夢見町の史
Let’s どんまい!
2009
August 26
August 26
ある秋のこと、高校2年生になるめさは空手の早朝練習を終え、教室に向かっていた。
トメの野郎、昨日も練習サボった挙げ句、今日の朝練までバックレやがった。
そのようなことを考えつつ、めさは下駄箱に向かう。
前日、めさはトメの靴の裏に接着剤を塗り、その靴を下駄箱の中に固定して帰っていた。
まずはトメの下駄箱を開けて中を確認する。
悪友の靴がまだそこにあるのか、それとも見事に回収されてしまったのかが気になったのだ。
下駄箱の中には、靴底だけがベットリと貼り付けられていた。
「ふははははは! あの馬鹿力め! 靴を無理矢理剥がそうとして失敗してやんの! スッキリしたわ!」
めさは自分の仕事に満足していた。
続いて、めさは自分の下駄箱にも目をやる。
「なに!?」
思わず声が出る。
めさの下駄箱には南京錠がかかっていた。
もちろん、鍵はどこにも見当たらない。
「トメの野郎ォ!」
めさが犯人を割り出すのに要した時間は2秒で済んだ。
話はさかのぼり、前日の放課後。
何故か片足に壊れた靴を履いているトメは、ジンと共にめさの下駄箱に南京錠をかけた。
「よし! これでいいだろ~」
どこか嬉しそうにトメが言う。
「ジン~、この鍵どうするよ~」
めさに与える精神的苦痛を少しでも大きくしておきたい。
ジンは応じた。
「グランドにでも投げれば?」
「いいアイデアじゃねえかよ、オメーよ~」
トメは校庭まで足を運ぶと、力いっぱい鍵を投げた。
「飛んでけ、俺たちの青春!」といった感じだ。
これでめさの下駄箱にかけられた南京錠の鍵は誰にも見つけられない。
トメとジンは満足気にその場を去った。
話は戻り、めさの下駄箱の前。
いつものトラブル対策にと、めさが持ち歩いている多機能ナイフにはヤスリもある。
めさはこれを使って、一生懸命に南京錠を削っていた。
しかしこの南京錠、そう簡単に削れるものではなく、削っている間にめさは下級生や教師に声をかけられる。
「めさセンパーイ! おはようございまーす! 何してるんですかぁ?」
「いや、ちょっとね。いつものことだよ」
「お~い! めさー! もうホームルーム始まるぞー! お前、何やってんだ?」
「あ、おはようございます。何でもないです。すぐに行きます!」
めさは心中、「接着剤はまだあるな」と考えていた。
この件を境に、3人の間では地獄の様相を呈した報復合戦が始まることとなる。
めさはトメの靴の中にも接着剤を忍ばせたので、トメは靴も、靴下も脱げなくなっていた。
ジンはめさの弁当を無断で奪い、トメに渡す。
トメは受け取ったそれを全て胃に収めた。
友情って何だろうか。
トメの野郎、昨日も練習サボった挙げ句、今日の朝練までバックレやがった。
そのようなことを考えつつ、めさは下駄箱に向かう。
前日、めさはトメの靴の裏に接着剤を塗り、その靴を下駄箱の中に固定して帰っていた。
まずはトメの下駄箱を開けて中を確認する。
悪友の靴がまだそこにあるのか、それとも見事に回収されてしまったのかが気になったのだ。
下駄箱の中には、靴底だけがベットリと貼り付けられていた。
「ふははははは! あの馬鹿力め! 靴を無理矢理剥がそうとして失敗してやんの! スッキリしたわ!」
めさは自分の仕事に満足していた。
続いて、めさは自分の下駄箱にも目をやる。
「なに!?」
思わず声が出る。
めさの下駄箱には南京錠がかかっていた。
もちろん、鍵はどこにも見当たらない。
「トメの野郎ォ!」
めさが犯人を割り出すのに要した時間は2秒で済んだ。
話はさかのぼり、前日の放課後。
何故か片足に壊れた靴を履いているトメは、ジンと共にめさの下駄箱に南京錠をかけた。
「よし! これでいいだろ~」
どこか嬉しそうにトメが言う。
「ジン~、この鍵どうするよ~」
めさに与える精神的苦痛を少しでも大きくしておきたい。
ジンは応じた。
「グランドにでも投げれば?」
「いいアイデアじゃねえかよ、オメーよ~」
トメは校庭まで足を運ぶと、力いっぱい鍵を投げた。
「飛んでけ、俺たちの青春!」といった感じだ。
これでめさの下駄箱にかけられた南京錠の鍵は誰にも見つけられない。
トメとジンは満足気にその場を去った。
話は戻り、めさの下駄箱の前。
いつものトラブル対策にと、めさが持ち歩いている多機能ナイフにはヤスリもある。
めさはこれを使って、一生懸命に南京錠を削っていた。
しかしこの南京錠、そう簡単に削れるものではなく、削っている間にめさは下級生や教師に声をかけられる。
「めさセンパーイ! おはようございまーす! 何してるんですかぁ?」
「いや、ちょっとね。いつものことだよ」
「お~い! めさー! もうホームルーム始まるぞー! お前、何やってんだ?」
「あ、おはようございます。何でもないです。すぐに行きます!」
めさは心中、「接着剤はまだあるな」と考えていた。
この件を境に、3人の間では地獄の様相を呈した報復合戦が始まることとなる。
めさはトメの靴の中にも接着剤を忍ばせたので、トメは靴も、靴下も脱げなくなっていた。
ジンはめさの弁当を無断で奪い、トメに渡す。
トメは受け取ったそれを全て胃に収めた。
友情って何だろうか。
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