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夢見町の史

Let’s どんまい!

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2017
April 29
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2010
September 14
 とても文字では表せられない俺の悲鳴が大音量で轟く。
  視線の先には、首から上が馬で、体が人間といったミノタウロスの親戚みたいな奴が無言で立っていた。

  俺の部屋に、なんでこんな怪物が!?

  前触れなくフスマが勝手に開いたかと思うと、こいつがいた。

  友人らがうちへの襲撃を計画していたことは知っていたが、まさかウマタウロスが来るとは予想外だ。

  パソコンでの作業を中断し、俺は威圧するかのように男らしく怪物に怒鳴りつける。

「誰ぇ~?」

  馬の後ろからは小柄な女友達が現れて、クナイを構えるなどしてからスッと消える。

  いつか手裏剣で攻撃されかけたことがあったけど、あの子までそっちの人だったのか。

  ってゆうか馬の人、誰?

「お邪魔しました~」

  誰かの声がし、馬がペコリと頭を下げる。
  フスマが閉められた。

  一瞬にして帰るの!?
  もうちょっとうちで何かやってけよ!

  腰が抜けていたけれどなんとか立ち上がり、連中の後を追う。

「どうも、お疲れ様です。散らかってるけど、どうぞ」

  改めて部屋に招き入れると、うちを襲撃したのは3人と1匹であることが解る。

  友人夫婦とうら若き女友達。
  あと人と合成された馬というか、馬と合成された人みたいことになっている男子。
  その正体が誰なのかさっぱり読めない。

「あの、こちらはどなたなの?」

  しかしその質問に誰も答えない。

  ホント誰!?
  その言葉を5回ぐらい繰り返したところで、ようやく馬の被り物に手がかかる。
  彼がゆっくりとお面を外した。

「君は…!」

  馬面の下に隠されていた覆面レスラーのようなマスクに対し、俺は驚愕の声を上げる。

「結局誰だよ!?」

  青年はお面を二重に被っていた。

  覆面も脱がせる。
  男はようやく素顔になって、清々しい笑顔を俺に向けた。

「俺ですよ」

  見覚えがなくて、俺は「結局誰だよ!?」と再び叫んでいた。

  その青年の顔を、俺は写真でしか見たことがなくて、まさか彼が隣の県に住むネット仲間の1人だとは気づけなかったというわけだ。

  襲撃者の1人が俺に重たそうな箱を差し出す。

「これ、お土産です」
「わざわざどうも」

  受け取ると、俺は自分の目を疑った。

  様々な漫画の単行本が並んでいる。
  冊数を数えると、合計22冊だ。
  しかしタイトルはおろかジャンルまでバラバラで、この漫画の共通点が見当たらない。
  強いていえば、どれもこれも第7巻だ。
  1巻でも最終巻でもなく、全部7巻なのだ。

  試しに1冊手に取ってみる。
  出だしにこうあった。

「ネエ…、どーゆーコト…? どーゆーコトよコレ!? アタシぜんぜんわかんないヨ! …ネエ!?」

  俺だって全然解らない。
  一体今まで何があったのだ。

  他の漫画にも手を伸ばしてみる。

「予定外の干渉があったようですね」

  知るか。
  お前のそのセリフのほうが予定外である。

  ミステリー漫画は犯人が解らないまま終わってるし、これ全部読まなきゃいけないのだろうか。

  ただ、非常にありがたい土産もあった。
  焼き肉用の牛肉たちだ。

  俺はせかせかと食器やホットプレートを用意し、嬉しそうに固まる。

「ねえ。野菜は?」
「ないです」
「じゃあ焼き肉のタレは?」
「ないんですか?」
「ないです」
「じゃあ買ってきてください」

  今までの人生でこれ以上酷い仕打ちがあっただろうか。

  思わずツイッターでつぶやきを投稿する。

「襲撃された! 最初馬だったんだけど結局誰だよって話でレスラーが人に! 格7巻が22冊あって、肉焼きにくいかも知れません。完璧な説明だ」

  これで俺の支離滅裂さが大勢に伝わったことと思う。

  タレは結局、買い出しに行くのが面倒だったので適当に配合して作り、野菜は無しということで話をまとめる。
  お手製のタレを部屋に運ぶと、いきなりクラッカーを鳴らされて何もかもをこぼしそうになった。
  折り紙で作られたカラフルな鎖状の飾りが部屋を彩っているし、俺は今日誕生日なのだろうか。

「クラッカー選び、結構大変だったんですよ」

  襲撃者は満面の笑みだ。

「1番部屋が散らかるタイプの物を用意しました」

  客人にこんな乱暴な口を効くのは非常に心苦しいのですが、お前らばかなんですか!?

