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夢見町の史

Let’s どんまい!

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2024
May 10
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2008
May 21
 久々に行きつけのアメリカンバーに顔を出す。
 イージーバレルのいつものカウンター席に腰を下ろして、談笑に興じた。

「あの」

 別席で飲んでいたうら若き乙女が、マスターに声をかける。

「マスター、あの、キスって…」
「何ッ!?」
「キスぅ!?」

 マスターも俺も、「キス」という唐突な単語に驚愕の色が隠せない。

 女の子がいきなり接吻についての質問を始めようとするだなんて。
 なんて大人な世界なのだ、ここは。
 まるでバーみたいじゃないか。

 マスターは不自然に壁に寄りかかり、カッコつけて「キスの何が知りたいんだい?」などと上ずった声で対応している。
 俺は俺で彼女をガン見し、グラスを両手で抱えるように持ち、生唾を飲み込むといった芸のないリアクションだ。

「ち、違うんです!」

 女性客はぶんぶんと体ごと左右にジタバタさせ、否定を始める。

「そっちのキスじゃなくて、バンドのkissのことです!」

 どうやらアメリカには「kiss」というおセクシーな名前のバンドチームが活動しているらしい。

「マスターが、そのキスを知ってるのかなーって思ったんです!」

 な、なんだ。
 そっちのアレか。
 しし、知ってました。

 マスターも俺も安堵したかのように、肩の力を抜いた。

 それにしても、実に紛らわしい。
 本来は「キッス」と発音するバンド名なのに、どうしてわざわざアルファベットのAみたいに言うのか。
 前触れなくキスとか言うな。
 ホント紛らわしい。

 そして、どうせ紛らわしいのだから、その紛らわしさをもっと利用して、男どもを無駄にどきどきさせるべきではないだろうか。
 例えば、こんな感じで独り言をつぶやくとか。

「あたし、朝から晩まで、キスのことばっかり考えてる」

 言い終わったあとに軽く吐息を吐くことを忘れてはならない。
 くはぁ、って。

 一緒にいらしたお友達に協力してもらってもいいかも知れない。
 ライブを見た翌日とかに。

「ねえ、昨日のキス、どうだった?」
「すっごい激しかった!」

 女同士で何言ってんだ。

 でも、どうせバンド名と接吻を勘違いされるのだから、是非そっちの方向で極めていただきたい。
 というわけで、彼女に1つ提案を試みた。

「ねえねえ、君、あのね? どうせだから、もっと勘違いされるような言い方してよ。こんな風に。…あたし、朝から晩まで、キスのことばっかり考えてる」
「きゃー! 急に何言ってんですかー!」
「バンドの話だよ」

 なんで通じなかったのでしょうか。

拍手[1回]

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2008
May 10

 舞台役者、土方威風氏はこう語る。

「めささん、俺な? 今度、京都に帰ろうと思ってん」

 お前の実家は大阪である。

 そう突っ込みたいところだがしかし、俺の中に強烈な羨ましさが湧き上がってしまい、言葉にならない。

 俺も京都が大好きなのだ。
 いつかチーム「りんく」の皆で旅行に行こうと計画まで立てた、約束の地。
 そんな京都に、いふぅ君はどうして1人で行っちゃうのか。
 なんかズルい。

 俺は声を荒げた。

「だったら俺も京都に帰る!」

 横浜出身の人間からも故郷にされて、京都もさぞかしいい迷惑であろう。

「だいたい、なんで急に帰るなんて?」

 問うと、彼は「携帯電話を買い換えたい」などと、どこでも出来そうなことを言う。
 意味がよく解らなかったので追求はしなかった。

「ってゆうかもう、信じられない!」

 改めて彼に詰め寄る。

「みんなで行こうって言ってたのに、なんで1人で行っちゃうの? 俺も行きたい! いふぅ君が電車賃を出してください」
「嫌や」

 即答される。
 この青年に人の心はあるのだろうか。
 取り合えず、せっかく考えた風変わりなカツアゲはどうやら失敗に終わったらしい。

「俺、自分のバス代でイッパイイッパイやから無理やって」

 なんでそんな現実的なことを言うの?
 不思議でならない。
 でもまあ、俺もお金ないしね。
 じゃあ、分かったよ。
 2人仲良く自転車で行こう?
 それなら足代タダだし、一緒に行ってあげてもいいぜ?

