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夢見町の史

Let’s どんまい!

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2024
April 28
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2009
April 05
 男は俺ただ1人。
 職場のスナックは基本的に女の子のお店だからだ。
 ボスも同僚も女性のみで、俺は毎日のように女子高生気分を満喫している。

 不思議というか、実に失礼なことだと思うのだが、彼女たちは俺のことを一切男として見ていない。
 拾ったゴミを普通の態度で俺の胸ポケットに入れたりする。
 女子高生気分から一気にゴミ箱気分にランクダウンだ。
 タンクトップの似合う男になりたいものである。

「めささん、これ」

 フロアレディの1人がいつものように、俺の胸ポケットに何かを忍ばせる。
 ゴミなのはお前の心ですよ!
 思わずそう叫びそうになった。

 ところが彼女は、

「後で読んでください」

 手短な小声でそうささやいた。
 真剣な面持ちだ。

 ゴミかと思いきや、ポケットに入れられたのは手紙だったのである。
 メモ用紙が凝った形で折りたたまれていた。

 おいおい、マジか。
 そりゃ確かに俺は素敵な男さ?
 でもお前、職場でそういうのはマズいだろ。
 ったくそんなことされたって、俺は全然悪い気しねえよ。
 基本的に俺は1人でいることが好きだけど、惚れてくれるというのなら俺は全然構わない。

 0.5秒で俺は上記のようなことを考えていた。

 心なしかスキップで帰宅をし、いそいそと手紙を開く。

「実は前から」で始まる一文が脳裏をよぎる。
 もしくはシンプルに「す」から始まる意思表示。

 次に一緒に働く日が気マズいぜ。
 ふへへ。

 気持ちの悪い笑みを浮かべて、俺は手紙を一読した。
 そこには一言だけ、このように綴られている。

「ばーか」

 心の中で、俺は悲鳴にも似た大声を出す。

 電気の消えた台所で1人、体育座りをしたまま朝を迎えてやろうかァ!
 俺ァそこまでメンタル強くねえンだよォ!
 ばかちん。

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2009
March 25
 天然キャラと呼ばれるタイプのほとんどは、「自分は天然ではない」と固く信じている。
 俺の職場、スナック「スマイル」にもそういった残念な、もとい。
 純粋な魂を持ったフロアレディが働いている。
 仮にMちゃんとしておこう。

 Mちゃんに九州地方の地図を試しに書かせると、彼女は愛媛県や高知県まで書き込んでおり、四国との融合を見事に果たした謎の大陸を完成させた。
 屋根裏部屋から出た宝の地図よりもファンタジックなデザインで、事情を知らない人がそれを見たら「邪馬台国の想像図ですか?」ぐらいの感激をするに違いない。

 そんなMちゃんが自信満々に胸を張る。

「私これでも一般常識あるんですよ?」

 その発言に俺はびっくりして瞬きをし忘れ、眼球が乾きそうになる。

「マジで?」
「マジですよマジ」

 というわけで出題だ。

 問題。
 土星と金星。
 地球に近いのはどっち?

「土星!」

 見事だ!
 2択なのにそこまで堂々と間違うとは!

「あ、違った! 金星です金星」

 遅くね?
 俺のリアクション見てから言ったらズルくね?

「でも金星だもん。やった当たったー!」

 ああそう。
 君がそれでいいなら俺は別に構わないよ。
 じゃあ2問目。
 聖徳太子とイエスキリストは産まれたときの状況が一緒なのね?
 さて、具体的には何が一緒だったでしょうか?

「産まれた場所が同じとか?」

 おお!
 そんな感じ!
 じゃあ、その場所とはどこ!?

「島根県!」

 なんでだよ!
 なんでキリストが和の国で産まれてんだよ!
 聖母マリアは何目的で島根に来たんだよ!

「え~? じゃあ何県ですか?」

 日本から離れて!
 そういうエリア的な意味で「同じ場所」じゃなくてね?
 なんていうかこう、施設的な意味。

「あ、解った! 病院!」

 一般人じゃねえか!
 君はなに!?
 俺を笑い死にさせることが今日の目標なの!?
 息ができないことがどれほど苦痛か知っていますか?

「じゃあ、産婆さん?」

 昔の人かよ!?
 いやごめん、聖徳太子もキリストも昔の人だった。
 そうじゃなくて、じゃあヒント!
 馬!

