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夢見町の史

Let’s どんまい!

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2024
April 29
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2009
February 02

 名前からして勝てる気がしない。
 彼の名は悪魔王子。
 俺は敬愛の意を込め、兄貴と呼んでいる。

 以前1度だけ酒の席にご一緒させていただいたことがあるのだが、彼は雰囲気からして「猛者ですが何か?」といわんばかりのオーラをバリバリ出しておいでだった。
 経営者としても生物としても、カースト制度だったら間違いなく上のほうにいる人だ。

 兄貴は気さくにも「めさ、敬語だと堅苦しいからタメ口でいきましょうよ」と進言してくれる。
 俺が即答で「絶対に無理です」と返したのは言うまでもない。

 俺に何かしらの相談事が出来ると、兄貴は親身になって話を聞いてくれるし、普段からメールもくれる。

 先日は、画像のみのメールを送ってくれた。
 ケータイには「これでもか!」とばかりにオレンジ色が輝くイクラ丼が表示されている。
 安直な表現だが、めちゃめちゃ美味そうだ。

 テーブルの感じからして、どうやら兄貴はどこかの高級店で食事をしていらっしゃるらしい。
 本文に何も書かれていないところも芸が細かくて、正直イラッとくる。

 俺は対抗すべく、夕食として用意してあったカップラーメンの画像を送りつけておいた。

「これでも喰らえ! ふはははは!」

 やたら勝ち誇ってそのような念を込めていたが、実際にこれを喰らうのは俺である。

 次に届いたメールには、やはり本文が何も書かれていない。
 さっきのイクラ丼は兄貴の胃袋に綺麗に収まったのだろう。
 ケータイには、食後のスイーツが映し出されていた。
 デザインの懲りようからして、シェフの優秀さが窺える。
 間違いなくコンビニではお目にかかれない一品だ。
 見た目よりも味を知りたいところである。

 俺は再び携帯電話のカメラを起動させる。

「食事のあとに優雅なデザートを喰うのはあんただけじゃねえんだぜ!?」

 おやつとして用意してあったポテトチップスを撮り、返信してやった。

 ケータイを閉じると、自室で1人、タバコに火を点ける。
 若干の空しさと後悔を覚えた。

 水道水の画像をオマケしておけば完璧だったのに…。

拍手[1回]

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2009
January 24
 第一声が「王様ウゼー」だ。
 夢を見て、俺は酷くうなされる。

 俺が格好良く、大魔王を一刀両断するところから、その夢は始まっていた。

 勝った…。
 いきなり勝ったので苦労した感が全くないが、とにかく大魔王をやっつけた。
 これで世界に平和が訪れる!
 ってゆうか、俺はこれからは勇者としてチヤホヤされまくるに違いない。
 どこに行ってもキャーキャー騒がれ、何を食べても「お代は結構です」とか言われ、若干性格が悪くなるぐらいの暮らしができるであろう。
 俺の半生は映画化、書籍化されてロングセラーとなり、俺の誕生日は国民の定休日になって、将来はお札になってしまうに違いない。
 勇者の称号、万歳だ。

 あとは王様に報告をし、お姫様を嫁に貰って、そしたら感動のスタッフロールだ!

 意気揚々と城に引き上げる。

「王様、魔王を倒してまいりました!」

 自信満々の笑顔で報告すると、王は予想外の言葉を口にする。

「マジで?」

 ええ、マジです。
 やっつけましたよ、大魔王。

「本当にお前が?」

 ええ、俺がです。

「それ、ホントに? 魔王ってホントに死んだの?」

 ホントだってば。
 なんで疑うんですか。

「魔王が本当に死んだのかどうか、こっちで確認が取れない。そこを確かめもせずに勇者の称号をあげちゃうのも、なんかねえ?」

 魔王がいなくなったのは明らかでしょう!?
 外に魔物が出なくなってるんだから、そこは認めましょうよ!

