夢見町の史
Let’s どんまい!
December 18
<文章A・あるアグレッシブな乙女の心情>
きゅんと胸が締めつけられるのは、ずっと憧れだった彼と初めて2人きりになれるからだろう。
だからこそ、変な吐息が自然と漏れる。
よく恋は盲目というけれど、本当にそうなるから恐ろしい。
「いつもあなたのこと、考えてます。ずっとずっと、あなたのことが好きでした」
つまりそう、なんというか、今日こそは告白をしたいと考えている。
もうそろそろ、しっかりと伝えたい。
くふふ、もちろん今日のは勝負パンツよ。
だって今日は、やっと彼と2人きりになれる!
さっきまで、待ち合わせ場所にはわざと遅れて行こうかとも思っていたんだけど、やっぱりそれはできなかった。
本当にぞくぞくしちゃう。
もう自分からキス、してしまおうか。
ううん駄目駄目恥ずかしい、なんてことを考えていると、デートはいつの間にか始まっていた。
「あの、好きな食べ物って何? 例えば果物とかだと」
「りんごかなあ? でも別に、俺は何でも好きだけど。ってゆうか、そんなのどうでもいいじゃないか」
うん、やっぱりいいわ、この人。
ごめんなさい、私は素っ気無い素振りのあなたに、ぞっこんラブです。
ざっくばらんなやり取りをしているだけで、満面の笑みが浮かんでしまう。
いけない!
また変な気分になってしまいそうだ。
すっごい強力な恋心の波動に、我ながら戸惑う。
…このまま2人でお泊りなんて、できたら最高なんだけどなあ。
実は、彼がすぐ目の前にいるにもかかわらず、さっきから妄想が止まらない。
「ははは、最高の夜だね」
「今夜は、帰りたくないなあ。なんか、酔っちゃったみたい」
「回収しちゃうぜ? いいのかい君?」
「のりちゃん、って呼んで。君なんて呼び方、イヤ」
「おいおい、妄想だからってそれ、急展開すぎるだろ」
話にならん、と想像の中の彼に叱られる。
ナイスツッコミ!
シックなベットの上とかで、そんな調子で攻められちゃったりしたらもう…。
めっちゃヨダレが止まらない。
う~ん、それにしてもこの男、素敵すぎる。
なんかこう、彼には妄想以上に激しく、日記に書けないレベルで攻めてきていただきたい。
とりあえず逆に、こっちから先に脱いだりとかしちゃおうか。
思想が異常だってことは、正直自分でも解っている。
っとに、何を考えてるのだろうか。
たぶん自分は今、世界の変態ランキングの上位に位置している。
のんびりと構えつつ、それでいて純愛に気合いを入れなくては。
がっつり掴んだら、何があっても離さないんだから!
…それで、抱き合ったまま一緒に歳を取って、一生幸せに暮らすの。
では、気を取り直して会話タイムだ。
「よぉし! うんと、えっと…、あの、ねえ? そろそろお腹、空かない?」
「是非とも何か食べたいね。あれ? でもダイエット中だって言ってなかったっけ?」
「今日はいいの! なんでも食べていい日なの、今日は」
「と言っても、なんだかね。気軽に焼肉屋に連れてくわけにもね。構わないならご馳走するけどさ」
「楽しそうじゃん! そういうの賛成! お肉大好きー!」
ん、だんだんいい雰囲気になってきた。
では、いただきます!
てぐすね引いて待ちわびた大好物が今、目前に広がっている。
ねえ、上着を脱いだあなたは、どうして体型までもが素敵なの?
