夢見町の史
Let’s どんまい!
August 07
前回の日記でアップした「うろ覚えで語るハイジのあらすじ」をすこぶる気に入った友人が、今度は最後のアダムを語ってくれと頼んできました。
自作品の中でも特に真面目な物語で雰囲気も特殊な最後のアダム。
これを砕けた感じで語るとどうなるのか、やってみました。
雰囲気ぶち壊しですみません。
こんな風になりました。
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なんか地球人たちが滅びかけてから3000年ぐらい経ったあとの話なんだけどね?
その頃の地球はとてもじゃないけど住めない環境だから、みんな地下で暮らしてるわけ。
巨大ダンジョンみたいな?
地下街だ地下街。
文明があった頃に作られたっぽい町だから空調設備とか照明とか整ってんじゃね?
そんな町から誰も出られないから、主人公や町の人たちはぶっちゃけ、生まれてから1回も空とか見たことないの。
日光とか浴びてないから、もうみんな色白。
だから主人公、外にあるってもっぱら噂になってる太陽が見たくてね。
秘密基地的な部屋に篭って、太陽作ろうとすんの。
材料は町の天井から電球をパクるといったわがままっぷり。
主人公の友達でラトってのがいるんだけど、ラトはラトでなんか変なパンみたいのむしゃむしゃ食べてて、全力でゴロゴロしてんの。
主人公がラトに「外を見たい?」って訊くと、ラトは「夜が見たい」とか言い出してさ。
一生懸命に太陽作ってるっつーのに、夜が見たいとかって主人公の努力を全否定。
でも主人公バカだから、友達が「夜が見たい」って言ってんのに、それでも太陽作るの。
太陽っつーか電気スタンド?
売ってねーのかよ、その町。
で、主人公は友達シカトで太陽もどき完成させて、試しに点けてみるのね。
元々は町を照らす用の電球使ってるから、めっちゃ眩しいの。
ラト、目を押さえてのたうち回る。
主人公それ見て何故か高笑いでご満悦。
ちなみにその部屋変だから、床から木が生えてんのね。
ラト、主人公の作った太陽そっちのけで、照らされた木のほうばっか見てんの。
「ねえねえ、みみ、実が成ってる。みみ、実が。ああ、あれ、あれ、食べたい! とと、取って!」
「お前バカじゃん。お前の口調どもりすぎだから読むの面倒臭いし。だいたいなに、お前、感じ悪いんじゃないんですかー。俺がせっかく太陽作ったのに、なんで木の実とかに注目するんですかー。お前は本当に俺の気分を悪くしてくれます」
主人公、めっちゃ器ちっちゃいの。
で、なんかそこで「あー」とか言って落ちる感覚がして、主人公は気を失っちゃうのね。
目が覚めると普通に見たことない世界が広がってんの。
風とか吹いてて、天井がなくって、めちゃめちゃ広いフィールドにいるの。
「意味わかんねえし!」
主人公、即行で大混乱。
なんか上空では太陽が2つもあるし。
「つーかなに、あの光ってる星。あれが本物の太陽なんですかー? じゃあ俺が作ったやつ、スゲー小物じゃん。そんな小物なのに、ラトに『もっと注目しろよ』みたいに怒って俺、マジ恥ずかしいし」
したらめっちゃ綺麗な女の人が主人公のそばにいるのね?
「ここ異世界っす。オメーは何か不思議な現象でこの世界に来ましたよっと」
「マジでー? そかそか異世界かー。外に出ちゃったのかと思ったし。でもそんなわけないもんねー。もしここが外だったら俺、焼け死んでるし。だから異世界って説明のほうが納得ですよ?」
「ちなみにオメーの友達も一緒です。あそこで阿呆みたいに蝶々を追っかけておいでです」
「ホントだー。ラトはホントに能天気屋さん」
女の人はなんか「自分、案内人ですから」とかって適当な理由つけて、主人公たちが元の世界に帰るために一緒に旅するって言って聞かないのね。
それで主人公は「この女ぜってー俺に気があるよー」って思いました。
なんかこの世界、太陽が2つもあるから、なかなか夜にならないんだって。
でも毎日確実に夜になるエリアがあって、そこの塔に登ればいいんだそうです。
女の人が言ってたから間違いない。
旅してると、景色が壮大なのね?
そこは各自想像に励んでください。
あと女の人がめっちゃ物知りで、色々教えてくれるの。
「天使と悪魔は同じ生き物なんですよー。影を刺したら死にますよー」
「普通そんな機会ねえよ」
したらタイミングよく、ラトが短剣とか拾ってくんの。
「けけ、剣もあるよ。けけ、剣。ぼぼ、僕は、ささ、さ、刺さないでね。にー!」
「にーじゃねえよ。にーって一体何なんだよ」
他にも案内人の人、伝説の超デカい樹が1000年に1回だけ実をつけます的なことも言うのね?
