夢見町の史
Let’s どんまい!
April 11
彼のハンドルネームは悪魔王子。
その名の効果で、チャットに入室した瞬間に荒らしと勘違いされ、いきなり強制退室させられたほどの男だ。
兄貴、チャットしたかっただけなのに。
そんな悪魔王子の兄貴だが、皆さん様々な想像を巡らせておられるようだ。
俺のところにもたまに「悪魔王子さんって本当はどういう人なんですか?」といったお便りが届いたりしている。
これにはどう返信しようか迷っているうちに頭がハゲてしまい、結局メールを返すことができなかった。
冗談で返すか真面目に応えるかで悩んだのである。
せっかくなのでこの場を借り、記事にすることで返信と代えさせていただきたい。
真面目バージョン。
「確かに兄貴は柄が悪いですけれど、でも人相も悪いんです」
冗談バージョン。
「兄貴はそこまで怖い犯人じゃないですよ。ごく一般的な普通の犯人です」
どちらにせよ名誉棄損ものである。
お返事してなくってよかった気がしないでもない。
先日はというと、兄貴の日記に衝撃的な画像が公開されていた。
ある女性が、兄貴の想像図をしたためたのだ。
彼女は真面目に兄貴の姿を想像し、ペンを走らせ、それを画像に収めて兄貴に送ったのである。
ここでポイントとなるのが、彼女が真面目に想像したという点だ。
決してふざけて描いたのではない。
俺はその絵を見た瞬間に言い様もない衝撃を受け、体が動かせなくなってしまった。
せっかくなので皆さんにもご覧いただこう。
真剣に描かれた兄貴の想像図だ。
めさーじゃねえよ。
どこの人殺し?
なんでターゲットが俺なのか。
鬼才にもほどがある。
いでたちはパンチパーマに貴族服。
武器は、人に言えなさそうな何かで使用されたっぽい釘バット。
デコメを駆使する大名ぐらい世界観が固まっていない。
俺はこのような謎の2頭身をずっと兄貴と呼び、慕い続けていたのだろうか。
でもまあ、マフィアに例えたりとか俺も色々書いちゃっているし、兄貴ご自身もブログで「完全犯罪は存在する」なんて背筋が凍りつくような恐ろしい記事をアップしたりもしているので、このような平成の妖怪をイメージされても仕方ないのかも知れぬ。
さて。
そんな兄貴は経営者としても数多くの実績を残しているのだが、この不況だ。
人生を賭けた行動に出るのだと言う。
「俺は人を癒したい」
俺は思わず耳を疑ってしまった。
人を癒す!?
兄貴がですか!?
そんな釘バットで、どうやって!?
「整体」
生態?
そりゃ確かに兄貴は食物連鎖の上のほうに位置されていますけど。
ところが、そんな軽口すら挟めないほどに、兄貴はマジでいらっしゃった。
人知れず勉強をし、整体を学び、長い時間をかけて土台を築き上げたのだと言う。
この大不況の中、新たな試みに足を踏み出すのは大変な勇気だ。
よくぞ決断したものである。
しかも兄貴はたった一言で俺の心までもを動かす。
「俺はやりたいことたくさんあるし、それは全部いつかやるけどさ、仕事としてはこの整体を人生最後の職業にしようと思ってる」
俺が女だったらリップを塗り直し、濡れた瞳で兄貴を見つめてしまうところだ。
電話越しに兄貴は言う。
「そこでさ、めさに頼みがあんのよ。察しはついてると思うんだけど」
「解ってますとも! 是非俺に宣伝させてください!」
もしここで宣伝して、兄貴に少しでもお客さんがつくようなことがあれば、俺はお礼としてタダで癒してもらえるかも知れないではないか。
「出来る限りのことはします! どれだけ効果があるか解らないけど、俺に書かせてください!」
男気ある兄貴のことだ。
お礼の無料マッサージが高確率で期待できる。
「気合い入れて宣伝しますんで!」
兄貴の性格からして、踏み出すからには確かな腕を確実に身に着けている。
俺はそんな、マッサージ的なことをガッツリしてもらったりとか、そういうのがね、大好きなんですよ。
でも待て。
俺は横浜、兄貴は北海道だ。
来てくれるというのなら俺は全然構わないってゆうか、是非来て欲しいところだけれど、ちょいと距離がありすぎる。
「あの、質問なんですけど、お店を出すんじゃなくて、兄貴が出張して来てくれる感じなんですよね? やっぱ札幌中心に活動するんですか?」
「俺はそう。でも仲間がしばらく関東に行くから、そっちでも仕事は受けられるよ」
しゃー!
