夢見町の史
Let’s どんまい!
2009
April 01
April 01
僕は嘘をつくことができない。
嘘をつくと必ず自ら「嘘だけど」と口走ってしまって台無しになるし、軽い冗談を口にしてもやっぱり「嘘だけど」と周りの空気を白けさせてしまう。
そんな僕だけど、1度だけ自白をせず、嘘をついたことがある。
木造校舎のここ、職員室からは校庭が見渡せて、暖かな風が草木を揺らし、冬の終わりを告げていた。
つい先ほど入学式を終え、僕はなんだか気が抜けてしまい、だらしなく椅子の背もたれによりかかる。
この季節、卒業式や入学式で僕ら教員はなかなか忙しい。
僕は息抜きに、机にあった卒業アルバムを手に取って、パラパラとページをめくる。
といっても僕はいつでも片手が塞がっているから、その作業は普通よりは面倒だ。
僕のすぐ隣にいる死神が、何気なしに開口する。
「それは何だ?」
ああ、これ?
と僕はエリーにアルバムを見せる。
「卒業アルバムだよ。こないだ卒業した僕の教え子たちの記念品」
するとエリーは「私に見せても無駄だ」と、僕の隣に椅子を持ってきて、そこに腰かける。
「私には眼球がない。物の形や距離は感覚で解るが、視覚がない。色を見分けることは不可能だ」
そうだった。
エリーには物の形は解っても、本などに記載された文字や絵など、色の区別が全くできないんだった。
思い出深い卒業アルバムも、彼女にとっては本の形をした紙の集合体に過ぎない。
若い娘の姿に見えるけど、実は彼女の実態は動く白骨だからだ。
軽く謝って、僕は再び校庭に目を向ける。
「ねえ、エリー」
「なんだ?」
「嘘ってゆうのも、悪くないと思わない?」
「思わんな。私が嘘を言う分には問題ないが、私自身はささいなことでも騙されたくない」
びっくりするぐらいの正直さだ。
僕が嘘を言えないのはこの死神のせいだったりする。
エリーは無敵に近い能力を持っていて、それは瞬時に強力な暗示を人にかける、というもの。
めちゃめちゃ強い催眠術みたいな感じだ。
エリーはそれを使って、僕を世界一の正直者にしてしまっていた。
出会い頭、いきなりだ。
頼んでもいないのに、ホントいきなりだ。
しかも勝手にやられた。
加えて僕はうっかりエリーに触れてしまい、それ以降離すことができないでいる。
手を離すとエリーに魂を食べられてしまうからだ。
エリーは人の魂を食べる気を失くしているから僕や周りの人たちは無事でいるけど、今繋いでいるこの手を離した瞬間はそうともいえない。
直に触れた皮膚が離れると、自動的に魂を食べるという作りになっているらしく、そればっかりはエリーの意思でどうにかできることじゃないそうだ。
以降、いつでも女の子と手を繋いで過ごすといった、つくづく不思議な人生を僕は歩まされている。
おかげで卒業アルバムをめくるのも一苦労だ。
「でもさ」
僕はエリーに反論を試みる。
「去年のこと、覚えてる? あの日も入学式だった」
「ああ、あれか」
エリーは僕と同じように背もたれによりかかる。
「お前は群れを成す生物特有の考え方をするからな」
「そりゃそうだよ。人間なんだもん」
言って僕は少しだけ顔を上げ、天井の木目を見てから目を閉じて、1年前を思い出す。
あの日も今日と同じで、職員室には僕らしかいなかった。
------------------------------
「ねえ、エリー、頼むよ」
土下座する勢いで、僕はエリーに頭を下げている。
「ホントお願いします! 今日だけでいいんだ! 今日はね、年に1度しかない、嘘を言ってもいい日なんだよ」
するとエリーは「知らんな」と鼻を鳴らす。
「人間同士で勝手に作った常識に興味はない」
「そこをなんとか!」
両手が自由なら拝み倒しているところだ。
今日だけでもいい。
僕は自分にかけられた暗示を、どうしても解いてもらいたかった。
そんな僕の腰の低さときたら、間違いなく「たった今めちゃくちゃ必死な人ランキング」の上位に位置されてるに違いない。
「ねえってば、お願い、エリー! 今日だけ! ううん、1回だけでもいいよ。嘘を言えるようにしてください。その嘘はエリーには絶対に向けないから」
「私には嘘をつかない?」
「もちろん! 約束するよ」
「知ったことか。お前が自ら『嘘だけど』と言わない以上、私にはお前の嘘を見抜く術がない。お前の気が変わって私を騙した場合、私は嫌だ」
「嫌だとか言って可愛いな、ちきしょう!」
あとで知った話なんだけど、この「嫌だとか言って可愛いな、ちきしょう!」から先は、僕たちの会話が廊下にいた女性教員に聞かれていた。
その先生の話によると、「さすがに入っていけず、ただおろおろするしかなかった」とのこと。
とんでもない誤解をされていたのだった。
こんなやり取りだったんだから、まあ無理もないだろう。
「ねえ、ホントお願い! 1回! 1回だけでいいんだってば」
「駄目だと言っている」
「そんなこと言わずに! もう僕の気持ちがはちきれそうなんだ!」
