夢見町の史
Let’s どんまい!
2008
March 06
March 06
暗いと星が見られるという友の説が事実だったと思い知り、あなたは感嘆の溜め息をつく。
風に吹かれることのない無数の白い瞬きが、つくづく空の無限さを感じさせていた。
満月が赤く、三人の旅路を照らしている。
視界が許す限りに、膝ほどに高い草の絨毯がどこまでも広がっていて、遠方には山々がぼんやりと眺められた。
初めて目撃する夜に親友は大いにはしゃぎ、それを尻目に案内人が口を開く。
「この世界には昼の季節と夜の季節とがあって、夜とは必ずしも毎日訪れるものではありません。この『夜がくる場所』を除いては」
レビトは前方をまっすぐに見つめ、あなたの前を歩いていたが、やがてふと立ち止まる。
「さあ、ご覧なさい。あれが砂時計の塔です」
「なんと! あそこまで巨大な塔だとは思っていませんでした」
塔は闇のせいで形しか判らず、それでも遠くから強大な存在感をあなたに与えた。
雲一つない星空を背景に、塔は大地から生えた角のようにどっしりとし、天に向かって伸びている。
もし雲があればそれに届きそうなほどに高い。
砂時計の塔という名称から、あなたは上下対称のアンバランスな形状を想像していたのだが、実際には上にいくほどに塔は細まっている。
「さあ、あの扉を」
見上げても頂上が見えないほどに塔に近づく頃になると、レビトは入り口を示す。
塔は全て木で作られているようで、重そうな両開きの扉も同様だ。
あなたは竜の浮き彫りが施された扉の、取っ手を掴む。
ラトが「神の実が成る樹を見に行きたい」と駄々をこねたのを、あなたは一喝した。
砂時計の塔は内部さえも全て木造で、あなたは足を踏み入れた瞬間にどういったわけか馴染み深い空気を感じ取る。
「この塔の、どこまで登れば僕らは元の世界に戻れるのでしょうか?」
木で出来た長い螺旋階段を上りながらあなたが問うと、レビトはうつむいた。
「もう、すぐです」
「おや?」
あるべき気配がなくなっていることにあなたは気づき、身の毛が立つような心地に襲われる。
「ラトがいない!」
階段を見下ろすと、手すりのない螺旋が闇に向かって下りていて、底が見えることはない。
背後から着いてきていたはずの親友の姿がなく、あなたは激しく狼狽する。
落ちていたら助からないと思い、あなたは背筋を凍らせた。
「ラト! ラトー! どこだ!」
「この世界には、人間は二人しかいません」
案内人が、謎の言葉を発する。
「次の扉を開ければ、あなたは元の世界に戻れるでしょう」
「そんなことより、ラトがいなくなりました! 彼を探さなければ!」
「彼は、大丈夫です。消えてしまったのは、あなたのほうなのだから」
「どういうことです!?」
「彼が一緒だと困るのです。先ほど私が魔術を使い、あなたと共に彼から逃げました」
「なんですって!?」
「さあ、扉を開きましょう」
階段がようやく終わり、レビトが扉の前に立つ。
「ちょっと待ってください!」
あなたは案内人に激しく詰め寄る。
「ラトから逃げたとは一体どういうことなんですか!?」
レビトは儚い者を見るかのように、あなたの目を見つめている。
「何もかもお話しします。そのためにもまず、この扉を開くことが必要なのです」
彼女が扉を押し開けた。
開かれた扉の向こうには見覚えがある景色が広がっていて、だからこそあなたは現実を信じることができない。
そこは、あなたが暮らしていた街だった。
偽の夜に覆われた街並みには一切の人気がなく、見慣れたはずの光景をどこか不気味にあなたは感じた。
「さあ、元の世界です」
「どういうことですか、これは!」
無人の街並に、あなたは踊り出る。
「僕の街が、どうしてここに! それに、何故誰もいないんだ!」
案内人は、そこでもやはりあなたの前に立ち、先を進んでいく。
あなたは早足になってレビトの後を追った。
彼女はうつむいて、あなたの目を見ようとせず、悲しげに言う。
「あなたは今まで疑ったことがないのですか?」
「なにを!」
「自分が今まで知ったことの全てが、真実であるか、否かを」
レビトは角を曲がり、商店を抜け、やがて袋小路に差し掛かる。
樽に隠されたドアに手をかけた。
「あなたが地下だと思って育ったこの場所は地下ではなく、むしろ上空にあったのです。この塔こそが、あなたが暮らしていた町」
「なんですって!?」
「あなたは、ただ単に外に出てしまっただけなのです」
「そんな馬鹿な! 外は灼熱の世界のはずです!」
「三千年も経てば、汚染は浄化されます。あなたは、生まれた時から嘘を教え込まれてきたのです」
「まさか! 外に出ただけですって!? ここが異世界だと言ったのはレビト! あなたではないですか!」
「それは、近くにラトがいたからです」
「太陽だって二つもあった! それこそ異世界のように!」
「三千年前、小さな太陽は木星と呼ばれていました。当時は惑星規模でも大変動が起こり、この世界の軌道も変わったし、木星が高熱化し、第二の太陽となったのです」
レビトがドアの中に入ってゆく。
そこは、あなたもよく知った場所、木の部屋だ。
あなたは彼女を追うように続いて部屋に入る。
室内は、あの時のままだった。
あなたの作った小さな太陽が倒れていて、レイヤの木が立っていて、薄暗い。
「私は、この実を食べることを目的としていました」