さり気なく確かめたら兄貴のお友達もマジで整体の技術を習得したようだし、完璧だ!
それと、兄貴もこの日記を間違いなく見てるはずだから、これも書いておかないと。
兄貴一族による整体を俺が受けられるなんてことになったら、もうめちゃめちゃ面白い体験談が書けちゃうんだけどなあ。
ああん、書けちゃう。
これで良し。
とここで、ちょっとした不安がよぎる。
俺が整体を受けるとしたら、普通にマッサージをされるだけではネタ的に地味だ。
それを懸念した兄貴が余計なスペシャルメニューを勝手に加えてしまうのではないか。
兄貴は「ボキボキ鳴るようなマッサージじゃない」と言っておられたが、俺にはやるんじゃないだろうか。
俺は俺で兄貴に気を遣い、ホントは痛いのに「癒されるっす、うー!」とか不思議なあえぎ声を出すのではないか。
いやいや、俺をそんな目に遭わせたら記事は面白くなるけど、兄貴からしたら商売的に逆効果だ。
したがって、それはない。
ないと思う。
なかったら嬉しいな。
そんな不安をよそに、俺は再び鬼才の作品に巡り会う。
例の女性が、整体師として奮闘する兄貴をイメージし、再び筆を取ったのだ。
その絵を見れば見るほど、俺の中で大切な何かが壊れてゆく。
せっかくなのでご紹介しよう。
一生懸命に仕事する、悪魔王子の兄貴。
働く男の姿である。
正直に言おう。
気持ちが悪い。
だいたいなんで言語が「めさー」だけで通じ合えているのだ。
会話の内容は何なのだ。
兄貴のコスチュームが悪魔のそれから天使に変わっているところは「生まれ変わりたい」という兄貴の意気込みを表していると取れる。
でも、だったらパーマも落としていただきたい。
ルミノール反応ガンガン出そうな釘バットが足元に常備されてるし。
心なしか気持ちよさそうにしている俺の表情が、なんか腹立つ。
癒しと全く逆の効果が俺に現れてしまったので、話を元に戻そう。
札幌近辺、または関東地区にお住まいの皆様。
ちょっとしたスリルを求め、違う。
ちょっとした癒しを求めている方を、兄貴が募集しています。
キャラ的にはおマフィアな気配かも知れませんが、兄貴は熱い人です。
涙もろく仁義を貫き通す、まるで昭和のヤクザのような、じゃなかった。
間違えた。
真摯な仕事をなさるお方ですので、マジでご安心ください。
兄貴やお仲間の人柄は俺が保障します。
ちなみに料金は3000円です。
場所によっては交通費が加算されますけども、追加されるのはせいぜい1000円ほどだとのこと。
極めてリバーシブルですね。
※リーズナブル。
精神的な疲れは肉体的に回復を図れば効果倍増。
お金がない俺がタダでマッサージを受けられるチャンスなのです。
是非とも兄貴たちのお客さんになってあげてください。
どうぞよろしくお願い致します。
さて、宣伝は以上です。
もし本当に俺がマッサージを受けさせてもらえることがあったら、後日そのことをリポートしますね。
兄貴、見てますか?
大事なことなのでもう1度。
もし本当に俺がマッサージを受けさせてもらえることがあったら、後日そのことをリポートしますね。
めさでした。
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