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夢見町の史

Let’s どんまい!

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2024
March 29
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2011
January 26
 俺の中で彼は、よく逢う人ランキング10位内に確実に入っている。

  ここでは仮にSさんとしておこう。
  なかなかのご高齢で、酒やタバコは一切やらない。
  女子プロレスラー豊田真奈美さんの大ファンだ。

「こんばんは」
「Sさん、いらっしゃいませ!」

  俺の職場であるスナック「スマイル」を、豊田真奈美さんは手伝ってくれている。
  したがってこのSさん、真奈美さんが出勤する日は必ず顔を出してくれるのだ。

  真奈美さんが飲めるようにとボトルを入れ、それを毎回俺に飲まれる。

「Sさん、こんばんは。めさです。お待たせしました」
「誰もめさ君なんて待ってない! どっかに行ってなさい」
「その話、詳しく伺いたいのでお邪魔しまーす」
「なんで勝手に座るんだ!」

  そうこうしていると、真奈美さんが俺のグラスにSさんの酒を注いでくれるのである。
  Sさん、俺にお酒あげたくないのに。

  だからだろうか。
  Sさんの、俺に対する扱いはとてもとても酷い。

「なんでめさ君にお酒あげなきゃいけないんだ。私は豊田さんに逢いに来てるのに」

  そこで俺は優しげに微笑んで、ある話を口にする。

「Sさん。愛屋烏に及ぶ、ということわざをご存知ですか?」
「あいおく、うにおよぶ?」
「そうです。意味、解りますか?」
「解らないよ」
「愛する人が住む家の、屋根に止まった鳥すらも愛しく想える、という意味なんですよ。好きな人のことが愛しすぎて、その人の家に止まった鳥さえも好ましく感じてしまう。つまり、『坊主憎けりゃ袈裟(けさ)まで憎い』の逆の言葉ですね」
「ほうほう。それで?」
「Sさんが大好きな真奈美さん。そんな真奈美さんが勤めるスナックにいる、めさのことも愛しい」
「愛しくないよ! なんでちょっと上手いこと言って誤魔化そうとするんだ!」
「というわけで、いただきまーす!」
「あげないよ! だいたい、ちょっと聞きなさい!」
「はい?」
「もしもね? めさ君が好きな女性に逢うために飲みに行って、そこにボーイさんが来たとしよう」
「はい」
「そのボーイが『愛屋烏に及ぶ』がどうのこうの言って人の酒を飲もうとしたらどうする?」
「すっげえ腹立ちますね! 飲んで忘れましょう」
「だから飲むなっつうの!」

  結論だけ書いて、この日記を終わりにしよう。

  Sさん、毎週毎週、ご馳走様です。

拍手[41回]

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2011
January 17
「俺、四捨五入したら20っすよ」
「俺なんて四捨五入したら30だぜ?」

  四捨五入する必要がどこにある。
  なんでわざわざ実年齢を大雑把な数字に置き換えるのだ。
  そんなの自分を苦しめる考え方じゃないか。

  2011年1月11日。
  俺は35回目の誕生日を迎えた。
  四捨五入をすれば、およそ40歳だ。
  遠い目で夕日を眺めたくなる。
  でもまあ100歳よりは断然に若いのでいいか。

  誕生日当日は、友人が訪ねてくれたり、ちょっとしたサプライズがあったり、前々から欲しかった物をプレゼントしてもらったりと、いいことがたくさんあった。
  メールやネット上でも多くの祝辞をいただいたし、本当にありがたいことだ。

「めさ、はいこれ」

  友人チーフも、俺にビニール袋を差し出した。

「ありがとチーフ! 開けてもいい?」
「いいよ」

  こうして俺は猫のエサを取り出して固まった。

「なにこれ?」
「誕生日プレゼント」
「こういうのは猫にあげたらいいじゃない!」

  他にも、袋の中にはまだ必要のない老眼鏡なども入っている。
  ただ、ダシの元や観葉植物など、微妙に喜ばしい品も見受けられた。
  どんなリアクションを取ったらいいのか微妙だ。