熟れて地面に落ちていた赤い木の実を、レビトは拾い上げる。
以前、手作り太陽をラトに見せた日に、あなたも一緒に見た、一つだけ実ったレイヤの実だ。
「この実を口にした者は、楽園から追放されることになります。それは言い換えれば、この世界から脱出するということ」
実を手にし、レビトはあなたに体を向ける。
「私はずっと待っていました。この神の果実が実るのを」
「それはレイヤの実だ! 神の実なんかじゃない!」
「いえ、神の実です」
レビトはさらに哀愁を瞳に宿らせ、あなたを見つめている。
「神の実を実らせる巨木は人を飼う者の手によって削られ、塔の形にされました。この世界で最も大きな樹こそが、砂時計の塔。それがあなたの故郷です。あなたは元々地下ではなく、大木の中で暮らしていたのですよ」
「意味が解らない! そもそも、そんな、樹を削るだなんて馬鹿げたことを! そんなことをしたのは何者ですか! 人を飼う者ですって!?」
「あなたは今までずっと飼われ、監視されていました。この世には、人間はもう二人しかいないのです。あなたと私の二人だけしか」
最後のお別れにと、レビトは全てを語り出す。
「私は科学という名の魔術で、この部屋に穴を開けました。この実が熟し、落ちる頃に」
あなたは顔を青ざめさせ、それでも彼女の話に黙って聞き入る。
「空間を繋げ、落下した実が私の元にくるようにしてあったのです。しかし落ちてきたのは実ではなく、あなた方でした。この部屋に開けた穴は、物が通過したら消滅し、そして二度と開けることができません。あなた方が落ちてしまったことにより、穴は永久に閉じてしまったのです。私は予定を変更し、あなた方をこの塔まで送り届けることにしました。私一人に対しては、この塔は扉を開いてはくれません。したがって私はあなたを飼い主に回収させると同時に、自分で直接この部屋に来ることにしたのです」
「信じられない!」
あなたは絶叫する。
「ここが僕の街であるはずがない! この世界こそが偽物なんだ!」
「まだ気づいていないのですか?」
レビトの銀色の瞳には、涙が浮かび始めている。
「あなたの友人の名は?」
「ラトがどうした!」
「では、私の名は?」
「レビト! 偽名でないのならな!」
「あなたの父、母の名は?」
「ルークにマナト! それがどうしたんだ!」
「それでは、あなたの名は?」
まるで頭に岩を落とされたかのような衝撃を、あなたは味わう。
あなたは今まで生きてきて、ただの一度も名を呼ばれたことがなかった。
「あなたには名前がありません」
呆然と、それでもどこかで激しく頭を巡らせ、あなたはただ立ち尽くしている。
レビトの目からついに雫がこぼれた。
「あなたは、他の者と区別される必要がないのです。だから名前を与えられませんでした」
「嘘だ」
「この街の住民は、あなた以外は全員、人を飼う者の操り人形です。ご両親も、ご友人も、全て」
「やめろ」
「この街も、与えられる情報も、何もかもあなた一人のために作られた虚構なのです」
「やめろ!」
今までの生涯で最も大きい声を、あなたは出す。
「僕に、世界を返してくれ!」
あなたが叫ぶと同時に、何かが破裂したかのような炸裂音が部屋中に響き渡った。
赤い実がレビトの手を離れ、床を転がり落ち、止まる。
案内人は崩れ去るかのように両膝を床について、やがてゆっくりと前のめりに倒れ込んだ。
うつ伏せになった彼女の向こうには、ラトの姿があった。
「ラト!」
あなたは親友に駆け寄ろうとする。
しかし違和感があって、あなたは足を止め、ラトの様子を伺った。
表情の全くない彼を見るのは、初めてのことだった。
ラトは右手に黒い道具を持っていて、それは短い棒を直角に折り曲げたような形をしている。
あなたはそれが武器なのだと直感した。
ラトが口の端を吊り上げる。
「この女、最初に異世界に迷い込んだなどと嘘を言ったのは、やはり俺の目を気にしてのことか。この人間を気絶でもさせてここまで運ぶようならまだしも、何もかもバラしやがった」
「ラ、ラト? どういうことだ?」
「人飼いはもうやめだ。それにしても、まだ外に人間の生き残りがいたとはな。全て滅んだとばかり思っていたが、この女はどうやって生き延びたんだろうな。殺す前に訊いておけばよかったか」
「ラト、お前、なにを?」
「お前を身近で観察し、想像を巡らせては楽しんでいたよ。あと数十年ほど飼って、その頃にこの世界の正体を教えれば、お前は今以上に苦しんでいたんだろうってな」
「おい、冗談はよせよ、ラト」
「お前が産まれる前はな、いくらか他の人間もいたんだ。だが思うように繁殖しなくてな。徐々に数を減らしていった。お前が最後の1人だったんだ」
「おい、なに言ってんだよ、ラト。お前、本当にラトなのか?」
「ちなみにお前の両親な、お前を産ませてすぐ始末してやった。使い道が思いつかなくなったんだ」
「なんだよ、はは。お前、ちゃんと喋れるんじゃないか」
「どけ。その実は俺が喰う。実は、最初から直接自分で取って喰うつもりだったんだ。それを、そこに転がる女に邪魔をされたのさ」
「そうだ、ラト!」
あなたは親友に顔を近づけ、「にー!」と笑ってみせる。
どのような感情からか、あなたは涙を流していた。
人を飼う者は、冷ややかに「どけ」ともう一度言った。