「百歩譲って、魔王が本当に死んだとしよう。だがそれを倒したのがお前かどうかは、また別問題だ」

 俺が倒したって言ってるでしょ!?

「誰がそれを見てたのよ」

 そりゃ俺と、俺の仲間たちぐらいしかいないけど、でもそんなの普通そうでしょ!?
 魔王城にギャラリーいたとしたら、そいつらタダ者じゃねえよ!

「だったらお前が魔王を倒したかどうか、こっちとしてはまだ認められないよ」

 じゃあ調査団でも組んで、徹底的に調べてくださいよ!
 気が済むまで、たっぷりとね!

「うん、解った」

 こうして結成された調査団は、屈強な兵士2000名による大組織だ。
 こいつら、戦争にでも行く気か?

「こんなに強そうな人がいるなら、わざわざ俺個人に魔王討伐させなくってもいいじゃん! 最初からこいつらに行かせろよ!」

 かなりご立腹で目が覚める。

 王様、ホントうざい。

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2009
January 02
 木造の棚には、空になったボトルがいくつか並んでいる。
 喧騒は賑やかだったけど、俺は静かに、いつものカウンターの椅子に腰を下ろし、口を閉ざした。

 このバーに通って、一体何年が経ったのだろう。
 親愛なるバー「イージーバレル」の営業は本日、大晦日をもって幕を下ろす。

 店内を見渡した。

 ここの席で、俺は今までたくさん泣いて、たまに怒って、でもその何万倍も笑った。

 あんな会話をした。
 こんなことがあった。
 色々な人に出逢った。

 本当に、本当に、お世話になった。

 楽しそうにお客さんと会話をし、カクテルを作っているマスター。
 彼は、俺よりもたくさんの思い出を持っているはずだ。
 今、マスターはどんな気持ちなんだろう。

 色々と回想したり、想像していたら、自然と目頭が熱くなる。

 あ、やばい!
 今泣くのはマズイ!

 思った瞬間、俺は時計に目を走らせる。

 まだ閉店まで2時間もあるじゃないか!
 今俺が勝手に泣いてたら、間違いなくバカみたいだ!

 最も困るのは、他の誰かが俺に釣られてセンチメンタルになることだ!
 泣く奴が増えるぞ!
 その涙の波動がみんなに広がってもみろ!
 軽く通夜だ!
 あと2時間、ずっと皆が泣いてたら、何かこう、店の雰囲気的なものが台無しになる!
 この日記、せっかくスカした感じで書き出したのに、そっちも台無しだ!

 いかん!
 涙が止まらん!
 蛇口か俺の眼球は!

 うおおおおい!
 隣に座ってる友人!
 俺を見て好ましそうに微笑むな!
 孫を見守るおじいちゃんかお前は!
 他の人たちに、俺が泣いてるのがバレるだろ!
 気づかないフリしろよ!

 泣くのはせめて、閉店時間30分前ぐらいが好ましい!
 今はまだダメなんだ!
 くっそう!
 俺には何故、時間を止める能力が無いんだ!
 そしたらしばらく時を止め、涙を止めることが出来るのに!

 ってゆうかバカか俺は!
 時を止める前に涙を止めりゃいいだろうが!

 だいたい、なんでイージー最後の夜に、こんな涙目に!
 あ、最後だからか。

 時計を見ると、2分も経っていない。

 あと1時間58分、最後のイージーを楽しめ俺!

