夢見町の史
Let’s どんまい!
December 20
<まえがき>
 前回の「1+1=おかしな話」にはちょっとした暗号が組み込んであったため、文全体にどこか違和感を感じられたことと思います。
 なので今回は気楽にお読みいただけるよう暗号をなくし、読みやすさに重点を置いてみました。
 内容は前回と全く同じです。
 今回の文章は、前回のおまけと解釈してやってください。
 ぶっちゃけこれは、縦読み加工をする前の、原作に当たる記事です。
 楽しんでいただけたら幸いです。 
<文章A・あるアグレッシブな乙女の心情>
 ずっと憧れだった彼と初めて、ようやく2人きりになれる。
 もう、胸のドキドキが止まらない。
 今日こそ、絶対に告白してやる。
 もちろん今日のは勝負パンツだ。
 ちょっと大胆にスケスケの生地で、Tバックのやつを履いてきた。
 もうすぐだ。
 もうすぐ彼と、やっと2人きりになれる!
 待ち合わせ場所にはわざと遅れて行こうかとも思っていたんだけど、やっぱりそれはできなかった。
 彼、早く来ないかしら。
 なんだか、ぞくぞくしちゃう。
 こうなったらもう、自分からキスしてしまおうか。
 ううん駄目よ、恥ずかしい。
 なんてことを考えていると、2人の時間はいつの間にか始まっていた。
「あの、好きな食べ物って何?」
「別に、俺は何でも好きだけど。ってゆうか、そんなのどうでもいいじゃないか」
 そんな素っ気無い素振りの彼に、もうメロメロだ。
 なんだか変な気分になってしまいそうで怖い。
 すっごい強力な恋心の波動に、我ながら戸惑う。
 …このまま2人でお泊りなんて、できたら最高なんだけどなあ。
 彼がすぐ目の前にいるにもかかわらず、さっきから妄想が止まらない。
「ははは、最高の夜だね」
「今夜は、帰りたくないなあ。なんか、酔っちゃったみたい」
「おいおい、妄想だからってそれ、急展開すぎるだろ」
 ナイスツッコミ!
 そのまま盛り上がって、それで夜には…。
 めっちゃヨダレが止まらない。
 ドMな自分としては、果てしなく猛烈に攻めてきていただきたい。
 逆に、こっちから先に脱いだりとかしちゃおうか。
 とにかくもう、どうにかしてくっ付きたくてたまらない。
 1度でも掴んだら、もう2度と離さない!
 抱き合ったまま一緒に歳を取って、一生を幸せに暮らすの。
 なーんてね。
 さすがにそれは無理か。
 では、気を取り直して会話タイムだ。
「よぉし! うんと、えっと…、あの、ねえ? そろそろお腹、空かない?」
「あれ? この前ダイエットするって言ってなかったっけ?」
「今日はいいの! なんでも食べていい日なの、今日は」
「と言っても、なんだかね。気軽に焼肉屋に連れてくわけにもね。構わないならご馳走するけどさ」
「そういうの賛成! お肉大好きー!」 
 だんだんいい雰囲気になってきた。 
 色んな意味で、大好物が今、目前に広がっている。
 というわけで、いただきます!
 ジューシーなお肉に手を出した。
 彼は既に上着を脱いでいて、そのたくましい体型にどうしても目がいってしまう。
「ホント美味しそうだよなあ」
 彼から可愛く見えるよう意識しながら、こくりとうなずいて見せる。
 彼に笑顔が増えてきたことも嬉しい。
 めくるめくおピンクな夜が、これから訪れようとしている。
<文章B・あるプロボクサーの状況>
いよいよ待ちに待ったタイトルマッチだ。
俺は今夜、挑戦者としてリングに立つ。
会いたかったぜ、チャンピオン。
それだけが頭を巡り続けている。
獲物を前に興奮する、飢えた獣のような心境だ。
「がんばってー!」
客席から届いた声援が、さら俺を奮い立たせた。
ロープをまたぎ、ガウンを脱ぎ去る。
試合用トランクスがあらわになり、観客たちは「おおー!」と沸き立った。
俺は挑戦者だから、チャンプより先にリングに上がることになっている。
ようやく入場してきたチャンプに、俺は熱の篭った視線を投げつけた。
向こうも気合いが入っているらしく、俺を睨みつけてくる。
ここで気迫負けてなどしてはいられない。
相手に歩み寄り、俺はギラギラした目つきで額と額とを接触させた。
やがて大歓声の中、ゴングの音が鳴り響く。
まずは様子見だ。
ジャブを数発、連射する。
本気で攻めているというのに、さすがはチャンピオンだ。
ガードが固い。
はっとした次の瞬間、相手は俺の顔面めがけ、殴りかかっくるところだった。
やられる!
無我夢中になって身をかわし、慌ててガードを上げる。
ここからのチャンプは、まさしく鬼のようだった。
ベルトを奪取するにも、そう簡単にはいかないということだ。
どうにかしなくては。
できるだけ被弾を避けながら、俺はすっと相手の懐に潜り込む。
クリンチだ。
そうこうしているうちに、第1ラウンド終了をゴングが告げる。
さすがにすぐには、何もさせてもらえなかったか。
コーナーに戻ると、セコンド陣からの激が矢継ぎ早に飛んできた。
「なんだあのザマは! もっと自分から積極的に行け!」
「一体あの減量は何のためだったんだ!?」
「水も飲まずメシも喰わず、今日のために頑張ってきただろうが!」
「最後まで諦めるなよ!? まずは相手の足止めをするんだ」
「もっと強気に! 狙いはボディだ!」
 俺はうなずき、マウスピースを咥える。
 やるか、やられるかだ。
 俺は覚悟を決め、捨て身になって突進することにした。
 狙いは胴体。
 ナイスボディ!