「ラト! 目を覚ませよ! お前、操られてるんだな? それとも偽物か? はは。いつもの調子に戻れよ。頼むよ。戻ってくれよ」
するとラトはあなたに笑って見せる。
いつか見た絵画にあった、悪魔のような残酷さを秘めた笑顔だ。
暗くなった殺風景な部屋に、その表情はどこか映えて見えた。
ラトが、覚えのある言葉を発する。
「馬鹿だな、お前は。それは今までの人生のほうが間違えているんだ。先入観、ってやつだよ」
「うわああああ!」
あなたはついに暴走し、親友に殴りかかる。
この世のどこまでが嘘で、どれが真実なのか解らない。
疑うべきが何で、受け止めるべき事実はどこにあるのか。
上とか下といった概念さえも嘘なのか、目に見えるものも、耳に入る音や声も信じてはいけないのだろうか。
自分は果たして、存在しているのだろうか。
あなたが知っているラトは、もう2度と現れないのだろうか。
この偽物を倒せば、あるいは強く叩けば、親友は元の無邪気さを取り戻してくれるのだろうか。
あなたの攻撃を一切避けようともせず、微動だにしないで、ラトは残虐そうに高笑いを続けている。
あなたはやがて疲れて、ラトにしがみついたまま崩れ、嗚咽した。
「世界は正体を現すと、僕から友人さえも奪うのか!」
ラトは「フン」と鼻を鳴らせ、実に向かって歩こうとした。
案内人はそこで死体を演じることをやめて立ち上がり、あなたが作った太陽を起こし、起動させる。
強力な光は、部屋にある物全てを照らし出した。
壁に映った木や、自分や、ラトの影を見て、あなたはボロボロになった短剣に手を添える。
以前ラトから受け取った刃は、廃墟となった教会をあなたに思い出させた。
「天使の殺し方を知っていますか?」
「天使と悪魔は、同じ生き物なのです」
「影を刺すのです」
「ぼぼぼ、僕は、ささ、さ、刺さないでね」
あなたは再び絶叫をする。
壁に投影された友の影に、渾身の力を込めて刃を突き立てた。
ラトは驚いたような表情を浮かべ、両手で胸を押さえ、その場に座り込む。
「ラト!」
短剣を捨て、あなたは親友に駆け寄って、抱き起こした。
手製の太陽に照らされながらラトは、真っ直ぐにあなたを見つめている。
「その実は、お前らが喰っても無駄だ。俺に喰わせろ。喰えば、俺は輪廻の輪から外れ、無になることができる。人飼いなんて余興に構う必要もなくなる」
「ラト! ラト! すまん! ラト!」
「また1からやり直しだ。お前ら、人間どものせいでな」
「ラト! 大丈夫か! ラトぉ!」
「フン」
ラトは最後に、思いっきり明るい笑顔をあなたに見せる。
「ぼ、ぼぼ、僕は刺さないでねって、いい、い、言ったのに」
そして彼は、目を閉じた。
「うわあああ! ラトー!」
あなたは親友を抱きしめる。
電球の寿命がきて、あなたの太陽は消え、木の部屋が再び闇を取り戻す。
あなたは二度と動くことのない親友を床に横たえると、頭を抱えてうずくまる。
やがてよろよろと立ち上がると、あなたは無心で木の実を拾った。
赤子のように泣きじゃくりながら、あなたは実にかじりつく。
味など解らず、ただひたすらにかじり続けた。
その実には、この世界から脱する効果がある。
ただの人間であるあなたにとって、それは死ぬということだ。
レビトと名乗った案内人、つまり私は二千年も昔にこの樹から実を取って口にし、永遠に死ぬことができない体になってしまっていた。
太古の武器でさえ私を殺すことはできない。
不死になってからさらに千年後に私は再び実を食し、膨大な知恵や知識を手に入れる。
神の木が育つ条件が二つの太陽であることや人類の真の歴史、千年毎に実る神の実の効果などの全てを知る。
次に実る追放の果実を食べなければ、私は永久に生き続けるしかないのだ。
そのことを、知恵の実は私に教えていた。
私は黙って、銀の瞳であなたの背中を見つめている。
案内人として、あなたを導こうではないか。
その実であなたは解放される。
せめて安らかにと、私は実を食すあなたを止めないだろう。
このまま始まりを終え、終わりを始めようではないか。
背後に立っている私の気配に気づくことなく、あなたは夢中で実をむさぼり続ける。
あなたはやがて、呼吸を止めた。
私はあなたの亡骸に近づいて、半分になってしまった実を拾い上げ、口へと運ぶ。
風に吹かれることのない無数の白い瞬きが、つくづく空の無限さを感じさせていた。
満月が赤く、三人の旅路を照らしている。
視界が許す限りに、膝ほどに高い草の絨毯がどこまでも広がっていて、遠方には山々がぼんやりと眺められた。
初めて目撃する夜に親友は大いにはしゃぎ、それを尻目に案内人が口を開く。
「この世界には昼の季節と夜の季節とがあって、夜とは必ずしも毎日訪れるものではありません。この『夜がくる場所』を除いては」
レビトは前方をまっすぐに見つめ、あなたの前を歩いていたが、やがてふと立ち止まる。
「さあ、ご覧なさい。あれが砂時計の塔です」
「なんと! あそこまで巨大な塔だとは思っていませんでした」
塔は闇のせいで形しか判らず、それでも遠くから強大な存在感をあなたに与えた。
雲一つない星空を背景に、塔は大地から生えた角のようにどっしりとし、天に向かって伸びている。
もし雲があればそれに届きそうなほどに高い。
砂時計の塔という名称から、あなたは上下対称のアンバランスな形状を想像していたのだが、実際には上にいくほどに塔は細まっている。