「チャリ!? 関東から京都まで人力!? しかもなんで恩着せがましいの!」

 だって、1人でチャリは道のり長いから、寂しいよ?
 だから、一緒に行ってあげるってば。

「めささん1人で行きなって! 俺は自分の交通費ぐらいはあるからバスで行くけど」

 信じられない。
 俺はただ黙って、いふぅ君の顔を驚愕の表情で凝視した。

 いや、ちょ、いふぅ君?
 おま、え?
 マジで?

「こっちが訊きたいですよ! マジでチャリで行く気だったん!? そんなん1人で行ったらええやん!」

 うわ、マジでチャリだったら嫌なんだ!?
 うわあ…。
 いや、ああ、そう~。
 いやね?
 俺、ポーズで嫌がってるんだと思ってたんだけど、うわあ、あ、そう~?
 ホントに君、1人でバスで行く気だったんだ~?
 あの、なんていうかね?
 いふぅ君は、これからも全てから逃げ出しながら生きていくんだね…。

「ちょ、めささん!? なんでそんなに嫌な言い方するの!」

 だ、大丈夫だよ。
 俺ももう大人だし、いふぅ君の残念な人格は、みんなには黙っておいてあげるから。
 いやしかし、マジでチャリだと行きたくないだなんて…。
 駄目だ。
 上を向いてないと、涙がこぼれちゃう。

「知らんて! めささんこそ、なんで1人で行こうとしないの!?」

 だって、途中に山とかあんだぜ?
 1人だと寂しくて死んじゃう。

「他のメンバー誘えよ! ってゆうか、めささん? あなた俺に迷惑かけたいだけでしょ?」

 正直、返事はできなかった。

「じゃあさ、俺とめささんの他に、あと2人! あと2人がチャリで行くってなったら俺も一緒に行くよ! もー!」

 マジで!?
 やった!
 つまり、いふぅ君と俺を含めて、4人集まればチャリなわけね!?
 ひゃっほーう!
 チャリで京都~♪
 るりるりら~♪

「そんなに舞い上がってるけど、もう2人はどうすんの?」

 ふはは。
 お前は本当にばかだから、あの2人のことを忘れておいでです。

「え? 誰?」

 我がチーム「りんく」の歌姫、空。
 そして、その彼氏、ロリ君のことだ。

「え? あの2人? 来るって言うかなあ?」

 言うさ。
 あのカオスカップル、「コンビニの商品を全種類食い尽くす」とか「都会でマジの無人島ごっこ」とか「100人でやる超鬼ごっこ」とか、俺からしてもちょっとアレな企画を平気で立てる2人だぜ?
 チャリで京都まで行くなんて、朝飯前であろうことよ。

「ああ! 言われてみれば、そんな気がするー!」

 ふふん、もう遅いー!
 あと2人参加させればチャリで行くって、君もう言ったもんねー!
 いやっほーう!
 へいへーい!

「でもさ? 名古屋から京都って、近くない?」

 あ。

 俺は大事なことを忘れていた。
 空とロリ君は、基本的に名古屋で暮らしているのである。
 東京にも空のマンションがあるにはあるが、そこには間違いなくチャリがない。
 名古屋からチャリに乗られたら、関東から出発する俺は、結局しばらく寂しいではないか。
 どうしよう。

「よかったー! 俺、ホントは普通にバスで行きたいもん! ホンマよかったー」

 なんて嬉しそうな顔をするのだろう。
 ますますバスを使わせたくない感じである。

 そこで、一計を案じてみた。
 これ以降を読んだら、いふぅ君はさぞかし青ざめるであろう。

 今ここをご覧になっている、脚力に自信がある皆様。
 横浜から京都まで、一緒にサイクリングしませんか?
 参加資格は健康であることだけ!
 一緒にいい汗かいて、京都で美味いものでも食べましょう。
 定員数は、特にありません。
 いふぅ君が断るに断れないぐらい大勢で、賑やかに!
 みんなで夜の山道から恐怖を取り除きましょう!
 皆様からのご応募、お待ちしています!
 大丈夫です!

