夢見町の史
Let’s どんまい!
2007
June 28
June 28
<俺の視点>
同僚たちが集まって、何やら話し込んでいる。
聞けばどうやら格闘技の話題のようだ。
「サウスポーってさ、なんかカッコよくね?」
耳にしただけで、どことなく胸が弾む。
引退してもう長いとはいえ、武道家としての心得はまだまだ自分の中に残っているのだろう。
「ああ、確かに。なんとなくカッコイイね、サウスポーって」
サウスポーというのは、右手右足を前に出して構えることを指す。
右利きの選手が多い中、このサウスポーというスタイルはなかなか珍しく、一般的にはやり辛い相手といえる。
オーソドックスなファイティングポーズとは、左右が逆だからだ。
空手の世界ではこのサウスポーのことを逆体(ぎゃくたい)と呼び、実は俺の得意な構えだったりする。
相手に合わせて左右を逆にしたり元に戻したりと、使い分けることができるのだ。
せっかくだから、ちょっと同僚たちに自慢しよう。
「ごほん! あー、ちなみにさあ」
さり気なく輪の中に入る。
「俺、逆体めっちゃ得意なんだよ」
談笑がピタリと止まり、皆の視線が集まる。
まさかこんなところにサウスポーを体現できる男がいるとは思わなかったのだろう。
みんな、小さく驚いたような表情を浮かべていた。
俺は調子こく。
「これでも俺、なかなか強いんだぜ?」
軽くファイティングポーズを取って見せた。
ふふ。
みんな驚いてる驚いてる。
尊敬の眼差し、ってやつか。
「逆体の時もね、だいたいの相手には勝ってたよ」
面白いぐらいに同僚たちは顔を青ざめさせ、俺に恐れを抱いた様子だ。
男としては、原始的なエクスタシーを感じざるを得ない。
「赤子の手をひねるようなもんさ。ありゃ? ちょっと調子に乗っちゃったかな?」
誰も反応を示さなかった。
そうか、そんなに俺が強そうに見えるか。
そうかそうか。
ふはは。
「でもまあ、これでも現役ン時はね、化け物扱いぐらいはされたものさ」
言い残して作業に戻る。
この後、みんなにちょっと優しくしてあげれば、なんだか尊敬されちゃうに違いない。
守ってやるぞ、お前ら。
意気揚々と俺はその場を立ち去った。
<同僚の視点>
「サウスポーってさ、なんかカッコよくね?」
「ああ、確かに。なんとなくカッコイイね、サウスポーって」
仕事の合間、会話が弾む。
サウスポーってなんか、響きがカッコイイ感じだ。
「ごほん! あー」
お、めささんも加わりに来たぞ。
「ちなみにさあ」
この直後、めささんがとんでもないセリフを吐く。
「俺、虐待、めっちゃ得意なんだよ」
談笑がピタリと止まり、皆が極悪非道な31歳に注目する。
確かに今、めささんは「虐待」ってハッキリと言った。
彼は、人間の心を持たぬことを美点と捉えてるのだろうか。
「これでも俺、なかなか強いんだぜ?」
弱い相手に強いことを、どう褒めてほしいのだろうか。
空手の有段者が、あろうことか虐待が得意だなどと抜かし、自慢げに喋っている。
世も末だ。
「虐待の時もね、だいたいの相手には勝ってたよ」
そりゃそうだろう。
負けてたら、それはそれで面白いけど、武道家としての腕に問題がある。
それにしても虐待だなんて。
犠牲者は誰なのだろうか。
「赤子の手をひねるようなもんさ」
赤子ときましたよ。
絶対にひねっちゃ駄目だろ。
でもなんか、突っ込むに突っ込めない雰囲気だ。
虐待なんかする男に正論が通じるとも思えない。
暴れられても面倒だ。
「ありゃ? ちょっと調子に乗っちゃったかな? でもまあ、これでも現役ン時はね、化け物扱いぐらいはされたものさ」
確かに人じゃない。
性根の腐り加減がもう、とにかく人じゃない。
人の心を持っていない。
悪魔自慢にやっと満足したのだろうか。
めささんが得意げに立ち去る。
何故か優しげな目をこっちに向けているけど、そこがまたマジで不気味だ。
絶対に目を合わせてはいけない。
普段から「俺は子供が好きだ」とか言ってたけど、あれってそういう意味で好きだったのか。
とにかく懲役モンだ、あの人。
同僚たちが集まって、何やら話し込んでいる。
聞けばどうやら格闘技の話題のようだ。
「サウスポーってさ、なんかカッコよくね?」
耳にしただけで、どことなく胸が弾む。
引退してもう長いとはいえ、武道家としての心得はまだまだ自分の中に残っているのだろう。
「ああ、確かに。なんとなくカッコイイね、サウスポーって」
サウスポーというのは、右手右足を前に出して構えることを指す。
