忍者ブログ

夢見町の史

Let’s どんまい!

  • « 2024.04.
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • »
2024
April 25
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2009
September 16
 安い定食屋さんでご飯をたくさん食べるよりも、おかわり自由のトンカツ屋さんで満腹になったほうが結果的には安上がりだ。
 何故ならば、少年漫画の主人公ぐらい俺はたくさん食べるから。

 しょうが焼き定食大盛りとチャーハンを頼むより、1180円のトンカツ定食を注文してご飯を3杯いただいたほうが断然にお得である。

 今日も馴染みのトンカツ屋に、俺は足を向ける。
 もういい歳とはいえ、まだまだ魚より肉のほうが好きだ。
 なんか豚喰いたい。

 おや?

 改めてメニューを見ると、俺は今まで見逃していたことに気がつく。

 1180円のトンカツ定食よりも安い品目があるじゃないか!
 チキンカツ定食880円だと!?
 なんてリバーシブル!

 相変わらずリーズナブルが出てこないことはさて置き。
 豚が好きだけど鳥も好きな俺ははやる気持ちを抑え、さっそくこのチキンカツ定食を注文することにした。

 オーダーを取ってくれたのは見慣れない女の子だ。
 おそらく新人のアルバイトなのだろう。
 どこかおどおどしていて、頼りなさそうに見える。

 俺が「チキンカツ定食お願いします」と注文すると、新人の女の子はか細い声で「はい、ヒレカツ定食ですね?」と返事をした。

 ちょっと待て。
 おかしくないか?
 どうやったらチキンカツがヒレカツと聞こえるのだ。

 ちょっと回想してみよう。

「チキンカツ定食お願いします」
「はい、ヒレカツですね?」

 この子にとって会話ってなんなんじゃろか。

 いや待て俺。
 俺は耳が悪いし、この子の声は小さい。
 聞き間違えたのは俺のほうかも知れないじゃないか。
 そうであった場合、俺こそがチキンカツをヒレカツと捉えたことになり、「どうやったらチキンカツがヒレカツと聞こえるのだ」という心のツッコミは自分自身に当てはまることになってしまい、とても恥ずかしい。

 しかもこの子、自信がなさすぎて「はい、ヒレカツですね?」の言葉を明らかに俺に向けていない。
 ちょっぴり激しい独り言か、もしくは予行演習みたいに見える。

 と、考えているそばからバイトの彼女は調理場の人に「ヒレカツ1つお願いしまーす」などと口走った。
 ような気がする。
 そのヒレカツはまあ、俺のじゃなくて、他のお客さんのオーダーなのかも知れないし、俺の聞き間違いである可能性もある。
 黙って料理を待とうじゃないか。
 なんだかんだでチキンカツが作られるに違いない。
 結果オーライだ。

 こうして、俺の前にはヒレカツが届いた。

 いやいや、これをヒレカツと決めつけるのはまだ早い。
 衣で包まれているので、豚肉なのか鶏肉なのか、見た目での判断は難しい。
 俺が知っているチキンカツとは形が違って見えるけど、この店オリジナルのチキンカツである可能性を無視することはできない。
 食べてみよう。

 よし、間違いない。
 これはヒレカツだ。

 店にクレームをつけるべきだろうか。
 いやしかし、俺の今までの常識が間違っていた場合だってある。
 味覚だけでこれをヒレカツと思ってしまったが、限りなく豚に近い鳥を使っていた場合、この店のチキンカツはこんな味になるのかも知れない。

「これはヒレカツじゃないか」と文句を言っても、「はあ? 何言ってんですか。それチキンカツですよ?」と返されては心が折れる。
 傷つくぐらいじゃ済まないだろう。

 さて、どうしたものか。
 ヒレカツは1280円。
 大打撃だ。
 たまに自分へのご褒美で注文するメニューだ。
 いつも頼むトンカツ定食よりもさらに高い。
 この店はそんな商売の仕方をするのか。
 実にあざとい。

 取り合えず、ご飯をおかわりしておこう。

 ふと見上げると、レジでは店長らしき男性とさっきの新人の子が一緒になって「申し訳ございません」とお客さんに何度も頭を下げている。
 きっとオーダーを取り間違えて、ヒレカツか何かを出したのだろう。

 これで俺は完全に苦情を言うタイミングを失ってしまった。
 俺までが「注文と違う」と文句を言ったら、あの子はさらに気まずくなり、店長からも必要以上に怒られてしまうに違いない。