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2008
December 31
「例えば、テレビ番組のタイトルに人物の名前が含まれていたら、その人は凄い奴だろ?」

 常連のお客様が、嬉しそうに言う。

「つまりな? めさは、それぐらい凄いってことだよ。だってゲームのタイトルに名前が入るんだぜ? スゲー!」

 年末ということで、職場のスナックは大賑わいだ。
 みんながいい酒を飲んでいるのを見ると、忙しくても幸せな気分になれる。

 フロアレディが「そうっすよね!」と、楽しそうに相槌を打った。

「じゃあ、やりましょう! めさゲーム!」

 俺は「嫌だー!」と絶叫をした。

 説明しよう。
 めさゲームとは。

 通常、カラオケを利用したゲームの場合だと、歌をワンフレーズだけ唄い、次の人にマイクを渡す。
 それを皆で順番に繰り返し、最後に唄った人が負けとなるわけだ。
 負けた人は、酒を一気飲みしなくてはならない。

 めさゲームの場合だと、歌をワンフレーズだけ唄い、次の人にマイクを渡す。
 それを皆で順番に繰り返し、最後に唄った人が負けとなるわけだ。
 負けた人が誰であろうと、俺が酒を一気飲みしなくてはならない。

 大切なことなのでもう1度書こう。

 負けた人が誰であろうと、一気するのは絶対に俺だ。

 おかしいだろ、こんな世の中。
 差し当たって、ルールがおかしい。
 私を酔わせてどうするつもり?

 俺は頼んでいないのに、誰かが選曲し、曲が流れ出す。
 皆、次々と唄い、次の人へとマイクを回す。

「ウォウォー♪ ウォウォー♪ ウォーウウォウウォウウォウウォー♪」

 俺は先ほど、「みんながいい酒を飲んでいるのを見ると、忙しくても幸せな気分になれる」なんて書いたけど、あれ、やっぱ取り消す。

「ウォウォー♪ ウォウォー♪ ウォーウウォウウォウウォウウォー♪」
「いえーい!」
「はい、めささん! いえーい!」

 俺に回ってきたのは、マイクではなく、酒だった。

「ウォウォー♪ ウォウォー♪ ウォーウウォウウォウウォウウォー♪」
「どちきしょう!」

 曲に合わせて、グラスの中身を空にする。

「はい! ウォウォー♪ ウォウォー♪ ウォーウウォウウォウウォウウォー♪」
「嘘!?」

 お代わりは、既に用意されていた。
 俺の知らないところでルールが変わっていたようだ。
 変わったってゆうか、厳しさがレベルアップしてる。

「ウォウォー♪ ウォウォー♪ ウォーウウォウウォウウォウウォー♪」

 続けて飲み下す。
 砂漠の旅人だってそこまでガブ飲みしないであろう。
 めっちゃゴクゴク飲んだ。

「いえーい! ウォウォー♪ ウォウォー♪ ウォーウウォウウォウウォウウォー♪」
「マジかよ!」

 さらなるグラスが再び用意されていて、俺は歌とは関係ないところでシャウトする。

「どこにゴールがあるんだよォーッ!」

 すると、誰も俺を見なかった。
 心の叫びだったのに、みんな相変わらず「ウォウウォウ」言ってる。

「ウォウォー♪ ウォウォー♪ ウォーウウォウウォウウォウウォー♪」
「そうじゃなくて!」
「ウォウォー♪ ウォウォー♪ ウォーウウォウウォウウォウウォー♪」
「会話になってねえよ!」
「ウォウォー♪ ウォウォー♪ ウォーウウォウウォウウォウウォー♪」
「俺にだって心があるんだよォーッ!」
「ウォウォー♪ ウォウォー♪ ウォーウウォウウォウウォウウォー♪」
「2008年最大の不幸が今ここに!」
「ウォウォー♪ ウォウォー♪ ウォーウウォウウォウウォウウォー♪」
「俺はいつでも大殺界かよ! 解ったよ! 飲んだらいいんだろ、飲んだらよ! まさかお客さんにまでこんな乱暴な口を利くとは思わなかったよ!」

