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夢見町の史

Let’s どんまい!

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2024
April 25
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2010
April 26
 もしどちらかが女性だったら、この2人のやり取りは不純異性交遊にしか見えない。
 なんだけど実際は男同士なので、ゲイものDVDのパッケージみたいなことになっている。

 悪友のトメと、後輩のモンジ。
 この2人は昔から悪い意味で仲が良い。

 車の中でも職場の事務所でも所構わず、モンジが子猫のようにトメにすり寄り、頬擦りなどするのだ。
 俺が見ていてもいなくても、モンジは大抵トメに身を寄せる。
 マーキングでもしているのだろうか。
 聞けば、人目がない場所でもだいたいこんな感じなのだそうだ。
 しかも、トメがあんまり嫌がらない。

 付き合っているのだろうか。
 付き合ってしまえばいいのに。

 居酒屋では今日も、トメとモンジは隣り合って飲んでいる。
 後輩はトメの顔を下から持ち、顎をたぷたぷ触って遊んでいた。
 見慣れた光景だ。

 このモンジには他にも変わった癖がある。
 人に本名以外の名を勝手に命名し、間違った名を記憶するのだ。

 俺はマイキーだし、トメはライアン。
 ちなみに俺の弟はスヴェンと呼ばれ、妹だけ何故か日本語で「ご立腹」だ。

「お前のケータイ、いつか見せてもらったことあるけど凄いよなあ」

 グラスを置いて、俺はモンジに問いかける。

「アドレス全部、日本人の名前なかったもんなあ。今もそうなの?」

 するとモンジの態度はさも当然のようだった。

「ええ。今もそうですよ。おかげで書類書くときとか、社員の本名が解らなくって困りますよ」
「そういえばお前!」

 今度はトメがモンジに問う。
 その内容は、俺や他の友人たちを驚かせた。

「こないだ俺が寝てる間によ~、俺のケータイいじって、電話帳の内容変えたのお前だろ~! 人の名前ンとこだけ全部違う名前に変わってたよ~」

 お前それは仕事に差し障るレベルじゃないのか?

 ところがモンジの様子に焦りはない。

「いえ? それやったの、俺ですよ?」

 要するにお前じゃねえか!
 もう好きにしたらいい。

 電話帳を勝手に操作されていた被害者の反応はというと、

「あっはっは! やっぱりオメーかよ~」

 あっはっはじゃない。
 もう好きにしたらいい。
 付き合ってしまえ。

拍手[27回]

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2010
April 20

 待ち合わせの駅で腕時計を確認し、俺は15分早く来てしまったことを後悔する。
 改札口を行き交う人々の中に、見覚えがある顔はない。

 俺は心の中で大きく叫ぶ。

「その記憶は遥か忘却の彼方に!」

 つまり俺は、 空手部の連中に時間を守る奴が1人もいないことを忘れていた。

 高校時代、共に汗を流した仲間たちと俺は今日、久々に逢う。
 空手部の皆と飲み会なんて、かれこれ10年振りだ。

 その間、母校であるK高校は廃校となり、今では専門的な学校の校舎に生まれ変わっている。
 俺たちの場所だった道場も、噂によれば教室に作り変えられているらしい。

 母校は3両編成のローカル線で5駅目。
 当時は練習後、あえてそれには乗らず、歩いて帰り、お喋りを楽しんだものだ。

 そこで俺は待ち合わせ場所に皆が集合したあと、提案するつもりだった。

「今から校舎を見に行かないか? そこから当時のルートを歩いて戻ってさ、街並みがどう変わったのか見ようよ。飲む店はその途中で適当に決めようぜ」

 当時、必ず買っていた焼き鳥の屋台はまだあるだろうか?
 お気に入りのコーンポタージュを置いていた自販機は、今は春だから売り物を変えているだろうな。
 そんなことを思っていた。

 俺は自然と微笑みを浮かべる。
 あいつらなら、俺の提案に反対しないだろうな。

 ただ、待ち合わせ時刻に誰も来ないとは計算外だ。
 17時にあの改札口で。
 奴らにそのままの時間を伝えたのは失敗だった。
 16時って言えばよかった。
 ばかばっかりだ。

 悪友であるトメにいたっては、17時ちょうどに俺に電話をよこし、

「今日って何時集合だっけ?」

 言葉を失うほどびっくりさせられた。

 お前!
 昨日ちゃんと確認の電話入れただろうが!
 後輩が「トメさん夕方の6時集合だって思ってますよ」って言ってたから、俺電話したじゃん!
 6時じゃないぞ、5時だぞって!
 あのときのお前の「解った」って返事は幻か!?