「はちきれればいいだろう」
「よくないよ! いいじゃん1回ぐらい! 減るもんじゃないし!」
「増える減るの問題ではない」
「ねーねー! たーのーむ~! これからはエリーのこと様付けで呼ぶし、なんなら踏みつけてくれたっていい」
「そんなことが私にとって得なのか?」
「お得ですよエリー様。だってエリー様はドSでいらっしゃる。ねーねー、おーねーがーい~! ホント1回で済ませます!」
考えてみればこのとき、廊下から走り去る感じの足音が聞こえた気がする。
僕はというと、どうしても言うことを聞いてもらえないことが理不尽に思えて、だんだん腹が立ってきていた。
「ああ、そうかいそうかい。こんなに頼んでも駄目なら、僕にだって考えがあるぞ!」
「へりくだったり強気になったり、お前は振られるときの男か」
「意外と人間の性質に詳しいな! いやそうじゃなくて、もし暗示を解除してくれないのなら、この手を離して僕はエリーの犠牲になるぞ! 嘘だけど。ああも~!」
がっくりと、僕はうなだれる。
エリーのことだから「そうか嘘なら問題ないな」みたいなことを言うんだとばかり思っていたのだ。
でも違った。
「ふむ。お前の意思の固さは解った。1回でいいんだな?」
僕の顔は「へ?」という形のまま凍りついている。
「解除、してくれるの? 嘘、言えるようにしてくれるの?」
「2度言わせるな」
エリーは椅子からすっと立ち上がり、僕の手を引く。
「お前が今までにないぐらいしつこく頭を下げて私に頼むということは、そこまでして嘘を言う必要があるのだろう? どんな嘘を言い出す気なのか興味が湧いた」
エリーは「立て、行くぞ」と僕を椅子から引っ張り上げる。
「お前の都合で構わん。解除のタイミングを言え。10分したら再び嘘を言えぬよう暗示をかけ直す。それでいいな?」
僕はもう感激の余り、思わず「ありがとうございますエリー様」と解りやすく喜んだ。
白くて大きい2階建ての建物。
その前まで、僕はエリーを連れてくる。
「この中にね、騙したい人がいるんだ」
「ふむ。ここには何度か来たな」
「うん」
ちょうどそのとき、白塗りの馬車が慌しく止まった。
担架を持った隊員たちが降り、どやどやと建物に怪我人を運び込んでゆく。
どうやら急患のようだ。
迎えに出てきた医師に、隊員の1人が容態を説明している。
「大型馬車の暴走事故です! 怪我人は幼い女の子で、右腕が…!」
なんだか大変なときに訪れてしまったみたいだ。
知らぬ人とはいえ、僕は運び込まれた怪我人の無事を深くお祈りをしておいた。
無事でありますようにと念を送りつつ、僕らも病院に足を踏み入れる。
「エリーも何度か一緒にお見舞いに来たでしょ? 僕の生徒がここで入院してる」
その生徒はエイシャといって、駆けっこの早い、明るくて元気な男の子だ。
いや、元気だった、というべきだろうか。
彼は重い病を患ってしまい、今もこうして入院生活を送っている。
クラスのみんなで寄せ書きを書いたり見舞いに行ったりでちょくちょく顔を見せてはいるものの、明らかにエイシャの笑顔は薄れていった。
以前だったらふざけて「俺は不死身だベイベー」ぐらいのことを言う子だったのに、最近はどうも後ろ向きな発言が多い。
どうやらエイシャは周りにいる大人たちの反応を見て、自分の病気の厄介さに気づいてしまったようだ。
先日、とうとう彼のお母さんが学校にやってきた。
「エイシャは、持ってあと3ヶ月だそうです」
元気いっぱいで豪快な大笑いを普段ならするお母さん。
そんな彼女はこのとき、この世の不幸を全て味わったかのようにやつれ、沈み、青ざめていた。
眠っていないのだろう。
目の下にできたクマが濃い。
とてもじゃないけど、その辛そうな様子を見ていられなかった。
エイシャ本人もきっと、僕の想像を超える苦しみを毎日長く、深く味わっているのだろう。
悲しさと絶望と寂しさと、体の痛みと、他にも色んな苦痛をきっと少年は感じ続けているのだろう。
お母さんは、「本人には何も言ってません」と暗い目を伏せる。
「エイシャには何も知らせていませんが、自分の体のことです。もう気づいているようなんです。お医者さんが言うには、精神的苦痛がさらに命を縮めているとのことなんですが…」
気づくと僕は「エイシャ君に希望を持ってもらえるよう、出来る限りのことをします」と一方的に約束を押し付けていた。
自分でも何が解決なのか解らないけど、でも少しでもエイシャに笑ってほしい。
同じ先生って呼ばれる職業だけど、僕はお医者さんじゃない。
だから命を延ばしてあげることはできない。
僕は教師だ。
生徒にいい思い出を作ることも、僕の仕事なんじゃないだろうか。
そう思ったんだ。
エイシャの病室は2階の奥にある。
僕はドアの前で立ち止まり、上着の内ポケットから懐中時計を取り出す。
今から10分だ。
嘘でも何でもいい。
僕はエイシャを笑わせる。
「エリー、解除、頼むよ」
エリーが「うむ」と頷き、僕の目を見た。