「よく見ると、ホント美味しそうだなあ」
しっかりと可愛さを意識しながら、こくりとうなずいて見せる。
めくるめくおピンクな夜が、これから訪れようとしている。
<文章B・あるプロボクサーの状況>
大晦日の今日は、いよいよ待ちに待ったタイトルマッチだ。
好戦的に奮い立つ気持ちを胸に秘め、俺は今夜、リングに立つ。
皆の人気者、チャンピオンさんよ、会いたかったぜ。
…それだけが頭を巡り続ける。
お目当てだった獲物を前に興奮する獣のような心境だ。
読もうと欲するは相手の心情、見つめ直すは我が肉体、染み入るはスポットライトと観客の熱気、様々な想いと空気が交差する。
みるみるうちに俺の瞳は熱く燃え上がり、試合用トランクスさえも焦がす勢いだ。
つまらない取り決めだとは思うが、俺は挑戦者だから、チャンプより先にリングに上がっていた。
てくてくと、まるで余裕を見せつけるかのような足取りで入場してくるチャンプを睨みつけると、向こうも俺と同じように眼光を鋭くしてくる。
当然のことながら、ここで気迫負けてなどしてはいられない。
にじり寄り、額と額を接触させるぐらいに近づけ、俺はさらに相手を威嚇する。
大歓声の中、ゴングの音が鳴り響いた。
感慨に浸るより先に、まずは様子見だ。
激しくジャブを連射する。
がんがん攻めているというのに、さすがはチャンピオンだ。
とてもじゃないが、この強固なガードは簡単には崩せそうもない。
はっとした次の瞬間、相手は俺の顔面めがけ、殴りかかっくるところだった。
やられる!
とにかく俺は夢中になって身をかわし、慌ててガードを上げる。
ここからのチャンプは、まさしく鬼のようだった。
どうにか猛攻に耐えられたのは、ベルトだけは絶対に奪ってやるという決意の表れだ。
できるだけ被弾を避けながら、俺は必死になって相手の懐に潜り込み、クリンチでしのぐ。
するとチャンプは身をよじり、逃れようとあがいた。
頑として譲らぬまま、第1ラウンド終了をゴングが告げる。
張り合うには少々荷が重い相手だがしかし、勝負はまだまだこれからだ。
つい頭の中で泣き言と強がりを同時に言ってしまい、我ながら情けなく思う。
たどたどしくコーナーに戻ると、セコンド陣からの激が矢継ぎ早に飛んできた。
「しっかりしろ! なんだあのザマは! もっと自分から積極的に行け!」
「…おい! 一体あの減量は何のためだったんだ!?」
「非の打ち所がないぐらいの努力をずっとしてきただろうが! お前は水さえも飲まなかった! ろくにメシも喰ってねえ! それでもお前は泣き言1つ言わず、頑張ってきた! それもこれも全て、今日のためだろうが!」
「後に引いてどうするんだよ! まずは相手の足止めをするんだ」
「もっと強気に! 狙いはボディだ!」
しっかりとうなずき、俺はマウスピースを咥える。
やるか、やられるかだ。
ついに俺は捨て身になって突進し、猛然と拳を突き出す。
…ナイスボディ!
ろくな褒め言葉も知らないセコンドが、賞賛の声を上げた。
くる!
…チャンピオンの拳1つ1つに込められた殺気が、だんだん見えるようになってきた。
さあ、勝負はこれからだ!
<文章A+文章B>
大晦日の今日は、いよいよ待ちに待ったタイトルマッチだ。
好戦的に奮い立つ気持ちを胸に秘め、俺は今夜、リングに立つ。
きゅんと胸が締めつけられるのは、ずっと憧れだった彼と初めて2人きりになれるからだろう。
だからこそ、変な吐息が自然と漏れる。
よく恋は盲目というけれど、本当にそうなるから恐ろしい。
皆の人気者、チャンピオンさんよ、会いたかったぜ。
…それだけが頭を巡り続ける。
「いつもあなたのこと、考えてます。ずっとずっと、あなたのことが好きでした」
つまりそう、なんというか、今日こそは告白をしたいと考えている。
もうそろそろ、しっかり伝えたい。
お目当てだった獲物を前に興奮する獣のような心境だ。
読もうと欲するは相手の心情、見つめ直すは我が肉体、染み入るはスポットライトと観客の熱気、様々な想いと空気が交差する。
みるみるうちに俺の瞳は熱く燃え上がり、試合用トランクスさえも焦がす勢いだ。
くふふ、もちろん今日のは勝負パンツよ。
だって今日は、やっと彼と2人きりになれる!