 ふう。
 これで良し、と。



※募集は冗談です。
 でもいつか、そんなオフ会ツアーもやりましょうね。

拍手[2回]

2008
May 04
 お茶でも飲もうと、ふと立ち寄った店は、喫茶店ではなかった。
 中に入ってメニューを見ると、ここはどうやら昼から営業してはいるが、ハワイアンバーであるようだ。

 店主はアロハシャツを着て、ファンキーなシルバーアクセサリーをじゃらじゃら付けている。
 年配の女性だ。
 髪は、若者顔負けで、格好良くカラーリングされている。
 おばちゃんなんだけど、印象から彼女を「おばちゃん」とは呼べない感覚。
 服装だけでなく、表情まで生き生きとして若いからだろう。

 メニューには、聞き覚えのないカクテル名が並んでいる。
 かと思えばそれはノンアルコールカクテルで、俺が今まで知らなかったことも納得だ。

「あの」

 おばちゃんに、いや。
 おアロハ姉さんに声をかける。

「この、シンデレラって何ですか?」

 なんか、飲んでみたかったのだ。

 すると姉さん、思わず耳を疑いたくなるようなことを言い出す。

「それはやめたほうがいい」

 え?
 あの、今、何と?

「それは美味しくないよ」

 そ、そうなんですか。

 続けて彼女は、俺が手にしているメニューを細かく指差した。

「それと、それと、あとこれもやめたほうがいい。美味しくないから」

 自分の店の品物を完全否定している店主を、俺は初めて目撃した。

「そのカクテルはハワイの原料を使わないの。だから、やめたほうがいい」

 だったら何故メニューに載せているのか。

 あ、いかん!

 ふとした確実な予感が、脳裏をよぎる。

 俺、このお店、大好きだ!

 この姉さんはきっと、一生お若いままでいらっしゃるんだろうな。
 俺も、こんなエレガントな歳の取り方をしたいものだ。

 それにしても、俺は一体いつになったらシンデレラの味を知ることができるのだろう。
 どう美味しくないのか、逆に気になる。

拍手[5回]

2008
May 02

 登録のきっかけは、テレビのCMだった。

「メンバーが足りません」

 誠心誠意を感じさせる瞳が、切実そうにこちらに向けられている。

 お金をかけてCMを流すほど、メンバーが不足しているのか。
 深く考えたこともなかったし、今まで知らなかった。
 人の命に関わることなのに、その無知は恥ずべきことだ。

 慌てて携帯電話を取り出し、ブラウン管に映し出されている電話番号をプッシュする。
 そのまま電話をかけて資料を請求し、次の休日には俺も骨髄バンクにドナー登録をした。
 今から3年ほど前のことだ。

 以来、ドナーとしていつか骨髄を提供したいと、まるで夢を見るかのように思い続けてきた。

 以前どこかの日記で、俺は「元気になってくれて、ありがとうを言いたい」というフレーズを書いたことがある。
 その言い回しは実をいうと、資料の中にあった言葉をそのまま使ったものだ。

 骨髄移植をすると、患者とドナーは身分を明かし合うことはできないが、手紙のやり取りは可能であるという。
 資料には、そんな手紙がサンプルとしていくつか記載されていた。

 ドナーからの手紙。
 そのタイトルが、「元気になってくれて、ありがとう」

 鳥肌が立った。
 見た瞬間、泣いた。

 なんて素晴らしい心意気が篭った、なんて素晴らしい言霊なんだろう。

 いつか俺も、誰かにそう言ってやるぞと心に決めた。

 人によっては、10年経っても適合者が現れず、待ち続けている登録者もいらっしゃるようだ。
 たった3年で、その封筒が届いた俺はだから、運が良かった方だろう。

「この度、貴方様と骨髄バンクの登録患者さんのHLA型(白血球の型)が一致し、ドナー候補者のお一人に選ばれました」

 うおおおお!
 マジかよ!
 やった!
 適合した!
 選ばれた!
 俺は人を笑わせるのが大好きだ!
 元気にして、笑わせてやるぞ!
 うおおおお!

 そりゃチャリを漕ぐ足に力も入るというものだ。
 その日は普段よりも10分も早く会社に到着した。

「俺、ついに適合したんです! 骨髄バンクに登録して、初めて! いつになるか分からないけど、俺、近々、何日か入院してきます!」

 それを快く認めてくれた会社にも感謝の念が止まらない。

 コーディネイターと呼ばれる仲介人も決まり、ウェブ上の日記に書いても構わない範疇を確認した。
 親や仲間からの承諾も得た。
 認めてくれてありがとう。

 近いうちに検査を受けて、それで問題がなかったら骨髄を提供してきます。
 笑える人を増やしてくるぜ。



(財)骨髄移植推進財団
 TEL 03-5283-5625
 FAX 03-5283-5629

拍手[16回]

2008
May 01
 シンガーぴぃこと、空。
 彼女の話は、唐突に始まった。

「めさ兄に彼女ができてさ、その彼女、あたしの彼氏と浮気すんのね?」

 なるほど。
 話がさっぱり解らない。

「だから、めさ兄に彼女がいるんだって。で、その彼女さんと、あたしの彼氏が、くっ付いてんの」

 空?
 何の話なんだか全然読めないんだけど、1つだけお訊ねしたい。
 人間関係って何ですか?