ほぼ同時に、僕は病室のドアをノックをする。
「エイシャ、こんにちは! 今日はエリーと2人で来たよ」
室内に足を踏み入れる。
エイシャは呆然と起きていて窓の外を眺め、特に何かをしていたわけでもなかった様子だ。
お母さんはと訊くと、エイシャの大好きな果物を買出しに行っているのだそうだ。
どうやら入室タイミングは間違っていなかったらしい。
「エイシャ、ここいい?」
答えを待たずに僕はベットの横にある椅子に腰かける。
目一杯にんまりと笑って、僕はエイシャの目を見た。
焦点の合っていない虚ろな目はこちらに向けられていないけど、僕は構わず続ける。
「エイシャ、今日は何の日か知ってる?」
すると彼は「嘘をついてもいい日」とボソリとつぶやいた。
「そうそう。エイシャは今日、なんか嘘ついた?」
「…けないよ」
「ん?」
「つけないよ」
「なんで?」
「そんな気分にならない」
「そっかー。嘘がつけるって、素晴らしいことだぞ? 先生を見ろ。エリーのせいで冗談だって言えない」
エイシャは相変わらず窓の外を見て、あまり反応を示さない。
しばらく雑談を続けてみたものの、彼は心を閉ざしてしまっているようだ。
僕は椅子から立ち上がる。
「エイシャ、お母さんから聞いたんだけど、自分はもう助からないなんて思ってるんだって?」
相変わらず、少年は何も応えない。
僕は自分の判断が当っているのか間違っているのか解らないけれど、もしかしたら残酷な嘘になるのかも知れないけど、でも、これしか思い浮かばない。
お医者さんやお母さんだって患者に何も教えないんだから、まあいいじゃないか。
と無理に自分に言い聞かせ、僕は大きく伸びをする。
「なんで生徒想いの僕がこんなに上機嫌でいられる? もしエイシャが死ぬんなら、僕は大慌てで笑ってなんかいられないよ」
「そんなの、演技だ」
「おいおい、僕が世界一の正直者だってこと、忘れたのかい? 言葉の最後に『嘘だけど』がないだろう?」
「今日は嘘をついてもいい日だから」
「ああ、そうだったね。じゃあせっかくだから今から嘘を言おう」
少しだけ、僕は小さく深呼吸をする。
「エイシャはこのまま病気で死んじゃう。嘘だけど。ああ、やっぱり駄目か」
少年の目が、今日初めて僕を捕らえた。
「もうすぐエイシャは元気になんて絶対にならない! 嘘だけど。くっそ。相変わらず言えないな。せっかく嘘をついてもいい日なのに」
エイシャは黙って、落ち着きなく喋りまくる僕を見つめている。
「エイシャは一生退院しない! 嘘だけど。くそ! やはりか! ええい! エイシャはもう2度と廊下を走り回って僕に怒られたりなんかしない! 嘘だけど。ああもー!」
サーカスのピエロのように、僕は1人でうるさく騒ぐ。
エイシャは笑顔を取り戻さない。
嘘だけど。
エイシャはクラスのみんなと2度と一緒に遊べない。
嘘だけど。
エイシャはもう運動会に出られない。
嘘だけど。
思いつく限り、僕は「嘘だけど」を連発した。
その様子が滑稽だったのだろう。
ほんのわずかだけだけど、エイシャが鼻で笑ってくれた。
僕は調子づく。
「エイシャは不死身だベイベー! お! やっと『嘘だけど』が出なかった! やったー! っと思ったら、嘘じゃなくて本当のことだからか。くそ。やっぱり僕には嘘が言えないよ」
「なるほどな」
不意にエリーがつぶやく。
次に放たれる彼女のとんでもない言葉に、僕は思わずぎょっとした。
エリーがエイシャに体を向ける。
「おいお前、お前は死ぬぞ」
心の中で僕は大絶叫だ。
なに言い出すんだエリィーッ!
この骨骨ロック!
そっちの意味でも死神ですか!
エイシャも僕と同じく、ゾッとしたような表情だ。
エリーはお構いなしに、少年に冷ややかな目を向ける。
「お前がいつ死ぬか、私にはどうでもいいし解らない。ただな、生き物はいつか必ず死ぬのだ。いくら怖がっても喜んでも、死は生物に対し平等に訪れる」
エリーは窓を顎で示す。
「外にいる連中を見てみろ。いつか自分が死ぬなんて当たり前のことを忘れて暮らす奴ばかりだ。それに比べればお前は死を感じているだけに、そんな輩よりもずっと優れている。死を理解したならせっかくだ。ついでに覚悟でも決めておけ。その覚悟は死ぬまで持っているといい」
エリーは最後に、こう締めくくる。
「私の言葉、老いても忘れるなよ」
また来るよと少年に告げ、僕らは病室を後にした。
笑顔で手を振り、ゆっくりとドアを閉める。
バタンという音と同時に緊張の糸が解けて、僕は大急ぎで洗面所を目指した。
嘘を言いまくっていた最中、僕は泣き出したくてたまらなかった。
無理矢理な笑顔を作ることが辛かった。
でも、この目からあふれ返ろうとしている涙が、エイシャの前で出なくてよかった。
笑顔が作れて、本当によかった。
「その慌てよう、消化器官でも壊したか?」
エリーの問いに答えず、僕は洗面器の前でみっともなく号泣する。
エイシャ、あと3ヶ月だけかも知れないけど、少しでもいいから笑って過ごしてくれ!