さっきまで、待ち合わせ場所にはわざと遅れて行こうかとも思っていたんだけど、やっぱりそれはできなかった。
つまらない取り決めだとは思うが、俺は挑戦者だから、チャンプより先にリングに上がっていた。
てくてくと、まるで余裕を見せつけるかのような足取りで入場してくるチャンプを睨みつけると、向こうも俺と同じように眼光を鋭くしてくる。
本当にぞくぞくしちゃう。
当然のことながら、ここで気迫負けてなどしてはいられない。
にじり寄り、額と額を接触させるぐらいに近づけ、俺はさらに相手を威嚇する。
もう自分からキス、してしまおうか。
ううん駄目よ駄目よ恥ずかしい、なんてことを考えていると、デートはいつの間にか始まっていた。
大歓声の中、ゴングの音が鳴り響いた。
感慨に浸るより先に、まずは様子見だ。
激しくジャブを連射する。
「あの、好きな食べ物って何? 例えば果物とかだと」
「りんごかなあ? でも別に、俺は何でも好きだけど。ってゆうか、そんなのどうでもいいじゃないか」
がんがん攻めているというのに、さすがはチャンピオンだ。
とてもじゃないが、この強固なガードは簡単には崩せそうもない。
うん、やっぱりいいわ、この人。
ごめんなさい、私は素っ気無い素振りのあなたに、ぞっこんラブです。
ざっくばらんなやり取りをしているだけで、満面の笑みが浮かんでしまう。
いけない!
また変な気分になってしまいそうだ。
すっごい強力な恋心の波動に、我ながら戸惑う。
…このまま2人でお泊りなんて、できたら最高なんだけどなあ。
実は、彼がすぐ目の前にいるにもかかわらず、さっきから妄想が止まらない。
「ははは、最高の夜だね」
「今夜は、帰りたくないなあ。なんか、酔っちゃったみたい」
「回収しちゃうぜ? いいのかい君?」
「のりちゃん、って呼んで。君なんて呼び方、イヤ」
「おいおい、妄想だからってそれ、急展開すぎるだろ」
話にならん、と想像の中の彼に叱られる。
はっとした次の瞬間、相手は俺の顔面めがけ、殴りかかっくるところだった。
ナイスツッコミ!
シックなベットの上とかで、そんな調子で攻められちゃったりしたらもう…。
やられる!
めっちゃヨダレが止まらない。
とにかく俺は夢中になって身をかわし、慌ててガードを上げる。
ここからのチャンプは、まさしく鬼のようだった。
う~ん、それにしてもこの男、素敵すぎる。
なんかこう、彼には妄想以上に激しく、日記に書けないレベルで攻めてきていただきたい。
どうにか猛攻に耐えられたのは、ベルトだけは絶対に奪ってやるという決意の表れだ。
とりあえず逆に、こっちから先に脱いだりとかしちゃおうか。
思想が異常だってことは、正直自分でも解っている。
っとに、何を考えてるのだろうか。
たぶん自分は今、世界の変態ランキングの上位に位置している。
のんびりと構えつつ、それでいて純愛に気合いを入れなくては。
できるだけ被弾を避けながら、俺は必死になって相手の懐に潜り込み、クリンチでしのぐ。
するとチャンプは身をよじり、逃れようとあがいた。
がっつり掴んだら、何があっても離さないんだから!
…それで、抱き合ったまま一緒に歳を取って、一生幸せに暮らすの。
頑として譲らぬまま、第1ラウンド終了をゴングが告げる。
張り合うには少々荷が重い相手だがしかし、勝負はまだまだこれからだ。
つい頭の中で泣き言と強がりを同時に言ってしまい、我ながら情けなく思う。
たどたどしくコーナーに戻ると、セコンド陣からの激が矢継ぎ早に飛んできた。
では、気を取り直して会話タイムだ。
「しっかりしろ! なんだあのザマは! もっと自分から積極的に行け!」
「よぉし! うんと、えっと…、あの、ねえ? そろそろお腹、空かない?」
「…おい! 一体あの減量は何のためだったんだ!?」
「是非とも何か食べたいね。あれ? でもダイエット中だって言ってなかったっけ?」
「非の打ち所がないぐらいの努力をずっとしてきただろうが! お前は水さえも飲まなかった! ろくにメシも喰ってねえ! それでもお前は泣き言1つ言わず、頑張ってきた! それもこれも全て、今日のためだろうが!」
「今日はいいの! なんでも食べていい日なの、今日は」
「後に引いてどうするんだよ! まずは相手の足止めをするんだ」
「と言っても、なんだかね。気軽に焼肉屋に連れてくわけにもね。構わないならご馳走するけどさ」
「もっと強気に! 狙いはボディだ!」
「楽しそうじゃん! そういうの賛成! お肉大好きー!」
しっかりとうなずき、俺はマウスピースを咥える。
ん、だんだんいい雰囲気になってきた。
では、いただきます!