  クラッカーの炸裂音には本当に心臓を止められそうになったので、再びつぶやく。

「追記。俺の部屋に入るにはノックが必要でした。何故ならクラッカーが俺の今までの記憶を走馬灯のように。そして今も! つぶやいてただけなのに! 酷い! お米は4合炊いてます」

  自分で書いた文章に訳をつけるのは複雑な心境だが、仕方ない。

  手作りの焼き肉のタレを一生懸命作っていたら、襲撃者たちに「めささん、戻るときはノックしてください」と命じられ、その通りにしたら人に向けるなと注意書きがされているはずのクラッカーをめっちゃこっちに向けられ、パソコンに向かってキーボードを叩いていたらまたしてもクラッカーを鳴らされた。
  おかげで俺は出航するフェリーぐらいリボンまみれだ。
  ちなみにお米は4合炊いた。

「じゃあ、さっそく見ましょうか」

  なにが「じゃあ」なのか。

  とっても怖いと評判のホラー映画。
  そのDVDを手に、友人がにやりと笑った。

「ふわあ…! ああッ! もう無理ぃ! 無理ぃ! 死んじゃうよう! あああああッ!」

  その声だけを聞かれたら近所の人から誤解をされそうである。

  皆から「めささんの叫び声のほうが怖い」と怒られながら、映画を見続ける。

  映画の出来はとても良く、7巻だけではないので起承転結がまとまっていた。

  ただ、俺は要らぬ想像ばかりしているので、油断してもいいシーンでも油断をしない。
  おかげで、普通に場面が変っただけでも「ふああッ!」とか叫び、少しでも物音がしたら「ひゃあ!」と飛び上がる。
  いざというときのために模造刀を手にして見ていたけれど、それだけだと心細い。
  ペットボトルを2本抱きかかえ、事なきを得た。
  明らかに平和なシーンでは自分の周囲にそのペットボトルを配置し、猫よけみたいにしておいた。
  効果のほどは知りません。

「この映画が終わったら俺、肉焼くんだ…。牛だぜ牛。楽しみだなあ」
「それ死亡フラグです。でも、めささんって、ホントに怖がりなんですね。動画で見てるときは多少演技してるのかと思ってました」
「ばかか! 俺を怖がらせたかったら、手加減してても大丈夫だからもっと手を抜け! も~! もっと楽しい映画見ようよ~!」

  ホラー映画が終わって、肉を焼く。
  野菜がないので「肉肉野菜、肉野菜の順で食べろ」などと仕切れない。

  それにしても幸せな肉だ。
  焼き肉なんて久しぶりだし、手作りのタレも適当に混ぜただけの割には成功している。
  本当に美味しかった。

  しかし、俺はまだ知らない。
  自室にある様々な武器。
  模造刀、大小二振りの木刀、友達が持参してきたクナイ。
  その全てがこの後、俺に襲いかかることになる。

  最後にそのときの俺の音声を再現してこの日記を終えよう。

「危な、危な…! ちょっと! 俺丸腰! 俺にもなんか武器ちょうだいよ! あ、そうだ! かっちゃん! 本棚の上に木刀が2本あるから取ってきて! そうそれ! って、なんでお前らが使うんだよォ! いって! ねえ見て! 刀が刺さったとこ、血が出た! あはははは! もう無理ー! さばき切れねえよばか! お、それ使ってもいいの!? よーし、これさえあれば! ってこれ、折り紙の鶴じゃないかー! どこの達人だよ俺は! っつーか俺の声がうるさい! 近所迷惑でしょ!? やめてくれやめてくれ。ぎゃあ!」

  みんな、満ち足りた顔をして帰っていきました。

拍手[40回]

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2010
August 14
「どうぞー。散らかってるけど」
「お邪魔します」

 女の人を部屋に招き入れる。

 彼女とは数年前から知り合ってはいるものの、逢うのは今日が初めてだ。
 めごさんといえば、解る人もいるのではないか。

 めごさんは俺や友人の絵を想像で描き、メールで送りつけてきた、元はといえばブログの読者様だ。

 その絵というのが奇抜というか斬新というか、とにかく凄い。
 俺の想像図なんて絶妙で、素晴らしくキモいというか、なんか腹立つ。
 こんな奴が実際にいたら全力でつねっているところだ。