先生もお前に負けないぐらい笑うから!
だから最後まで笑顔でいてくれ!
-----------------------------
「そうか。あれから1年か」
エリーは僕に釣られて、窓から校庭をぼんやりと眺めている。
その校庭はかつて運動会のとき、エイシャが1等賞を勝ち取った思い出の場所だ。
「言い忘れていたことがある」
エリーはその冷たい視線を僕に向けた。
「言い忘れたこと? 僕に?」
「うむ」
「どんなこと?」
「あの日は、嘘を言ってもいい日だったな」
「あ、うん、そうだね。もちろん今日もそうだけどさ」
「去年のあの日はな、私もお前に習い、嘘を言わせてもらった」
「へ? どんな?」
「あの少年の病室で、お前はどれだけ喋っていた?」
「いや、時計を見ながら話せないから解らないけど、10分より短いんじゃないの? そういうつもりで嘘を言ったつもりだし」
「お前は途中から涙をこらえるほどに感情が高ぶって、時間を気にする余裕などなかった」
「あ、そう? じゃあどれぐらい喋ってた?」
「私が暗示を解いてから、ゆうに20分間」
「え!? そんなに!? うっそ!」
「こんな日とはいえ、嘘じゃない。お前は嘘をつく前のくだらない雑談に時間を取り過ぎたんだ」
「え、でも、僕ちゃんと嘘言えたし!」
「私が嘘をついていたからな」
「え?」
「私はお前に10分間だけ嘘を許すと言ったが、あれは嘘なんだ。実際は1時間許可していた」
「そうだったの!? なんでだよ、もー!」
「余興のつもりだったんだがな」
しかしちっとも面白くなかった。
とエリーは言う。
僕はなんだか気分がよくなって、さっきの質問をもう1回エリーにぶつける。
「ねえ、エリー。嘘ってゆうのも、悪くないと思わない?」
「お前は本当に群れを成す生物特有の考え方をする」
窓から暖かい風が入ってきて、机の上にあった卒業アルバムのページをめくる。
僕は「おっと」と咄嗟にアルバムを押さえると、偶然にもそこは我が教え子たちのページだ。
「いいんだよ、嘘も方便ってね」
誇らしい子らの似顔絵やら寄せ書き。
卒業生の一覧には恥ずかしながら、僕から1人1人に向けてのメッセージが添えられている。
「ほら見てエリー。いや、ごめん。見れないんだったね」
僕はしみじみと、開かれたアルバムを膝の上に置いた。
エリーには解らないことだけど、そこにはこう記されている。
「エイシャ、退院おめでとう! 君は不死身だベイベー! じいさんになっても、エリーの言葉を覚えていてね」
嘘をつくと必ず自ら「嘘だけど」と口走ってしまって台無しになるし、軽い冗談を口にしてもやっぱり「嘘だけど」と周りの空気を白けさせてしまう。
そんな僕だけど、1度だけ自白をせず、嘘をついたことがある。
木造校舎のここ、職員室からは校庭が見渡せて、暖かな風が草木を揺らし、冬の終わりを告げていた。
つい先ほど入学式を終え、僕はなんだか気が抜けてしまい、だらしなく椅子の背もたれによりかかる。
この季節、卒業式や入学式で僕ら教員はなかなか忙しい。
僕は息抜きに、机にあった卒業アルバムを手に取って、パラパラとページをめくる。
といっても僕はいつでも片手が塞がっているから、その作業は普通よりは面倒だ。
僕のすぐ隣にいる死神が、何気なしに開口する。
「それは何だ?」
ああ、これ?
