夢見町の史
Let’s どんまい!
2009
August 26
August 26
「ジンー、俺さ、凄えヌンチャクが上手くなったんだぜ!」
高2の秋、悪友が俺にそんなことを言い出した。
どうやら、めさは空手部の文化祭で披露するヌンチャクの練習していたらしい。
厳密に言うと、空手は「空の手」。
つまり素手が前提の武道であって、ヌンチャクは確か少林寺拳法の道具だったと思ったんだが、細かいことは置いておくか。
めさはどこか嬉しそうだ。
「ちょっと俺の上達ぶり、見てくんない?」
「ああ、別に構わないけど」
応じるとめさは、俺を空手部の部室に呼び込むとヌンチャクを手にした。
こんなに狭い部屋でヌンチャクなんかを振り回し、果たして俺に危険はないのだろうか?
いや、こいつのことだ。
相当自信があるに違いない。
「念の為、ちょっと離れてて」
俺はめさの進言通り、死にたくないので距離を取った。
「じゃ、いくぜ」
めさはヌンチャクを振りかざす。
凄まじいスピードだ!
風切り音がここまで聞こえる!
トメのヌンチャクの腕もかなりなものだが、こいつまで短期間でそんなレベルに達しやがったか!
普通の友達が欲しい。
正直、めさのヌンチャクは早過ぎて、俺の動体視力ではよく見えなかった。
だから俺は、偉いスピードでこちらに飛来してくるヌンチャクにも反応ができなかった。
擬音だけで表すなら、こんな感じだ。
ズガンッ!
ゴトン、カラカラカラン。
殺す気か!
めさが手を滑らせて放ったヌンチャクは、俺の顔面をかすめて右耳の後ろの壁を少し凹ませた。
「お! 悪ィ悪ィ!」
めさは何気なしに落としたヌンチャクを拾い、事もあろうか続きを振り回し始める。
めさは「悪ィ」以外の謝罪の言葉を言わなかった。
「うおおい!」
俺は叫んで立ち上がる。
「俺があと5センチ右に座ってたら、お前どうするつもりだよ! 危ねえだろ!」
「おう! 当たらなくて良かったな!」
「そうじゃなくて…! ったくこのクソガキ! もし当たっちゃったらどうすんだ! って聞いてんだよ!」
「もっと謝る」
こいつ最悪だ!
お前がそのつもりなら、こっちにだって考えがある。
家には確か下剤があったな。
ふふ。
明日が楽しみだ。
「めさの邪悪な決意」に続く。
高2の秋、悪友が俺にそんなことを言い出した。
どうやら、めさは空手部の文化祭で披露するヌンチャクの練習していたらしい。
厳密に言うと、空手は「空の手」。
つまり素手が前提の武道であって、ヌンチャクは確か少林寺拳法の道具だったと思ったんだが、細かいことは置いておくか。
めさはどこか嬉しそうだ。
「ちょっと俺の上達ぶり、見てくんない?」
「ああ、別に構わないけど」
応じるとめさは、俺を空手部の部室に呼び込むとヌンチャクを手にした。
こんなに狭い部屋でヌンチャクなんかを振り回し、果たして俺に危険はないのだろうか?
いや、こいつのことだ。
相当自信があるに違いない。
「念の為、ちょっと離れてて」
俺はめさの進言通り、死にたくないので距離を取った。
「じゃ、いくぜ」
めさはヌンチャクを振りかざす。
凄まじいスピードだ!
風切り音がここまで聞こえる!
トメのヌンチャクの腕もかなりなものだが、こいつまで短期間でそんなレベルに達しやがったか!
普通の友達が欲しい。
正直、めさのヌンチャクは早過ぎて、俺の動体視力ではよく見えなかった。
だから俺は、偉いスピードでこちらに飛来してくるヌンチャクにも反応ができなかった。
擬音だけで表すなら、こんな感じだ。
ズガンッ!
ゴトン、カラカラカラン。
殺す気か!
めさが手を滑らせて放ったヌンチャクは、俺の顔面をかすめて右耳の後ろの壁を少し凹ませた。
「お! 悪ィ悪ィ!」
めさは何気なしに落としたヌンチャクを拾い、事もあろうか続きを振り回し始める。
めさは「悪ィ」以外の謝罪の言葉を言わなかった。
「うおおい!」
俺は叫んで立ち上がる。
「俺があと5センチ右に座ってたら、お前どうするつもりだよ! 危ねえだろ!」
「おう! 当たらなくて良かったな!」
「そうじゃなくて…! ったくこのクソガキ! もし当たっちゃったらどうすんだ! って聞いてんだよ!」
「もっと謝る」
こいつ最悪だ!
お前がそのつもりなら、こっちにだって考えがある。
家には確か下剤があったな。
ふふ。
明日が楽しみだ。
「めさの邪悪な決意」に続く。
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