夢見町の史
Let’s どんまい!
2009
August 26
August 26
今回のキーワードは「座禅」です。
みなさんは経験ありますでしょうか?
あのあぐらの変形みたいな難解な座り方です。
お寺でよくお坊さんがやっているアレですね。
空手道部顧問の先生には夏合宿のときに「心を無にしろ」と意味の解らないことを言われました。
「心を無にする」だなんて今の俺にもできないようなことを、高校時代の俺にできるわけがありません。
おそらく他の部員達にとっても似たような心境だったことでしょう。
顧問のK先生だってお寺の和尚さんじゃないんだから、「心の乱れ」なんて見抜けないはずです。
にも関わらずK先生はスリッパ片手に暗い部屋の中をうろうろしていました。
姿勢が悪くなってくる部員の背を叩く役目なのです。
合宿時、座禅のために割り振られた時間は30分。
その間に姿勢の崩れない奴なんていませんでしたから、皆スリッパで背中を叩かれます。
不意に「パァーン!!」とでかい音が響くので、俺や他の部員はビックリして悲鳴を上げそうになっておりました。
しかし30分もの間、暗くした部屋にただ座って目を閉じているのは正直言って暇です。
そこで妄想開始。
当時は少年ジャンプで「ドラゴンボール」がまだ連載中で、俺は「サイヤ人がスーパーサイヤ人に変身すると金髪になるけど、ただの角刈りになっちゃたらカッコ悪いであろう」などと勝手に想像をし、笑いをこらえるためにプルプルと震え、先生にスリッパで叩かれました。
座禅終了後、俺は同期の悪友と話が盛り上がります。
「座禅の最中よ、笑いこらえンの大変じゃねえ?」
「おう。参っちゃうぜ~。サイヤ人を散髪したトコを想像してたらよ~、たまらず吹き出しそうになって、先生にスリッパで叩かれたよ~」
悪友までドラゴンボールの変な想像に励んでいたことが発覚。
この頃の俺たちにとって座禅とは、笑ってはいけないスリルを楽しむ場であったのです。
ところが卒業後になると立場は一転。
今度は俺たちOBが後輩たちを指導する「監督」という立場で合宿に参加するのです。
ある夏の合宿ではみんな暇だったのか俺も含め、かなりの卒業生が集結しました。
夜は例年通り、座禅タイムです。
今度は俺たちがスリッパ係。
誰かがプルプルしていたら、俺は目ざとく発見するぜ!
座禅の最中は部屋の明かりを全て消しています。
知らない人が窓の外からその光景を見ると、かなりの恐怖であるに違いありません。
ふと目がいった暗い部屋の中にはたくさんの人間が無言で座り、その内4、5人がどういうわけかスリッパ片手に無言のまま行ったり来たりしているんですから。
座禅の最中、外からの悲鳴が聞こえました。
「うわッ! 何かいる!」
「きゃあ!」
「おわ! 人か!?」
「ビックリしたあ、人間だよ人間」
「何かいる!」とか「人間だよ人間」などとコメントされたのは後にも先にもこのときだけです。
俺たち、勝手にビビられてる!
絶対に「こんな多人数で部屋に閉じこもり、電気まで消して何をしているの!? どうして無言なの!?」って思われてる!
恥ずかしい!
そして笑いたくてたまらん!
どうやらスリッパ係になっても座禅の間は笑いに耐えなくてはならないようです。
そんな中、卒業生の1人が後輩に聞こえないぐらいの小声で俺に声をかけてきます。
「めさ! ちょっと来て!」
「どうした?」
「Tの目が開いてる!」
「マジで!?」
おそるおそる後輩Tの顔を覗き込むと、俺はTとバッチリ目が合ってしまったので、フルスウィングでTをスリッパで引っ叩きました。
笑わすな!
それにしても、いつもと違ってスリッパ係が多い今、1人が不穏な動きを取ると、卒業生たちは飢えたピラニアの如くその後輩に襲いかかります。
以下、その時の効果音をどうぞ。
ピクッ!(←姿勢の悪い後輩に気付く卒業生たち)
スタタタタ!(←一斉に走り出す卒業生たち)
スパパパァン!(←気の毒なほど、後輩を皆で叩く卒業生たち)
パァン!(←遅れて来た卒業生のトドメの1発)
この後、後輩に言われました。
「先輩、酷いっすよ~。なんとか笑いをこらえてんのに、先輩たちの笑い声が耳に入っちゃって大変でしたよ~」
俺は、「うるせえ! 座禅の時は目を閉じとけ!」と逆ギレしておきました。
心を無にできるのはいつになることやら。
みなさんは経験ありますでしょうか?
