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夢見町の史

Let’s どんまい!

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2024
April 29
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2010
March 19
 亀はどうやって交尾しているのだろうか。
 ふと想像してみると、物理的に無理なように思えてしまい、気になって仕方がなくなる。

 だいたいの動物は性交する際、雌が四つん這いになり、その背後から雄が覆いかぶさる形だ。
 なのだが亀の場合、おエッチをするときは甲羅が邪魔にならないか?
 そのときだけ甲羅を脱ぐのだろうか。
 それとも後ろ足の根元じゃなくて、別の場所に性器があるのか?
 尻尾の先とか。

 考えれば考えるほど解らなくなる。

 そのような疑問を、俺は職場のスナックで打ち明けた。
 聞いてくれたのは店の常連客の男性と、フロアレディたちだ。

 本来なら恥ずかしくて言えない単語も、生物学なので自然と口に出る。

「どう考えても甲羅が邪魔だから、バックでできないじゃないか。だから俺、亀って実は正常位ですると思うんだ。こう、甲羅と甲羅を合わせる感じで」
「雄と雌、どっちが下になるんだ?」
「わかんない。もしかしたら女性上位? あ! 水中で縦になってるのかも!」
「違うよ」

 店の女子が口を挟む。

「亀のおちんちんって、凄く長いんだよ」

 女の子がおちんちんなんて言っちゃいけません!

 俺もあまり直接的な言葉を使いたくないので、今後は男性器のことをジャクソニーと表記させていただく。

 その子が言う通り、雄亀のジャクソニーがとんでもない長さであるのなら、動物的な体位での交尾は可能だ。
 普段、亀は自分のジャクソニーを体内に収納しているので俺は見たことがない。

 これはちゃんと調べなくては。
 大事なことだ。

 携帯電話を取り出し、俺は検索を開始する。
 取り合えず、「亀」と「交尾」、2つのキーワードを入力して検索ボタンを押してみた。

「今、亀の真実が明らかに!」

 高らかに宣言をし、俺は検索結果の画面に目をやる。
 そこには想定外の結果が表示されていた。

「げえ! なんてこった!」
「どうした、めさ!」
「あのですね?」

 俺は気持ちを落ち着けて、自分が見たものをそのまま伝える。

「亀、交尾で検索したら、エッチなページしか出てこなかった」

 ジャクソニーの先端部分の名称に「亀」という文字が使われているので、そういう表記がされていたりとか、亀甲縛りがどうのこうのとか、凄いのになると「セックスじゃない。交尾だ」とかなんとか、とにかくどのサイトにも言いにくいことが色々と書かれてある。
 俺はそういうつもりで検索したのではない。
 純粋に亀の繁殖が心配なのだ。

「とにかく、亀のジャクソニーは長いんだってば」

 と、店の女の子。
 なんで君は亀の性器に詳しいのだ。
 俺なんて亀の雄と雌の判別すらできないのに。

 すると別の女子も口を開く。

「ほじくってみてジャクソニーが出るかどうかで見分けられるよ」

 ほじくるな!
 無駄に刺激して期待させるようなことをするな!
 もー、なんなのこの店。

 この日記のタイトルを「女の子は亀にやたら詳しい」などとしたら、きっと余計な誤解を招くに違いない。
 よし、そういうタイトルはやめておこう。

拍手[10回]

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2010
March 15
 最初に不思議だったのが、フロアレディであるAちゃんの発言だった。

 その日は週末で、ちょっとした予約もいただいていたので、職場のスナックは多少の混雑が予想されている。
 俺は開店準備を済ませると、Aちゃんに声をかけた。

「あとで来る予定のお客さんのテーブル、今のうちに確保しちゃおう」

 灰皿やコースターを配置することで、俺は先手を打っておきたかったのだ。

「Aちゃんが電話もらったお客さん、人数解る?」
「解るよー」
「ボトルも用意しておこう。今日来るのって、どなた?」
「内緒」
「ふへ?」

 思わず出る、2度と発音できないような変な声。
 俺はAちゃんが全力でふざけているのかと思った。
 いやしかし、酔ってるときならまだしも、シラフの彼女が仕事のことで冗談を言うとは思えない。