「産ま!?」

 字が違う!
 なんでそんな語呂悪いとこで途切れさすんだ!

 息を整え、冷静な気持ちに戻る。

 俺は「本当に微笑ましい店ですね」と優しげな眼差しをMちゃんに向けた。

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2009
March 13
 スナックで働いていてよく目にする光景の1つが、酒の一気飲みだ。
 何かしらの簡単なゲームをして、負けた人にペナルティとして飲ませることが多い。

 誰かが一気するときは、それ用の掛け声を皆で言って盛り上げる。

 うちのお店で最も使われる一気飲みの音頭は、なかなか傷つくフレーズだ。

「飲め飲めブサイクー! 飲まなきゃブサイクー!」

 カッコイイ人にも平気で言うし、本当に不細工な人にもお構いなしだ。

 しかも飲んだら飲んだで、

「飲んでもブサイクー!」

 結局ブサイクにされてしまう。

 先日は、ある常連のお客さんが一気する羽目に陥っていた。

 たまたまフロアレディたちのテンションは低めだ。
 普段だったら「飲め飲めブサイクー! 飲まなきゃブサイクー! 飲んでもブサイクー!」と威勢がいいのに、この日は違った。

「…ブサイク。…ブサイク。…ブサイク」

 ただの悪口である。

 しかも誰1人として手拍子を打たなかった。

 別の機会では、2代目ママのKちゃんが飲むという展開に。

 お客さんが声を通す。

「飲め、K。ブス」

 リズム感がないばかりか、語呂が悪い。
 知らない人から見たら、イジメとしか思われない。
 アレンジされればされるほど、言葉の暴力にしか聞こえない。

 なんか新しい一気の音頭はないものだろうか。
 ブスとかブサイクとかだと心を痛めやすいから、「虫けらちゃん!」みたいな感じで。

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2009
March 06
 怖くて死んじゃうところだった。

 今まで散々お世話になってきたはずの悪魔王子の兄貴に、俺は初めて「死ね!」と言いたい。

 最初は何気ないメールがきっかけだった。

「めさ、今夜は家にいる?」

 まさか北海道からわざわざ横浜まで遊びにくるわけでもあるまい。
 俺は普通に返信をした。

「夜から仕事なんで、21時ぐらいまでなら家にいますよ」
「そっかー。それまで1人?」
「はい、ロンリーウルフです」
「解った。じゃあちょっと面白い話があるから、あとで連絡入れるわ」

 どんな話だろうと思いつつ、俺は「お待ちしてます」と返した。
 やがて夜になると、再び兄貴からのメールが。

「ちょっとこれ見てみて。1番下まで!」

 メールにはURLが記されている。
 クリックすると、キャバクラのホームページだった。

 兄貴、新しくキャバクラの経営でも始めたのかな。
 だとすると、1番下に兄貴の店が紹介されているとか知り合いがキャバ嬢やってるとか、そういうことか。

 なんて考えながら、俺はページを下へ下へとスクロールさせる。

「ん?」

 おかしなことが起きた。
 画面のスクロール速度が、明らかに加速している。
 物が落下するかのような不自然な速さだ。
 ボタンから手を離しても、画面は勝手に流れてゆく。

「あれ?」

 さらにおかしなことが。
 画面が逆さまになったのだ。
 画像も文字も、上下が逆転してしまった。
 スクロールはつまり、俺から見て上に向かって尚も進み続けている。
 バグったテレビゲームみたいな現象だ。

「お?」

 次の瞬間、何者かが俺に電話をかけてきた。
 画面が切り替わって着信を示し、電話本体が一定のリズムで振動している。
 黒を背景に090から始まる電話番号が表示されていた。
 しかし覚えのない番号だ。

「ンな!」

 もう怖くて書きたくない。
 黒い背景の奥から浮かび上がるように、変な女の人の顔が浮かび上がってきた。
 青白い肌で、女の人は不気味な目つきをこちらに向けている。

 電源オフのボタンを連打し、俺は無言でケータイをたたんでおいた。

「兄貴の野郎! そういうことか!」

 壊れたっぽいホームページも超怖い着信も、あれは最初からそういう作りになっていたというわけだ。

 さすが悪魔で王子だぜ兄貴~!
 夜分に1人であることを前もって確認したのは、そういうことだったのか!
 俺が怖がりって知ってるクセに!