と僕はエリーにアルバムを見せる。
「卒業アルバムだよ。こないだ卒業した僕の教え子たちの記念品」
するとエリーは「私に見せても無駄だ」と、僕の隣に椅子を持ってきて、そこに腰かける。
「私には眼球がない。物の形や距離は感覚で解るが、視覚がない。色を見分けることは不可能だ」
そうだった。
エリーには物の形は解っても、本などに記載された文字や絵など、色の区別が全くできないんだった。
思い出深い卒業アルバムも、彼女にとっては本の形をした紙の集合体に過ぎない。
若い娘の姿に見えるけど、実は彼女の実態は動く白骨だからだ。
軽く謝って、僕は再び校庭に目を向ける。
「ねえ、エリー」
「なんだ?」
「嘘ってゆうのも、悪くないと思わない?」
「思わんな。私が嘘を言う分には問題ないが、私自身はささいなことでも騙されたくない」
びっくりするぐらいの正直さだ。
僕が嘘を言えないのはこの死神のせいだったりする。
エリーは無敵に近い能力を持っていて、それは瞬時に強力な暗示を人にかける、というもの。
めちゃめちゃ強い催眠術みたいな感じだ。
エリーはそれを使って、僕を世界一の正直者にしてしまっていた。
出会い頭、いきなりだ。
頼んでもいないのに、ホントいきなりだ。
しかも勝手にやられた。
加えて僕はうっかりエリーに触れてしまい、それ以降離すことができないでいる。
手を離すとエリーに魂を食べられてしまうからだ。
エリーは人の魂を食べる気を失くしているから僕や周りの人たちは無事でいるけど、今繋いでいるこの手を離した瞬間はそうともいえない。
直に触れた皮膚が離れると、自動的に魂を食べるという作りになっているらしく、そればっかりはエリーの意思でどうにかできることじゃないそうだ。
以降、いつでも女の子と手を繋いで過ごすといった、つくづく不思議な人生を僕は歩まされている。
おかげで卒業アルバムをめくるのも一苦労だ。
「でもさ」
僕はエリーに反論を試みる。
「去年のこと、覚えてる? あの日も入学式だった」
「ああ、あれか」
エリーは僕と同じように背もたれによりかかる。
「お前は群れを成す生物特有の考え方をするからな」
「そりゃそうだよ。人間なんだもん」
言って僕は少しだけ顔を上げ、天井の木目を見てから目を閉じて、1年前を思い出す。
あの日も今日と同じで、職員室には僕らしかいなかった。
------------------------------
「ねえ、エリー、頼むよ」
土下座する勢いで、僕はエリーに頭を下げている。
「ホントお願いします! 今日だけでいいんだ! 今日はね、年に1度しかない、嘘を言ってもいい日なんだよ」
するとエリーは「知らんな」と鼻を鳴らす。
「人間同士で勝手に作った常識に興味はない」
「そこをなんとか!」
両手が自由なら拝み倒しているところだ。
今日だけでもいい。
僕は自分にかけられた暗示を、どうしても解いてもらいたかった。
そんな僕の腰の低さときたら、間違いなく「たった今めちゃくちゃ必死な人ランキング」の上位に位置されてるに違いない。
「ねえってば、お願い、エリー! 今日だけ! ううん、1回だけでもいいよ。嘘を言えるようにしてください。その嘘はエリーには絶対に向けないから」
「私には嘘をつかない?」
「もちろん! 約束するよ」
「知ったことか。お前が自ら『嘘だけど』と言わない以上、私にはお前の嘘を見抜く術がない。お前の気が変わって私を騙した場合、私は嫌だ」
「嫌だとか言って可愛いな、ちきしょう!」
あとで知った話なんだけど、この「嫌だとか言って可愛いな、ちきしょう!」から先は、僕たちの会話が廊下にいた女性教員に聞かれていた。
その先生の話によると、「さすがに入っていけず、ただおろおろするしかなかった」とのこと。
とんでもない誤解をされていたのだった。
こんなやり取りだったんだから、まあ無理もないだろう。
「ねえ、ホントお願い! 1回! 1回だけでいいんだってば」
「駄目だと言っている」
「そんなこと言わずに! もう僕の気持ちがはちきれそうなんだ!」
「はちきれればいいだろう」
「よくないよ! いいじゃん1回ぐらい! 減るもんじゃないし!」
「増える減るの問題ではない」
「ねーねー! たーのーむ~! これからはエリーのこと様付けで呼ぶし、なんなら踏みつけてくれたっていい」
「そんなことが私にとって得なのか?」
「お得ですよエリー様。だってエリー様はドSでいらっしゃる。ねーねー、おーねーがーい~! ホント1回で済ませます!」
考えてみればこのとき、廊下から走り去る感じの足音が聞こえた気がする。
僕はというと、どうしても言うことを聞いてもらえないことが理不尽に思えて、だんだん腹が立ってきていた。
「ああ、そうかいそうかい。こんなに頼んでも駄目なら、僕にだって考えがあるぞ!」
「へりくだったり強気になったり、お前は振られるときの男か」
「意外と人間の性質に詳しいな! いやそうじゃなくて、もし暗示を解除してくれないのなら、この手を離して僕はエリーの犠牲になるぞ! 嘘だけど。ああも~!」
がっくりと、僕はうなだれる。
エリーのことだから「そうか嘘なら問題ないな」みたいなことを言うんだとばかり思っていたのだ。
でも違った。
「ふむ。お前の意思の固さは解った。1回でいいんだな?」
僕の顔は「へ?」という形のまま凍りついている。