あのあぐらの変形みたいな難解な座り方です。
お寺でよくお坊さんがやっているアレですね。
空手道部顧問の先生には夏合宿のときに「心を無にしろ」と意味の解らないことを言われました。
「心を無にする」だなんて今の俺にもできないようなことを、高校時代の俺にできるわけがありません。
おそらく他の部員達にとっても似たような心境だったことでしょう。
顧問のK先生だってお寺の和尚さんじゃないんだから、「心の乱れ」なんて見抜けないはずです。
にも関わらずK先生はスリッパ片手に暗い部屋の中をうろうろしていました。
姿勢が悪くなってくる部員の背を叩く役目なのです。
合宿時、座禅のために割り振られた時間は30分。
その間に姿勢の崩れない奴なんていませんでしたから、皆スリッパで背中を叩かれます。
不意に「パァーン!!」とでかい音が響くので、俺や他の部員はビックリして悲鳴を上げそうになっておりました。
しかし30分もの間、暗くした部屋にただ座って目を閉じているのは正直言って暇です。
そこで妄想開始。
当時は少年ジャンプで「ドラゴンボール」がまだ連載中で、俺は「サイヤ人がスーパーサイヤ人に変身すると金髪になるけど、ただの角刈りになっちゃたらカッコ悪いであろう」などと勝手に想像をし、笑いをこらえるためにプルプルと震え、先生にスリッパで叩かれました。
座禅終了後、俺は同期の悪友と話が盛り上がります。
「座禅の最中よ、笑いこらえンの大変じゃねえ?」
「おう。参っちゃうぜ~。サイヤ人を散髪したトコを想像してたらよ~、たまらず吹き出しそうになって、先生にスリッパで叩かれたよ~」
悪友までドラゴンボールの変な想像に励んでいたことが発覚。
この頃の俺たちにとって座禅とは、笑ってはいけないスリルを楽しむ場であったのです。
ところが卒業後になると立場は一転。
今度は俺たちOBが後輩たちを指導する「監督」という立場で合宿に参加するのです。
ある夏の合宿ではみんな暇だったのか俺も含め、かなりの卒業生が集結しました。
夜は例年通り、座禅タイムです。
今度は俺たちがスリッパ係。
誰かがプルプルしていたら、俺は目ざとく発見するぜ!
座禅の最中は部屋の明かりを全て消しています。
知らない人が窓の外からその光景を見ると、かなりの恐怖であるに違いありません。
ふと目がいった暗い部屋の中にはたくさんの人間が無言で座り、その内4、5人がどういうわけかスリッパ片手に無言のまま行ったり来たりしているんですから。
座禅の最中、外からの悲鳴が聞こえました。
「うわッ! 何かいる!」
「きゃあ!」
「おわ! 人か!?」
「ビックリしたあ、人間だよ人間」
「何かいる!」とか「人間だよ人間」などとコメントされたのは後にも先にもこのときだけです。
俺たち、勝手にビビられてる!
絶対に「こんな多人数で部屋に閉じこもり、電気まで消して何をしているの!? どうして無言なの!?」って思われてる!
恥ずかしい!
そして笑いたくてたまらん!
どうやらスリッパ係になっても座禅の間は笑いに耐えなくてはならないようです。
そんな中、卒業生の1人が後輩に聞こえないぐらいの小声で俺に声をかけてきます。
「めさ! ちょっと来て!」
「どうした?」
「Tの目が開いてる!」
「マジで!?」
おそるおそる後輩Tの顔を覗き込むと、俺はTとバッチリ目が合ってしまったので、フルスウィングでTをスリッパで引っ叩きました。
笑わすな!
それにしても、いつもと違ってスリッパ係が多い今、1人が不穏な動きを取ると、卒業生たちは飢えたピラニアの如くその後輩に襲いかかります。
以下、その時の効果音をどうぞ。
ピクッ!(←姿勢の悪い後輩に気付く卒業生たち)
スタタタタ!(←一斉に走り出す卒業生たち)
スパパパァン!(←気の毒なほど、後輩を皆で叩く卒業生たち)
パァン!(←遅れて来た卒業生のトドメの1発)
この後、後輩に言われました。
「先輩、酷いっすよ~。なんとか笑いをこらえてんのに、先輩たちの笑い声が耳に入っちゃって大変でしたよ~」
俺は、「うるせえ! 座禅の時は目を閉じとけ!」と逆ギレしておきました。
心を無にできるのはいつになることやら。
PR