夢見町の史
Let’s どんまい!
2008
January 14
January 14
「このままだと危険物と同じ扱いだからね、こいつらをただの空き缶に変えてやらなきゃならない。やってみて」
めささんに押し付けられた仕事は、スプレー缶の処理だった。
先の尖ったハンマーでスプレー缶を打ち、中のガスや液体を抜くという作業だ。
「慣れないうちは力加減が難しいだろうけど、たくさんやれば技術はすぐに身につくよ」
言い残し、めささんはどっかに行ってしまった。
さり気ない丸投げだ。
僕はバケツの中に液体が溜まるよう、スプレー缶を下方に向け、ハンマーを打ちつける。
缶に穴が開いて、「ぶっしゅー!」と派手に中身が炸裂した。
人工的な色をした液体が、バケツ目がけてほとばしる。
数あるスプレー缶の全てに、これをやればいいわけか。
楽勝じゃないか。
僕は次々とスプレー缶に穴を開け、色とりどりの液体をバケツにぶっ放す。
ぶっしゅー!
いえーい。
快感だ。
「デフ君ーッ! 何やってんだ! お前は完全無欠のばかですか?」
めささんに、いきなり怒鳴られる。
「中身が色んなとこに飛び散ってるじゃん! 会社が汚れるだろ!? 気持ち良さそうに『ぶっしゅー』って、お前は動脈か!」
よく解らない比喩を放ちながら、めささんが駆け寄ってきた。
「液体は1滴たりとも、バケツからはみ出させちゃ駄目だっつーの! 貸してみ!」
僕からハンマーを奪うと、めささんはまだ中身を抜いていないスプレー缶を手にする。
「こうやるんだ。力を入れすぎず、手首のスナップをこう、ピッと利かせて」
めささんはスプレー缶を持ったまま構え、ハンマーの素振りを見せている。
「実際やるから、よく見てなよ?」
そう言ってめささんは、手馴れた雰囲気で尖ったハンマーを鋭く振るい、自分の手を強打した。
がん!
「ぐあ!」
もの凄い見本だ。
よく見ろと言うから素直に見ていたら、この男は自分の左手を自然に打った。
これをやれと言うのか、僕に。
やんわりとした自爆テロじゃないか。
めささんの指からは、当たり前だけど血が出てる。
一方、スプレー缶は無傷だ。
自分の液体を抜いてどうする。
「えへへ、どんまい」
流血しながら照れる人間を見るのは初めてだ。
「今の俺、ペナルティ1ね。もう1回」
この人、怪我したのに、なんで平然としていられるのだろうか。
不思議そうな面持ちで見守っていると、めささんの2撃目は成功だった。
缶は「しゃー」と静かな勢いで、中身を噴出している。
そんなことよりも僕は、めささんが血をポタポタ垂らしていることのほうが気にかかる。
「ってゆうか、大丈夫ですか、めささん!」
「ん? 平気。とにかく穴開けの前提はね、中身を飛び散らして周囲を汚さないことだ。以後、絶対に汚さないように!」
自分の血で周囲を汚している奴に言われたくない。
「じゃあ俺行くけど、デフ君、くれぐれも気をつけてね」
お前が気をつけろ。
めささんのせいで、会社の一角は今、殺人現場のような装丁だ。
これは間違いなく、ルミノール反応が出る。
「おーい! デフくーん!」
なんか、めささんが嬉しそうに戻ってきた。
「見て。もう血が止まったよ」
心の底からどうでもよかった。
しかし驚くべきことに、めささんは一切の治療をせず、自力で止血を完成させているではないか。
なんなんだよ、こいつは。
バンソウコウぐらい使えよ。
もちろん僕はドン引きだ。
「デフ君、ちょっと聞いてくれる?」
めささんの無駄指導は、まだ続くらしい。
「怪我をした場合、消毒は唾液で充分だと思わない? あとは傷を心臓より高い位置にキープして、呼吸を整えるんだ。そうすれば心拍数とかがどうにかなって、何故か血が止まる。人体の神秘じゃね?」
仕事を教えてください、めささん。
溜め息が出る。
これが正しいやり方だとばかりに自分の手を打ち、会社を汚すなと僕を叱ったそばから会社を血だらけにしためささん。
もっと普通の先輩がほしい。
めささんに押し付けられた仕事は、スプレー缶の処理だった。
先の尖ったハンマーでスプレー缶を打ち、中のガスや液体を抜くという作業だ。
「慣れないうちは力加減が難しいだろうけど、たくさんやれば技術はすぐに身につくよ」
言い残し、めささんはどっかに行ってしまった。
さり気ない丸投げだ。
僕はバケツの中に液体が溜まるよう、スプレー缶を下方に向け、ハンマーを打ちつける。
缶に穴が開いて、「ぶっしゅー!」と派手に中身が炸裂した。
人工的な色をした液体が、バケツ目がけてほとばしる。
数あるスプレー缶の全てに、これをやればいいわけか。
楽勝じゃないか。
僕は次々とスプレー缶に穴を開け、色とりどりの液体をバケツにぶっ放す。
ぶっしゅー!