 兄貴にメールを返す。
 全部絵文字だけで送信してやった。
 とてもじゃないけど日本語を打つ気力がなかったからだ。
 絵文字は全て怒りマークと大泣きマークだけで構成した。

「ギャハハハハ!」

 兄貴は本当にタチが悪くていらっしゃる。
 メールの中から大笑いだ。

「めさ、ちゃんと最後まで見た?」

 最後って、どこに最後がありやがるのか、わかんねーですよ!
 いきなり超怖い変な女から電話がー!
 あんなの普通に出られねーじゃねえですか!
 死ね!
 逆ギレしねーと自分を保てねえですよ!

「それは出なくていいよ。続きがあるから見てみなって。そこから先が面白いんだから」

 みんなが一緒のときじゃなきゃ見られない~。
 無理っす無理っすもうホントにマジで無理っす。

「でもあとで見ると恥ずかしいことになるぞ?」

 恐怖に耐えるべきか、皆の前で恥ずかしいことになるべきか選びたいんで、しばらく考えさせてください。

「大丈夫だって! 怖い箇所はもうないし、俺が本当に見てもらいたいのはその先にあるんだから」

 というわけで、兄貴があまりにもしつこいので俺は観念し、恐る恐る例のURLをクリックする。
 先ほどと同じ展開で画面がおかしくなり、続けて着信が。
 しばらく見つめてみたが、この女子の顔を直視できるほど俺のハートは強くない。

 ケータイの振動が納まると、画面には「着信あり」との文字が残る。

 決定キーを押して確認しようとした次の瞬間。

 キャーってなって、さっきの女がイーって凄い怖くて、俺はギャーってなった。
 もう嫌だ。

 要するに、ケータイから耳をつんざく悲鳴が大音量で発生すると同時に、さっきの不気味な女がもの凄い形相でアップになったのである。
 危うく己の舌を噛み切るところだった。
 このサイトのせいで死人が出たことぐらいあるんじゃね?
 マジでそう思った。

 俺にとんでもない恐怖体験をさせてくれた兄貴に文句を言うべく、俺は再びケータイを開く。

 駄目だ。
 手が震えてメールが打てない。
 電話して直接文句を言おう。

 コールすると、兄貴はすぐに出た。

「ふはははは!」

 兄貴ーッ!
 喜んでいらっしゃる場合じゃねえですよ!
 第一声が大笑いって何事ですか!
 も~!
 ホントやだ。

「どうだった?」

 どうだったもこうだったも、電話かけてきた女が最終形態でギャーって!
 窓が開いてたらケータイ投げ捨ててましたよ!
 俺の声が震えてるの、解りますか!?
 ばか!

「怖かったべ? 俺もかなりビビったよ」

 兄貴は人からされて嫌なことは人にしちゃいけませんって教わらなかったんですか!?

「いやいや、そこまでいいリアクションだとこっちも送った甲斐があるってもんだよ」

 うるせえ!

「また何か面白いもん見つけたら連絡するよ」

 結構です!

「じゃあ、またー。ごめんねー」

 ホントですよ!
 もっと心から謝ってくださいよ!

 電話を切る。
 俺の手はまだ震えていた。

 夜中じゃなくて、ホントよかった。

 以下、追記。
 兄貴のご友人の中には素晴らしいリアクションをされた犠牲者が大勢いらっしゃいます。
 あまりに見過ごせない反応だったので、ここで1つだけ紹介させていただきますね。

 兄貴に届いたメールです。

「犬が吠えました! 解除するにはどうしたらいいんですか!?」

 錯乱しすぎです。
 犬が吠えるタイミングが良すぎ。
 解除って一体なに?

 間違いなく俺の負けです。
 なんだろう、この悔しさは。

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2009
March 02
 年頃の女の子が思いっきり歯を食い縛り、尋常ではない形相で顔を天井に向けている。
 出産?
 みたいな勢いだ。
 そのような画像が、俺のケータイにも大切に保管されている。
 職場のスナック「スマイル」で、お客さんによって撮影されたものだ。

 その晩は誰もが酔っ払っていた。
 従業員たちももちろんそうで、俺がHちゃんに対して何かしらの軽口を叩いたんだったと思う。
 そこの記憶は曖昧だが、きっと「お前の前世は戦国武将」とでも言ったのだろう。

 フロアレディのHちゃんは激昂し、俺に物理的に襲いかかってきた。
 殺されると判断し、俺はシリアスな顔になって悲鳴を上げ、大真面目に逃げ出す。
 カンフー映画の如くテーブルを飛び越えたところで捕まり、このザマだ。