「さあ、あの扉を」
見上げても頂上が見えないほどに塔に近づく頃になると、レビトは入り口を示す。
塔は全て木で作られているようで、重そうな両開きの扉も同様だ。
あなたは竜の浮き彫りが施された扉の、取っ手を掴む。
ラトが「神の実が成る樹を見に行きたい」と駄々をこねたのを、あなたは一喝した。
砂時計の塔は内部さえも全て木造で、あなたは足を踏み入れた瞬間にどういったわけか馴染み深い空気を感じ取る。
「この塔の、どこまで登れば僕らは元の世界に戻れるのでしょうか?」
木で出来た長い螺旋階段を上りながらあなたが問うと、レビトはうつむいた。
「もう、すぐです」
「おや?」
あるべき気配がなくなっていることにあなたは気づき、身の毛が立つような心地に襲われる。
「ラトがいない!」
階段を見下ろすと、手すりのない螺旋が闇に向かって下りていて、底が見えることはない。
背後から着いてきていたはずの親友の姿がなく、あなたは激しく狼狽する。
落ちていたら助からないと思い、あなたは背筋を凍らせた。
「ラト! ラトー! どこだ!」
「この世界には、人間は二人しかいません」
案内人が、謎の言葉を発する。
「次の扉を開ければ、あなたは元の世界に戻れるでしょう」
「そんなことより、ラトがいなくなりました! 彼を探さなければ!」
「彼は、大丈夫です。消えてしまったのは、あなたのほうなのだから」
「どういうことです!?」
「彼が一緒だと困るのです。先ほど私が魔術を使い、あなたと共に彼から逃げました」
「なんですって!?」
「さあ、扉を開きましょう」
階段がようやく終わり、レビトが扉の前に立つ。
「ちょっと待ってください!」
あなたは案内人に激しく詰め寄る。
「ラトから逃げたとは一体どういうことなんですか!?」
レビトは儚い者を見るかのように、あなたの目を見つめている。
「何もかもお話しします。そのためにもまず、この扉を開くことが必要なのです」
彼女が扉を押し開けた。
開かれた扉の向こうには見覚えがある景色が広がっていて、だからこそあなたは現実を信じることができない。
そこは、あなたが暮らしていた街だった。
偽の夜に覆われた街並みには一切の人気がなく、見慣れたはずの光景をどこか不気味にあなたは感じた。
「さあ、元の世界です」
「どういうことですか、これは!」
無人の街並に、あなたは踊り出る。
「僕の街が、どうしてここに! それに、何故誰もいないんだ!」
案内人は、そこでもやはりあなたの前に立ち、先を進んでいく。
あなたは早足になってレビトの後を追った。
彼女はうつむいて、あなたの目を見ようとせず、悲しげに言う。
「あなたは今まで疑ったことがないのですか?」
「なにを!」
「自分が今まで知ったことの全てが、真実であるか、否かを」
レビトは角を曲がり、商店を抜け、やがて袋小路に差し掛かる。
樽に隠されたドアに手をかけた。
「あなたが地下だと思って育ったこの場所は地下ではなく、むしろ上空にあったのです。この塔こそが、あなたが暮らしていた町」
「なんですって!?」
「あなたは、ただ単に外に出てしまっただけなのです」
「そんな馬鹿な! 外は灼熱の世界のはずです!」
「三千年も経てば、汚染は浄化されます。あなたは、生まれた時から嘘を教え込まれてきたのです」
「まさか! 外に出ただけですって!? ここが異世界だと言ったのはレビト! あなたではないですか!」
「それは、近くにラトがいたからです」
「太陽だって二つもあった! それこそ異世界のように!」
「三千年前、小さな太陽は木星と呼ばれていました。当時は惑星規模でも大変動が起こり、この世界の軌道も変わったし、木星が高熱化し、第二の太陽となったのです」
レビトがドアの中に入ってゆく。
そこは、あなたもよく知った場所、木の部屋だ。
あなたは彼女を追うように続いて部屋に入る。
室内は、あの時のままだった。
あなたの作った小さな太陽が倒れていて、レイヤの木が立っていて、薄暗い。
「私は、この実を食べることを目的としていました」
熟れて地面に落ちていた赤い木の実を、レビトは拾い上げる。
以前、手作り太陽をラトに見せた日に、あなたも一緒に見た、一つだけ実ったレイヤの実だ。
「この実を口にした者は、楽園から追放されることになります。それは言い換えれば、この世界から脱出するということ」
実を手にし、レビトはあなたに体を向ける。
「私はずっと待っていました。この神の果実が実るのを」
「それはレイヤの実だ! 神の実なんかじゃない!」
「いえ、神の実です」
レビトはさらに哀愁を瞳に宿らせ、あなたを見つめている。
「神の実を実らせる巨木は人を飼う者の手によって削られ、塔の形にされました。この世界で最も大きな樹こそが、砂時計の塔。それがあなたの故郷です。あなたは元々地下ではなく、大木の中で暮らしていたのですよ」
「意味が解らない! そもそも、そんな、樹を削るだなんて馬鹿げたことを! そんなことをしたのは何者ですか! 人を飼う者ですって!?」
「あなたは今までずっと飼われ、監視されていました。この世には、人間はもう二人しかいないのです。あなたと私の二人だけしか」
最後のお別れにと、レビトは全てを語り出す。
「私は科学という名の魔術で、この部屋に穴を開けました。この実が熟し、落ちる頃に」