 めごさんは偶然にも俺の知人と接点があったし、ついでに過去、俺の日記に知らない人として登場している。
 そんなこんなでメールや電話で話すことがたまにあったのだけど、今まで直接逢ったことはなかった。

 俺は今、仲間を集めてオリジナルのボイスドラマを作ろうとしている。
 ちょっとした声優を素人の中から集め、楽しく練習に励む毎日だ。

 ヒロインである佐伯優子役がまだ現れていなかった当時。
 俺はツイッターでさらに声優募集の声を上げた。

「深刻な佐伯不足。どっかにいい佐伯はいませんかー? 佐伯! 俺はお前が欲しい」

 すると、めごさんからの返信が。

「ふふ。佐伯をお探しですか?」

 俺は冗談半分に「めごさん、やってよ」と返した。
 すると一言だけ、「はい」と。

 ところが、めごさんはパソコン同士で無料通話ができるスカイプができない状況にある。
 スカイプがなければ、合同練習も収録もできない。
 どうしたものか。

 めごさんに電話をし、参加意思の強さを訊ねてみると、

「佐伯でもいいし、猫の大吾郎でもいいです」

 相変わらず不思議な人だ。

 ツイッターを見ると、めごさんは練習開始といいつつ、にゃーにゃーとつぶやいている。
 猫の鳴き声なら、とっくに効果音としてパソコンに入っているのに。

「めごさん、猫の練習はしなくていいから! あ、そうだ。明日うちに来てよ。明後日でもいいけど」

 ツイッター上で誘ったので、めごさんから公然ワイセツ扱いをされたのは言うまでもない。

 初対面の異性ではあったけれど、昔から知っている人なので部屋に上げることに抵抗感は全くなく、俺は2人分の夕飯にとリゾットを作り、失敗した。

 スカイプでは既に数人ががやがやと雑談に明け暮れている。

「みんな、ただいま。めごさん連れてきたよ」
「おおー!」

 俺はヘッドセットをし、めごさんの前に別のマイクを置く。

「じゃあめごさん、自己紹介お願いしていい?」

 すると、めごさんは首と手をぶんぶんと振り、テレパシーを使って俺の心に直接話しかけてきた。

「無理です」

 なんで無理なのか。
 人見知りが激しすぎだ。

 数時間経っても、めごさんは一切口を開かない。
 これでは猫の大吾郎役でさえ任せられそうもない。

 スカイプだって言ってんのに、めごさんは画面に向かってジェスチャーで相槌を打ったり、俺にカンペを書いて読ませたりしている。
 もしかしたら、俺は画面の向こうにいるみんなに、「めささん実は最初から1人なんじゃないか?」なんて思われているかも知れない。

 結局めごさんは夕方まで何も喋らず、帰りの時間が訪れた。

 駅までの送り道。
 めごさんはケータイを開き、俺に見せてくれている。
 彼女にメールを送ったのは、共通の友人である悪魔王子の兄貴だ。

 そこには「めさを暗殺しろ」とか、物騒なことが色々と書かれてある。

「あたし一応、手裏剣を持ってきました」

 喋られる時代のめごさんが、そういえばさっき、鉄製の手裏剣を見せてくれたっけ。

「で、今きた兄貴からのメールはこれです」
「どれどれ?」

 俺はそれを読み上げる。

「その手裏剣を、めさの足に落とせ」

 ふと自分の足に目をやると、雪駄だ。
 素足がむき出しになっている。

 背筋が凍った。

「ダメダメダメダメ!」

 鞄の中をごそごそと探しているめごさんに、俺は精一杯の意思表示をした。

「ダメだからね!? もしかしてめごさん今、手裏剣探してるの!? ダメだからね!?」
「ちょっとこれ持ってて」

 ペットボトルを持たされる。
 めごさんの手の自由度が上がった。
 鞄の中から手裏剣という、なんだか時代遅れな武器が姿を現す。

 俺の足の運命やいかに!?