やるか、やられるかだ。
ついに俺は捨て身になって突進し、猛然と拳を突き出す。
てぐすね引いて待ちわびた大好物が今、目前に広がっている。
ねえ、上着を脱いだあなたは、どうして体型までもが素敵なの?
…ナイスボディ!
「よく見ると、ホント美味しそうだなあ」
ろくな褒め言葉も知らないセコンドが、賞賛の声を上げた。
しっかりと可愛さを意識しながら、こくりとうなずいて見せる。
くる!
…チャンピオンの拳1つ1つに込められた殺気が、だんだん見えるようになってきた。
めくるめくおピンクな夜が、これから訪れようとしている。
さあ、勝負はこれからだ!
<あとがき>
実は今回の作品には、もう1つ仕掛けが施してあります。
文章A+文章Bの、行始めの1文字目だけを拾って縦に読んでみてください。
画面上で1番左にくる文字全て、という意味ではなく、あくまで各行の出だしの1文字目です。
空白とかカギカッコの、次の文字のことですね。
そこだけを目で追っていただくと、また別の文章になっています。
俺からの、ささやかなメッセージです。
普段なかなか皆さんとコミュニケーションを取れないので、メッセージを組み込んでみました。
解読、できましたでしょうか?
コメントもメッセージも、全てありがたく読ませていただいています。
今回の作品は、そんな日頃の感謝のつもりで綴らせていただきました。
これからも精進しますんで、引き続きよろしくお付き合いくださいね。
本当に、いつもありがとうございます。
ぶっちゃけ今、知恵熱出そう。
めさでした。
いずれは、コメント欄を利用して皆さんと絡めるような仕掛けの文章を作らせていただきます。
今後とも、どうぞよろしくお願いします。
今日は特別な1日ですね。
本当におめでとうございます。
数あるお祝いの1つとして、見てくださっていれば幸いですよ。
やべっちさん、ハッピーバースデイ!
すごい!!!
…そして、半分には授業、もう半分にはめささんのメッセージという素敵なノートが出来上がりました(・_・;))
でも消したくないo(><)o!
これからも頑張ってください☆
さぁ~授業を聞こうかしらね(*^^*)
笑わせてもらっている私も感謝しています!これからも楽しませていただきますね♪
二つの、全く系統の違う文章を作って、組み合わせ、更に隠しメッセージまで作りこんじゃって。
やろうと思っても、大抵の人はできないでしょうね。
すごいです。
裏山。
こちらこそ、よろしくです。
妄想内でコメントしたのかもしれないし本当にしてないのかわかりません。
もー、めささんすごすぎです。感動です。
惚れますよ!?
どうしてくれるんですか。
クリスマス近いってのに・・・。(笑)
これからもずっと読み続けます。
がんばってくださいね!!
17歳女子よりw
ふゆと申しますv
いつも楽しく読まして頂いていましたッ(゚∀゚)
あたしごときがコメントしてよいものかと思ったんですが…
めささん素敵過ぎます!!
恋とかしちゃったら責任取ってくださいよ(´;ω;`)←
これからも
楽しみにしていますッ(´ω`)ノシ
この仕掛けは…素晴らしすぎです!
私は、詩でこの仕掛けを使ってたまに書きますけど、言葉をちゃんと選ばないと難しいですよね。
めささんすごいデス!
またまた好きになっちゃいました♪
いつもステキな文章をありがとうございます♪