「解除、してくれるの? 嘘、言えるようにしてくれるの?」
「2度言わせるな」
エリーは椅子からすっと立ち上がり、僕の手を引く。
「お前が今までにないぐらいしつこく頭を下げて私に頼むということは、そこまでして嘘を言う必要があるのだろう? どんな嘘を言い出す気なのか興味が湧いた」
エリーは「立て、行くぞ」と僕を椅子から引っ張り上げる。
「お前の都合で構わん。解除のタイミングを言え。10分したら再び嘘を言えぬよう暗示をかけ直す。それでいいな?」
僕はもう感激の余り、思わず「ありがとうございますエリー様」と解りやすく喜んだ。
白くて大きい2階建ての建物。
その前まで、僕はエリーを連れてくる。
「この中にね、騙したい人がいるんだ」
「ふむ。ここには何度か来たな」
「うん」
ちょうどそのとき、白塗りの馬車が慌しく止まった。
担架を持った隊員たちが降り、どやどやと建物に怪我人を運び込んでゆく。
どうやら急患のようだ。
迎えに出てきた医師に、隊員の1人が容態を説明している。
「大型馬車の暴走事故です! 怪我人は幼い女の子で、右腕が…!」
なんだか大変なときに訪れてしまったみたいだ。
知らぬ人とはいえ、僕は運び込まれた怪我人の無事を深くお祈りをしておいた。
無事でありますようにと念を送りつつ、僕らも病院に足を踏み入れる。
「エリーも何度か一緒にお見舞いに来たでしょ? 僕の生徒がここで入院してる」
その生徒はエイシャといって、駆けっこの早い、明るくて元気な男の子だ。
いや、元気だった、というべきだろうか。
彼は重い病を患ってしまい、今もこうして入院生活を送っている。
クラスのみんなで寄せ書きを書いたり見舞いに行ったりでちょくちょく顔を見せてはいるものの、明らかにエイシャの笑顔は薄れていった。
以前だったらふざけて「俺は不死身だベイベー」ぐらいのことを言う子だったのに、最近はどうも後ろ向きな発言が多い。
どうやらエイシャは周りにいる大人たちの反応を見て、自分の病気の厄介さに気づいてしまったようだ。
先日、とうとう彼のお母さんが学校にやってきた。
「エイシャは、持ってあと3ヶ月だそうです」
元気いっぱいで豪快な大笑いを普段ならするお母さん。
そんな彼女はこのとき、この世の不幸を全て味わったかのようにやつれ、沈み、青ざめていた。
眠っていないのだろう。
目の下にできたクマが濃い。
とてもじゃないけど、その辛そうな様子を見ていられなかった。
エイシャ本人もきっと、僕の想像を超える苦しみを毎日長く、深く味わっているのだろう。
悲しさと絶望と寂しさと、体の痛みと、他にも色んな苦痛をきっと少年は感じ続けているのだろう。
お母さんは、「本人には何も言ってません」と暗い目を伏せる。
「エイシャには何も知らせていませんが、自分の体のことです。もう気づいているようなんです。お医者さんが言うには、精神的苦痛がさらに命を縮めているとのことなんですが…」
気づくと僕は「エイシャ君に希望を持ってもらえるよう、出来る限りのことをします」と一方的に約束を押し付けていた。
自分でも何が解決なのか解らないけど、でも少しでもエイシャに笑ってほしい。
同じ先生って呼ばれる職業だけど、僕はお医者さんじゃない。
だから命を延ばしてあげることはできない。
僕は教師だ。
生徒にいい思い出を作ることも、僕の仕事なんじゃないだろうか。
そう思ったんだ。
エイシャの病室は2階の奥にある。
僕はドアの前で立ち止まり、上着の内ポケットから懐中時計を取り出す。
今から10分だ。
嘘でも何でもいい。
僕はエイシャを笑わせる。
「エリー、解除、頼むよ」
エリーが「うむ」と頷き、僕の目を見た。
ほぼ同時に、僕は病室のドアをノックをする。
「エイシャ、こんにちは! 今日はエリーと2人で来たよ」
室内に足を踏み入れる。
エイシャは呆然と起きていて窓の外を眺め、特に何かをしていたわけでもなかった様子だ。
お母さんはと訊くと、エイシャの大好きな果物を買出しに行っているのだそうだ。
どうやら入室タイミングは間違っていなかったらしい。
「エイシャ、ここいい?」
答えを待たずに僕はベットの横にある椅子に腰かける。
目一杯にんまりと笑って、僕はエイシャの目を見た。
焦点の合っていない虚ろな目はこちらに向けられていないけど、僕は構わず続ける。
「エイシャ、今日は何の日か知ってる?」
すると彼は「嘘をついてもいい日」とボソリとつぶやいた。
「そうそう。エイシャは今日、なんか嘘ついた?」
「…けないよ」
「ん?」
「つけないよ」
「なんで?」
「そんな気分にならない」
「そっかー。嘘がつけるって、素晴らしいことだぞ? 先生を見ろ。エリーのせいで冗談だって言えない」
エイシャは相変わらず窓の外を見て、あまり反応を示さない。
しばらく雑談を続けてみたものの、彼は心を閉ざしてしまっているようだ。
僕は椅子から立ち上がる。
「エイシャ、お母さんから聞いたんだけど、自分はもう助からないなんて思ってるんだって?」
相変わらず、少年は何も応えない。
僕は自分の判断が当っているのか間違っているのか解らないけれど、もしかしたら残酷な嘘になるのかも知れないけど、でも、これしか思い浮かばない。
お医者さんやお母さんだって患者に何も教えないんだから、まあいいじゃないか。
と無理に自分に言い聞かせ、僕は大きく伸びをする。