「その電話のせいで俺、6時だと思ったんだよ~」

 意味わかんねえ!
 不思議すぎて突っ込めねえよ!
 自分の腕のなさを実感させられたわ!

 こうして「10分遅れます」とメールをくれた後輩は20分後に到着し、「15分遅れます」と言ってた奴は30分後に来た。
 それでもまだ「1時間後に行く」とかちゃんとしてない奴ばっかりで、俺は早々と校舎見学を諦める。
 トメに至っては、予想到着時刻すら知らせてこない。

 みんな、相変わらず自由で何よりだ。

拍手[17回]

2010
April 09
 彼女はちょくちょく名言を残す。
 うちの職場で1番の若手は、フロアレディのHちゃんだ。
 俺はHちゃんの言葉を忘れぬよう毎回メモを取り、「日記に書いてもいい?」と彼女に許可を求め、めでたく殴られる。

 先日Hちゃんは胸を張って「飛ぶ鳥跡を濁さず」を言い間違えた。
 「飛ぶ鳥後を絶たず」と、パニック映画のキャッチコピーみたいなことを口走っていた。
 文字的にはもしかしたら「飛ぶ鳥あとを発たず」なのかも知れないけれど、それならそれで、その鳥はもはや飛べてない。

「じゃあなんて言えばいいんスか!? 飛ぶ鳥あとを発つ?」
「なにその普通の現象」

 このような調子で俺は毎回、Hちゃんをからかうことでスナックでの仕事を間違った方向で楽しんでしまっている。

 そんなHちゃんがふとした瞬間、畳んだ紙をそっと俺の胸ポケットに忍ばせてきた。
 前回の手紙にはただ一言、「ばーか」とだけ書かれており、俺は心に著しい傷を負わされてしまったけれど、今回はなんだろう?

 自宅で開けるのも面倒なので、俺は陰でこっそりと手紙を開く。
 今回は一言ではなく、ちょっとした文が書かれていた。

 まず、ひらがなで「ゆいごん」――。
 字が解らなかったらしい。

 続けて、以下のような文章が添えられていた。

 全て、めさのせいです。
 ホントにめさのせいです。
 私を愛してくれた皆さん、めさを恨んでください。

 最後にHちゃんの本名がフルネームで記されており、なんと拇印まで押されていた。
 なんだこのこの正式な感じは。
 しかも、なんで俺本人に「めさを恨め」なんて遺言を遺すんだ。

 俺はその紙片を持ってHちゃんに詰め寄る。

「Hちゃん、さっきの手紙読んだけど」

 次の瞬間、俺は自然と申し訳なさそうな表情になっていた。

「これは遺言じゃなくて、遺書だ」

 このことも日記に書いていい?
 そう訊ねて再度Hちゃんの拳を肝臓に喰らったことは言うまでもない。

拍手[27回]

2010
March 19
 亀はどうやって交尾しているのだろうか。
 ふと想像してみると、物理的に無理なように思えてしまい、気になって仕方がなくなる。

 だいたいの動物は性交する際、雌が四つん這いになり、その背後から雄が覆いかぶさる形だ。
 なのだが亀の場合、おエッチをするときは甲羅が邪魔にならないか?
 そのときだけ甲羅を脱ぐのだろうか。
 それとも後ろ足の根元じゃなくて、別の場所に性器があるのか?
 尻尾の先とか。

 考えれば考えるほど解らなくなる。

 そのような疑問を、俺は職場のスナックで打ち明けた。
 聞いてくれたのは店の常連客の男性と、フロアレディたちだ。

 本来なら恥ずかしくて言えない単語も、生物学なので自然と口に出る。

「どう考えても甲羅が邪魔だから、バックでできないじゃないか。だから俺、亀って実は正常位ですると思うんだ。こう、甲羅と甲羅を合わせる感じで」
「雄と雌、どっちが下になるんだ?」
「わかんない。もしかしたら女性上位? あ! 水中で縦になってるのかも!」
「違うよ」

 店の女子が口を挟む。

「亀のおちんちんって、凄く長いんだよ」

 女の子がおちんちんなんて言っちゃいけません!

