きたかったんだ。
「そうなんだ? あ、今めささん彼女と一緒でしょ? 電話、大丈夫?」
ふええ!?
え、あ、ああ!
ま、まあね。
一緒だけど、だだ大丈夫さ。
「見栄っ張り」
だって。
だってだって。
「オメーが彼女か」
だって。
ってゆうか、彼女かあ。
たまには恋に落ちたいのう。
目が合った瞬間、ドラマの主題歌が流れちゃう感じの。
要所要所で画面下に「トゥー・ビー・コンテニュー」って英語のテロップが入る感じの。
「ベタベタじゃん」
俺、そういうのが好きなんだよ。
例えば、そうだなあ。
「遅刻遅刻!」
食パンを口に咥え、走る。
転校初日から寝坊しちゃうなんて、おっちょこちょいな自分に腹が立つ。
急がなくっちゃ。
猛ダッシュで学校を目指す。
「きゃ!」
「うわ!」
曲がり角でぶつかった相手は、あたしと同い年ぐらいの男の子だった。
「いて!」
「いったぁ」
2人とも尻餅をつき、腰をさする。
「ちょっとあんた、どこ見てんのよ!?」
「オメーこそ!」
「何よあんた、態度悪くない!?」
「そりゃお前だよ!」
「何よ!」
「なんだよ!」
「ふん!」
ホームルームには、どうにか間に合った。
担任教師がクラス全体を見渡す。
「え~、転校生を紹介する」
「あー!」
「ああ!」
互いが互いに人差し指を向ける。
今朝ぶつかったアイツだ。
まさか同じクラスだったなんて。
転校初日から、もう最悪。
「なんだお前ら、知り合いだったのか」
先生が目を丸くする。
「ちょうどいい。君は彼の隣の席に座りなさい」
ホント最悪。
「ちょっと、教科書見せなさいよ」
授業が始まって、あたしは奴に声をかける。
「あたしまだ教科書ないの。見せなさいってば」
「知らねえよ。誰がお前なんかに」
「なにあんた、まだ今朝のこと気にしてるわけ? 小さい男ね」
「なんだと!?」
「何よ!」
先生のメガネが、そこでキラリと光った。
「おーい、お前ら。うるさいぞ。2人とも、廊下に立ってなさい」
ところが後日、女の子は見ちゃうわけだ。
土砂降りの中、子猫を拾って帰る彼の背中をね。
ふうん、アイツ、いいトコもあるんだ。
みたいな!
「ねえ、めささん。もう電話切りたいんだけど」
ごめん。
もうちょっとだけ続けてもいい?
「いいけどさ」
ところが彼は、クラスのマドンナ、麗子さんのことが好きでね?
「よう、聞いてくれよ!」
「何よ、急に」
「俺、とうとう麗子さんとデートすることになったんだよ!」
…え…?
まるで頭を殴られたような衝撃だった。
「あ、そ、そう!? よ、よかった、じゃん…」
「だろう!? でさ、俺、なんかプレゼント買っておこうと思うんだよ。でも何がいいか分からないからさ、お前、一緒に買い物に付き合ってくれねえ?」
「え、いや、あたしは」
「頼むよ。女の子が喜ぶような物、分からないんだ。何がいいんだろうなあ」
結局断れなくて、アイツは「じゃあ日曜な!」と浮かれながら帰っていった。
道に落ちていた空き缶を、あたしは蹴飛ばす。
「あーあ~。あたし、何やってんだろ…」
カコーン。
「ねえねえ」
なんだよ、これからって時に。
「その話、いつまで続くの?」
いつまでも。
取り合えず今日は、卒業式まで。
あとほんの2時間だけ喋らせて。
「なげーよ! ってゆうかさ、めささんが恋をしたいって話だったんじゃん?」
うん。
「なんで学生?」
あ、いっけね。
「あと、めささん、女の子目線なのは何故?」
あ、いっけね。
でも、これからだぞ?
夏休みになって、クラスのみんなと海辺の民宿に泊まりに行くってイベントが発生するんだけどね?