 Hちゃんの腕が俺の喉に回され、そのまま締め上げられる。
 チョークスリーパーは腕が細いほうが有利なのだ。
 血管など色々と塞がれ、意識が遠くなる。

「マジごめんなさいマジごめんなさい!」

 叫びながらタップするのだが、力が緩まる気配がまるでない。

「マジ無理マジ無理! 死ぬ死ぬ! ホントやめてホントやめて!」

 しかしHちゃんは無情で、お客さんに「カウント取って!」と指示を出す。
 カウントも何も、俺はとっくにギブアップしてるのに。

 ちなみにカウントを頼まれたお客さんは、はしゃぐ孫でも見るかのように微笑んでケータイを取り出し、カメラを起動させている。

 カウントが進まないものだから、Hちゃんは攻撃の手を緩めない。
 俺の顔色が見る見るうちに青ざめてゆく。

「この感覚は死!」

 今までの思い出が走馬灯のように巡り出す。

 Hちゃんは仕方なく、自分でカウントをし始めた。
 俺の降参宣言は受け入れない方針らしい。

「ワーン! ツー! スリー! うおりゃあ!」

 フォーの代わりに気合いを入れ直すHちゃん。
 いい感じに魂が抜け始める俺。
 とてもスナックの光景とは思えない。

 Hちゃんもしこたま飲んでいたために、早くも記憶が抜けているようだ。
 再び「ワーン!」とカウントをリセットし、始めから数え直している。
 人の命を何だと思っているのだろうか。
 しかもスリーから先に絶対に進まない。
 10までの道のりは果てしなく長い。

 結局、Hちゃんが疲れるまでずっと俺は首を絞められ続け、終わる頃になると俺は屍と化して動けないでいた。
 Hちゃんが勇ましく両手でガッツポーズを取る。
 お客さんのケータイには、きっとそのときの画像も残っているに違いない。

 続けてHちゃんは、お客さんに怒り出す。

「カウント取れっつってんの! 写メ撮ってどうすんスか!」

 幽体離脱の状態で、俺はその声を遠くから聞いていた。

 後日。
 Hちゃんは不思議そうな面持ちで、自分のケータイを俺に見せてくる。
 そこには冒頭にあったような構図の、めちゃめちゃ力んでいる彼女の顔が大きく映し出されている。
 苦しんでいる俺はというと、画面の外にいて映ってはいない。

 言うに事欠いて、彼女は被害者に対して次のような疑問を投げかける。

「こないだお客さんからこんな画像が送られてきたんですけど、なんであたし、こんな顔になってんスか?」 

 信じられない。
 なんでピンポイントで俺に訊ねてくるのだ。
 明らかに殺人未遂だったのだから、忘れないでいただきたい。

「このときあたし、何してんスか?」

 俺にチョークスリーパーをかけていた。
 この表情からして、よほどマジだったんだね。
 何度タップしても外してくれなかったし。

「あたしが!? めささんに!? なんで!?」

 脳に行くはずだった血液を止められたせいで覚えてない。

「あっはっはっは! あたしかー!」

 Hちゃんは、それはそれは楽しそうに大笑いしておいでだった。

追記・この日記を書くにあたって、俺はHちゃんの留守番電話にメッセージを残し、断りを入れておいた。
  その内容が日常的には珍しいものだったので、記念に記しておくことにする。

「Hちゃん、おはようございます。めさです。チョークスリーパーの件なんだけど、日記に書かせていただきます。じゃねー」

 チョークスリーパーの件て!

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プロフィール
HN:
めさ
年齢:
48
性別:
男性
誕生日:
1976/01/11
職業:
悪魔
趣味:
アウトドア、料理、格闘技、文章作成、旅行。
自己紹介:
 画像は、自室の天井に設置されたコタツだ。
 友人よ。
 なんで人の留守中に忍び込んで、コタツの熱くなる部分だけを天井に設置して帰るの?

 俺様は悪魔だ。
 ニコニコ動画などに色んな動画を上げてるぜ。

 基本的に、日記のコメントやメールのお返事はできぬ。
 ざまを見よ!
 本当にごめんなさい。
 それでもいいのならコチラをクリックするとメールが送れるぜい。

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 必要なものがあったら遠慮なく気軽に、どこにでも貼ってやって人類を堕落させるといい。
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