 と、セコンドが賞賛の声を上げた。
 チャンピオンの拳1つ1つに込められた殺気が、だんだん見えるようになってきた。
 これなら、どうにかやれそうな気がする。
 まだまだ勝負はこれからだ!
<文章A+文章B>
いよいよ待ちに待ったタイトルマッチだ。
俺は今夜、挑戦者としてリングに立つ。
ずっと憧れだった彼と初めて、ようやく2人きりになれる。
もう、胸のドキドキが止まらない。
会いたかったぜ、チャンピオン。
それだけが頭を巡り続けている。
今日こそ、絶対に告白してやる。
獲物を前に興奮する、飢えた獣のような心境だ。
「がんばってー!」
客席から届いた声援が、さら俺を奮い立たせた。
ロープをまたぎ、ガウンを脱ぎ去る。
試合用トランクスがあらわになり、観客たちは「おおー!」と沸き立った。
もちろん今日のは勝負パンツだ。
ちょっと大胆にスケスケの生地で、Tバックのやつを履いてきた。
もうすぐだ。
もうすぐ彼と、やっと2人きりになれる!
待ち合わせ場所にはわざと遅れて行こうかとも思っていたんだけど、やっぱりそれはできなかった。
俺は挑戦者だから、チャンプより先にリングに上がることになっている。
彼、早く来ないかしら。
ようやく入場してきたチャンプに、俺は熱の篭った視線を投げつけた。
向こうも気合いが入っているらしく、俺を睨みつけてくる。
なんだか、ぞくぞくしちゃう。
ここで気迫負けてなどしてはいられない。
相手に歩み寄り、俺はギラギラした目つきで額と額とを接触させた。
こうなったらもう、自分からキスしてしまおうか。
ううん駄目よ、恥ずかしい。
なんてことを考えていると、2人の時間はいつの間にか始まっていた。
やがて大歓声の中、ゴングの音が鳴り響く。
まずは様子見だ。
ジャブを数発、連射する。
「あの、好きな食べ物って何?」
「別に、俺は何でも好きだけど。ってゆうか、そんなのどうでもいいじゃないか」
本気で攻めているというのに、さすがはチャンピオンだ。
ガードが固い。
そんな素っ気無い素振りの彼に、もうメロメロだ。
なんだか変な気分になってしまいそうで怖い。
すっごい強力な恋心の波動に、我ながら戸惑う。
…このまま2人でお泊りなんて、できたら最高なんだけどなあ。
彼がすぐ目の前にいるにもかかわらず、さっきから妄想が止まらない。
「ははは、最高の夜だね」
「今夜は、帰りたくないなあ。なんか、酔っちゃったみたい」
「おいおい、妄想だからってそれ、急展開すぎるだろ」
はっとした次の瞬間、相手は俺の顔面めがけ、殴りかかっくるところだった。
ナイスツッコミ!
そのまま盛り上がって、それで夜には…。
やられる!
めっちゃヨダレが止まらない。
無我夢中になって身をかわし、慌ててガードを上げる。
ここからのチャンプは、まさしく鬼のようだった。
ドMな自分としては、果てしなく猛烈に攻めてきていただきたい。
ベルトを奪取するにも、そう簡単にはいかないということだ。
逆に、こっちから先に脱いだりとかしちゃおうか。
とにかくもう、どうにかしてくっ付きたくてたまらない。
どうにかしなくては。
できるだけ被弾を避けながら、俺はすっと相手の懐に潜り込む。
クリンチだ。
1度でも掴んだら、もう2度と離さない!
抱き合ったまま一緒に歳を取って、一生を幸せに暮らすの。
なーんてね。
さすがにそれは無理か。
そうこうしているうちに、第1ラウンド終了をゴングが告げる。
さすがにすぐには、何もさせてもらえなかったか。
コーナーに戻ると、セコンド陣からの激が矢継ぎ早に飛んできた。
では、気を取り直して会話タイムだ。
「なんだあのザマは! もっと自分から積極的に行け!」
「よぉし! うんと、えっと…、あの、ねえ? そろそろお腹、空かない?」
「一体あの減量は何のためだったんだ!?」
「あれ? この前ダイエットするって言ってなかったっけ?」
「水も飲まずメシも喰わず、今日のために頑張ってきただろうが!」
「今日はいいの! なんでも食べていい日なの、今日は」
「最後まで諦めるなよ!? まずは相手の足止めをするんだ」
「と言っても、なんだかね。気軽に焼肉屋に連れてくわけにもね。構わないならご馳走するけどさ」
「もっと強気に! 狙いはボディだ!」
「そういうの賛成! お肉大好きー!」
俺はうなずき、マウスピースを咥える。
だんだんいい雰囲気になってきた。
やるか、やられるかだ。
色んな意味で、大好物が今、目前に広がっている。
俺は覚悟を決め、捨て身になって突進することにした。
というわけで、いただきます!
ジューシーなお肉に手を出した。
狙いは胴体。
彼は既に上着を脱いでいて、そのたくましい体型にどうしても目がいってしまう。
ナイスボディ!
「ホント美味しそうだよなあ」
と、セコンドが賞賛の声を上げた。
彼から可愛く見えるよう意識しながら、こくりとうなずいて見せる。
チャンピオンの拳1つ1つに込められた殺気が、だんだん見えるようになってきた。
彼に笑顔が増えてきたことも嬉しい。
これなら、どうにかやれそうな気がする。
まだまだ勝負はこれからだ!
めくるめくおピンクな夜が、これから訪れようとしている。
  