「なんで生徒想いの僕がこんなに上機嫌でいられる? もしエイシャが死ぬんなら、僕は大慌てで笑ってなんかいられないよ」
「そんなの、演技だ」
「おいおい、僕が世界一の正直者だってこと、忘れたのかい? 言葉の最後に『嘘だけど』がないだろう?」
「今日は嘘をついてもいい日だから」
「ああ、そうだったね。じゃあせっかくだから今から嘘を言おう」
少しだけ、僕は小さく深呼吸をする。
「エイシャはこのまま病気で死んじゃう。嘘だけど。ああ、やっぱり駄目か」
少年の目が、今日初めて僕を捕らえた。
「もうすぐエイシャは元気になんて絶対にならない! 嘘だけど。くっそ。相変わらず言えないな。せっかく嘘をついてもいい日なのに」
エイシャは黙って、落ち着きなく喋りまくる僕を見つめている。
「エイシャは一生退院しない! 嘘だけど。くそ! やはりか! ええい! エイシャはもう2度と廊下を走り回って僕に怒られたりなんかしない! 嘘だけど。ああもー!」
サーカスのピエロのように、僕は1人でうるさく騒ぐ。
エイシャは笑顔を取り戻さない。
嘘だけど。
エイシャはクラスのみんなと2度と一緒に遊べない。
嘘だけど。
エイシャはもう運動会に出られない。
嘘だけど。
思いつく限り、僕は「嘘だけど」を連発した。
その様子が滑稽だったのだろう。
ほんのわずかだけだけど、エイシャが鼻で笑ってくれた。
僕は調子づく。
「エイシャは不死身だベイベー! お! やっと『嘘だけど』が出なかった! やったー! っと思ったら、嘘じゃなくて本当のことだからか。くそ。やっぱり僕には嘘が言えないよ」
「なるほどな」
不意にエリーがつぶやく。
次に放たれる彼女のとんでもない言葉に、僕は思わずぎょっとした。
エリーがエイシャに体を向ける。
「おいお前、お前は死ぬぞ」
心の中で僕は大絶叫だ。
なに言い出すんだエリィーッ!
この骨骨ロック!
そっちの意味でも死神ですか!
エイシャも僕と同じく、ゾッとしたような表情だ。
エリーはお構いなしに、少年に冷ややかな目を向ける。
「お前がいつ死ぬか、私にはどうでもいいし解らない。ただな、生き物はいつか必ず死ぬのだ。いくら怖がっても喜んでも、死は生物に対し平等に訪れる」
エリーは窓を顎で示す。
「外にいる連中を見てみろ。いつか自分が死ぬなんて当たり前のことを忘れて暮らす奴ばかりだ。それに比べればお前は死を感じているだけに、そんな輩よりもずっと優れている。死を理解したならせっかくだ。ついでに覚悟でも決めておけ。その覚悟は死ぬまで持っているといい」
エリーは最後に、こう締めくくる。
「私の言葉、老いても忘れるなよ」
また来るよと少年に告げ、僕らは病室を後にした。
笑顔で手を振り、ゆっくりとドアを閉める。
バタンという音と同時に緊張の糸が解けて、僕は大急ぎで洗面所を目指した。
嘘を言いまくっていた最中、僕は泣き出したくてたまらなかった。
無理矢理な笑顔を作ることが辛かった。
でも、この目からあふれ返ろうとしている涙が、エイシャの前で出なくてよかった。
笑顔が作れて、本当によかった。
「その慌てよう、消化器官でも壊したか?」
エリーの問いに答えず、僕は洗面器の前でみっともなく号泣する。
エイシャ、あと3ヶ月だけかも知れないけど、少しでもいいから笑って過ごしてくれ!
先生もお前に負けないぐらい笑うから!
だから最後まで笑顔でいてくれ!
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「そうか。あれから1年か」
エリーは僕に釣られて、窓から校庭をぼんやりと眺めている。
その校庭はかつて運動会のとき、エイシャが1等賞を勝ち取った思い出の場所だ。
「言い忘れていたことがある」
エリーはその冷たい視線を僕に向けた。
「言い忘れたこと? 僕に?」
「うむ」
「どんなこと?」
「あの日は、嘘を言ってもいい日だったな」
「あ、うん、そうだね。もちろん今日もそうだけどさ」
「去年のあの日はな、私もお前に習い、嘘を言わせてもらった」
「へ? どんな?」
「あの少年の病室で、お前はどれだけ喋っていた?」
「いや、時計を見ながら話せないから解らないけど、10分より短いんじゃないの? そういうつもりで嘘を言ったつもりだし」
「お前は途中から涙をこらえるほどに感情が高ぶって、時間を気にする余裕などなかった」
「あ、そう? じゃあどれぐらい喋ってた?」
「私が暗示を解いてから、ゆうに20分間」
「え!? そんなに!? うっそ!」
「こんな日とはいえ、嘘じゃない。お前は嘘をつく前のくだらない雑談に時間を取り過ぎたんだ」
「え、でも、僕ちゃんと嘘言えたし!」
「私が嘘をついていたからな」
「え?」
「私はお前に10分間だけ嘘を許すと言ったが、あれは嘘なんだ。実際は1時間許可していた」
「そうだったの!? なんでだよ、もー!」
「余興のつもりだったんだがな」
しかしちっとも面白くなかった。
とエリーは言う。
僕はなんだか気分がよくなって、さっきの質問をもう1回エリーにぶつける。
「ねえ、エリー。嘘ってゆうのも、悪くないと思わない?」
「お前は本当に群れを成す生物特有の考え方をする」
窓から暖かい風が入ってきて、机の上にあった卒業アルバムのページをめくる。
僕は「おっと」と咄嗟にアルバムを押さえると、偶然にもそこは我が教え子たちのページだ。