「内緒ってゆうか、どうせあとで来るんだから教えてくれたっていいじゃないか」
「うん。でも内緒なの」
「意味わかんない」

 そこで推理開始だ。
 Aちゃんには、俺に予約客の正体を明かせない理由がきっとある。
 Aちゃん個人の事情か?
 いや、それはない。
 だって、どうせあとで来る人なんだから、結果的には俺に知られてしまうじゃないか。

 ということは俺、つまり「めさ」に知られたくないということか?
 俺にとって意外な人が大勢で来てくれる?
 俺に対するサプライズということならAちゃんの言葉に不自然さはないけれど、でも誰が来るというんだ?

 そうこう考え事をしているうちに、店内にはちらほらと常連客の姿が目立ち始める。

 間もなくすると、俺の友人も1人で飲みに来てくれた。
 年下の彼は、申し訳なさそうに俺を呼ぶ。

「めささん、ホント悪いんだけどさ、俺タバコ買い忘れちゃってて」
「ああ、いいよー。俺が買ってくるよ。お前はお客さんなんだから飲んでてください」

 タバコ代を預かり、店を出る。
 このときのお客さんはまだカウンター席だけに納まっていて、テーブル席には誰も座っていない。
 しかし戻ってくると、結構な数の若者がテーブル席を占拠しているではないか。

 戻る店を間違えた!?

 このときの俺は間違いなく、見慣れたはずの職場を2度見していた。
 タバコの買出しにかかる時間なんてせいぜい3分ぐらいだ。
 その間に、この人数がすっかり席に着いて、しかも全員が既にグラスを手にしている。

 うちの店、こんな迅速な対応できましたっけ?

 事態が把握できず、心の声が敬語になる。

 俺にお遣いを頼んできた友人がテーブル席に移動しているのは何故ですか?

 ああ、こいつの仕業か!

 しかもよく見ると、湧くかのように現れた一団はほとんど俺の読者様や友達じゃないか!