「2000年前の実は食べた奴を不老不死にしましたよー。1000年前のは食べた奴の頭を良くしましたよー。その次の実についてはあえてここでは触れません」
「なんなんだよ、オメーはよ」
そうこうしてて、一行はついに夜が来るエリアの塔までたどり着くの。
「この塔登ればクリアっす」
「簡単に言うなよ、バカじゃんオメー。この塔、デカくね?」
その塔、「普通に登ったら高山病になれます」ぐらいスゲー巨大なんだけど、主人公たちは中に入るのね。
で、しばらく登ってたら後ろから着いてきてたはずのラトがいなくなってんの。
主人公がバカみたいに「ラトがいなくなったー。ラトがいなくなったー」ってテンパってんのに、案内人の女、空気読めないから「この扉の向こうが元の世界っす」とか言ってんのね。
「元の世界とかってバカじゃんオメー。ラトが消えましたーって言ってんのー。探さなきゃいけないでしょー?」
「バカじゃんとか言ってお前がバカじゃん。ラトがいないのは、わざとですー。奴がいたらあたしら困るから、魔法的な技使って、わざとラトから逃げたんですー。消えたのはオメーのほうだっつーの」
「はー? 意味わかんねーし! ラトから逃げてどうするんですかー?」
「いいからその扉開けろっつーのー! 展開してけよバーカ!」
ちょっぴり傷ついた主人公が扉を開けると、そこモロに自分らの町なのね?
地下街だ地下街。
女の人が言うの。
「お前はバカだからー、ずっと地下で住んでるって思っていましたよーっと。ホントはこの通り。ご覧ください。オメーの町は地下じゃなくって、上空にあったのでした。お前は今まで嘘ばっかり教え込まれてきたのー」
「オメーバカじゃん! 俺が住んでいたのは地下なんですぅー! こっちの町が偽物でーす! だって人とか誰もいないし!」
「そろそろ空気を読んでください。いやむしろ空気をご覧ください。お前だけが人間で、ここで飼われていたんですよー。もっと言えばー、この世には人間はもう2人しか残っていませんー。オメーとあたしです。あとはみんなオメーの飼い主が作ったフェイクよフェイク」
「フェイクとか言ってバカじゃん! そんなん証拠とかねーし! 俺そんなん信じねーし!」
「お前は本当にバカなんですねー。いい加減気づけよー。だいたいオメーには名前がありません」
「はうあ! 確かに!」
「バカじゃんとか言って今まで気づかなかったお前がバカじゃん! お前はこの町で最初から1人なのー。ソロ活動だったのー。だから名前なんて要らなかったのー」
「俺、今まで生きてきて『ねえ』とか『おい』としか呼ばれたことないけどー、いえいえそれでも俺はバカじゃありませんー。だいたいなんで異世界と俺の町が繋がっちゃってんですかー。おかしいじゃん」
「おかしいのはオメーですよー。お前が旅したのは異世界じゃなくって、外だもん」
「外とか言ってバカじゃんオメー。オメーは知らないだろうけども、外の世界は暑くてたまらないんですぅー!」
「お前のほうがバカじゃん。3000年も経てば汚染とか普通に直ってるしー」
「そんなん知らないもん。だいたい異世界だって最初に言ったのオメーじゃん! やっぱりバカじゃん」
「オメーのほうがバカだっつーのー! オメーのそばにラトがいたから、あたしは嘘ついたんですぅー。ただでさえ騙されつつ育ってきたのに、その上あたしにまで騙されてバカじゃん。お前どんだけお人好し?」
「もー帰るー!」
「もう帰ってきてるんだっつーの。バカじゃん」
いっぱいバカって言われた主人公はさすがに凹んで、すねててくてくと女の人に着いていってね?
見覚えのある部屋に入るの。
主人公が、ぷぷッ!
しゅ、主人公が「太陽だー」とか言って、ぷぷぷッ!
くすくす。
主人公が「太陽だ」とか言って頑張って電気スタンドを作った部屋に到着ですよ。
ふはははは!