  さて。
  俺の苗字は少々珍しい。
  ここでは仮に「山枝」とでもしておこう。

  チーフから受け取った袋の中には、見逃してしまうような小さな筒状の物もあった。
  小指ぐらいサイズだ。

「ねえチーフ。これは何?」
「よく見ろ。印鑑だ」

  なるほど。
  底と思われる面を見ると、そこには「山村」と知らない人の名が刻まれている。

「あのさ、チーフ。山村さんて誰?」
「お前の苗字は珍しいから印鑑が売ってなかった。仕方ないから1番近いやつを買ってきた」

  山枝なのに、貰ったのは山村のハンコ。
  2文字目が木辺なとこまでは当っている。

「まあせっかくだから、これ回覧板を見ましたよの印をつけるときにでも使うよ」
「駄目だ。実印にしろ」

  まさか誕生日に改名を余儀なくされるとは思わなかった。

追伸・心のどこかで「おめでとう」と少しでも思ってくれた方々へ。
  ありがとう!

拍手[71回]

2010
December 14
 あのスナックのボーイ、めさ君やったっけ?
  あいつにな?
  もう何年も前から「女紹介せえ。女紹介せえ」って亡霊みたいに言い続けてんねん。
  なのにあいつ、俺にちっとも女紹介しようとせん。

「俺の女友達って、みんな結婚してたり彼氏がいたり、遠くに住んでたりしてるから紹介すんの難しいですってば」
「そんなん構わん! 俺はな? ただ楽しく酒が飲めればそれでいいねん」
「でもT内さん、そこまで女女って言うってことは、奥さんに内緒で、できれな深い仲になりなーとかって思ってるんでしょ?」
「そりゃそうや」
「俺の女友達に不倫するような奴いねえから!」

  客に対してなんつう口の利き方すんねん。
  男心の解らん奴や。

  昨日も、めさ君に文句言ったった。

「お前はいつになったら女紹介すんねや!」
「仕方ないなあ」

  めさ君はケータイ取り出してな?

「これ、たった今、真美って子から来たメールなんですけど」

  って、俺にメール画面を見せてきたんや。

  件名の、「今夜、泊めてもらっていいかな?」の文字に鼻血噴き出そうになったわ!
  よっしゃ!
  俺が泊めたる!
  どこの女や!

「じゃあ一応、読み上げますね」

  おう!

「いきなりごめんなさい。さっき家出しちゃって、泊まるとこがなくって、困ったのでメールしました」

  家出したってことは、若い子っぽいやん!
  それでそれで!?

「もうお金も残り少なくてかなりヤバイ状況なので、よければ家に泊めてくれませんか?」

  ええで!
  全力で泊めたるわ!

「泊めてくれたらご飯とか作れるから料理もするし、真美にできることなら何でもするよ?」

  ななな、なんでもォーッ!?
  いよっしゃあー!
  めさ君!
  その子紹介せえ!

「解りました。じゃあ今からURLを言うんで、そこにアクセスしていただきまして」

  ふんふん。

「掲示板になってると思うんで、そこから真美ちゃんに返事書いてあげてください」

  おっしゃ、解った!
  掲示板にアクセスしてポイント買うて、何度か真美ちゃんとやり取りすればええんやな!?
  よーし、プロフィール気合い入れて書くでー!
  始めまして、T内です。
  ってアホかーい!
  それただの迷惑メールやん!
  もうおのれには頼まん!
  ぬか喜びや!