 どうやら友人が考案した俺へのサプライズは、「みんなでめささんを急に訪ねて驚かせよう」といった内容らしい。

「はいよ、めさ」

 フロアレディの1人が俺の分のグラスを手渡してくれる。
 礼を言い、俺はテーブル席に向かう。

「みんな、久しぶりだね」

 しかし誰もが俺に気づかないかのように、輪になって楽しそうに喋っている。

「ねえねえ、今日は一体何の集まりなの?」

 再度声をかけると、

「いえーい! かんぱーい!」

 友人たちは俺抜きでとても綺麗な乾杯をし、満足そうに酒を飲み始める。
 どういった嫌がらせなのだろうか。

「ねえってば! ねえねえ! 誰か俺の存在に気づいて! 実は何か? 自分でも気づかぬうちに死んじゃってて、今の俺は実は幽霊なのか? ねえってばー」 

 ところが誰1人として俺に視線を合わせる者はない。

 これはあとになってから聞いた話だが、彼らはわざと俺を無視し、その反応を楽しもうと計画していたらしい。

 俺は俺で、これが一体誰に対するサプライズなのか解らなくなり、用もないのに同じ場所を行ったり来たりしていた。
 グラス片手にただおろおろするばかりだ。

 あまりにも自分の居場所がないので、俺はそそくさとカウンターに戻る。
 するとフロアレディの子が珍しく優しそうな微笑みをこちらに向けた。

「あんたへのサプライズなんだから、早く席に着いてあげな」

 その席が無いんですけど。

 テーブル席では誰からも歓迎されず、カウンターでは「あっちに行け」と言われる。
 板挟みもいいところだ。

 だいたい今日は一体何の集まりなのだ。
 誰か死んだのか?
 むしろやっぱり俺への弔い的な?
 今日は3月。
 何の記念日でもねえ。

 するとタイミングの良いメールが届く。
 ケータイを開くと、今日お休みをしているはずの、ボスのK美ちゃんだ。

「サプライズどう? 楽しんでね!」

 楽しみ方が解らない場合はどうすれば?
 ってゆうか、このサプライズはやっぱり俺がターゲットだったのか。
 そういう感じには少しも思えないんだけれども。

 結局、若者たちの輪に強引に入って改めて乾杯をさせてもらうのに、ちょっとした時間がかかった。

 それにしても、みんな元気そうで良かった。

 仲良くカラオケを唄っている友人たちを見て、そこは素直に思っておいた。

 曲が終わり、拍手を送る。
 すると彼らは何故か俺に注目しているではないか。
 どっかで聞いたことがあるフレーズを、皆から連発される。

「めっさゲーム! めっさゲーム!」

 説明しよう。
 めさゲームとは、誰が何をどう唄っても、罰ゲームである酒の一気飲みをするのは絶対に俺になってしまうという、ゲーム性の全くないゲームだ。
 これを楽しいと感じる奴はだいたいが、俺以外の人だ。

「どちきしょう!」

 俺はグラスを手に立ち上がる。

「俺の死に様を見せてやる!」

 酒をガブガブ飲んで俺は再び叫び声を上げた。

「こんな理不尽な目に遭うとは思っていませんでした!」

 ったく、お前達、俺にだって心と肝臓があるのだ。
 いい加減にしたまえ。
 ぜってーまた来いよ。
 ばかちん!

拍手[28回]

2010
March 02

 めささんがあたしの試合を見に来てくれて、その際に知らないプロレスファンに捕まってしまったことは、先日の彼に日記にあった通りだ。
 出来れば試合内容についても触れてほしかったけど、まあいいだろう。

「それにしても、めささんってさ、よく知らない人に声かけられるよね」

 彼は深夜に突然知らない人に家を訪ねられたばっかりだし、あたしは率直にそう思う。

「なんかそういう変なオーラ出てるんじゃない?」
「いやね? 実は俺ね?」

 めささんは、あたしの試合には間に合ったけれど、最初の試合から観戦していたわけではなかった。
 道に迷って遅れてしまったのだ。

「俺、迷子になってるときもさあ、中国人の人に捕まっちゃって、それでさらに遅くなっちゃったんだよねえ」

 新宿の街で何すれば中国人に捕まることができるのだろうか。

 スナック「スマイル」のお客さんたちも驚きの表情だ。

「どんな理由で中国人に!?」
「それがですね?」

 めささんが道端で携帯電話を開いて地図を呼び出し、それを色んな角度で眺めながら困っていると、いきなり見知らぬ男性に何事かを言われたらしい。

「その言葉が中国語っぽかったし、顔もなんか肉まん好きそうに見えたし、あとカンフー上手そうだったから中国人だと思ったんだけどね? その人、俺に一生懸命に自分のケータイを見せて何か言ってんですよ」

 めささんは急いでいたので「わかんない」と何度かは言ったけど、冷たくあしらったりはしなかったらしい。

「もし困ってる人だったら、冷たくしたら可哀想じゃん。それにしても言葉が通じなくて困った」

 困ってる人に困らされてどうする。

「俺、めっちゃ急いでたんだけどさ、ちゃちゃっと彼の言いたいことを理解してあげることにしたんだ。彼の態度が申し訳なさそうな感じじゃなくて、なんか普通ってゆうか、堂々としてたんだけど、向こうの人は困ったときは態度に出さずに助けてもらうなんて風習があるのかも知れない」

 なにその想像力。

「でね? その人のケータイ、090から始まる電話番号が表示されてんの。ジェスチャーからして『君の電話機でこの番号をプッシュしてくれ』ってことらしい」

 それで、その番号にかけてあげちゃったの!?

「ううん、かけてないよ?」

 ああ、ならいいんだけど。

「番号はプッシュしたんだけど、どうせかけたって通話相手に日本語、たぶん通じないでしょ? だから俺の電話を中国人の人に貸してあげた」

 マジで!?

「マジで。その人、5分ぐらい俺の電話使って喋ってたよ~。俺、急いでんのにさあ」

 なんで電話貸すの!?

「今の俺ぐらい、めっちゃ流暢な中国語で喋っていたアル」

 オメーのそれは日本語だよ!
 なんで電話、知らない奴に貸すんだよ!