したら、木のそばに赤い実が落ちてんのね。
前にラトが見つけたやつが熟れて落ちてんの。
案内人は大喜びですよ。
「あたしぶっちゃけ、これ食べたくてここまで来たんだよね。やっと神の実食べれるよー」
「はー!? オメーバカじゃん。それ神の実じゃねーし! 普通の木の実だし!」
「あははん。いい? ぼうや。これはね? 神の実なの」
「だってオメー言ってたじゃん。神の実はでっかい木に実るってオメー言ってたじゃん! その木のどこが超デカいんですかー! 何基準でデカいとされているんですかー。こんな普通のサイズの木を『巨木です』って、オメーバカじゃん」
「ウザい死ね。いい、ぼうや? この塔がデカい木を削って作られたんですー。この塔イコール伝説の木! オーケー? したがってこれは、1000年に1度実る神の果実なのでしたー! いえーい!」
「もういいよ、もー! 何言っても綺麗に言い返されるよ、もー」
でもそんとき、女の人がいきなり後ろから銃で撃たれちゃうのね。
バキューン!
「あー!」
撃った奴がラトなわけ。
もうラト、どもってなくって普通に喋るの。
「このアマ、余計なことバラしまくり。ホントやだ。なんか語尾にちっちゃいダブリューいっぱい付いてそうな話し方しちゃってさー」
「ラトお前、マジ?」
「何がだよー。っつーか下界、まだ人間生きてたんだなー。この塔で飼ってた奴以外に人間なんてもういねーって思ってたし」
「お前までアレですか? バカなんですか?」
「バカはオメーだし。ちなみにお前の本当の両親も死んでます。お前を産んですぐにアレしておきました」
「はいはい?」
「どいてどいて。その実は俺が食べたいのです。お前を飼って遊ぶのも、もう終わりっぽいのです」
「なんで敬語?」
そしたら、死んだフリしてた案内人の人が立ち上がってね、主人公が作った、ぷぷッ!
しゅ、主人公が作った超小型ポータブル太陽「庶民型」のスイッチを入れちゃうのー!
したら影とかできるわけ。
ラトってぶっちゃけ悪魔だから、影を刺されたらお亡くなりになるのね。
で、主人公が前にもらった短剣で、ラトの影を刺しちゃうの。
ラト、主人公のことめちゃめちゃバカじゃんバカじゃん言ってたけど、自分で剣とか渡しちゃってて、こいつもバカでしたー!
ぐさ!
「あー!」
でも主人公、自分でやっといて、めっちゃラトに「刺してごめんちょ」って謝る謝る。
だったら最初から刺すなよ、みたいな。
「俺は刺すな的なこと言っといたのにさー」
ラトによる死ぬ前の愚痴。
「その実はな? 食べた奴を死なす効果があるわけ。オメーが食べたって普通に死ぬだけなんですよ。一方俺様は死んでも記憶持ったまま生まれ変わっちゃうから、それが嫌で実を食べたかったんですよ。俺の場合だと実を食べたら無になれちゃいますから」
「なんで敬語!? ラトォーッ!」
はい。
ラト、脱落。
で、主人公はご乱心で実を拾って、がつがつ召し上がっちゃうのね。
女の人は、さすがに気の毒ってゆうか、主人公の乱れっぷりに引いて、黙って見てます。
女の人は昔、不死の実と知恵の実、両方食べてた人なのね。
だから色々知ってるし、撃たれても死なないの。
で、いい加減生きすぎたから「あたしも死ぬ実を超食べてしまいてえ」とか考えてたわけ。
で、科学とか使って、実が落ちたときにキャッチできるように、木の根元に穴を開けたのよ。
そこに実が落ちれば、遠くにいても女の人んとこに実がワープするわけ。
でも落ちてきたのは主人公とラトでしたー。
がっかりですよ。
もう穴とか開けられないっぽいから、女の人は案内するフリして、直接実を食べに来たってわけ。
ちなみに2つあった太陽なんだけど、片方は木星が発熱したものです。
何故かは知りません。
おやおや。
そうこう俺が語ってる間に、主人公が召されましたよ。
女の人も残りの実を拾って食べちゃいます。
と、いう夢をアダムは見ていました。
ここはエデンの園で、アダムがイヴに起こされるの。
イヴの前世はめっちゃ未来人。
軽く時空が乱れてます。
勘のいい人は解るでしょうけれど、案内人の女とイヴは同一人物なのね。
魂的に。
名前がなかった主人公はというと、めっちゃ過去に魂が行って、アダムに生まれ変わっちゃってんの。
「なんかもの凄くバカって言い合う夢を見ていたぜ」
「それよりアダム、あたしは知恵の実食べたから、お前も喰え」
「マジかよオメーよー! それだけは喰うなって神様的な存在から言われてんじゃねえかよー」
「蛇にそそのかされた。お前も喰え」
「その蛇ってぶっちゃけラトだよ、もー! 解った解った、食べるよもー!」
こうして歴史は繰り返されるのでした。
ちゃんちゃん。
…こんな軽い話じゃないはずなんだけど…。
ちなみに本当はこんな雰囲気です。