「じゃあまたー」
「はーい、お疲れ様ー!」

 結局めごさんは手裏剣での攻撃を思い留まってくれて、俺の足は無事に俺を駅まで運んでくれた。

 手を振って、俺はその小さな背を見送る。

 やがて俺は振り返り、家へと歩き出した。

 みんなまだ、雑談を交えながらも練習をしていることだろう。
 急がなくっちゃ。

 ふと、俺は目を細め、空を見上げる。

 めごさん、何しに来たんだろう。

拍手[21回]

2010
August 08

 俺の弟はリアルでもスヴェンと呼ばれているが、日本人だ。

 スヴェンが美味そうにお茶割りを口にする。
 職場のスナックに弟が飲みにきてくれて、談話に花が咲いていた。

「スヴェンはさ、女の人から言われたい言葉ってなんかある?」

 訊くと弟は、

「『ばか』って言われるのいいよね」

 と俺のツボを直撃させた。

 一瞬にして場面が浮かぶ。

「もう、めさのばか…」

 それいい!
 凄くいい!
 さすが我が弟だ!

「ばかはいいね!」
「いいよね、ばかは!」

 ばか兄弟2人してキュン死にしそうになってると、フロアレディのHちゃんが大きく叫ぶ。

「っこの、バカどもがッ!」

 そうじゃなくて…!
 そういう本気で見下す感じじゃなくって、もっとこう、愛情のある言い方を…。

 なんでニュアンスを解ってもらえなかったのか。

拍手[16回]

2010
July 21
 家庭内だと主に台所などに出没する、大抵の人から嫌われている黒光りする昆虫のことを、俺はそのままの名称で表現したくない。
 なんか書きたくないのだ。
 ステファニーとかジョンソンとか、適当にネーミングしてもいいのだけれど、それだとステファニーやジョンソンに申し訳ない。
 そこで、たまに飛翔する素早いあの生命力に溢れた虫のことを、ここでは仮に「スパイラルハリケーンクラッシュ」と表現させていただくことにする。

 俺の職場はスナック。
 つまり飲食店なので、どうしてもこのスパイラルハリケーンクラッシュがたまに出る。
 店の女子たちはスパイラルハリケーンクラッシュが苦手なので、主にスパイラルハリケーンクラッシュをクラッシュする係は俺が引き受けている。

 このスパイラルハリケーンクラッシュについて、目を輝かせて話題に上げたのはフロアレディのHちゃんだ。

「あっはっは! 聞いてくださいよー!」

 Hちゃんがお客さんに「愉快でたまらん」といった顔をしている。

「うちのいとこ、スパイラルハリケーンクラッシュが大嫌いなんっすよ。あたしもだけど、スパイラルハリケーンクラッシュだけはホント無理!」

 まあだいたいの人はスパイラルハリケーンクラッシュが苦手だよね。

「そのいとこの足にね!? 今日、なんと!」

 なんと?

「スパイラルハリケーンクラッシュが、いとこの足にスパイラルハリケーンクラッシュが!」

 スパイラルハリケーンクラッシュが!?
 ってゆうか長いな、スパイラルハリケーンクラッシュって。
 まあいいか。
 で、スパイラルハリケーンクラッシュがどうした!?

「登ってきてたの! いとこの足に、スパイラルハリケーンクラッシュが登ってきてたの! あたしもう大笑い!」

 ひでえ。

「いとこ絶叫してのた打ち回ってんだけど、あたしだけ爆笑してた! あれはホント面白かった! みんなにも見せたかった!」

 いとこの子、お気の毒に…。

 笑っていいのか心配したらいいのか悩んでいると、突然Hちゃんが悲鳴を発する。

「うわ! ぎゃあああああ!」

 どうした!?

「あたしの足に、スパイラルハリケーンクラッシュがあ!」

 このタイミングでかよ!?
 仕込んできたのか!?

「いやああああ!」

 たまたま近くにいた俺が咄嗟にスパイラルハリケーンクラッシュにバイオレンスビッグバンキックをシュパっと喰らわせ、退治する。
 突然の恐怖によって過呼吸気味になっているHちゃんの顔を、俺は心配そうに覗き込んだ。

 Hちゃん!
 日記に書いていい!?

「うっせえよ! またあたしネタにされんのかよ!」

 今の出来事は狙ってできるようなもんじゃない。
 むしろ日記にしたら作り話じゃないかと疑われそうで怖いぐらいだ。
 でも俺、書くよ!
 オイシイもの!

「またあたしのことを知る、あたしの知らない人が増える~」

 どんまい!

 なんか許可らしい許可は得られなかったけど、本当に勿体無い話なので書いてしまった。
 ホントどんまい!