あなたは顔を青ざめさせ、それでも彼女の話に黙って聞き入る。
「空間を繋げ、落下した実が私の元にくるようにしてあったのです。しかし落ちてきたのは実ではなく、あなた方でした。この部屋に開けた穴は、物が通過したら消滅し、そして二度と開けることができません。あなた方が落ちてしまったことにより、穴は永久に閉じてしまったのです。私は予定を変更し、あなた方をこの塔まで送り届けることにしました。私一人に対しては、この塔は扉を開いてはくれません。したがって私はあなたを飼い主に回収させると同時に、自分で直接この部屋に来ることにしたのです」
「信じられない!」
あなたは絶叫する。
「ここが僕の街であるはずがない! この世界こそが偽物なんだ!」
「まだ気づいていないのですか?」
レビトの銀色の瞳には、涙が浮かび始めている。
「あなたの友人の名は?」
「ラトがどうした!」
「では、私の名は?」
「レビト! 偽名でないのならな!」
「あなたの父、母の名は?」
「ルークにマナト! それがどうしたんだ!」
「それでは、あなたの名は?」
まるで頭に岩を落とされたかのような衝撃を、あなたは味わう。
あなたは今まで生きてきて、ただの一度も名を呼ばれたことがなかった。
「あなたには名前がありません」
呆然と、それでもどこかで激しく頭を巡らせ、あなたはただ立ち尽くしている。
レビトの目からついに雫がこぼれた。
「あなたは、他の者と区別される必要がないのです。だから名前を与えられませんでした」
「嘘だ」
「この街の住民は、あなた以外は全員、人を飼う者の操り人形です。ご両親も、ご友人も、全て」
「やめろ」
「この街も、与えられる情報も、何もかもあなた一人のために作られた虚構なのです」
「やめろ!」
今までの生涯で最も大きい声を、あなたは出す。
「僕に、世界を返してくれ!」
あなたが叫ぶと同時に、何かが破裂したかのような炸裂音が部屋中に響き渡った。
赤い実がレビトの手を離れ、床を転がり落ち、止まる。
案内人は崩れ去るかのように両膝を床について、やがてゆっくりと前のめりに倒れ込んだ。
うつ伏せになった彼女の向こうには、ラトの姿があった。
「ラト!」
あなたは親友に駆け寄ろうとする。
しかし違和感があって、あなたは足を止め、ラトの様子を伺った。
表情の全くない彼を見るのは、初めてのことだった。
ラトは右手に黒い道具を持っていて、それは短い棒を直角に折り曲げたような形をしている。
あなたはそれが武器なのだと直感した。
ラトが口の端を吊り上げる。
「この女、最初に異世界に迷い込んだなどと嘘を言ったのは、やはり俺の目を気にしてのことか。この人間を気絶でもさせてここまで運ぶようならまだしも、何もかもバラしやがった」
「ラ、ラト? どういうことだ?」
「人飼いはもうやめだ。それにしても、まだ外に人間の生き残りがいたとはな。全て滅んだとばかり思っていたが、この女はどうやって生き延びたんだろうな。殺す前に訊いておけばよかったか」
「ラト、お前、なにを?」
「お前を身近で観察し、想像を巡らせては楽しんでいたよ。あと数十年ほど飼って、その頃にこの世界の正体を教えれば、お前は今以上に苦しんでいたんだろうってな」
「おい、冗談はよせよ、ラト」
「お前が産まれる前はな、いくらか他の人間もいたんだ。だが思うように繁殖しなくてな。徐々に数を減らしていった。お前が最後の1人だったんだ」
「おい、なに言ってんだよ、ラト。お前、本当にラトなのか?」
「ちなみにお前の両親な、お前を産ませてすぐ始末してやった。使い道が思いつかなくなったんだ」
「なんだよ、はは。お前、ちゃんと喋れるんじゃないか」
「どけ。その実は俺が喰う。実は、最初から直接自分で取って喰うつもりだったんだ。それを、そこに転がる女に邪魔をされたのさ」
「そうだ、ラト!」
あなたは親友に顔を近づけ、「にー!」と笑ってみせる。
どのような感情からか、あなたは涙を流していた。
人を飼う者は、冷ややかに「どけ」ともう一度言った。
「ラト! 目を覚ませよ! お前、操られてるんだな? それとも偽物か? はは。いつもの調子に戻れよ。頼むよ。戻ってくれよ」
するとラトはあなたに笑って見せる。
いつか見た絵画にあった、悪魔のような残酷さを秘めた笑顔だ。
暗くなった殺風景な部屋に、その表情はどこか映えて見えた。
ラトが、覚えのある言葉を発する。
「馬鹿だな、お前は。それは今までの人生のほうが間違えているんだ。先入観、ってやつだよ」
「うわああああ!」
あなたはついに暴走し、親友に殴りかかる。
この世のどこまでが嘘で、どれが真実なのか解らない。
疑うべきが何で、受け止めるべき事実はどこにあるのか。
上とか下といった概念さえも嘘なのか、目に見えるものも、耳に入る音や声も信じてはいけないのだろうか。
自分は果たして、存在しているのだろうか。
あなたが知っているラトは、もう2度と現れないのだろうか。
この偽物を倒せば、あるいは強く叩けば、親友は元の無邪気さを取り戻してくれるのだろうか。
あなたの攻撃を一切避けようともせず、微動だにしないで、ラトは残虐そうに高笑いを続けている。
あなたはやがて疲れて、ラトにしがみついたまま崩れ、嗚咽した。
「世界は正体を現すと、僕から友人さえも奪うのか!」
ラトは「フン」と鼻を鳴らせ、実に向かって歩こうとした。