 俺もあまり直接的な言葉を使いたくないので、今後は男性器のことをジャクソニーと表記させていただく。

 その子が言う通り、雄亀のジャクソニーがとんでもない長さであるのなら、動物的な体位での交尾は可能だ。
 普段、亀は自分のジャクソニーを体内に収納しているので俺は見たことがない。

 これはちゃんと調べなくては。
 大事なことだ。

 携帯電話を取り出し、俺は検索を開始する。
 取り合えず、「亀」と「交尾」、2つのキーワードを入力して検索ボタンを押してみた。

「今、亀の真実が明らかに!」

 高らかに宣言をし、俺は検索結果の画面に目をやる。
 そこには想定外の結果が表示されていた。

「げえ! なんてこった!」
「どうした、めさ!」
「あのですね?」

 俺は気持ちを落ち着けて、自分が見たものをそのまま伝える。

「亀、交尾で検索したら、エッチなページしか出てこなかった」

 ジャクソニーの先端部分の名称に「亀」という文字が使われているので、そういう表記がされていたりとか、亀甲縛りがどうのこうのとか、凄いのになると「セックスじゃない。交尾だ」とかなんとか、とにかくどのサイトにも言いにくいことが色々と書かれてある。
 俺はそういうつもりで検索したのではない。
 純粋に亀の繁殖が心配なのだ。

「とにかく、亀のジャクソニーは長いんだってば」

 と、店の女の子。
 なんで君は亀の性器に詳しいのだ。
 俺なんて亀の雄と雌の判別すらできないのに。

 すると別の女子も口を開く。

「ほじくってみてジャクソニーが出るかどうかで見分けられるよ」

 ほじくるな!
 無駄に刺激して期待させるようなことをするな!
 もー、なんなのこの店。

 この日記のタイトルを「女の子は亀にやたら詳しい」などとしたら、きっと余計な誤解を招くに違いない。
 よし、そういうタイトルはやめておこう。

拍手[10回]

2010
March 15
 最初に不思議だったのが、フロアレディであるAちゃんの発言だった。

 その日は週末で、ちょっとした予約もいただいていたので、職場のスナックは多少の混雑が予想されている。
 俺は開店準備を済ませると、Aちゃんに声をかけた。

「あとで来る予定のお客さんのテーブル、今のうちに確保しちゃおう」

 灰皿やコースターを配置することで、俺は先手を打っておきたかったのだ。

「Aちゃんが電話もらったお客さん、人数解る?」
「解るよー」
「ボトルも用意しておこう。今日来るのって、どなた?」
「内緒」
「ふへ?」

 思わず出る、2度と発音できないような変な声。
 俺はAちゃんが全力でふざけているのかと思った。
 いやしかし、酔ってるときならまだしも、シラフの彼女が仕事のことで冗談を言うとは思えない。

「内緒ってゆうか、どうせあとで来るんだから教えてくれたっていいじゃないか」
「うん。でも内緒なの」
「意味わかんない」

 そこで推理開始だ。
 Aちゃんには、俺に予約客の正体を明かせない理由がきっとある。
 Aちゃん個人の事情か?
 いや、それはない。
 だって、どうせあとで来る人なんだから、結果的には俺に知られてしまうじゃないか。

 ということは俺、つまり「めさ」に知られたくないということか?
 俺にとって意外な人が大勢で来てくれる?
 俺に対するサプライズということならAちゃんの言葉に不自然さはないけれど、でも誰が来るというんだ?

 そうこう考え事をしているうちに、店内にはちらほらと常連客の姿が目立ち始める。

 間もなくすると、俺の友人も1人で飲みに来てくれた。
 年下の彼は、申し訳なさそうに俺を呼ぶ。

「めささん、ホント悪いんだけどさ、俺タバコ買い忘れちゃってて」
「ああ、いいよー。俺が買ってくるよ。お前はお客さんなんだから飲んでてください」

 タバコ代を預かり、店を出る。
 このときのお客さんはまだカウンター席だけに納まっていて、テーブル席には誰も座っていない。
 しかし戻ってくると、結構な数の若者がテーブル席を占拠しているではないか。

 戻る店を間違えた!?

 このときの俺は間違いなく、見慣れたはずの職場を2度見していた。
 タバコの買出しにかかる時間なんてせいぜい3分ぐらいだ。
 その間に、この人数がすっかり席に着いて、しかも全員が既にグラスを手にしている。

 うちの店、こんな迅速な対応できましたっけ?