  どんだけええタイミングで迷惑メール受けてんねん。

拍手[37回]

2010
December 11
 バーのカウンター席で、男と男が無言のまま見つめ合う。
  なんて書いたら誤解されてしまうだろうか。

  行き着けのバーのマスターが誕生日を迎えられた。
  仕事を終えた俺は祝うべく、BCBGの玄関をくぐる。

  悪友トメが眠たそうに飲んでいたり、後からボスのK美ちゃんが来たりもした。
  友人チーフは俺の隣に腰を下ろす。

  俺の何かしらの発言にツッコミたいのか、衝動的に文句を言いたくなったのか解らないけれど、チーフが無言で俺の目をじっと見つめた。
  何事かと思い、チーフが喋るまで俺も彼の目を正面から捉える。

  2人とも、しばらくそのままの体勢でいた。

  チーフが何も言わないものだから、俺の口が自然と開く。

「見つめ合うと、素直に、お喋りできない」

  どっかの歌詞みたいな言葉にチーフは反射的に「うるせえよ!」と返してきた。

  しばらく後。
  またもやチーフの視線を感じ、見つめ合う。

「見つめ合うと、素直に、お喋りできない」
「次それ言ったらひっぱたくからな!」

  チーフは桑田佳祐氏にトラウマでもあるのだろうか。

  3度目。
  俺とチーフの視線は交差しているのだが、やはり何も語ろうとしない。

  俺が口を開こうとする。
  同時に、チーフが平手打ちの準備をした。

  なんで解ったのだろうか。

  人は涙見せずに大人になれない。

拍手[32回]

2010
December 09
 コンビニの売り物で最も高価な品は何か?

  現役の女子プロレスラーが不意にそのような疑問を口にした。

  生粋のドMであるI君が飲みに来ていて、彼はニューボトルを入れるお金がないからと、コンビニに現金を下ろしに行くという。

「めさ君、俺さ、ちょっとお金下ろしに行ってくるよ」
「あ、代わりに俺が行こうか? カード貸して」
「え!? ええ!? えーっ!?」
「冗談だよ。行ってらっしゃい」

  彼が戻ってきて、話題は冒頭にあったような内容に移るのである。

  お店を手伝ってくれている豊田真奈美さんが声を張り上げた。

「あのさあのさ! コンビニで売ってる物で1番高いのって何なの!?」

  チケットや折り菓子の類以外で、とのことだ。
  つまり、客が自分の手で取れるような、商品棚に置かれている品物の中から選ばないといけないらしい。

  天然娘と見せかけて実はドSのフロアレディ、M嬢が身を乗り出す。

「I君、それを4つ買ってきて!」

  店内にいる女子が4名。
  つまり「女の子全員にコンビニで最も高い品を奢れ」と命じるとは、Mちゃん、怖い子だ。

「え~」

  嬉しそうに嫌がるなI君。

  それにしてもコンビニで1番高い物って何だろう。
  生理用品とか避妊具だったらどうしよう。
  I君、それらを4つも買わなきゃいけないのか。
  そんなん恥ずかしい。
  しかも普通に散財だ。
  I君、何も悪いことしてないのに。

  俺は気の毒になってしまい、そっと彼の肩に手を置く。

「I君、俺が代わりにお金下ろしに行こうか? カード貸して」
「いいよ、俺が行くよ!」

  嫌そうに喜びながら店を出るI君。
  なかなか珍しいパシられ方だ。

  それにしても、彼は果たして何を買ってくるのだろうか。
  生理用品だろうと避妊具だろうと、そんなん4つも買い溜めるなんて面白すぎる。

  そんな俺の期待は、ものの見事に裏切られることになった。

「買ってきたよ! はい!」
「きゃー! ありがとー!」

  I君はコスメグッズをそれぞれに手渡している。

  化粧品かよ。
  ちぇ。
  コンビニで1番高い物じゃなくて、1番恥ずかしい物だったらよかったのに。
  そしたら今度は俺が行こう。

拍手[25回]

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プロフィール
HN:
めさ
年齢:
48
性別:
男性
誕生日:
1976/01/11
職業:
悪魔
趣味:
アウトドア、料理、格闘技、文章作成、旅行。
自己紹介:
 画像は、自室の天井に設置されたコタツだ。
 友人よ。
 なんで人の留守中に忍び込んで、コタツの熱くなる部分だけを天井に設置して帰るの?

 俺様は悪魔だ。
 ニコニコ動画などに色んな動画を上げてるぜ。

 基本的に、日記のコメントやメールのお返事はできぬ。
 ざまを見よ!
 本当にごめんなさい。
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