「そこで、めさ兄が大激怒してね? 浮気してた2人を殺しちゃうの」

 そんな大それたキレ方が許されるのって、何時代の話?

「で、めさ兄は、あたしのところに来るの」

 浮気された腹いせに、俺は空を狙っちゃうってわけだ。
 とてもウェブ上では描写できないようなことを、なんか、ねえ?
 俺は、空のことを、うんとね?
 襲っちゃう感じなのでしょうか?

「そうそう。めさ兄は包丁を持って、白目になって、あたしに襲いかかってくるの」

 そっちかよ。
 そっちの「襲う」なのかよ。
 そりゃ確かに細かく描写したくないよ。
 いとも簡単に殺意を抱いたりして、何を考えてんだよ、俺はよ。
 白目になったら、前が見えないじゃないか。

「あたしは自分の家に逃げ込んでね? そこに、かづ兄と、ぱー兄が来るの」

 かづき君と、白ぱーさんが?
 いや、間違えた。
 これからは俺、我がチームの役者さんのことを日記で書くときは知名度のためにも、芸名で書くことにしたんだった。
 なので、空。
 もう1回言ってくれる?

「だから、あたしの家に、かづ兄とね?」

 ほうほう。
 土方威風君と?

「ぱー兄が来たの」

 宇喜田志光氏がかー。

 どうだ。
 俺はいやらしいだろう?
 俺のそういうところが、母性本能をくすぐっちゃうのかなー。

「はいはい。で、あの2人ね? うちに勝手に入ってきたから、あたし怒るのね? 『勝手に人の部屋に入ってくるな!』って」

 実に図々しい2人だなあ。
 そりゃ怒ったほうがいいよ。

「で、かづ兄と、ぱー兄は、すぐ死んじゃうの」

 すぐ死ぬってあんた、スペランカーじゃねえんだから。
 脈絡なく天に召されても困るから。
 だいたい、なんで死んだ?
 死因は一体何になるわけ?

「わかんない。とにかく死ぬの」

 儚いにもほどがある。

「そんで、めさ兄が追いついてきてさあ」

 しつこい野郎だな、そいつ。
 あ、俺か。

「やっぱ包丁を持って、あたしに襲いかかってくるのね?」

 俺が目指すのは何系のホラーだ?

「でも、めさ兄はね、背後から撃たれて、死んじゃうの」

 さっきから聞いてれば、「魔女狩りか!」ってぐらい殺戮の嵐なんですけど。

「撃ったのは、うちのプロダクションの社長」

 おたくの社長さんは、どうして拳銃をお持ちで?

「社長は、助けてくれたと見せかけて、やっぱりあたしを殺そうとするの」

 どこの世界のヒロインも、普通は味方がいるはずだよね?
 君、恨み買いすぎじゃね?

「で、話はこれで、おしまい。えへへ」

 嬉しそうなのは何故だ。
 まあ、いっか。
 今のって、夢の話でしょう?

「ううん、違う」

 夢じゃない?
 じゃあ、どういうこと?

「あたしの彼氏が作った物語」

 何考えてんだ彼氏!
 最初からドロドロな物語展開しちゃってて、夢と希望の無さにびっくりしたよ!
 だいたい、途中で出てきた役者部隊の2人は、何のために生まれてきたんだよ!
 作中の俺、超しつこいし!
 そんな話、俺は日記に書かないからね!

 って、言ってるそばから書いちゃってる。
 えへへ。
 俺のそういうところが、母性本能をくすぐっちゃうのかなー。

 今の一文で、また新たな殺意を感じてしまった今日この頃。
 どうか背後から撃たれませんように。

拍手[3回]

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プロフィール
HN:
めさ
年齢:
48
性別:
男性
誕生日:
1976/01/11
職業:
悪魔
趣味:
アウトドア、料理、格闘技、文章作成、旅行。
自己紹介:
 画像は、自室の天井に設置されたコタツだ。
 友人よ。
 なんで人の留守中に忍び込んで、コタツの熱くなる部分だけを天井に設置して帰るの?

 俺様は悪魔だ。
 ニコニコ動画などに色んな動画を上げてるぜ。

 基本的に、日記のコメントやメールのお返事はできぬ。
 ざまを見よ!
 本当にごめんなさい。
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