案内人はそこで死体を演じることをやめて立ち上がり、あなたが作った太陽を起こし、起動させる。
強力な光は、部屋にある物全てを照らし出した。
壁に映った木や、自分や、ラトの影を見て、あなたはボロボロになった短剣に手を添える。
以前ラトから受け取った刃は、廃墟となった教会をあなたに思い出させた。
「天使の殺し方を知っていますか?」
「天使と悪魔は、同じ生き物なのです」
「影を刺すのです」
「ぼぼぼ、僕は、ささ、さ、刺さないでね」
あなたは再び絶叫をする。
壁に投影された友の影に、渾身の力を込めて刃を突き立てた。
ラトは驚いたような表情を浮かべ、両手で胸を押さえ、その場に座り込む。
「ラト!」
短剣を捨て、あなたは親友に駆け寄って、抱き起こした。
手製の太陽に照らされながらラトは、真っ直ぐにあなたを見つめている。
「その実は、お前らが喰っても無駄だ。俺に喰わせろ。喰えば、俺は輪廻の輪から外れ、無になることができる。人飼いなんて余興に構う必要もなくなる」
「ラト! ラト! すまん! ラト!」
「また1からやり直しだ。お前ら、人間どものせいでな」
「ラト! 大丈夫か! ラトぉ!」
「フン」
ラトは最後に、思いっきり明るい笑顔をあなたに見せる。
「ぼ、ぼぼ、僕は刺さないでねって、いい、い、言ったのに」
そして彼は、目を閉じた。
「うわあああ! ラトー!」
あなたは親友を抱きしめる。
電球の寿命がきて、あなたの太陽は消え、木の部屋が再び闇を取り戻す。
あなたは二度と動くことのない親友を床に横たえると、頭を抱えてうずくまる。
やがてよろよろと立ち上がると、あなたは無心で木の実を拾った。
赤子のように泣きじゃくりながら、あなたは実にかじりつく。
味など解らず、ただひたすらにかじり続けた。
その実には、この世界から脱する効果がある。
ただの人間であるあなたにとって、それは死ぬということだ。
レビトと名乗った案内人、つまり私は二千年も昔にこの樹から実を取って口にし、永遠に死ぬことができない体になってしまっていた。
太古の武器でさえ私を殺すことはできない。
不死になってからさらに千年後に私は再び実を食し、膨大な知恵や知識を手に入れる。
神の木が育つ条件が二つの太陽であることや人類の真の歴史、千年毎に実る神の実の効果などの全てを知る。
次に実る追放の果実を食べなければ、私は永久に生き続けるしかないのだ。
そのことを、知恵の実は私に教えていた。
私は黙って、銀の瞳であなたの背中を見つめている。
案内人として、あなたを導こうではないか。
その実であなたは解放される。
せめて安らかにと、私は実を食すあなたを止めないだろう。
このまま始まりを終え、終わりを始めようではないか。
背後に立っている私の気配に気づくことなく、あなたは夢中で実をむさぼり続ける。
あなたはやがて、呼吸を止めた。
私はあなたの亡骸に近づいて、半分になってしまった実を拾い上げ、口へと運ぶ。
「起きて! ねえ、起きてってば!」
騒がしい声に目を覚ますと、銀色の瞳が僕を覗き込んでいた。
「レビト?」
思わず口にした言葉に、我ながら戸惑う。
レビトとは、なんだ?
「なあに、レビトって」
彼女が可笑しそうに笑った。
楽園は今日も小鳥がさえずっていて、暑くも寒くもなく、うららかだ。
僕は寝たままの体勢でのんびりと伸びをする。
「いや、ごめん。変な夢を見ていて、まだ寝ぼけているみたいだ」
そのままゆったりと身を起こす。
作り物の空と、作り物の風と、作り物の草原が今日も僕たち2人を包み込んでいる。
僕はあくびを噛み殺し、彼女に目覚めのキスをして再び草の上に寝転がった。
「ところで、どうしたんだい、イヴ」
「あのね?」
イヴは悪戯っ子のように、ペロっと舌を出す。
「あたし、禁断の果実、食べちゃったの」
「なんだって!?」
僕は慌ててしまい、すぐさま上半身を起こす。
「なんてことを! あれを食べたら、この楽園から追い出されるぞ!」
エデンの塔とか園と呼ばれるここには自由と平和が許されていて、与えられた掟は一つのみ。
神の果実を口にしてはならない。
これを破った者は偉大なる禁断の知恵と引き換えに楽園と安心を奪われてしまう。
僕はイヴを責めた。
「なんでそんなことを!」
「だって」
イヴは楽しくてたまらないという顔をしている。
「凄く珍しい蛇がいたんだもの」
「蛇?」
「そう、蛇。なんと、言葉を喋るのよ」
「蛇が、かい?」
「うん。その蛇がね? 実を食べちゃいな、って。すっごく面白い蛇なの。アダムも見に行こうよ」
「いや、しかし僕は」
「いいから、ほら! 禁断の実、素敵な味わいだったわ。アダムも絶対に食べるべきよ。蛇とも約束したの」
「なんて?」
「アダムを紹介するって。それに、本当に面白い蛇なんだから」
「面白いって、どう面白いんだ?」
「あのね? なんか、ちゃんと喋れないのよ」
イヴが芝居がかった調子になり、蛇の口調を真似る。
「こ、ここ、この、この実を、実を、たた、た、食べると、い、いいよ。ここ、今度こそ、うう、うまく、うまくやるから」
終わりはもう始まっている。そんな予感が僕の中に影を落とした。
――了――
騒がしい声に目を覚ますと、銀色の瞳が僕を覗き込んでいた。
「レビト?」
思わず口にした言葉に、我ながら戸惑う。
レビトとは、なんだ?