「遅刻気味で急いでるときの5分って、ホント長く感じるよねえ。俺、焦っちゃったよ」
 いいから質問に答えろ!
 なんで電話貸すの!
 国際電話とか、とんでもない通話料かかるかも知れないじゃん!

「大丈夫! ケータイの番号だった!」

 そのケータイが海外にあったらどうすんの!

「なるほどね!」

 喜ぶな!
 めささんしかも、通話の内容、わかんないんでしょ!?
「今かけてるこの番号で登録しておいて」みたいなこと話してたら大変だよ!?

「おおー! その手があったか!」

 オメーのさっきの変な想像力、どうしてこっち方向には使わねえんだよ!

「でも困った人かも知れないよ?」

 困った奴はお前だよ!
 横浜生まれのクセになんで田舎者!?

「じゃあさじゃあさ、もし来月にとんでもない請求が来たらさあ」

 来たら?

「みんなに教えてあげる」

 あ、それは教えてほしい。

 来月、めささんの請求書が楽しみだ。
 

拍手[38回]

2010
March 01

 店のお客さんから無料でチケットを譲ってもらったことが、俺にとって良い機会となった。
 女子プロレスラーである豊田真奈美さんの試合を生で拝見させていただいた。

 試合はどれも本当に面白く、笑える演出あり、流血あり、迫力ありで、真奈美さんが時間切れで引き分けてしまったことが残念だけれども、気持ちがすこぶる充実する。

 リング上の真奈美さんは当たり前だけど恰好良い。
 よくぞこんな大物がうちのスナックを手伝ってくれているものである。

 俺は喫煙所で煙草を吸い、余韻に浸る。
 貼られているプロレスのポスターを眺めていると、ふと知らない人に声をかけられた。

「今、何時ですか?」

 俺は男性に腕時計を見せながら、今の時間を口にする。
 彼は俺よりも年上で、おそらく40代だろうか。
「まだ選手が帰らない。時間がかかるなあ」などとつぶやいている。

 喫煙所の壁は透明なアクリル板で、その向こうにはファンにサインをし、一緒に写真を撮っている真奈美さんが望める。
 もちろん、他のレスラーもファンサービスに余念がない。
 この男性は、そんな選手の誰かを好いていて、お目当てのレスラーが手隙になるのを待っているのだろうか。
 時間潰しのために話し相手が欲しかったのかも知らない。
 彼が、俺にはよく解らないことを言い出した。

 どこそこの団体はわけの解らない選手が多いとか、何とか。
 わけが解らないのはあなたですとも言えず、俺はただただ「へえ、そうなんですか」と適当に相槌を打つ。

 男性はかなりプロレスに熱を上げている方のようで、言ってることがさっぱりだ。
 一応「実は僕、女子プロ見るようになったの最近なんで、まるで知識がないんですよね」と断りを入れてはおいたけど、彼の熱弁は留まることを知らない。

 やがてはある女子プロレスラーのことを軽く見るような発言が出た。
 その選手というのが、さっき真奈美さんが対戦した相手だ。

「もしかして」

 俺は目を丸くして訊く。

「豊田選手のファンなんですか?」
「うん、そう」
「へえ。僕も今日、豊田選手を応援しに来たんですよ」
「え!?」

 今度は男性が目を見開く。

「他の美形レスラーよりも豊田真奈美を応援しに?」
「ええ、ファンなんで」
「へえ!」

 思いの他、喰らい付いていらっしゃった。
 これは下手に「真奈美さんとは直接の知人ですよ」とか「一緒に働いてますよ」とか「正月にパチンコで負けてうちに遊びに来ました」とか、余計なことは言わないほうが良さそうだ。
 俺と真奈美さんが通じていることを知られれば、きっと「今すぐ紹介してくれ」みたいな流れになってしまい、ややこしい話になってしまうだろう。

 俺は真奈美さんと無関係であるように振る舞った。
 煙草は吸い終わってしまったので、真奈美さんに挨拶をしてから帰るつもりだったが、予定変更だ。
 まずは彼からどうにかして離れなくては。
 さて、でもどうやって?