「壁に向かって喋ってて」
はい。
「じゃあ、そういうことで、お疲れ様でーす」
はい。
お疲れ様でした。
通話を終える。
「ちぇ」
ここが道路で、もし空き缶があったら蹴飛ばしている。
「彼が夜中にこっそりと部屋を抜け出して、海辺で座ってセンチになるシーンだったのに。もうすぐ女子の名セリフ、『なーに黄昏てんのっ!』のシーンだったのに」
カコーン。
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その始めに出会うシーンは‥
もちろん走りながらトーストくわえてるんですよね?(笑)
途中雨の中で傘もささずに涙するシーンも同時に希望します。
青春って‥良いなあ。
めささんの文章を読んで私も恋がしたくなりました(笑)
途中雨の中で傘もささずに涙するシーンも同時に希望します。
青春って‥良いなあ。
めささんの文章を読んで私も恋がしたくなりました(笑)
コテコテなの大好きなんですよ。
取り合えず、他にも外せないセリフがあるんです。
「ハァ…。なんであんな奴のこと、好きになっちゃったんだろ…」
最高です。
あとあと。
「もう。鈍感なんだから」
ひゃっほう。
他にも。
「ねえ」
「うん?」
「くすくす。ううん! なんでもないっ!」
「なんだよ、変な奴だな」
なんか気分が乗ってきました。
「ねえ、目、つぶって?」
「な、なんだよ、急に」
「いいから!」
「え、あ、おう。…つぶったけど…?」
「えいっ!」
「いて!」
「あはは。ばーか。変なこと考えたんでしょ?」
「な、ば…! 考えてなんか…!」
で、そこで女子からのアレだ。
えっと、その、分かるでしょ?
もう書けません。
すみません。
赤面どころの騒ぎじゃないです。
「ハァ…。なんであんな奴のこと、好きになっちゃったんだろ…」
最高です。
あとあと。
「もう。鈍感なんだから」
ひゃっほう。
他にも。
「ねえ」
「うん?」
「くすくす。ううん! なんでもないっ!」
「なんだよ、変な奴だな」
なんか気分が乗ってきました。
「ねえ、目、つぶって?」
「な、なんだよ、急に」
「いいから!」
「え、あ、おう。…つぶったけど…?」
「えいっ!」
「いて!」
「あはは。ばーか。変なこと考えたんでしょ?」
「な、ば…! 考えてなんか…!」
で、そこで女子からのアレだ。
えっと、その、分かるでしょ?
もう書けません。
すみません。
赤面どころの騒ぎじゃないです。
素敵な想像力!
ううん妄想力!(笑)
素敵ですめささん、
是非月イチくらいでベタネタラブストーリーが読みたいです!(笑)
ベタネタは苺みたいに甘酸っぱくないといけませんね、勉強になります!
女子より女子の気持ちを理解していらっしゃる。笑
素敵ですめささん、
是非月イチくらいでベタネタラブストーリーが読みたいです!(笑)
ベタネタは苺みたいに甘酸っぱくないといけませんね、勉強になります!
女子より女子の気持ちを理解していらっしゃる。笑
さらに別の妄想も。
他にもアレですね。
パターンとしては、本屋。
同じ本に、2人同時に手を伸ばしちゃうの。
「あ、すみません。どうぞ」
「あ、いえ、そんな。そちらこそ、どうぞ」
互いに譲り合うんだけど、結局は男性が別の本を買って、喫茶店に入るんです。
「あの、お客様」
本を読んでいると、ウエイトレスに声をかけられるんですね。
「申し訳ございません。店内が込み合ってきましたので、相席になってもよろしいでしょうか?」
「え? ああ、構いませんよ」
あとはもう、皆さんの読み通りですよ。
「あ、さっきの」
「あ、本屋の時の」
それでそれで。
「あたし、あの作家さん、大好きなんですよ」
「僕もです。いいですよね。『君だけにジュテーム』とか、もう最高でした」
「あ! それずっと探してるんですよ。どこの本屋にも売ってなくって」
「そうなんですか。あの、よかったら、お貸ししましょうか?」
「え? いいんですか?」
「構いませんよ。ただ、ラスト3ページほど破けているんで、今のうちにそこだけお教えしておきますね。犯人は幸子です。左利きだから」
「もう! なんで今言っちゃうんですかー!」
「ははは、冗談冗談」
なんか腹立つ。
パターンとしては、本屋。
同じ本に、2人同時に手を伸ばしちゃうの。
「あ、すみません。どうぞ」
「あ、いえ、そんな。そちらこそ、どうぞ」
互いに譲り合うんだけど、結局は男性が別の本を買って、喫茶店に入るんです。
「あの、お客様」
本を読んでいると、ウエイトレスに声をかけられるんですね。
「申し訳ございません。店内が込み合ってきましたので、相席になってもよろしいでしょうか?」
「え? ああ、構いませんよ」
あとはもう、皆さんの読み通りですよ。
「あ、さっきの」
「あ、本屋の時の」
それでそれで。
「あたし、あの作家さん、大好きなんですよ」
「僕もです。いいですよね。『君だけにジュテーム』とか、もう最高でした」
「あ! それずっと探してるんですよ。どこの本屋にも売ってなくって」
「そうなんですか。あの、よかったら、お貸ししましょうか?」
「え? いいんですか?」
「構いませんよ。ただ、ラスト3ページほど破けているんで、今のうちにそこだけお教えしておきますね。犯人は幸子です。左利きだから」
「もう! なんで今言っちゃうんですかー!」
「ははは、冗談冗談」
なんか腹立つ。