いえーい。
快感だ。
「デフ君ーッ! 何やってんだ! お前は完全無欠のばかですか?」
めささんに、いきなり怒鳴られる。
「中身が色んなとこに飛び散ってるじゃん! 会社が汚れるだろ!? 気持ち良さそうに『ぶっしゅー』って、お前は動脈か!」
よく解らない比喩を放ちながら、めささんが駆け寄ってきた。
「液体は1滴たりとも、バケツからはみ出させちゃ駄目だっつーの! 貸してみ!」
僕からハンマーを奪うと、めささんはまだ中身を抜いていないスプレー缶を手にする。
「こうやるんだ。力を入れすぎず、手首のスナップをこう、ピッと利かせて」
めささんはスプレー缶を持ったまま構え、ハンマーの素振りを見せている。
「実際やるから、よく見てなよ?」
そう言ってめささんは、手馴れた雰囲気で尖ったハンマーを鋭く振るい、自分の手を強打した。
がん!
「ぐあ!」
もの凄い見本だ。
よく見ろと言うから素直に見ていたら、この男は自分の左手を自然に打った。
これをやれと言うのか、僕に。
やんわりとした自爆テロじゃないか。
めささんの指からは、当たり前だけど血が出てる。
一方、スプレー缶は無傷だ。
自分の液体を抜いてどうする。
「えへへ、どんまい」
流血しながら照れる人間を見るのは初めてだ。
「今の俺、ペナルティ1ね。もう1回」
この人、怪我したのに、なんで平然としていられるのだろうか。
不思議そうな面持ちで見守っていると、めささんの2撃目は成功だった。
缶は「しゃー」と静かな勢いで、中身を噴出している。
そんなことよりも僕は、めささんが血をポタポタ垂らしていることのほうが気にかかる。
「ってゆうか、大丈夫ですか、めささん!」
「ん? 平気。とにかく穴開けの前提はね、中身を飛び散らして周囲を汚さないことだ。以後、絶対に汚さないように!」
自分の血で周囲を汚している奴に言われたくない。
「じゃあ俺行くけど、デフ君、くれぐれも気をつけてね」
お前が気をつけろ。
めささんのせいで、会社の一角は今、殺人現場のような装丁だ。
これは間違いなく、ルミノール反応が出る。
「おーい! デフくーん!」
なんか、めささんが嬉しそうに戻ってきた。
「見て。もう血が止まったよ」
心の底からどうでもよかった。
しかし驚くべきことに、めささんは一切の治療をせず、自力で止血を完成させているではないか。
なんなんだよ、こいつは。
バンソウコウぐらい使えよ。
もちろん僕はドン引きだ。
「デフ君、ちょっと聞いてくれる?」
めささんの無駄指導は、まだ続くらしい。
「怪我をした場合、消毒は唾液で充分だと思わない? あとは傷を心臓より高い位置にキープして、呼吸を整えるんだ。そうすれば心拍数とかがどうにかなって、何故か血が止まる。人体の神秘じゃね?」
仕事を教えてください、めささん。
溜め息が出る。
これが正しいやり方だとばかりに自分の手を打ち、会社を汚すなと僕を叱ったそばから会社を血だらけにしためささん。
もっと普通の先輩がほしい。
PR
ハッピーバースデイ♪
1/14 SASSYさーん! 誕生日おめでとうございます!
1/14 よっちー! 誕生日おめでとう!
冬本番の最中、気持ちの暖かい特別な日。
本当に今日はおめでとう!
ますます素敵な1年になりますように。
1/14 よっちー! 誕生日おめでとう!
冬本番の最中、気持ちの暖かい特別な日。
本当に今日はおめでとう!
ますます素敵な1年になりますように。
スゴい…
回復力ですね…。
それよりも怪我までの課程がまるでコントのようで面白いです。
めささん、唾には麻酔効果はありますが消毒効果はありませんよ。
まあめささんの回復力の前では関係ないと思いますが…。
それよりも怪我までの課程がまるでコントのようで面白いです。
めささん、唾には麻酔効果はありますが消毒効果はありませんよ。
まあめささんの回復力の前では関係ないと思いますが…。
ぎゃーo(><;)(;><)o
めささん大丈夫ですか!?大丈夫なんですよね。むしろ聞いたこっちが痛いです(´□`。)
唾液には雑菌がたくさんいるから舐めちゃダメってゆわれたことがあるような…(-"-;)知らないけど(^^)
めささんの体には関係ないですね!!笑
唾液には雑菌がたくさんいるから舐めちゃダメってゆわれたことがあるような…(-"-;)知らないけど(^^)
めささんの体には関係ないですね!!笑