 高らかにグラスを掲げ、俺は酒を口へと運んだ。

 酔っちゃいました。

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2008
December 05

 俺、男のクセにね?
 ちょくちょく妊娠や出産する夢を見るんですよ。

 自分がお父さんなのかお母さんなのか、なんか立ち位置に困る感じなんですけどね。
 結構たくさん産み落としたなあ。

 双子も産んだし、プール出産も体験したし。
 いや、夢であって、実際の話じゃないですけども。

 でね。
 そうして産んだ子供って、やっぱり可愛いっていうか、愛しく感じるから不思議なんですよね。
 リアルでは俺、子供を授かったことがないんで、そういう我が子への愛情って未経験なはずじゃないですか。
 なのに夢の中では、もうめっちゃ愛してるんですよ。

 あれが親の愛ってやつなんでしょうかね?

 でもね?
 実は1つだけ例外があるんです。
 あんまし可愛くなかったなあ、あの子は。

 その夢の中では、俺はやっぱり妊娠していて、お腹が大きいんですよ。

 その俺の膨らんだ腹なんですけどね?
 どういうわけか、スケルトンボディなんです。
 透けてるの。
 自分の体内がめちゃめちゃ見えるんですよ。
 だから胎児の状況も一目瞭然で、ありゃレントゲンの立場がありませんでしたね。

 しかも。
 さらに凄いことに、俺はお腹の赤ちゃんと会話までできるんですよ。

 俺がお風呂に入ってると、お腹から声が聞こえてきたりするんです。

「お湯がぬるい」

 どこの世界に腹の中からダメ出しされる親がいるでしょうか。

 俺は一応「ごめんごめん」なんて謝りながら、お湯の温度を上げたりするんですけどね。
 子供は産まれてもいないのに、なんか生意気でした。

 で、お風呂から上がると、普通に牛乳を飲むじゃないですか。
 俺も腰に手を当てながら、やっぱり牛乳をごくごく飲んでたんです。

「ぷはぁ」

 って俺が飲み干すと、お腹の中からも声がするんです。

「ぷはぁ」

 何か飲んでる!?

 咄嗟にお腹を見ると、赤ちゃんはマックシェイクにストロー差して飲んでました。
 俺の体内にマクドナルドは無いはずです。

「お前! それどっから持ち込んだ!?」

 そう叫んだところで、目が覚めましたよ。



 話し終えると、Fさんは真面目な面持ちで俺の目を見た。

 職場のスナックで久々に会う常連さん。
 彼との再会を嬉しく思い、つい話が弾んでしまったのだ。

「めさ君」

 Fさんがグラスを置いた。

「俺が昔お世話になったお医者さんで、宮島先生っていう人がいるんだ。その人は外科医なんだけど、本当に親切な人でね? 自分の管轄でない症状の患者さんには、優秀なお医者さんを紹介してくれるんだよ。あの人は本当にいい先生だ」

 なんのお話?

「宮島先生は本当に素晴らしい先生だよ。めさ君、紹介するから、今度一度会ってくるといいよ」

 なんで俺にお医者さんを紹介しようとしてんですか?

「大丈夫。そういう相談するときって、確かに怖いかも知れない。でも宮島先生は本当に優しい人だから」

 気ィ遣ってオブラートに包んだ言い回ししなくていいです!
 だいたい、俺はただ夢の話をしただけじゃないですか!

「うんうん。そうだね」

 優しい眼差しで俺を見るな!

 宮島先生は傷ついた心も手術してくれるのでしょうか。

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プロフィール
HN:
めさ
年齢:
48
性別:
男性
誕生日:
1976/01/11
職業:
悪魔
趣味:
アウトドア、料理、格闘技、文章作成、旅行。
自己紹介:
 画像は、自室の天井に設置されたコタツだ。
 友人よ。
 なんで人の留守中に忍び込んで、コタツの熱くなる部分だけを天井に設置して帰るの?

 俺様は悪魔だ。
 ニコニコ動画などに色んな動画を上げてるぜ。

 基本的に、日記のコメントやメールのお返事はできぬ。
 ざまを見よ!
 本当にごめんなさい。
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