夢見町の史
Let’s どんまい!
2007
April 08
April 08
いつもなら、お弁当を2つも食べるクセに。
ボクシングの漫画を読みながら、お行儀悪く大盛り2つを平らげるクセに。
今日は、兄やんの様子が明かにおかしい。
こんなことは初めてだ。
「くっそう! 今日はふて寝する!」
会社の昼休み。
兄やんは機嫌悪く悪態をつきながら、何も食すことなく、仮眠室に向かってしまった。
どうしたのだろう。
とんかつ屋さんでご飯を3杯もおかわりしておきながら、「最近は食が細くなった」などと言っている、うちの兄やんともあろうお方が。
「実はね?」
なんか戻ってきた。
ボクシングのマンガ、続きが読みたかったんだ。
兄やんが煙草に火を点け、漫画を膝の上に置く。
「実は今朝、お弁当を注文するの、忘れてたんだ。くそが!」
お前が悪いんじゃないですか。
「もう今日はヤケだ。ここンとこ寝不足だし、一服したら寝る。ふて寝する!」
大の大人が「ふて寝する」って宣言してるの、初めて聞いたよ。
で、なんで寝不足なの?
「試合が近いと、ナーバスになるのさ」
それは漫画の話だから。
兄やん、どんな角度から見てもボクサーじゃないから。
実は夜中まですっと、ブログを改造しようとしてたんじゃん。
長いことチンプンカンプンのままで、時間だけが無駄に過ぎていっただけじゃん。
それにしても、夜まで仕事は続くから、さすがに気の毒だ。
作業が始まると、兄やんはそれこそ最終ラウンドのボクサーみたいに足にきていた。
あまりに可哀相なので、せんべいを与えてみる。
「これ、食べる?」
「今、減量中だからな、せんべいだけでいいさ」
なんかまだ夢見てる。
そんなに面白いのか、あの漫画。
「今、減量中だからな、せんべいだけでいいさ」
なんでもう1回言った?
今のセリフ、そんなに気に入った?
だいたい「せんべいだけでいいさ」ってこの人、せんべいしかないのに、何言ってんの。
もう1枚欲しいって、素直に言え。
「おお! やった!」
どうした!
「ポケットにアメが入ってた」
言ってるそばから、せんべい以外の物にも喰らいつくことが証明されちゃった。
「ありがてえ。これでパンチ1発分のエネルギーが補給できたぜ」
誰とも戦ってないのに、もう限界が近い発言。
だいたい、アメで頬を膨らませながら言うセリフじゃない。
「ってゆうか、ホントお腹すいた」
減量って設定を忘れるほど空腹なんだ?
「ぶっちゃけ、そう。でも、いいんだ。夕方になったら、パン屋さんが来てくれるからな。今日はがっつりパンを買う! それで仕事が終わったら、いつもの定食屋さんで思う存分喰う! 楽しみだなあ」
遠くの幻を見るような目で、兄やんはうっとりしている。
最後まで、兄やんに伝えることができなかった。
今日は日曜日だから、パン屋さんも定食屋さんも、やってない。
ボクシングの漫画を読みながら、お行儀悪く大盛り2つを平らげるクセに。
今日は、兄やんの様子が明かにおかしい。
こんなことは初めてだ。
「くっそう! 今日はふて寝する!」
会社の昼休み。
兄やんは機嫌悪く悪態をつきながら、何も食すことなく、仮眠室に向かってしまった。
どうしたのだろう。
とんかつ屋さんでご飯を3杯もおかわりしておきながら、「最近は食が細くなった」などと言っている、うちの兄やんともあろうお方が。
「実はね?」
なんか戻ってきた。
ボクシングのマンガ、続きが読みたかったんだ。
兄やんが煙草に火を点け、漫画を膝の上に置く。
「実は今朝、お弁当を注文するの、忘れてたんだ。くそが!」
お前が悪いんじゃないですか。
「もう今日はヤケだ。ここンとこ寝不足だし、一服したら寝る。ふて寝する!」
大の大人が「ふて寝する」って宣言してるの、初めて聞いたよ。
で、なんで寝不足なの?
「試合が近いと、ナーバスになるのさ」
それは漫画の話だから。
兄やん、どんな角度から見てもボクサーじゃないから。
実は夜中まですっと、ブログを改造しようとしてたんじゃん。
長いことチンプンカンプンのままで、時間だけが無駄に過ぎていっただけじゃん。
それにしても、夜まで仕事は続くから、さすがに気の毒だ。
作業が始まると、兄やんはそれこそ最終ラウンドのボクサーみたいに足にきていた。
あまりに可哀相なので、せんべいを与えてみる。
「これ、食べる?」
「今、減量中だからな、せんべいだけでいいさ」
なんかまだ夢見てる。
そんなに面白いのか、あの漫画。
「今、減量中だからな、せんべいだけでいいさ」
なんでもう1回言った?
今のセリフ、そんなに気に入った?
だいたい「せんべいだけでいいさ」ってこの人、せんべいしかないのに、何言ってんの。
もう1枚欲しいって、素直に言え。
「おお! やった!」
どうした!
「ポケットにアメが入ってた」
言ってるそばから、せんべい以外の物にも喰らいつくことが証明されちゃった。
「ありがてえ。これでパンチ1発分のエネルギーが補給できたぜ」
誰とも戦ってないのに、もう限界が近い発言。
だいたい、アメで頬を膨らませながら言うセリフじゃない。
「ってゆうか、ホントお腹すいた」
減量って設定を忘れるほど空腹なんだ?
「ぶっちゃけ、そう。でも、いいんだ。夕方になったら、パン屋さんが来てくれるからな。今日はがっつりパンを買う! それで仕事が終わったら、いつもの定食屋さんで思う存分喰う! 楽しみだなあ」
遠くの幻を見るような目で、兄やんはうっとりしている。
最後まで、兄やんに伝えることができなかった。
今日は日曜日だから、パン屋さんも定食屋さんも、やってない。
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