「いいんだよ、嘘も方便ってね」
誇らしい子らの似顔絵やら寄せ書き。
卒業生の一覧には恥ずかしながら、僕から1人1人に向けてのメッセージが添えられている。
「ほら見てエリー。いや、ごめん。見れないんだったね」
僕はしみじみと、開かれたアルバムを膝の上に置いた。
エリーには解らないことだけど、そこにはこう記されている。
「エイシャ、退院おめでとう! 君は不死身だベイベー! じいさんになっても、エリーの言葉を覚えていてね」
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というわけで
エイプリルフールにつき、取り急ぎで綴らせていただきました。
「永遠の抱擁が始まる」の番外編です。
willの更新も近日中にアップさせていただきますので、是非そちらもご覧になってくださらなくって結構です。
嘘だけど。
なんか無理矢理な嘘をこんな形でコメント欄で書くなんて我ながらもう…。
「永遠の抱擁が始まる」の番外編です。
willの更新も近日中にアップさせていただきますので、是非そちらもご覧になってくださらなくって結構です。
嘘だけど。
なんか無理矢理な嘘をこんな形でコメント欄で書くなんて我ながらもう…。
無題
本当いつもめささんには感動させられます、嘘だけど
っていうのも嘘ですけどね、嘘だけど
ちくしょおおおおおなんでいつおめはでてくr)ry
すみません調子に乗りました、心温まるお話ありがとうございました
っていうのも嘘ですけどね、嘘だけど
ちくしょおおおおおなんでいつおめはでてくr)ry
すみません調子に乗りました、心温まるお話ありがとうございました
あとがき
皆さん、コメントありがとうございます。
軽くあとがきですよ。
実は今年のエイプリルフールのこと、俺はすっかり忘れていたんですね。
どんな嘘日記を書こうかと、当日になって初めて悩みました。
そんな折り。
ちょっとまえに俺、とあるシチュエーションを思いついていたんですね。
教師が「嘘をついてもいい日なんだから、今日だけ暗示を解除してよ」とエリーにお願いする場面です。
そのことを思い出して「これしかない」と即行で話を作りました。
最初は2パターンのお話を想定していて、どちらを取るかでも悩みました。
1つは当記事のような暖かみのある物語。
もう1つは、ようやく暗示から解放された教師がノリノリで「宇宙人が攻めてくる」的な嘘を言いまくるコメディです。
周囲の人たちは教師の語尾に「嘘だけど」がないだけに信じてしまい、街は大混乱。
エリーはエリーで「嘘を言える代わりに本当のことを言えなくしてやる」みたいな暗示をかけているので、教師が頑張って騒ぎを静めようとしても逆に混乱を招くといったドタバタストーリーです。
書いてみて思ったんですが、こっちの話をアップして本当によかったと思います。
自分で書いたクセして読み返すと涙が出ました。
ちなみに、エリーの話は俺的にはシリーズ化しようと思っています。
ミステリーとか他キャラクターとのコラボ。
現代日本で人間として生まれ変わったエリーが教師を探そうとする物語も想定していますし、我ながら胸が踊っていますよ。
いつか必ず書き上げますので、その際は是非ご一読お願いします。
しばらくはwillをちゃちゃっと綴ってしまいますので、そちらのほうも楽しんでいただければ幸いです。
楽しんで書きますので、皆さんも気楽にご覧くださいませ。
今後とも、どうぞよろしくお願い致します。
めさでした。
軽くあとがきですよ。
実は今年のエイプリルフールのこと、俺はすっかり忘れていたんですね。
どんな嘘日記を書こうかと、当日になって初めて悩みました。
そんな折り。
ちょっとまえに俺、とあるシチュエーションを思いついていたんですね。
教師が「嘘をついてもいい日なんだから、今日だけ暗示を解除してよ」とエリーにお願いする場面です。
そのことを思い出して「これしかない」と即行で話を作りました。
最初は2パターンのお話を想定していて、どちらを取るかでも悩みました。
1つは当記事のような暖かみのある物語。
もう1つは、ようやく暗示から解放された教師がノリノリで「宇宙人が攻めてくる」的な嘘を言いまくるコメディです。
周囲の人たちは教師の語尾に「嘘だけど」がないだけに信じてしまい、街は大混乱。
エリーはエリーで「嘘を言える代わりに本当のことを言えなくしてやる」みたいな暗示をかけているので、教師が頑張って騒ぎを静めようとしても逆に混乱を招くといったドタバタストーリーです。
書いてみて思ったんですが、こっちの話をアップして本当によかったと思います。
自分で書いたクセして読み返すと涙が出ました。
ちなみに、エリーの話は俺的にはシリーズ化しようと思っています。
ミステリーとか他キャラクターとのコラボ。
現代日本で人間として生まれ変わったエリーが教師を探そうとする物語も想定していますし、我ながら胸が踊っていますよ。
いつか必ず書き上げますので、その際は是非ご一読お願いします。
しばらくはwillをちゃちゃっと綴ってしまいますので、そちらのほうも楽しんでいただければ幸いです。
楽しんで書きますので、皆さんも気楽にご覧くださいませ。
今後とも、どうぞよろしくお願い致します。
めさでした。