右利きの選手が多い中、このサウスポーというスタイルはなかなか珍しく、一般的にはやり辛い相手といえる。
オーソドックスなファイティングポーズとは、左右が逆だからだ。
空手の世界ではこのサウスポーのことを逆体(ぎゃくたい)と呼び、実は俺の得意な構えだったりする。
相手に合わせて左右を逆にしたり元に戻したりと、使い分けることができるのだ。
せっかくだから、ちょっと同僚たちに自慢しよう。
「ごほん! あー、ちなみにさあ」
さり気なく輪の中に入る。
「俺、逆体めっちゃ得意なんだよ」
談笑がピタリと止まり、皆の視線が集まる。
まさかこんなところにサウスポーを体現できる男がいるとは思わなかったのだろう。
みんな、小さく驚いたような表情を浮かべていた。
俺は調子こく。
「これでも俺、なかなか強いんだぜ?」
軽くファイティングポーズを取って見せた。
ふふ。
みんな驚いてる驚いてる。
尊敬の眼差し、ってやつか。
「逆体の時もね、だいたいの相手には勝ってたよ」
面白いぐらいに同僚たちは顔を青ざめさせ、俺に恐れを抱いた様子だ。
男としては、原始的なエクスタシーを感じざるを得ない。
「赤子の手をひねるようなもんさ。ありゃ? ちょっと調子に乗っちゃったかな?」
誰も反応を示さなかった。
そうか、そんなに俺が強そうに見えるか。
そうかそうか。
ふはは。
「でもまあ、これでも現役ン時はね、化け物扱いぐらいはされたものさ」
言い残して作業に戻る。
この後、みんなにちょっと優しくしてあげれば、なんだか尊敬されちゃうに違いない。
守ってやるぞ、お前ら。
意気揚々と俺はその場を立ち去った。
<同僚の視点>
「サウスポーってさ、なんかカッコよくね?」
「ああ、確かに。なんとなくカッコイイね、サウスポーって」
仕事の合間、会話が弾む。
サウスポーってなんか、響きがカッコイイ感じだ。
「ごほん! あー」
お、めささんも加わりに来たぞ。
「ちなみにさあ」
この直後、めささんがとんでもないセリフを吐く。
「俺、虐待、めっちゃ得意なんだよ」
談笑がピタリと止まり、皆が極悪非道な31歳に注目する。
確かに今、めささんは「虐待」ってハッキリと言った。
彼は、人間の心を持たぬことを美点と捉えてるのだろうか。
「これでも俺、なかなか強いんだぜ?」
弱い相手に強いことを、どう褒めてほしいのだろうか。
空手の有段者が、あろうことか虐待が得意だなどと抜かし、自慢げに喋っている。
世も末だ。
「虐待の時もね、だいたいの相手には勝ってたよ」
そりゃそうだろう。
負けてたら、それはそれで面白いけど、武道家としての腕に問題がある。
それにしても虐待だなんて。
犠牲者は誰なのだろうか。
「赤子の手をひねるようなもんさ」
赤子ときましたよ。
絶対にひねっちゃ駄目だろ。
でもなんか、突っ込むに突っ込めない雰囲気だ。
虐待なんかする男に正論が通じるとも思えない。
暴れられても面倒だ。
「ありゃ? ちょっと調子に乗っちゃったかな? でもまあ、これでも現役ン時はね、化け物扱いぐらいはされたものさ」
確かに人じゃない。
性根の腐り加減がもう、とにかく人じゃない。
人の心を持っていない。
悪魔自慢にやっと満足したのだろうか。
めささんが得意げに立ち去る。
何故か優しげな目をこっちに向けているけど、そこがまたマジで不気味だ。
絶対に目を合わせてはいけない。
普段から「俺は子供が好きだ」とか言ってたけど、あれってそういう意味で好きだったのか。
とにかく懲役モンだ、あの人。
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無題
「虐待」、「赤子」、「化け物扱い」
確かに他の人が聞いたら誤解されますね。
しかも空手有段者。
実はMじゃなくSだったんですね?
次回のオフ会は次の虐待相手を見つける為の…。
いえ!なんでもないっす!!(汗)
確かに他の人が聞いたら誤解されますね。
しかも空手有段者。
実はMじゃなくSだったんですね?
次回のオフ会は次の虐待相手を見つける為の…。
いえ!なんでもないっす!!(汗)
いつも愉快なめささんのブログを
勝手ながら私のサイトにリンクさせていただきました!全然関係のないイラストサイトですが…。
これからも通わせていただきます虐待さん!
ttp://m-pe.tv/u/page.php?uid=kakakakakakaka&id=1
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