 男性は相変わらずお喋りを続けていて、終わりそうもない。
「何がきっかけで豊田真奈美のファンになったんですか?」などと訊かれたら、俺は咄嗟に適当な嘘をつけるだろうか?
 難しい。
 早く彼から離れなくては。
 俺と真奈美さんが知り合いであることがバレる前に、トイレにでも行くか?

 と思った矢先、真奈美さんがアクリル板の向こうから真っ直ぐに俺を見て、コンコンと壁をノックした。
 どうしてそのタイミングで?

 真奈美さんは手を招いて「こっちに来い」と催促をする。

 確かに俺は男性から逃れようとしていたけれど、もっとこう自然なシチュエーションで喫煙所から出たかったのに。

「試合どうだった? 楽しめた?」
「最高に面白かった!」

 実は今の状況も相当面白いことになっているけどな。

 横目で確認をすると、さっきの男性が俺の顔をめちゃめちゃ直視していらっしゃる。
 俺は忍者のように、素早く建物から出ることに決めた。

 まさか試合のあとに緊張させられるとは思わなかった。

拍手[23回]

2010
February 08

 できれば毎日通いたいと常に思っている中華料理屋さんに、久々に足を踏み入れる。
 ここは安くて美味しいし、友人たちの溜まり場みたいにもなっているのだけれど、自宅からは少し離れているのでなかなか普段から訪れることができないでいた。

「あ、めさ君、いらっしゃーい!」
「いやあ、ご無沙汰しちゃってすみません」
「あれ? 今日、カッコイイじゃん」

 言われてみれば俺は今、スーツの上にロングコートを羽織っている。
 いつもここに来るときは私服なので、店側からすれば新鮮なのだろう。

 俺は今、夜はスナックに勤めているけれど、友人に声をかけてもらったことがきっかけで、日中は営業の仕事をしている。
 そのようなことを俺は手短に説明すると、女将さんは目を丸くした。

「営業って、何の?」

 本当はオール電化や太陽光発電の営業なんだけど、それを今言ったら「設置料や工事費がかかるって印象だけどそんなことはない」だとか「ガス代が無くなる上に電気料金まで安くなるの。なんでかというとね?」などと、仕事をしてしまいそうだ。
 やたら自分のところで扱っている商材を勧めてしまっては、煙ったがられるだけだろう。
 お客さんたちも食事をしていらっしゃることだし、ここは誤魔化すことにする。

「幸運の壷を売っています」
「あ、そういうの知ってる!」

 カウンターでご飯をたべていたおばちゃんが、何故か喰いついてきた。

「なんかまえ、幸福を招く水晶っての勧められたことがある!」
「いやあ、それは買わなくて正解ですよ」

 俺はわざとらしく、顔をしかめて見せた。

 そういう業者さんは胡散臭いですよ。
 まず効果は期待できませんね。
 それに比べてうちの壷なんですが、これから来る全ての不幸を吸収してくれますんで効果は絶大ですよ。
 通常だったら200万するんですけれど、まあ未来のことを考えれば全然安いほうですけれどね?
 せっかくの出会いなんですし、特別に180万で提供して差し上げますよ。
 よかったですね。

「あはははは!」

 よかった、冗談を冗談だと思ってもらえて。
 どっかの適当な壷を無駄に売りつけてしまうところだった。

 というか、結局何かをお勧めするのなら、最初から本当のことを言えばよかったんじゃないのか俺は。
 なんか損した気分だ。

拍手[30回]

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プロフィール
HN:
めさ
年齢:
48
性別:
男性
誕生日:
1976/01/11
職業:
悪魔
趣味:
アウトドア、料理、格闘技、文章作成、旅行。
自己紹介:
 画像は、自室の天井に設置されたコタツだ。
 友人よ。
 なんで人の留守中に忍び込んで、コタツの熱くなる部分だけを天井に設置して帰るの?

 俺様は悪魔だ。
 ニコニコ動画などに色んな動画を上げてるぜ。

 基本的に、日記のコメントやメールのお返事はできぬ。
 ざまを見よ!
 本当にごめんなさい。
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 必要なものがあったら遠慮なく気軽に、どこにでも貼ってやって人類を堕落させるといい。
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