「なあに、レビトって」
彼女が可笑しそうに笑った。
楽園は今日も小鳥がさえずっていて、暑くも寒くもなく、うららかだ。
僕は寝たままの体勢でのんびりと伸びをする。
「いや、ごめん。変な夢を見ていて、まだ寝ぼけているみたいだ」
そのままゆったりと身を起こす。
作り物の空と、作り物の風と、作り物の草原が今日も僕たち2人を包み込んでいる。
僕はあくびを噛み殺し、彼女に目覚めのキスをして再び草の上に寝転がった。
「ところで、どうしたんだい、イヴ」
「あのね?」
イヴは悪戯っ子のように、ペロっと舌を出す。
「あたし、禁断の果実、食べちゃったの」
「なんだって!?」
僕は慌ててしまい、すぐさま上半身を起こす。
「なんてことを! あれを食べたら、この楽園から追い出されるぞ!」
エデンの塔とか園と呼ばれるここには自由と平和が許されていて、与えられた掟は一つのみ。
神の果実を口にしてはならない。
これを破った者は偉大なる禁断の知恵と引き換えに楽園と安心を奪われてしまう。
僕はイヴを責めた。
「なんでそんなことを!」
「だって」
イヴは楽しくてたまらないという顔をしている。
「凄く珍しい蛇がいたんだもの」
「蛇?」
「そう、蛇。なんと、言葉を喋るのよ」
「蛇が、かい?」
「うん。その蛇がね? 実を食べちゃいな、って。すっごく面白い蛇なの。アダムも見に行こうよ」
「いや、しかし僕は」
「いいから、ほら! 禁断の実、素敵な味わいだったわ。アダムも絶対に食べるべきよ。蛇とも約束したの」
「なんて?」
「アダムを紹介するって。それに、本当に面白い蛇なんだから」
「面白いって、どう面白いんだ?」
「あのね? なんか、ちゃんと喋れないのよ」
イヴが芝居がかった調子になり、蛇の口調を真似る。
「こ、ここ、この、この実を、実を、たた、た、食べると、い、いいよ。ここ、今度こそ、うう、うまく、うまくやるから」
終わりはもう始まっている。そんな予感が僕の中に影を落とした。
――了――
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あとがき
というわけで、シンガーソングライターでいらっしゃる、ぴぃさんの曲を元に書かせていただきました。
彼女の曲がなかったら思い浮かばなかった物語です。
これをさらに脚本に仕立て、舞台化しようと考えていますので、実現の際は日記で宣伝させてくださいね。
また、ぴぃさんは近々、インディーズのCDを出す予定なのだそうなんですよ。
俺が大好きな曲の数々を皆さんとも共有したいので、アルバムも発売されたらここで宣伝させてください。
ここまで毎日同じCDを聴いてしまうという現象は中学生以来のことで、歌唱力はもちろんのこと、独特な雰囲気や歌詞、アレンジに完全に打ちのめされました。
ぴぃさん、最高!
今も聴かせてもらっています。
さて。
ちょっとここで、最近組んだチームについて書かせていただきますね。
俺と、ぴぃさん。
さらに、本気で役者を目指している、かづき君。
彼らと共に、チーム「りんく」を組みました。
脚本や原作を俺が、主題歌をぴぃさんが、主役をかづき君が。
そんな舞台を実現させるべく、頑張りたくなってしまいました。
性格バラバラの3人が今、めっちゃ燃えてます。
稽古が始まったら、次はかづき君が苦労する番になるわけですね。
予算などもかかるので無料でお見せできないことが心苦しいのですが、やることになったら都内で公演させていただきますので、是非ご覧に足を運んでやってください。
ぴぃさんの生歌によるBGMも、かなり作品にマッチすると思っています。
というわけで、今作。
皆さんに楽しんでいただければ、これ以上の光栄はありません。
毎度お読みいただき、本当にありがとうございます。
大感謝!
めさでした。
脚本化、楽しんで取り組みます。
彼女の曲がなかったら思い浮かばなかった物語です。
これをさらに脚本に仕立て、舞台化しようと考えていますので、実現の際は日記で宣伝させてくださいね。
また、ぴぃさんは近々、インディーズのCDを出す予定なのだそうなんですよ。
俺が大好きな曲の数々を皆さんとも共有したいので、アルバムも発売されたらここで宣伝させてください。
ここまで毎日同じCDを聴いてしまうという現象は中学生以来のことで、歌唱力はもちろんのこと、独特な雰囲気や歌詞、アレンジに完全に打ちのめされました。
ぴぃさん、最高!
今も聴かせてもらっています。
さて。
ちょっとここで、最近組んだチームについて書かせていただきますね。
俺と、ぴぃさん。
さらに、本気で役者を目指している、かづき君。
彼らと共に、チーム「りんく」を組みました。
脚本や原作を俺が、主題歌をぴぃさんが、主役をかづき君が。
そんな舞台を実現させるべく、頑張りたくなってしまいました。
性格バラバラの3人が今、めっちゃ燃えてます。
稽古が始まったら、次はかづき君が苦労する番になるわけですね。
予算などもかかるので無料でお見せできないことが心苦しいのですが、やることになったら都内で公演させていただきますので、是非ご覧に足を運んでやってください。
ぴぃさんの生歌によるBGMも、かなり作品にマッチすると思っています。
というわけで、今作。
皆さんに楽しんでいただければ、これ以上の光栄はありません。
毎度お読みいただき、本当にありがとうございます。
大感謝!
めさでした。
脚本化、楽しんで取り組みます。
【ネタバレ注意】裏設定ですよ。
コメントくださって、本当にありがとうございます。
質問も頂戴しましたので、裏設定を公開するような感覚で、お応えさせていただきますね。
おかず塩さん、ご質問ありがとうございます。
Q・ラト(天使・悪魔)は「あなた」をサンプルとしてどんな実験をしていたのですか? ラト目的は「実を食べて【無】になること」ですよね。
A・そうです。
ラトの目的は、繰り返される輪廻から抜け出し、自分を完全に消滅させることでした。
普通に死んだら、彼はまた生まれ変わってしまうので、その繰り返しにうんざりしていたんですね。
ラトは超ドSで、純粋な悪です。
飼う人間にまずは幸福を与え、後にそれを奪う遊びを思いつきました。
実験というか、彼にとっては暇潰しなんですね。
怖い子。
Q・「あなた」もレビトが食べた2000年前の実を食べたのですか?(実を食べて死なないとこの世界から解放されない?)