拍手[56回]

2010
June 20

 中性洗剤で頭皮を洗われてしまったエピソードを日記で紹介させていただいたのは、先日のことだったか。
 おかげで、俺の頭髪は完璧に除菌されてしまった。

 しかし、それではまだ足りないと言わんばかりに、俺は再び、文字通りジョイの洗礼を受けることになる。

 職場のスナックに、お客さんが不思議な粉を持ち込んできた。
 その白い粉を水で溶き、顔に塗るとめちゃめちゃ肌に良いとのことらしい。
 
 フロアレディたちは興味深々で、高価であるとされるその粉を溶かし、顔にぺたぺた塗ってはしゃいでいる。
 俺は男の人なので美容にそれほどまでの興味はなく、ただ黙ってその様を見守っていたのだけれど、

「めさも塗れば? 余らせたら勿体無いじゃん」

 この一言があった5分後、何故か俺は白人よりも真っ白な顔にされてしまった。
 志村けんのバカ殿様レベルの白さだ。
 お前、漂白剤も塗っただろ?
 ってぐらい白い。

 明らかに塗りすぎだ。
 女子に任せた俺がおばかさんだったのだろう。
 いつの間にか真っ赤な口紅まで施され、写メにまで収められた。
 さっき、自分のことをバカ殿様と例えたけれど、実際の俺はお殿様ではないのでただのバカだ。

「このままじゃ帰りにコンビニに寄れないじゃん!」

 俺の涙が純白の頬を伝わった。

「じゃあ洗おう」

 店を手伝いに来ていた現役の女子プロレスラーが、またしても中性洗剤を手に満面の笑みを浮かべていた。
 結果、白い粉はもちろんのこと、口紅まで洗い流される。
 きっと粉が持っていた美肌効果まで流されてしまったに違いない。

 めさが頭髪どころか、顔までジョイで洗われた。
 この話題はしばらく、スナック「スマイル」で語り継がれていくことになる。

 お客さんも従業員たちも、人事だと思って言いたい放題だ。

「めさの首から上は完全に除菌されたよね」
「清潔清潔」
「いや、まだでしょ。口の中がまだ残ってる」

 え?
 今、なんて?

 やはり女子プロレスラー、豊田真奈美の発言だ。

「ジョイで歯磨きをしよう!」

 今、はっきり解りましたよ、真奈美さん。
 お前バカですよね?
 さすがに中性洗剤で歯磨きって発想は人の道を外れていらっしゃいます。
 ねえ?

 俺の困惑した視線に、店のボスであるK美ちゃんが気づき、声を大にしてくれる。

「歯ブラシあるよ!」

 K美ィーッ!
 なんでこの店には歯ブラシあるんだよォーッ!
 やだからね!?
 やだからね!?
 ジョイで歯磨きだけは絶対やんないからね!?

「あたしの歯ブラシそんなに嫌なの!?」

 ジョイが嫌なんだよ!
 解ったよ磨くよ!
 磨けばいいんでしょ磨けば!
 今からジョイで歯ァ磨いてやんよ!
 さあ、歯ブラシとジョイを!

 かくして口の中が泡だらけに。
 味は少し苦いぐらいで、たいした問題はなかったように思う。
 人体への影響はあえて何も気にしないことで事なきを得た。

 ただ、なんで俺、何もしてないのに罰ゲームみたいなことになったのか。
 意味わかんない。
 今後、中性洗剤でどこを洗われることになるのか、さらなる発展があるのか、ちょっとどきどきだ。

※追記。
 なんか体に悪いらしいので、良い子の皆さんも悪い子の皆さんもマネしないでください。

拍手[51回]

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プロフィール
HN:
めさ
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1976/01/11
職業:
悪魔
趣味:
アウトドア、料理、格闘技、文章作成、旅行。
自己紹介:
 画像は、自室の天井に設置されたコタツだ。
 友人よ。
 なんで人の留守中に忍び込んで、コタツの熱くなる部分だけを天井に設置して帰るの?

 俺様は悪魔だ。
 ニコニコ動画などに色んな動画を上げてるぜ。

 基本的に、日記のコメントやメールのお返事はできぬ。
 ざまを見よ!
 本当にごめんなさい。
 それでもいいのならコチラをクリックするとメールが送れるぜい。

 当ブログはリンクフリーだ。
 必要なものがあったら遠慮なく気軽に、どこにでも貼ってやって人類を堕落させるといい。
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