夢見町の史
Let’s どんまい!
March 24
どうやら俺は日常的にケンタウロスを目撃していたらしい。
ケンタウロスというのは半獣半人の、神話に登場する架空の生き物だ。
体が馬で、本来なら首が生えている部分から人間の上半身が伸びている。
弓を構えている絵が有名で、星座にもなっているから、知らない方は少ないだろう。
チーム「りんく」の歌姫、ぴぃは、音楽と同時にエロを担当している。
エロを担当するといっても、誰かに何かをしてしまうわけではないのだけれど、とにかく彼女はエロ担当だ。
小柄で可愛らしい顔に似合わず、ぴぃは下ネタの王者なのである。
おかげ様で、俺は何度も「ぴぃ、なんてこと言うのー!」などと赤面し、パーカーのフードを被ってちっちゃくならせていただいている。
具体的に、ぴぃが何を口走ったのかというと、すみません。
書けません。
そんなぴぃから、俺は不思議な質問をされた。
「ねえ、めさ兄。ケータイに、あたしの名前、なんて登録してる?」
うん?
以前は「ぴぃさん」って登録してたけど、今は本名で登録してるよ。
「そんなのつまんない! あたしはみんなの名前、肩書きで登録してるのに」
ほほう、なるほど!
意味が解りません。
「あたしのことは、『肉欲の妖精』って名前で登録してほしい」
そんな名前で登録しているのを人に見られたらどうするのだ。
だいたい、肉欲の妖精って、あんた。
官能小説のタイトルぐらいアグレッシブな登録名を、どうして自ら考案したのか。
そんなの、ふさわしすぎるじゃないか。
ちなみに俺は、日常会話で「肉欲」って初めて聞いた。
ってゆうかさ、ぴぃ。
俺はじゃあ、なんて登録されてるの?
「めさ兄はね、あたしのケータイに『いやんピヨピヨ反応』って登録されてる」
いやん。
「32歳ピヨピヨ反応にしようか、今検討中」
なんでリアルな年齢を取り入れる?
来年はどうするのさ。
「また変える」
ああそう。
とそこで、かづき君が起き出す。
彼は役者と睡眠を担当している。
爽やかな短髪で、お洒落な髭をたくわえており、中途半端な男前。
「ねえ、ぴぃ。かづき君は、なんて登録されてるの?」
「かづ兄はね」
俺はおそらく、次のフレーズを一生忘れない。
「かづ兄は、顔がケンタウロス」
一瞬にして、俺の中で何かがはじけた。
「がはははは! 顔が、顔がケンタウロス! 確かにかづき君、ケンタウロスみたいな顔してる! ケンタウロスなんて見たことねえけど、似てる~! がはははは!」
何度も何度も、俺の中で「顔がケンタウロス」という言葉がぐるぐる回る。
呼吸ができない。
顔だけケンタウロスって、要するにただの人である。
「ひー! ケンタウロス! あ~はははは! 顔だけて! ケンタウロスの特徴一切ねえ~! あはははは!」
ケンタウロス本人はというと、どこか寂しそうな顔をしていた。
ようやく笑い終えた俺も、ふと悲しくなる。
想像してしまったのだ。
「皆さん、こんばんはー! 肉欲の妖精です!」
「いやんピヨピヨ反応です!」
「顔がケンタウロスです!」
どう考えても、ケンタウロスが1番オイシイ。
だいたい2人とも、妖精だのケンタウロスだのと。
なんで俺だけ伝説の生き物っぽくないのさ。
いやん。
ピヨピヨ反応。
今日は午後からお仕事なので、大急ぎでアップさせていただきましたよ。
加えて、誕生日のお祝いが当日にできなくってすみません!
遅ればせながら。
3/20 くまさん、誕生日おめでとうございます!
3/21 月さん、誕生日おめでとうございます!
3/23 おね~ぼんさん、誕生日おめでとうございます!
今後ますます素敵で幸せな毎日になりますように。
新しい1年も、たくさん笑ってくださいね。
お誕生日、本当におめでとうございます。
ハッピーバースデイ!