主人公は普通の人間で、命の実は食していません。
なので楽園追放の実を食べなくても、彼は普通に天寿を全うすることができます。
主人公が実をがっつく時に、レビトが黙って見ていたのは、彼女なりの優しさなんですね。
Q・「あなた」は監視下に置かれ飼われていて、レビトがそうでない理由は「1000年前の実(知恵)を食べたか食べないか」によるのでしょうか?
レビトは最初から塔の外にいた人間です。
樹が削られ、塔にされる瞬間も、当時は見ていました。
砂時計の塔が完成して、ラトは人間を集めて収容し、人工の街を作り上げたんですね。
人間の数は数百年の間に少しづつ減ってしまって、主人公が最後の1人。
その間、外は外で、レビト以外の人間はやはり少しづつ数を減らし、やがて全て滅んでしまったというわけです。
Q・蛇(ラト)がアダムとイブに実を食べさせるのはなぜですか?
A・今度こそ、ラトが追放の実を食べるためです。
人類を発展させ、同じ歴史を繰り返させれば、気の遠くなるほどの未来で、再び神の樹が生えてくると考えたんですね。
樹が生える条件は、俺の中では「太陽が2つあること」なのですが、ラト本人はそれを知りません。
何が条件で神の樹が生えるのかが解らないため、ラトは取り合えず、同じ歴史を人類に押し付けました。
この話を考えている間も書いてる時も、めちゃめちゃ楽しかったですね。
次は時代劇とロックを融合させたような世界観を考えています。
いずれ、それもここでアップさせていただきますね。
コメントしていただいて、本当にありがとうございます。
質問も頂戴しましたので、裏設定を公開するような感覚で、お応えさせていただきますね。
おかず塩さん、ご質問ありがとうございます。
Q・ラト(天使・悪魔)は「あなた」をサンプルとしてどんな実験をしていたのですか? ラト目的は「実を食べて【無】になること」ですよね。
A・そうです。
ラトの目的は、繰り返される輪廻から抜け出し、自分を完全に消滅させることでした。
普通に死んだら、彼はまた生まれ変わってしまうので、その繰り返しにうんざりしていたんですね。
ラトは超ドSで、純粋な悪です。
飼う人間にまずは幸福を与え、後にそれを奪う遊びを思いつきました。
実験というか、彼にとっては暇潰しなんですね。
怖い子。
Q・「あなた」もレビトが食べた2000年前の実を食べたのですか?(実を食べて死なないとこの世界から解放されない?)
主人公は普通の人間で、命の実は食していません。
なので楽園追放の実を食べなくても、彼は普通に天寿を全うすることができます。
主人公が実をがっつく時に、レビトが黙って見ていたのは、彼女なりの優しさなんですね。
Q・「あなた」は監視下に置かれ飼われていて、レビトがそうでない理由は「1000年前の実(知恵)を食べたか食べないか」によるのでしょうか?
レビトは最初から塔の外にいた人間です。
樹が削られ、塔にされる瞬間も、当時は見ていました。
砂時計の塔が完成して、ラトは人間を集めて収容し、人工の街を作り上げたんですね。
人間の数は数百年の間に少しづつ減ってしまって、主人公が最後の1人。
その間、外は外で、レビト以外の人間はやはり少しづつ数を減らし、やがて全て滅んでしまったというわけです。
Q・蛇(ラト)がアダムとイブに実を食べさせるのはなぜですか?
A・今度こそ、ラトが追放の実を食べるためです。
人類を発展させ、同じ歴史を繰り返させれば、気の遠くなるほどの未来で、再び神の樹が生えてくると考えたんですね。
樹が生える条件は、俺の中では「太陽が2つあること」なのですが、ラト本人はそれを知りません。
何が条件で神の樹が生えるのかが解らないため、ラトは取り合えず、同じ歴史を人類に押し付けました。
この話を考えている間も書いてる時も、めちゃめちゃ楽しかったですね。
次は時代劇とロックを融合させたような世界観を考えています。
いずれ、それもここでアップさせていただきますね。
コメントしていただいて、本当にありがとうございます。
推敲しました、のお知らせです。
今回のお話、解りにくいといった意見も多かったので、少々手を加えさせていただきました。
これでもまだ意味不明な気分になってしまうといった意見が出ましたら、さらに推敲させていただきますね。
謎は謎のままが良い、という場合もあるかと思いますので、全て何もかもを解説するわけではないことを、どうぞご了承ください。
ちなみに、次回からはしばらくは、またおばかさん日記に戻ります。
重さと軽さのギャップが、自分でも何がなんだかもう。
というわけで、引き続きご贔屓にお願い申し上げます。
めさでした。
今日も会社にお泊りです。
本職も頑張るぞ。
これでもまだ意味不明な気分になってしまうといった意見が出ましたら、さらに推敲させていただきますね。
謎は謎のままが良い、という場合もあるかと思いますので、全て何もかもを解説するわけではないことを、どうぞご了承ください。
ちなみに、次回からはしばらくは、またおばかさん日記に戻ります。
重さと軽さのギャップが、自分でも何がなんだかもう。
というわけで、引き続きご贔屓にお願い申し上げます。
めさでした。
今日も会社にお泊りです。
本職も頑張るぞ。
無題
スゴイですね本当に驚きました
これは確かに今までのめささんワールドとは一味違いますね
話、特にラトという存在の奥深さには本当に考えさせられます。いろんな解釈ができそうですよね。
自分は、彼は本当の意味で一番人間くさいなぁと思いましたが……悪魔(天使)なんですよねー
本当に奥が深い
やっぱりめささんはスゴイです
これは確かに今までのめささんワールドとは一味違いますね
話、特にラトという存在の奥深さには本当に考えさせられます。いろんな解釈ができそうですよね。
自分は、彼は本当の意味で一番人間くさいなぁと思いましたが……悪魔(天使)なんですよねー
本当に奥が深い
やっぱりめささんはスゴイです