 チキンカツじゃないと文句を言えない俺がチキンだ。

 そもそも俺はご飯をおかわりしてしまっている。
 そこまでヒレカツを食べておきながら「オーダーが間違っている」では人として間違っている。
 最初の一口で苦言を呈するべきだった。

 後悔してももう遅い。
 仕方ない。
 ご飯をもう1杯貰っておこう。
 ついでに味噌汁もおかわりだ。
 ヒレカツめちゃめちゃ美味しい。
 幸せだ。
 これが880円のチキンカツとはとても信じられない。
 ご馳走様でした。

 レジで会計を済ませ、店を出る。
 俺の財布の中からは、何故か1280円が消えていた。

 世の中、不思議なことばっかりだ。

拍手[10回]

PR
Comment
Name
Title
Mail
URL
Color
Comment
pass: emoji:Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
無題
本当に不思議ですね。
英国紳士: 2009.09/17(Thu) 08:11 Edit
お初です☆
昔ファミレスで、カルボナーラを頼んだ私の目の前にウエイターが笑顔で持ってきた『カルビ丼』。
えぇっ?!と思い怒り狂っていると、
相方に「いやいや、お前が頼んだんだよ?さっき―」

言い間違えてました…
どうやら無意識にカルビ丼頼んでいたみたいです。
しかも『カルビ丼!!』って物凄い元気よく…
どうした自分。


めささん心あたりはないっすか(笑)?
んまろ: 2009.09/17(Thu) 13:52 Edit
無題
不思議ですね~そう思うと今夜は寝れそうにないです!
なみ: 2009.09/17(Thu) 18:27 Edit
無題
不思議な事もあるんですね(笑)

俺も気をつけよっと。
ソウェル: 2009.09/18(Fri) 20:55 Edit
むう。
私もそれなりに大食いなので、大盛ラーメンには必ずチャーハンをつける。半チャーハンではない。チャーハン単品だ。こだわりだ。嘘だ。餃子を食いたい時もある。

話が逸れた。

注文したチャーハンがいくら待っても出てこない事があった。指摘した。当然だ。こだわりだ。嘘だ。餃子を食いたい時もある。

話が逸れた。

「あ…えーと。キャンセルで。」

驚愕した。向こうから言われるとは。音速のツッコミを得意とする私がだ。変に感心して店を後にした。

後日、同僚にそれを話すと笑われた。

「感心するとこじゃねーし!」

確かに。言われて気付いた。最初から餃子すればよかったのだと。

「違うし!!」


ところで。

お久しぶりです(遅
無可先生: 2009.09/18(Fri) 23:05 Edit
むう。
そういえば。
寝言本は現在もアーマゾーン!でしか購入出来ないのだろうか?

アーマゾーンのくだりはスルー希望。
無可先生: 2009.09/18(Fri) 23:12 Edit
無題
ファミレスでハンバーグドリア頼んだら、ご飯じゃなくてマカロニ入ってたことあったな…
sun: 2009.09/19(Sat) 16:49 Edit
無題
以前ハンバーグのせオムライスを頼んだら、ただのオムライスが運ばれてきた経験あります。…いやいや、ハンバーグもオムライスも食べたいのに~ちゃんと伝票にも記入されてるのに注意するとお姉さんに変な顔されました(ToT) 太ってる私に対する優しさか?? いらんわい!って経験と似てます?
るんちゃん: 2009.09/20(Sun) 19:14 Edit
今読み返して
この話すごく好きだと思いました。笑
てじ: 2009.10/11(Sun) 18:00 Edit
Trackback
この記事のトラックバックURL
[286] [285] [284] [283] [282] [281] [280] [279] [278] [277] [276]
プロフィール
HN:
めさ
年齢:
48
性別:
男性
誕生日:
1976/01/11
職業:
悪魔
趣味:
アウトドア、料理、格闘技、文章作成、旅行。
自己紹介:
 画像は、自室の天井に設置されたコタツだ。
 友人よ。
 なんで人の留守中に忍び込んで、コタツの熱くなる部分だけを天井に設置して帰るの?

 俺様は悪魔だ。
 ニコニコ動画などに色んな動画を上げてるぜ。

 基本的に、日記のコメントやメールのお返事はできぬ。
 ざまを見よ!
 本当にごめんなさい。
 それでもいいのならコチラをクリックするとメールが送れるぜい。

 当ブログはリンクフリーだ。
 必要なものがあったら遠慮なく気軽に、どこにでも貼ってやって人類を堕落させるといい。
リンク1

Powered by Ninja.blog * TemplateDesign by TMP


Hit

Yicha.jp急上昇キーワード[?]

忍者ブログ[PR]