 事態が把握できず、心の声が敬語になる。

 俺にお遣いを頼んできた友人がテーブル席に移動しているのは何故ですか?

 ああ、こいつの仕業か!

 しかもよく見ると、湧くかのように現れた一団はほとんど俺の読者様や友達じゃないか!

 どうやら友人が考案した俺へのサプライズは、「みんなでめささんを急に訪ねて驚かせよう」といった内容らしい。

「はいよ、めさ」

 フロアレディの1人が俺の分のグラスを手渡してくれる。
 礼を言い、俺はテーブル席に向かう。

「みんな、久しぶりだね」

 しかし誰もが俺に気づかないかのように、輪になって楽しそうに喋っている。

「ねえねえ、今日は一体何の集まりなの?」

 再度声をかけると、

「いえーい! かんぱーい!」

 友人たちは俺抜きでとても綺麗な乾杯をし、満足そうに酒を飲み始める。
 どういった嫌がらせなのだろうか。

「ねえってば! ねえねえ! 誰か俺の存在に気づいて! 実は何か? 自分でも気づかぬうちに死んじゃってて、今の俺は実は幽霊なのか? ねえってばー」 

 ところが誰1人として俺に視線を合わせる者はない。

 これはあとになってから聞いた話だが、彼らはわざと俺を無視し、その反応を楽しもうと計画していたらしい。

 俺は俺で、これが一体誰に対するサプライズなのか解らなくなり、用もないのに同じ場所を行ったり来たりしていた。
 グラス片手にただおろおろするばかりだ。

 あまりにも自分の居場所がないので、俺はそそくさとカウンターに戻る。
 するとフロアレディの子が珍しく優しそうな微笑みをこちらに向けた。

「あんたへのサプライズなんだから、早く席に着いてあげな」

 その席が無いんですけど。

 テーブル席では誰からも歓迎されず、カウンターでは「あっちに行け」と言われる。
 板挟みもいいところだ。

 だいたい今日は一体何の集まりなのだ。
 誰か死んだのか?
 むしろやっぱり俺への弔い的な?
 今日は3月。
 何の記念日でもねえ。

 するとタイミングの良いメールが届く。
 ケータイを開くと、今日お休みをしているはずの、ボスのK美ちゃんだ。

「サプライズどう? 楽しんでね!」

 楽しみ方が解らない場合はどうすれば?
 ってゆうか、このサプライズはやっぱり俺がターゲットだったのか。
 そういう感じには少しも思えないんだけれども。

 結局、若者たちの輪に強引に入って改めて乾杯をさせてもらうのに、ちょっとした時間がかかった。

 それにしても、みんな元気そうで良かった。

 仲良くカラオケを唄っている友人たちを見て、そこは素直に思っておいた。

 曲が終わり、拍手を送る。
 すると彼らは何故か俺に注目しているではないか。
 どっかで聞いたことがあるフレーズを、皆から連発される。

「めっさゲーム! めっさゲーム!」

 説明しよう。
 めさゲームとは、誰が何をどう唄っても、罰ゲームである酒の一気飲みをするのは絶対に俺になってしまうという、ゲーム性の全くないゲームだ。
 これを楽しいと感じる奴はだいたいが、俺以外の人だ。

「どちきしょう!」

 俺はグラスを手に立ち上がる。

「俺の死に様を見せてやる!」

 酒をガブガブ飲んで俺は再び叫び声を上げた。

「こんな理不尽な目に遭うとは思っていませんでした!」

 ったく、お前達、俺にだって心と肝臓があるのだ。
 いい加減にしたまえ。
 ぜってーまた来いよ。
 ばかちん!

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プロフィール
HN:
めさ
年齢:
48
性別:
男性
誕生日:
1976/01/11
職業:
悪魔
趣味:
アウトドア、料理、格闘技、文章作成、旅行。
自己紹介:
 画像は、自室の天井に設置されたコタツだ。
 友人よ。
 なんで人の留守中に忍び込んで、コタツの熱くなる部分だけを天井に設置して帰るの?

 俺様は悪魔だ。
 ニコニコ動画などに色んな動画を上げてるぜ。

 基本的に、日記のコメントやメールのお返事はできぬ。
 ざまを見よ!
 本当にごめんなさい。
 それでもいいのならコチラをクリックするとメールが送れるぜい。

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 必要なものがあったら遠慮なく気軽に、どこにでも貼ってやって人類を堕落させるといい。
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