夢見町の史
Let’s どんまい!
September 27
今、俺の中でトライアングルが熱い!
皆さんもご存知の、正三角形のアレだ。
叩けば「チーン」と、どこか人を小ばかにしたような音を出す、あの鉄製の打楽器である。
友人チーフと部屋飲みをしていて、ふと気になってしまった。
「ねえ、チーフ。どんな簡単そうなことでも、極めちゃえば凄いことになるんじゃないかな?」
例えば、トライアングルとか。
思い立ったと同時に、俺はネットで動画を検索していた。
そこで俺が見たものは。
「すげえ!」
スピーディーなリズムで打ち鳴らされる、心地よい金属音が俺をノックアウトした。
三角形の外側を連打したり、内側を撫でるようにして叩いたり。
左手はトライアングルを掴んでいて、握る力を緩めたり強めたりすることで、音の響き方を調節している。
こんなにカッコイイ楽器だったのか、トライアングルって!
今までナメてました。
ごめんなさい。
「俺、トライアングル買うわ」
少年のように目を輝かせると、チーフも身を乗り出した。
「だったら俺はオカリナを買う」
なんでオカリナをチョイスしたのかは解らないが、チーフもマジだった。
「簡単そうな楽器だけで、めちゃめちゃ凄い演奏をしたらカッコイイんじゃないか?」
酒の席特有の悪ノリではなかった。
翌日、シラフの状態でチーフが電話をくれた。
「めさ、お前、マジでトライアングル買えよ?」
「当たり前じゃん!」
こうして、大の大人たちによる、無益な企画が立ち上がった。
ピアニカをやると言い出して聞かない、仕事仲間のHちゃん。
その彼氏のSさんは、カスタネットを叩きたいという。
「ねえチーフ」
またまた俺の部屋で飲みながら、チーフと語り合う。
「メンバーが着実に集まってきてるよね」
「そうだなあ」
「チーム名、なんか考えてる?」
「いや、別に」
「今ふと思ったんだけど、男子十二楽坊なんてどう?」
「それいいな! 誰も興味を示さなさそうだ」
「でもチーフ、Hちゃん、女の子だ」
「じゃあ、男子十二楽坊、ウィズ、H」
「いきなりウィズかよ」
また、女友達のIちゃんは、マラカスをやりたいと本気モードだ。
もはや男子とか関係ない。
最終的には男女六楽坊あたりに落ち着きそうである。
そして、メンバーが増えれば意見も増える。
「小太鼓も取り入れようよ」
「そんなちゃんとした楽器に用はない」
「待てよ! トライアングルもオカリナも、ちゃんとした楽器だから!」
「問題はいかにチープな感じにまとめるか、でしょ? 小太鼓は他の楽器と比べて、しっかりとした印象を持たれかねない。園児でも扱えそうな楽器だけでやろうよ」
「そうそう。木魚とかな」
「木魚は楽器じゃねえ」
「でもさあ、小太鼓がいたら、助かると思うんだけどなあ」
「でんでん太鼓だったらアリだけど、小太鼓はなし!」
なかなかの白熱っぷりだ。
俺としてはソプラノリコーダーを誰かにやってもらいたいと思っている。
しかしチーフのオカリナと音がカブりそうでもある。
そこで俺は彼に提案をした。
「あのさ、チーフ。大きめのオカリナだったら低音が出るじゃん? そうすれば音域が広がるし、リコーダーとも重ならないと思うんだ。だからチーフは、低音のオカリナを買いなよ」
するとチーフは、返事をしなかった。
どうしても主旋律をやりたいらしい。
そういえば、以前ある女性が、今回の企画と無関係のところで「テルミンをやってみたい」と言い出したことを思い出す。
「チーフ! そういえばSさんがね? テルミンやりたいって言ってたんだよ。彼女もスカウトしようぜ!」
「テルミンって何?」
「知らない? なんか鉄の棒が縦に伸びてて、それに手を近づけると勝手に音が鳴るんだ。手を近づける距離を調節することで、メロディを奏でるの。音が鳴る原理は解らないけど、たぶん電子の力だね」
「採用!」
トライアングル、オカリナ、カスタネット、ピアニカ、マラカス、そしてテルミン。
いよいよ不思議な大人たちである。
「チーフ! また閃いた!」
もはや彼をチーフではなく楽長と呼びたくなっている俺がいる。
「こうなったら、犬笛も取り入れようぜ!」
「犬笛? なんだそれ?」
「犬にしか聞こえない笛」
俺たちの音楽は人間界だけに留まらない。
犬笛の採用も決定した。
犬笛の担当者はまだ決まっていないが、演奏時はめちゃめちゃ縦ノリで動き回っていただこうと思っている。
犬笛ソロも用意するので、長めに演奏してもらいたい。
自然と、将来のビジョンが浮かび上がる。
犬笛担当者が、神妙な面持ちになって、俺たちに相談を持ちかけるのだ。
「実は、俺さ、プロ入りが決まっちゃったんだ」
どこを拾われたのだ。
「だから俺、もうみんなと一緒に演奏することが…」
最初から演奏できてない。
それでも俺は目に涙を溜めるだろう。
「そ、そう!? よ、よかったじゃん! 俺らのことなんて気にするなよ! CD出たら、絶対買うからよ! なあ、みんな!」
買ったところで聞き取れない。
また、いつかライブなんてやってみたい。
渋滞か何かで、犬笛の人だけが会場に来られなくなったりしたら…。
「犬笛の奴、来られないみたいだ。今回のライブは中止にしよう」
犬笛、意外にキーマンなのか?
実に夢が膨らむ。
俺もトライアングル、頑張らなくちゃ。
トライアングルを投げ、空中でUターンして戻ってくるようにできたら最高だ。
いや投げちゃ駄目だ。
普通に技を磨こう。
今、俺の中でトライアングルが熱い!
皆さんの地域も、もう秋らしくなっているんでしょうね。
日記にもあるように、今年は俺的には音楽の秋。
早速、明日にでもトライアングルを買いに行く予定ですよ。
さて。
いつもここを書くときは、自然とラジオ放送を思い浮かべちゃうんですよね。
ハッピーバースデイのコーナーです。
いつも当日にお祝いできなくって、本当にごめんなさい。
改めて、祝福させていただきますね。
9/25 蓮美さん、誕生日おめでとうございます!
9/25 東子さん、誕生日おめでとうございます!
9/25 えいのさん、誕生日おめでとうございます!
9/26 みいこさん、誕生日おめでとうございます!
皆さんの親御さんにとっても、おめでとうの日なんですね。
誕生日は決して1人を祝うだけのものではなく、皆で喜ぶ日でもあるのでしょう。
幸せな誕生日を、これから何年も何十年も何百年も迎えられますように。
皆さん、お誕生日、本当におめでとうございます!
皆寝静まり、私はまるで犬のように鼻を鳴らすかんじでふすふす笑いを堪えながら読んでて今涙目です。
めささん、やっぱりタダモンじゃない!
素晴らしい方ですねー☆☆
トライアングル…フフフ頑張って下さい!