夢見町の史
Let’s どんまい!
December 09
そんなのこっちが訊きてえよ!
って感じのメールを頂戴してしまった。
「めささん、どうすれば女の人にモテるようになるのでしょうか?」
訊ねる相手を全力で間違えている。
でも、せっかく頂いた質問だ。
出来る限り、自分の範疇でという条件でなら、お応えしようじゃないか。
まず、女性というのは本能的に、仕事が出来る男性を好む。
ところが、仕事が出来るオーラを出すというのは大変なことで、俺クラスにもなるとまず不可能だ。
なのでここはセリフで誤魔化すより他はない。
「うちの会社、俺がいないと駄目だなあ」
前触れなく社長目線。
さらに、仕事が出来れば当然お金も持っているのが道理だ。
いかにも金持ちっぽいセリフもセットでお勧めしておく。
「この小切手に好きな金額を書き込みたまえ」
国家予算?
みたいな金額を書き込まれないよう気をつけろ。
また、わざとらしく携帯電話を片手にし、女性に聞こえるような声を出すのも手だ。
「じいや、例の株を今のうちに買い占めておいてくれ」
じいやが真に受けて野菜のカブを買い占めたとしても、気にすることはない。
女性からしてみれば、電話の相手は祖父ではなく、どっかのセバスチャンだと自動的に思ってくれるであろうからだ。
しかし、このままでは、「金の亡者かも知れない」といった疑いをかけられる可能性まで出てきてしまう。
タイミング良く、自分を犠牲にしてでも平和を願うカッコイイ姿勢を見せつける必要がある。
「俺に構うな! 俺の体ごと奴を撃ち抜くんだ!」
胸ポケットに入れてたコインで助かるから問題ない。
加えて、知性があることもアピールするべきだ。
「刑事さん、犯人が解りました! 関係者を全員、食堂に集めてください!」
その場でチクれっつうの。
そんなんだから犯人の人が自殺しちゃうのだ。
ちなみに、教養に関しては難しい単語を用いることで解決させることが出来る。
「ふはははは! 笑止!」
めちゃめちゃ笑ってるじゃん。
そうそう。
忘れてならないのは、心理学上で「吊り橋効果」と呼ばれる心理だ。
ちょっとした恐怖によるドキドキ感を恋愛における胸の高鳴りと勘違いしてしまうという、素晴らしく都合の良い現象である。
これを利用しない手はない。
ある程度、危険なシチュエーションに持ち込むのがよかろう。
「青か赤か、どっちのコードだ!?」
ただし2回に1回は死ぬので注意が必要だ。
怖がらせてばかりでは、もちろん相手への負担が大きくなる。
気の利いたジョークも織り交ぜてみよう。
「どんな危険な場所よりも、自分の才能が怖えよ」
はっきり言って腹が立つ。
しかし女の人は何気に、自信に満ち溢れた男性を好む傾向もまた、あるようだ。
時には高飛車に出ることも必要であろう。
「お前みたいなバカ、嫌いじゃないぜ?」
何様だ。
また、熱い男というのも胸に来るものがあるようだ。
熱いといえば、友情であろう。
声を張り上げ、訴えるべきだ。
「仲間のことなら、どんなに悪く言っても構わねえ。だがな、俺の悪口だけは許さねえ!」
完全無欠の嫌な奴である。
さて、長々と綴ったが、最後に最も肝心なことを伝授したいと思う。
これだけは、心して頭に入れておいてほしい。
1番大切なこと。
それは、決して俺の言うことを聞いてはならない、ということだ。
理由は、今までの読んだら解るでしょ。
そもそもなんで俺に訊くのよ。